杉山が30年にわたって発掘調査を行ってきたメキシコの世界遺産「テオティワカン」。“神々の都”と人々からあがめられる世界屈指の古代遺跡だ。およそ2000年前に興り、巨大なピラミッドを築くなど高度な文明を誇った。しかし、いったい誰によって、何のために作られたのかは今も謎に包まれている。杉山はそのテオティワカン最大の謎を解くことに執念を燃やしてきた。そのために、支配者である「王の墓」を見つけようとしている。
杉山が30年にわたって発掘調査を行ってきたメキシコの世界遺産「テオティワカン」。“神々の都”と人々からあがめられる世界屈指の古代遺跡だ。およそ2000年前に興り、巨大なピラミッドを築くなど高度な文明を誇った。しかし、いったい誰によって、何のために作られたのかは今も謎に包まれている。杉山はそのテオティワカン最大の謎を解くことに執念を燃やしてきた。そのために、支配者である「王の墓」を見つけようとしている。
「テオティワカン」とは“神々の都”を意味する。謎こそロマン
テオティワカンで定説を覆す新発見を次々と成し遂げてきた杉山。その秘密は、発掘前の徹底的な調査にある。数年がかりの測量で遺跡の形や方位を詳細に調べ、さらに周辺から掘り出した数万点の出土品を綿密に分析することで、遺跡のどこを掘るべきか、ピンポイントで狙いを定めていく。「モノから語られることを僕らは聞かなくちゃいけない。自分の理論、自分の考え、自分の解釈をそこに当てはめようとしてはいけない。純粋な気持ちになって、そのモノが語ってくるものを読み取る。」
モノが語ることに耳をすませ、真実を探る
遺跡は、人類にとってかけがえのない遺産。ひとたび掘り起こせば、元の状態に完全には戻らない。杉山は、その責任を胸に刻み、長年発掘を続けてきた。「我々とは何者か」という根源的な問いの答えに少しでも近づくためだ。古代文明の姿を明らかにすることは、決して現代と無縁ではない。我々の本当の姿を知ることにつながると杉山は考える。「現代も、いろんな所で個人を犠牲にして社会のために生けにえにする。人間の行動パターンとしては同じものがある。それを書き出すが我々の仕事。」
杉山は考古学を「終わりのないジグソーパズル」と表現する
出土したものは写真を撮るだけでなく、細かくスケッチを手描きする。それは、骨や副葬品の位置や向きが何を意味するのかを読み取り、解釈していくプロセスでもある。
あぐらを組み、ヒスイの宝石をつけた高貴な人物の骨のスケッチ
正確な三次元測量に基づき、「太陽のピラミッド」の中心まで掘り進めるのが今回の杉山たちの計画。「王の墓」はどこに眠っているのか…
700分の1スケールの模型