未明の東京・築地市場。全国はもとより、そして世界中から集められたまぐろがせり場に所狭しと並ぶ。藤田たち仲買人は、その中からこれはと思うまぐろを見極めて競り落とし、プロの料理人やすし職人に卸す。しかしせり場に並ぶまぐろには、味見をする見本はない。魚の外見など、ごく限られた情報から魚の良し悪しを瞬時に見極めなければならない。
魚の大きさ、脂ののり具合、産地や漁法などさまざまな判断基準があるなかで、藤田が最も大切にするのが、味だ。藤田の味への徹底したこだわりと妥協しない姿勢が、多くのすしの名店からの信頼を集めている。