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これまでの放送

第92回 2008年7月8日放送

チームは、“背中”と“口”で引っ張る プロ野球選手・宮本慎也


“背中”と“口”で引っ張る

「簡単にやるなよ!簡単に取れへんぞ1点!」開幕前の沖縄でのキャンプ。練習中のグラウンドには、宮本の怒声が響き渡る。キャプテン宮本は、例え煙たがられようとも、同じチームで戦う選手同士だからこそ言うべき時には、言う。そのスタイルがチームで認められているのは、宮本が若手をも凌駕(りょうが)する練習量をこなし、野球に対する真摯(しんし)な姿勢を貫いているからだ。ある試合でミスをした宮本。目の合う選手にしきりと「ごめん」と謝った。ベテランであってもミスをあいまいにせず、厳しく問い直す。そんなキャプテンの日々の態度がチームを引き締める。

写真ミスをした直後ベンチで他の選手に謝っていた


“二流の超一流”を目指せ

もともと宮本はずば抜けた素質や体格に恵まれた選手ではない。そんな宮本にとって入団当初に受けた野村克也監督の数々の薫陶はその後の野球人生を大きく変えた。なかでも宮本が大事にしているのが「二流の超一流を目指せ」という言葉だ。野球はホームランバッターやエースだけでは成り立たない。脇役であっても、野球理論を極め、努力を積み重ねれば、チームに欠くことの出来ない選手になることができる。この言葉に「自分が生きる道はこれだ」と確信したという宮本。隙(すき)のない野球が出来る選手をめざし精進を重ね、やがて球界を代表する選手となっていった。

写真遠征先のホテルでバットを振るのは若い頃からの日課


ペナントレース・知られざる闘い

オフに主力選手が抜け、若手主体となったヤクルト。宮本は、今シーズンを闘い抜きながら、同時に将来に渡って優勝争いが出来るチームになって欲しいと考えていた。そのためには「隙のない野球」の出来るチームにならなくてはいけない。宮本は日々の試合後、さまざまなメッセージを選手たちに伝えていく。「もっと多くの時間を野球に費やそう」「もっと頭を使って野球をやろう」。時には厳しい口調になることもある。正捕手候補の一人福川選手には、1球の選択の判断の難しさ、怖さを分かって欲しいと考えていた。試合後のクラブハウスには、本音でぶつかる宮本と後輩選手との知られざるドラマがあった。

写真「隙のない野球」を行う意識を若い選手に伝えたい


プロフェッショナルとは…

父親からもらった言葉なんですけれども、『努力するのはプロとして当たり前、それ以上するのが本当のプロだ』っていう。みんながやっていないことをするのが、努力するのが、プロフェッショナルだというふうに思っています。

宮本慎也

The Professional’s Tools

グラブ

ゴールデングラブ賞6回、鉄壁の守備を誇る宮本の最も大切な道具、グラブ。6月にサードにポジションが移り、ショート用とサード用の二つのグラブを持つ。長年使ってきたショートのグラブは、8年以上をかけて改良を重ねたどり着いたもの。例えば、逆シングルでゴロを捕る際、親指の先の部分がグラウンドにひっかかりにくくなるようわずかに長さを短くしてある。また、手入れは過度に行わない。手入れ用の油を付けすぎて、グラブが重くなることを防ぐためだという。

写真
写真親指の芯(しん)をかたくしているのも特徴


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