日本で数少ない、フリーの漫画編集者・原作者である長崎。漫画家と本気でアイデアをぶつけあい、二人三脚でストーリーを作り上げる「陰の仕掛け人」として、企画やシナリオ制作、宣伝戦略まで「絵を描く以外すべてに関わる。
その長崎が20年以上前から付き合い続けるのが、漫画界のスーパースター・浦沢直樹だ。現在、月1回で連載をしている人気漫画「PLUTO」の打合せは、まさにふたりの魂のぶつかり合い。主人公のひとりである人間型ロボットが銃で撃たれた次の回、ストーリーをどう続けるか、アイデアの応酬が行われた。浮かび上がったのは、残された妻のロボットの悲しみを描くこと。ネームと言われる原稿の下書きや、文字の校正に至るまで、長崎は細心の注意と意欲をもって挑んだ。
その長崎が常に胸に刻むのは、漫画家と同じ「愛と覚悟」をもって作品作りに臨むこと。世界で最初に漫画を愛し、そして世界でふたりだけでも「面白い」と信じ抜く覚悟がなければ世に送ることができないと、長崎は考える