地球温暖化対策として世界が注目する「排出権」の取引。温室効果ガスの削減に経済的メカニズムを導入しようという新しい取り組みだ。吉高がこの分野で働き始めたのは2001年の初め。まだ京都議定書が発効しておらず、ビジネスとして成立するかどうかの確証もなかったころだった。以来、先駆者として、未知のビジネスを切りひらいてきた吉高たちのチームは、今や世界屈指の実績を誇る。
地球温暖化対策として世界が注目する「排出権」の取引。温室効果ガスの削減に経済的メカニズムを導入しようという新しい取り組みだ。吉高がこの分野で働き始めたのは2001年の初め。まだ京都議定書が発効しておらず、ビジネスとして成立するかどうかの確証もなかったころだった。以来、先駆者として、未知のビジネスを切りひらいてきた吉高たちのチームは、今や世界屈指の実績を誇る。
ベトナムの現場で新プロジェクトの視察をする吉高
途上国の温室効果ガスの削減分を先進国が購入し、自国の削減分として使うことができる、「排出権取引」。この仕組みに対して、途上国側には「先進国側の都合の押し付けだ」という批判もある。先進国と途上国、立場の違う両者の間に立つ吉高の仕事。一方のメリットだけを優先すれば、事業はうまく行かない。「お互いにイコールの立場で、フェアな形でお仕事をしたいというのがあります。そのほうが信頼関係も生まれる」と吉高は考える。
途上国の企業等を相手に排出権事業のメリットを説く
前例のないビジネスを切り開く吉高の仕事。回答が記載されている教科書も、頼るべき先輩もおらず、トラブルは日常茶飯事だ。日々刻々と立ち上がるいくつもの困難を前にしたとき、吉高はそれを越えた先にある可能性を信じて、あえて困難な道を選ぶ。「何か本当に新しいことができるかもしれないし、とにかく続けていれば何か道は開ける」と信じる。
吉高が手がけた実際の排出権事業のひとつ、「もみ殻発電」。従来、ディーゼル燃料で発電を行っていた精米所で、新たに導入した。ディーゼルによる発電を一切なくし、替わりに稲のもみ殻を燃料とする新しい発電機を導入し工場で使う電力をまかなう。今まで使っていたディーゼル燃料が不要となり、その分の二酸化炭素が削減できる仕組みだ。