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第62回 2007年9月11日放送

空の伝説 試練の海へ ヘリコプターパイロット・森公博


風の息を読む

ヘリコプターパイロットには、職人技にも例えられる難しい操縦がある。
救助隊員を現場の船などに降ろすため、空中で静止する「ホバリング」だ。
最大の敵は、“風”。刻々と向きや強さが変わる“風の息”に合わせて両手両足の操縦機器を絶えずミリ単位で操作しながら、機体をピタリと止める。森は言う。「(ヘリを)動かすのは割と簡単だと思うんですよね。でも、それを変えないために努力することとか、考えるということっていうのは、やっぱり、相当エネルギーがいることかなと思います。」

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限界を決めない

今や一流のパイロットとして知られる森。その実力を養っているのが日々の過酷な訓練だ。森はベテランとなった今でも、誰もやったことがない難しい訓練に挑む。
ある日は、隊員の誘導だけを頼りに、目標の船を見ないでわずか2m四方の場所に救助隊員を降ろす訓練に挑んだ。
「自分の限界を自分で決めるようにはなりたくない。もっと難しい仕事があるなら、それもちゃんとこなしたい。」
森は見事、障害物に囲まれた目標地点に、ピンポイントで隊員を降下させた。

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本当にそれが、ベストか

深夜、ボートの座礁事故が発生。乗員二人が助けを求めてきた。現場に到着した森を待っていたのは予想外の状況だった。気温が予想よりも高いせいでヘリコプターのパワーが落ち、二人をつり上げられない。
長時間旋回して燃料を減らし、機体を軽くすればつり上げられる。
しかし森は常に、自らに「本当にそれが、ベストなのか。」と問う。結局、森は救助隊員を現場に残す代わりに、即座に乗員二人をつり上げることを決断。救助は無事、成功した。

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プロフェッショナルとは…

現場での実力というのは、やれるかやれないかなんですよね。百の言葉より一の行動で、仲間の信頼が得られる実力を持った人、それがプロフェッショナルだと思います。

森 公博

The Professional’s Tools

手袋

微妙な操縦のブレも許されないパイロットにとって、汗によるすべりなどを防止する手袋は欠かせない。森が選ぶ手袋の条件は、まず薄いこと。「皮ふが当たるくらい」という操縦の感覚を敏感に感じ取るためだ。
森の手袋は1年ほど使用すると、ボタンの操作などで指先がボロボロになる。だが、使い込んだ手袋には愛着がわいて、なかなか捨てられないという。

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ニーパッド

パイロットが操縦中に使う、専用のメモ帳。手を自由にするために太ももに巻き、操縦しながらフライトに必要な、気象や事故に関する情報を書き込む。
森のニーパッドには離陸から着陸までの燃料の計算、現場の風向き、船の状態などが走り書きされている。

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