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第53回 2007年6月5日放送

暗中模索、未来創造 デザイナー・吉岡徳仁


未来の「定番」を作る

工業・空間デザイナー吉岡徳仁のもとには、世界中の一流企業からの依頼が相次ぐ。
紙で作ったイス、車の反射板を利用したモーターショーの展示ブースなど、素材の可能性を切り開く斬新(ざんしん)なアイデアは、最先端のデザインとして国際的に注目を浴びている。
そんな吉岡が、デザインをする上で目指しているのは、「未来の定番を作る」ことだ。
「木の時代に作られた鉄のパイプのイスは、今から見れば普通だが、当時は革新的だったはず。自分も、これから未来では『普通』になるような新しいデザインをしたい」。

写真


気持ちをデザインする

オーストリアの世界的なクリスタルメーカーから、何か新しい製品を考えてほしいと依頼を受けた吉岡。考え出したのは、香水入れだった。しかし、吉岡は容器に一切のクリスタルを使わず、「液体の中にクリスタルガラスを放り込む」というアイデアを考えた。狙いは、「クリスタルからにじみ出たエキスを浴びる」というイメージ。
吉岡は、形からデザインを考えるのではなく、使う人がどんな気持ちになるか、どんな時間を提供するかという観点からアイデアを考えるという

写真水を入れたビンにクリスタルを放り込み、アイデアを試す


ジタバタする

4月。イタリア・ミラノで開かれた国際家具見本市で新作のイスを発表することになった吉岡。大事な仕事のひとつとして、展示場の空間デザインがあった。施工を進める中、吉岡が最後までこだわったのは照明の当たり具合。さまざまな場所や角度の調整に試行錯誤を続けた。あまりの指示の多さに、あきれはてる現地スタッフ。しかし吉岡はぎりぎりまであきらめない。
「ちょっとしたことで、すばらしい結果が生まれることもある。思いつくことはすべて試す」。あらゆる可能性を試し尽くし、手間という手間をかけた上で、シンプルで奥深いデザインを作りたいと吉岡は考える。

写真納得するまで、試し続ける


プロフェッショナルとは…

自分で限界を決めないというか、限界を決めずに最後まで努力していくっていうことですかね。

吉岡徳仁

The Professional’s Tools

数々の素材

吉岡は、日ごろからのアイディアのストックとしてさまざまな素材を集め続けている。メガネのレンズを作るときにできる不思議な形をした透明なプラスチックの塊や、ものが二重に見える特殊なガラスなど、数々の素材は、吉岡にとっての大切なアイデアの源泉だ。 気になった素材があれば、工場に電話をかけ見学に行ったり、頼み込んで新しい素材の使い方を実験してもらう。吉岡は常に、その素材の魅力を最大限に使えるやり方を考え続け、依頼があったときにすぐに生かせるようにしている。

写真さまざまな工業素材から、インスピレーションを受ける


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