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第49回 2007年4月24日放送

自分を信じる強さを持て バレリーナ・吉田都


バレエ=過酷な芸術

吉田がゲストでプリンシパルをつとめる英国ロイヤルバレエ団には世界各国からダンサーたちが集まる。その中で主役をつとめられるのは1人。毎日の練習は主役の座をねらうダンサーたちの闘いの場だ。吉田はそこで10年以上、その主役の座を勝ち取ってきた。その吉田の日常は、華やかな舞台とは裏腹に、地味で過酷だ。毎日変わらぬストレッチ、腹筋を鍛える運動・・。練習では体を極限まで酷使する。日々のたゆまぬ鍛錬があってこそ、本番で輝くことができる。そんな自分を吉田は「職人」にも例える。

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1ミリに、こだわる

吉田は練習中、1ミリの誤差にも妥協しない。例えば相手役の男性ダンサーが吉田を宙に持ち上げるリフト。それが終わり着地する時の体の角度に吉田は徹底的にこだわる。少しでもずれてしまうと、着地後に続く次の回転へスムーズに移ることができないからだ。正確な動きが積み重なることで初めて流れるような踊りが完成し、ファンタジーの世界へ客を導くことができると吉田はいう。リハーサル時間が限られている中、吉田はあえて先を急ぐのではなく、一瞬の動きを完成させることを大事にする。

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自分を信じる強さを持て

ケガ、合わないシューズ、パートナーの交代・・・。厳しいバレエの世界では、何も問題なく本番にのぞめることはほとんどない。しかしどんな不安があっても本番当日には、吉田はすべてのトラブルを頭から捨て去る。そして、そこまで練習を重ねてきた自分をひたすら信じ舞台にのぞむ。プレッシャーで逃げ出したい気持ちにかられることはあっても、自分で戦っていくと覚悟を決める。

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あえて、伝えない

20代が中心のバレエの世界、吉田の相手役をつとめるダンサーの中には、若手ダンサーも増えてきた。若いダンサーほど苦労するのが表現力だ。特に恋人役では、お互いの息を合わせないと情感が伝わらない。しかし、吉田はあえて細かい表現力について相手のダンサーに伝えることは、しない。技術とは違い、表現力はダンサー1人1人が自分で磨いていくもの。それが踊りに出るからこそ生の舞台で踊り続けていくことは面白いと吉田は考えている。

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プロフェッショナルとは…

私の中でプロフェッショナルといったら、闘い続けられること。言い訳をせず、闘い続けるっていうことですね。

吉田 都

The Professional’s Tools

トゥシューズ

吉田が最もこだわる仕事道具がトゥシューズ。オーダーメイドで作られているが、その日の体調や天候によって1つ1つに違いがある。練習の前には毎回10足近くを試し、最も良い1足を選びぬきリハーサルごとに履き替える。また、シューズはそのまま履くのではなく、中敷きを手でカットするなど、必ず自分の手でくふうし改良する。

*アマチュアの方がシューズの改良をするのは危険です。

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デンタルフロス

トゥシューズにリボンを縫いつけるのには糸ではなくデンタルフロスを使う。デンタルフロスは歯を掃除するための糸で普通の糸よりも強く切れにくいからだ。足がよりきれいに見せられるように、さらに、しっかり足をサポートするため必ず自分の手で縫いつけていく。

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