MITの教授は常に競争にさらされている。実績があっても大きな成果を生み出し続けなければ、生き残れない熾烈(しれつ)な現場だ。その中で石井が最も重視しているのは、研究のオリジナリティ。既にある研究の改良や性能の改善は、決して行わない。誰もやっていない新しい研究を目指し、石井は挑戦を続ける。
MITの教授は常に競争にさらされている。実績があっても大きな成果を生み出し続けなければ、生き残れない熾烈(しれつ)な現場だ。その中で石井が最も重視しているのは、研究のオリジナリティ。既にある研究の改良や性能の改善は、決して行わない。誰もやっていない新しい研究を目指し、石井は挑戦を続ける。
石井の研究は常にオリジナリティにあふれている
ともに研究を行う学生たちと議論をする時、石井は「WHY?(なぜ)」と何度も問う。「なぜ?」という問いは、その研究の根本を問いかける質問だと考えているからだ。
繰り返される問いかけにきちんと答えられなければ、まだそのアイデアは十分に練られていないと石井は判断する。アイデアを磨き、インパクトのある物にするために欠かせない、大切な問いかけだ。
石井は、議論をするとき、何度も何度も同じ問いかけを行う
天才たちが集うコンピューター業界。その中で石井は、自らを特別な人間だとは考えていない。むしろ凡人であると考える。天才たちの中で認められるため、石井は同僚の2倍働き、3倍の成果を出す事を自らに課している。MITメディアラボで最も忙しく働く男、石井はそう呼ばれている。
石井は研究所の誰よりも努力を惜しまない
研究者は自分の考えたアイデアを愛する。しかし、そのアイデアを本物の技術にまで高めるためには、そのアイデアを客観的に見つめる視線が必要だと石井は考える。
そこで、最も大きな壁になるのが「自分自身」だ。自らのアイデアにプライドを持つ研究者たちにとって、弱点を認めるのは難しい事だ。しかし、自らのプライドを捨て、自分に打ち勝つために、石井はあえて厳しい言葉をぶつける。
自分のアイデアを愛するあまり客観的に見られない学生に、石井はあえて厳しく接する
石井のかばんには常に多くの物が入っている。ノートブックのコンピューターや論文などの書類を移動中でも見ることができるようにするためだ。
さらに、石井はコンピューターだけには頼らない。手書きのノートや手帳も常に持ち歩く。
思いついたことをすぐにメモし、絵を描くことができるのは、やはり紙。それが石井がアイデアを生み出す支えになっている。
石井が提唱する「タンジブル」という概念は、「さわれる」という意味を持つ。その研究から生まれたこのテーブル型コンピューターは、パックと呼ばれる丸い駒を実際にテーブルにおいて動かすことで、操作する。この写真のコンピューターはネットワークで問題が起きたとき、どこに問題があるか、どうやって解決すればいいかを複数の人間がテーブルを囲んで議論しながら行うもの。未来のコンピューターの一つの可能性を示すものと評価された。
石井の研究から生まれたテーブル型コンピューター
パックと呼ばれる丸い駒を動かして、コンピューターを操作する