旧ソビエト連邦から独立した直後に、5年にわたる内戦を経験したタジキスタン共和国。国土が荒廃したこの国では、子どもの13人に1人が5歳まで生きられない。死亡する子どもは、年間2万人以上にのぼっている。
杢尾は、言い切る。「こうした状況を変えるのは、大人の仕事」だと。
ユニセフの職員となって11年。杢尾は、コソボなど困難な地域ばかりを回ってきた。こうした紛争の陰で虐げられるのは、いつも子どもたちだった。
「幼い命が犠牲になる前に、一刻も早く手を打ちたい」その思いが、杢尾を仕事に駆り立てる。どうすれば子どもの命と健康を守れるか。多いときには一日8つの会議をはしごし、「一日36時間あっても足りない」と語りながら、杢尾は日々、精力的に働き続けている。