脳動脈瘤(りゅう)は必ず破裂するとは限らないが、ひとたび破裂すれば半数が死にいたると言われている。破裂を未然に防ぐために手術することもできるが、その判断は簡単ではない。手術にも後遺症のリスクがある。手術を受けるかどうか、患者や家族に判断が委ねられるため悩む人が多い。だが上山は、不安を抱えた患者に対して、「大丈夫だ」と言い切る。手術のリスクを説明したうえで、後遺症なく治すことを約束する。手術の結果に責任をもつことで、患者の負担を和らげる。
一方で”言い切る“ことには覚悟がいる。万が一の場合、患者側から訴えられる可能性も否定できない。だが、上山は言う。「患者は人生をかけて医者を信頼する。その信頼に対して医者は何ができるのか。自らもリスクをとって五分と五分の関係を築くこと、それが礼儀だと思う。」