小柳の発想は、とにかく型破りだ。ある日、ロボットに組み込みたい部品があると言い出した。それは、ホームセンターで見つけた「ビット」と呼ばれる電動ドライバーの付属品。この「ビット」に加工を加え、新型ロボットのシャフトとして使おうと考えていた。
小柳いわく、「ビット」は、電動ドライバーの強力な回転に耐えるように設計されているため、自分たちが今使っている部品よりも、強度の面で優れているという。しかも、価格は当初使う予定だった部品の、8分の1。
結局、この部品は、使われることはなかった。しかし、開発のスピードを上げ、コストを下げるためならば、常識にとらわれず、できることを探し続けるこの姿勢。それこそが、ロボット技術者・小柳栄次の大事な流儀である。