店が70年以上続いてきた理由について、「人と人との関係、信頼関係を大切にしてきたこと」と答える徳岡。相手の期待に応え、それを裏切らない態度こそが重要と考える徳岡にとって、料理は「二の次」。 時代の変化に合わせ、お客の心をつかむ料理は、「あえてこだわらない」という姿勢から生まれている。
店が70年以上続いてきた理由について、「人と人との関係、信頼関係を大切にしてきたこと」と答える徳岡。相手の期待に応え、それを裏切らない態度こそが重要と考える徳岡にとって、料理は「二の次」。 時代の変化に合わせ、お客の心をつかむ料理は、「あえてこだわらない」という姿勢から生まれている。
魚も野菜もダメ、肉しか食べないというアメリカ人観光客の予約が入った。徳岡は断ることなく、コース料理すべてを味付けの異なる料理で仕上げた。 「人間の能力が100%とすると、通常80%で仕事をしていると、能力がしぼんでしまうような気がする。だからいつも101、102%の力で仕事をしていれば、いざという時、能力がプッとふくらむような気がする」と語る徳岡。常に全力投球。ピンチの時こそ、成長のチャンスという。
「工夫して心くだくる思いには、花鳥風月、みな料理なり」。徳岡の祖父で、創業者・湯木貞一の言葉。「工夫を凝らして、相手のことを心から想えば、あらゆるものが料理になる」という意味だ。徳岡はこの言葉を胸に、客一人一人に合わせた料理を考え、もてなす。
代々受け継がれてきた店の命ともいえる、伝統のだし汁。昆布、かつお節、塩、しょう油だけで味付けされたシンプルな味わい。しかし、シンプルなだけに「料理人の腕前が一発でわかる」といわれる繊細な味である。
徳岡の真骨頂ともいえる新しい日本料理。鶏スープをベースに、昆布だしや煮詰めた赤ワインで作った特製ソースを温々(ぬくぬく)の温泉たまごと組み合わせた一品。ワインやシャンパンを楽しむお客が増えてきたことを受けて、試行錯誤の末、生まれた料理である。