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第13回 2006年4月27日放送

夫と会社はこう育てる ベンチャー経営者・秋山咲恵


ベンチャーはスピードが命

 秋山咲恵のオフィスは、東京・品川駅前の高層ビル31階にある。社員の数はわずか60人ながら、主力製品である「電子基板の検査機器」で、世界シェア2位を占める。その秘密は、ベンチャー企業ならではのスピード経営にある。営業部門があるオフィスと工場が一体化しており、顧客の要望を、即座に製品に反映させる。「部門の壁」を取り払い、全社一丸となって、厳しいビジネス戦線を生き残ろうというねらいだ。

写真オフィス一体型工場


壁にぶつかって強くなる

 変化の激しいベンチャーの世界では、思いもよらぬ事態がしばしば起こる。年度末決算が迫る中、決まりかけていた大口の商談が突然延期となった。そのため、創業以来初の「減益」となる恐れが出た。増益達成のためには、残り9日間で2億円の売り上げが必要。絶望的な数字だが、秋山は逆に会社を成長させるチャンスと見る。決断の早い中国企業にねらいを絞り、営業マンを上海に派遣。ギリギリの攻防戦の末、増収増益を達成した。「壁に立ち向かえば、たとえはね返されても強くなれる」。秋山の信念だ。

写真秋山は絶対にあきらめない


ただそばにいる

 夫、吉宏と共に会社を起こした秋山。夫は技術部門を統括し、副社長。妻は社長として経営を担う。役割分担は明確だ。その中で培ってきた約束事がある。仕事で悩みを抱えているとき、「自分の問題は自分で解決するしかない」と割り切り、決して互いに口出しをしない。ただ、黙ってそばに寄り添う。それが、夫婦にとって何よりも救いになる。職場でも家庭でも一緒の二人が、これまでの歳月で身につけてきた、「夫婦の流儀」だ。

写真自宅での秋山夫妻


失敗が人を育てる

 会社を成長させるためには、人を育てなければならない。秋山は、大手電機メーカーから転職してきた34歳の営業マンに期待をかけ、工場の品質管理部門を統括するリーダーに抜てきした。しかし、新しい役職をうまくこなせず、客からのクレームが増加。とうとう、営業部門の怒りを買う結果となる。だが、仕事に失敗した社員に、秋山は必ずチャンスを与える。「人は一歩一歩前に進むのではない。三歩進んで二歩下がる。たまの一歩を、大きく踏み出せばいい」。自らも失敗を繰り返してきた秋山が、社員に送るエールだ。

写真社員が育てば会社も育つ


プロフェッショナルとは…

プロフェッショナルとは、自分が信じた道をまっすぐひたむきに歩く人。本当にできるのかと思ったような理想が形になる。それに目指して努力する人が、プロフェッショナルだと思います。

秋山咲恵

The Professional’s Tools

二つの手帳

秋山は、大小二つの手帳を使う。大きい手帳には、ミーティングでの社員の意見などを細かくメモし、新しいプロジェクトを誰に任せるかを考える際の参考としている。小さい手帳には、一年間の大ざっぱなスケジュールを書き込む。仕事が忙しいと、つい目の前の事を片づけることだけに集中しがちだが、年間スケジュールを形にしておけば、本当に優先するべき仕事は何か、見えてくるという。

写真 大小の手帳を使い分ける
写真年間スケジュール


熊のぬいぐるみ

仕事道具ではないが、海外出張にも欠かさず連れて行くのが、熊のぬいぐるみだ。秋山が落ち込んでいたとき、たまたま目が合って購入した。ちょうど手のひらに収まるサイズで、仕事がうまくいかず悩んでいるとき、手に持ってため息を投げかける。「気持ちを切り替えてくれるお守り」だという。

写真年間スケジュール


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