弁護士として30年以上のキャリアを誇る宇都宮。仕事の依頼のほとんどが、多重債務の相談だ。その数、一年間に100件以上。弁護士の中でも、べらぼうに多い。銀座の裏通りに面した事務所には、救いを求める相談者がひっきりなしにやってくる。バブル崩壊後は、病気やリストラ、中小零細企業の場合は事業資金など、生活苦から借金地獄に陥る人々が急増しているが、多重債務者の事件は手間がかかる上に報酬が少ないことから、相談を断る弁護士も少なくない。しかし宇都宮はこの道におけるパイオニア。20年ほど前に問題化したサラ金地獄の時代から、行き場を無くした相談者の盾となり、悪徳金融業者に真正面から立ち向かってきた。