開示等の求めへの対応状況

3.「再検討の求め」への対応状況

個人情報 答申第2号

平成19年3月22日

NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の個人情報諮問第2号に対する意見

1 再検討の求めに至る経緯

本件再検討の求めを行った視聴者(以下「本人」という)から、平成17年12月、まず本人に関する放送受信契約についての開示の求めがあり、NHKは、営業システムの「お客様検索画面」の写しを開示した。開示した「お客様検索画面」には、本人の氏名、住所と、①平成8年8月、衛星カラー契約を締結し、9月分2300円を収納、②平成9年3月、地上カラー契約に変更し、2~3月分2740円を収納、③同年4月以降、未収で、平成18年1月分までの未収額は14万7870円、という放送受信契約に関する本人の履歴が記載されている。

平成18年6月、本人から、これらの本人情報(以下「本件本人情報」という)の取得は、NHK個人情報保護規程(以下「規程」という)第7条(適正な取得)および第8条(取得に際しての利用目的の通知等)に違反する行為であるとして、開示の求めの際の運転免許証のコピーも含めて、本件本人情報の消去の求めが出された。これに対してNHKは、放送受信契約が有効に成立し、本件本人情報の取得が規程第7条に違反したものではないため、消去の求めに応じることはできないと回答した。また運転免許証のコピーは保有していないと回答した。

これに対して本人から、平成18年7月、再検討の求めが出された。

2 本人の主張およびそれに対するNHKの見解の要旨

(1)本人の主張の要旨

平成8年8月および平成9年3月に取得された本件本人情報は、以下の理由で違法・不適正な手段で取得されたものであり、規程第7条および第8条に違反するため、本件本人情報および運転免許証のコピーを消去して再利用できないように処理することを求める。

A.平成8年8月について

  • ① 本人不在時に訪れたNHK職員が、本人の妻に対し「カラー料金をまけておくので払って欲しい」と述べ、妻は渋々、カラー料金1か月分のつもりで支払ったが、徴収された金額は衛星カラー料金1か月分に該当しており、これは詐欺である。また、日本放送協会放送受信規約(以下「放送受信規約」という)第6条(放送受信料の支払方法)によれば、本来、第3期分として8月と9月分を徴収しなければならないのに、9月分のみを徴収したのは、放送受信規約に違反している。
  • ② NHK職員は妻に対し、受信契約書を領収証と偽って署名・押印を求めたが、これは詐欺にあたる。
  • ③ 妻が領収証への署名・押印を拒否したのに、NHK職員が本人の住所、氏名、書き印を記入した。本人はこの領収証を現在も保有しているが、名前を書き間違えており、本人の妻が記入したものではないことは明白である。これは有印私文書偽造・同行使にあたる。
  • ④  本人は妻に放送受信契約を締結する権限を付与していない。

B.平成9年3月について

平成9年3月8日、自宅玄関ドアポストに、本人が当日、衛星から地上への契約変更を行い、NHKに対して平成9年2~3月分の地上カラー料金を支払ったことになっている受信料領収証(担当者印あり)が投函されていたが、これは、以下の根拠から、本人が前述の受信契約を追認したかのごとき誤解を生じさせる偽装工作である。

  • ① 当日は金曜日で、共働きの本人の自宅は無人であり、支払いも契約変更も出来ない。
  • ② 本人は、最初の集金行為があって以降、機会があるごとに集金人に対し、NHKによる違法行為と事実調査を要求しており、NHKに対して追加料金を支払うことは絶対にない。
  • ③ 領収証は、複写文字が消えそうなほど薄く、通常なら書き直しを求めるような状態である。
  • ④ 本人は、平成8年10月以降、平成9年1月までの受信料を払った事実もなく、仮に上記領収証の通りの受信料を支払ったとすると、不足分を免除されたことになり、これは放送受信規約第6条(放送受信料の支払方法)および第10条(放送受信料の免除)に違反する行為である。

C.運転免許証のコピーについて

平成17年12月に個人情報の「開示の求め」を申請した際、申請書類に本人の運転免許証のコピーを同封して郵送しており、NHKにこの運転免許証のコピーが存在しないことは絶対にない。

(2) NHKの見解の要旨

まず、規程は平成17年4月1日からの施行であるため、平成8年8月および平成9年3月の本件本人情報の取得について規程第7条、第8条が適用されることはないが、第7条の趣旨を及ぼして適法かつ適正な手段で取得したかという観点から検討したところ、以下のとおり、本件本人情報の取得が不適法・不適正な手段によって行われたものと認めることは全くできないと考える。

A.平成8年8月について

  • ① 本人は、平成8年8月の放送受信料の支払いの効力については、衛星カラー料金としての支払いか地上カラー料金としての支払いであるかについては争うようであるが、放送受信料の支払いの効力については何ら否定せず、放送受信料として支払ったことおよびその有効性は今日まで認めている。NHKがこの放送受信料の支払いに際し取得した個人情報は、住所、氏名、契約種別(当時は衛星カラー)であるが、これは有効な放送受信料の支払いに伴って取得したものである。なお、9月分のみを領収したことは、放送受信契約の有効性に影響するものではない。
  • ② また、平成8年8月の新規契約の成否やその過程との関係でみても、不適法・不適正な手段で行われたとする本人の主張はその根拠を欠いている。
    本人の妻は地上カラーの1か月分の受信料の領収だけと思ったと本人は主張し、証拠として領収証を提出する。しかし、放送法は受信契約の締結を規定しており、NHKはその営業活動において、視聴者に対し、放送受信契約を申込み、その承諾を得るとともに放送受信料の支払いを求めている。このような放送受信料の徴収の仕組みから、NHKの放送受信契約書は領収証と複写式になっており、領収証とともに契約書の控えを交付している。奇しくも、本人の妻は放送受信料の支払い時に署名を求められたと述べているが、前述の放送受信料の徴収の仕組みおよび契約書と領収証が一体となっていることから当然のことである。本人は自己の主張を裏付けるものとして領収証のみを提出しているが、一緒に交付されたはずの契約書の控えには「放送受信契約書」という表題と、「ご契約・お届けをいただき、ありがとうございました。お申し出の内容により処理させていただきます。」という記述が明記されている。放送受信契約が必要であることは放送法に定められているものであり、また、NHKの日常の営業活動は同法に基づいて放送受信契約の取次と放送受信料の収納の両者を行っているのであるから、本人が領収証だけを保管し提出したからといって、本人の述べるような詐術が契約に関して行われたと認定することはできないのである。
  • ③ 本人は契約書への妻の署名を否認するが、現在、本人の妻によるものか否か確認のしようがない。この署名が仮に契約取次者によるものであるとしても、その場合、契約取次者は、本人の妻からの依頼により署名を代行したものと考えられるので、不適法・不適正なものと認めることはできない。
  • ④ 本人は妻の無権代理を主張するが、放送受信契約の締結は、日常の家事(民法第761条)に含まれるから、妻の代理権が推認され、放送受信契約は有効であると考えられ、不適法・不適正であるということはできない。

B.平成9年3月について

平成9年3月の契約変更時に取得した本件本人情報について、本人は契約変更のみならず支払ったことをも否認し、NHKが追認行為をでっち上げたと主張するが、それを基礎付ける4つの理由は極めて根拠に乏しい。したがって、上記情報の取得についてもNHKの行為に不適法・不適正な点があったと認めることはできない。

  • ① 放送受信契約が変更されたのは、平成9年3月28日(金)であり、その日は、本人または本人の妻が在宅していたと考える他ない。本人が、「当日(3月8日)は金曜日であり共働きの私の自宅は無人である」と主張しているが、3月8日は土曜日であり、契約変更日ではない。
  • ② NHKに対して違法行為と事実調査を要求していたとするが、そのような記録はNHKに存在せず、本人からNHKに契約および契約変更否認の連絡があったのは平成17年12月が初めてである。
  • ③ 領収証の複写文字が薄いことは、NHKの偽装工作を何ら証明するものではない。
  • ④ 未収期間の受信料が免除されたというのは本人の誤解であって免除はしてないのである。

これらの点について、NHKは契約変更を取り次いだ元職員に事情を聴いたところ、10年近く以前のことであってよく覚えていないと答えているが、同職員が偽装するような理由は考えられない。

C.運転免許証のコピーについて

運転免許証のコピーについては、本人は開示の求めの申請書に同封して郵送したと主張しているが、申請書には同封されていなかったので、NHKは保有していない。

3 審議委員会の判断

個人情報の消去の求めについて定めた規程第18条第3項によると、消去の求めを受け付ける要件は「第5条の規定に違反して取り扱われているという理由または第7条の規定に違反して取得されたものであるという理由」とあり、まず、本件本人情報が第5条の規定に違反して取り扱われているかどうかを検討する。利用目的である放送受信契約と受信料収納以外に取り扱われているという事実はなく、第5条違反と見ることはできない。

次に、第7条の規定に違反して取得されたかどうかについて検討する。規程は平成17年4月1日からの施行であるが、本件本人情報の取得は平成8年と9年であり、規程の施行以前であるため、第7条が適用されることはなく、規程第18条第3項の消去の求めの対象とはならない。

なお、規程第18条第2項には「本人から、当該本人が識別される保有個人データについて、その内容が事実ではないという理由によって」内容の削除の求めがあったときは、これを受け付ける、とあり、この条項に該当するか否かについても検討する。平成8年8月の新規契約については、本人からNHKに放送受信料として2300円が支払われたこと、およびNHKがその際に取得した本件本人情報がいずれも事実でないとは認められないため、内容を削除する理由はない。また、平成9年3月の契約変更については、事実関係について本人とNHKの間で見解が異なっているが、本人が主張する事実があったことの根拠となるものはなく、内容を削除する理由はない。

一方、本人が同時に消去を求めている運転免許証のコピーについては、それを提出したと認めることができないので、消去を求める理由がない。

したがって、本件本人情報および運転免許証のコピーの消去の求めに応じなかったNHKの取り扱いは、妥当であると判断する。

4 審議の経過
平成18年 12月14日 (第74回審議委員会) 個人情報・第2号諮問
平成19年 1月11日 (第75回審議委員会) 審議
  1月25日 (第76回審議委員会) 審議
  2月 8日 (第77回審議委員会) 審議
  2月22日 (第78回審議委員会) 審議
  3月 8日 (第79回審議委員会) 審議
  3月22日 (第80回審議委員会) 審議、答申

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