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◆色純度が高い緑色有機ELデバイスの開発に成功
〜有機ELディスプレーの広色域化を目指して〜
(平成29年5月23日)

□ NHKは、スーパーハイビジョン放送に適したフレキシブルディスプレーを実現するため、有機EL*1)デバイスの研究開発を進めています。スーパーハイビジョンは、ハイビジョンよりも表現できる色の範囲が広いことから、ディスプレーでも広い色域の再現が求められます。今回、有機ELディスプレーの表示色域を大幅に拡大することができる、色純度が極めて高い緑色有機ELデバイスを開発しました。

□  光は波長によって色が異なります。光に含まれる波長の分布が広いと、さまざまな色の光が混在していることになり、狭い範囲に集中すれば色の純度が高いことになります。有機ELディスプレーは、優れた応答速度と高いコントラスト比が特徴ですが、赤・緑・青の三原色のうち、波長の違いが色の変化に大きく影響する緑色の有機ELデバイスについては、高色純度化がこれまでの課題でした。

□ 今回、デバイスを構成する材料や構造の研究により、発光波長の半値幅*2)を従来の約70 nmから約20 nmに狭めることができ、有機ELデバイスとしては極めて高い色純度の緑色発光が得られました。本開発の緑色デバイスを用いることで、従来のデバイスを用いた場合に比べ広色域表色系の色域包含率を約25%向上させることができます(赤・青は広色域表色系の色度点を仮定)。

□ 今回の研究成果は、5月25日(木)〜28日(日)に開催する「技研公開2017」で展示するほか、アメリカで開催されるSociety for Information Display, International Symposiumで発表いたします。


*1) 有機エレクトロルミネッセンスの略。ある種の有機化合物を用いた層状の構造体に 電流を流すと発光する現象。

*2) 山形の関数の広がりの程度を示す値。ピークの半分の値の波長の幅。(図1参照)

 
 
 
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