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◆インテグラル立体テレビでVFXによる演出が可能に!
〜 眼鏡なし立体テレビの制作手法が拡大 〜
(平成23年5月24日)
 

○ NHKは、特殊な眼鏡をかけなくても、自然な立体映像が見られるインテグラル立体テレビの開発を進めています。今回、インテグラル立体テレビでも、VFX(Visual Effects)演出を可能にする手法を開発しました。

○ これまで、インテグラル立体テレビの立体映像を制作する場合、専用のカメラ*1で撮影する手法しかありませんでした。そこで、VFXやCGでよく使われている多視点映像*2から作成した3次元モデル*3を、インテグラル立体テレビの立体映像に高速変換する新たな手法を開発し、さまざまな演出を可能にしました。

○ これまでの立体映像の変換は、立体像の画素数(今回は400×250)と縦横異なる視点数(今回は20×20)を組み合わせた映像を作り出す必要があり、膨大な時間がかかり実用的ではありませんでした。今回の手法では、類似する変換処理を一括して行うことにより(図1、2参照)、従来に比べ、約100倍*4高速で制作ができ、高い実用性が実現できました。

○ 今回の開発により、下記の内容が可能となり、今後のインテグラル立体テレビのコンテンツ制作に、新たな可能性が広がります。
 (1)多視点映像から生成した3次元モデルとCGを自由に組み合わせ、インテグラル立体映像を制作することが可能です。
 (2)多視点映像用ハイビジョンカメラが利用でき、インテグラル立体専用カメラでの撮影にくらべ大きな被写体の撮影が可能*5です。

○ 本研究の成果は、5月26日(木)〜29日(日)に開催される放送技術研究所の一般公開でご覧いただけます。


*1 1台のスーパーハイビジョンカメラに、微小レンズを多数配列したレンズアレーを取り付けたものです。
*2 被写体の周りに取り囲むように設置した複数のカメラで、さまざまな方向から撮影した映像です。
*3 被写体の形状と色の情報を持った、3次元の映像データです。
*4 1フレームのデータを作成するのに要する時間は、従来の30分から12.5秒に短縮されました。
*5 インテグラル立体用の専用カメラではレンズアレーなどの大きさに制限のある光学系があるため、現状では、大きな被写体の撮影に適していません。
   
本研究の一部は、(独)情報通信研究機構からの委託研究「革新的三次元映像技術による超臨場感コミュニケーション技術の研究開発」の補助により行われたものであり、東京大学大学院、(株)日立製作所と共同で進めています。



 通常のディスプレイは、被写体のある部分が発する光線の明るさと色を、平面ディスプレイ上の表示画素として表示しています。
 インテグラル立体テレビは、これに加え、視点への光線の向きも再生することにより、立体像を再生しています。インテグラル立体テレビのディスプレイでは、多数の微小レンズを規則正しく配列したレンズアレーを通して見ることにより、縦横異なる複数の視点から見た光線の向きを再生します。
 3次元モデルからインテグラル立体映像を制作するためには、3次元のCGデータから、すべての微小レンズを通過する光線について、縦横異なる複数の視点からの見え方(明るさ、色、向き)を計算して求めます。




 

 
 
 
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