◆3次元音響 22.2マルチチャンネル　ワンポイント・マイクロフォンを開発！！
〜 スーパーハイビジョンの中継制作が効率的に 〜
（平成21年4月20日） 　

○ ＮＨＫは、次世代のテレビ「スーパーハイビジョン（ＳＨＶ）」の音響システムとして、3次元の22.2マルチチャンネル音響^*1）の研究開発を進めています。このたび、22.2マルチチャンネル音響を収音するため、多数のマイクを1箇所にまとめて配置した小型ワンポイント・マイクロフォンを開発しました。この開発により、機動性にすぐれた収音が可能となり、ＳＨＶコンテンツ制作の幅が広がります。

○ 22.2マルチチャンネル音響システムなどの3次元音響システムでは、前後、左右、上下から到来する多方向の音を収音する必要があります。収音には、多数のマイクロフォンを制作現場に配置しなければならず、大がかりな中継制作を必要としていました。これまで改善策として、1箇所で効率的に集音するように、マイクロフォンを放射状に配置したマイクロフォンアレイ（配列）システムを開発してきました。（図2参照）

○ しかし、中継現場の状況によっては、場所の制約等により大型のマイクロフォンが使用できないという問題点があります。また、機動性の高い中継を実現するため、よりコンパクトな機材が求められています。

○ そこで今回、遮音板を用いて1箇所の空間を複数に区切り、それぞれの中に小型マイクロフォンを配置する構造のワンポイント・マイクロフォンを新たに開発しました。コンパクトな構造になっていますが、隣接するマイクロフォン同士の干渉を避け、3次元の音響を収音することが可能になりました。

○ 4月20日から23日の期間、米国ラスベガスで開催される全米放送事業者連盟ＮＡＢ(National Association of Broadcasters)の展示会で公開しています。今回開発した試作機をＮＡＢ会場近くの屋外の中継ポイントに設置し、収音した音をＳＨＶカメラの映像とともに会場内のＳＨＶシアターに伝送して生中継します。

○ 今後、フィールドテストを重ねながら、音響特性の把握と運用性の検討を行い、ＳＨＶの研究開発を進めていきます。

※1） 22.2マルチチャンネル音響
スーパーハイビジョンの音響として開発を進めている3次元音響システム。上層に9チャンネル、中層に10チャンネル、下層に3チャンネルと、三層に配置したスピーカと、2チャンネルの低域効果（LFE, Low Frequency Effects）スピーカにより3次元音響を実現。前後左右とともに上下からの音もきめ細やかに再現できる。SMPTE2036-2-2008として規格化されている。