◆低廉で省スペースな地上デジタル放送用送信アンテナを開発 (平成18年3月6日) ○ NHKは、既設のアナログ放送用の鉄塔に取り付け可能な低廉で省スペースの地上デジタル放送用送信アンテナを開発しました。秋田・大森山デジタルテレビ放送所(親局)に初めて整備し、昨年12月より放送開始しています。 ○ これまで、地上デジタル放送用の送信アンテナを既設鉄塔に取り付ける場合、鉄塔の側面に多面アンテナを設置することが一般的でした。この場合、アナログ放送の電波に干渉を与えないように、既設アンテナより低い位置に設置するため、カバーエリア確保の点で効率的ではなく、また鉄塔補強の規模が大きくなり整備経費が増大するという課題がありました。 ○ 開発した地上デジタル放送用送信アンテナは、既設のアナログ放送用のVHF帯送信アンテナの近傍スペースにUHF帯送信アンテナを設置するUSSS方式*を採用しています。USSS方式は、既設アナログアンテナと同程度の高さに設置できる半面、既設アンテナの指向性へ影響を与えるため、これまでは実現が難しいとされていました。 ○ 今回開発した地上デジタル放送用送信アンテナは、数値解析シミュレーションにより指向性ならびに、既設アンテナからの距離、高さや水平方向の角度を最適化しています。これにより、既設アンテナの指向性に影響を与えないUSSS方式の送信アンテナを実現しました。 ○ 2003年に始まった地上デジタル放送は、2006年末までに全国都道府県の親局で放送を開始します。現在、“全国あまねく“に向けて親局・中継局の建設を進めていますが、開発したUSSS方式の送信アンテナを採用することで、新たな鉄塔建設や大規模な鉄塔補強が不要なため、整備の効率化と経費の大幅なコスト削減が図れます。 ○ NHKは今後も、地上デジタル放送の全国普及のための効率的な送信ネットワーク構築に向け、アンテナ設備をはじめとした放送機器の研究・開発に取り組んでいきます。 ※USSS:UHF antenna installation method Shared Space with VHF Superturnstile antennaの略。VHF帯スーパーターンスタイル送信アンテナの近傍にスペースを共用してUHF帯の送信アンテナを設置する方式。
[写真] USSS方式地上デジタル送信アンテナ外観 (秋田・大森山) [ 表 ] 諸元 (秋田デジタル)
[参考] これまでの既設鉄塔への デジタル放送用多面アンテナ取付例 (仙台デジタル)