◆高効率な地上デジタルテレビ放送用電力増幅器を開発 〜 経済的な地上デジタル中継網の構築へ 〜 (平成18年1月6日) ○ NHKと(株)アールアンドケーは共同で、窒化ガリウム・トランジスタ(GaN-HEMT*1)を用いた地上デジタルテレビ放送用の電力増幅器を開発しました。この電力増幅器は、従来に比べ電力効率が約2倍で、かつ低コスト化を実現しています。 ○ 地上デジタル放送の中継局に利用する電力増幅器は所要CN比を確保するため、アナログ放送に比べて信号歪みを非常に小さくする必要があります。そのため、従来のシリコン・トランジスタを用いた増幅器では、信号歪みを補償するための複雑な回路が必要となり、電力効率は出力5Wの増幅器の場合で3〜5%程度でした。 ○ GaN-HEMTは、高周波特性に優れ、電力効率が高いという特長があり、マイクロ波やミリ波帯にも対応できる高周波電力増幅用デバイスとして期待されているほか、2GHz帯携帯電話基地局増幅器などへの応用も検討されています。 ○ NHKは、このようなGaN-HEMTの性能に着目し、(株)アールアンドケーと共同で、GaN-HEMTを用いた*2地上デジタルテレビ放送用のUHF帯の電力増幅器を初めて開発しました。GaN-HEMTの能力を最大限に引き出すための動作点の最適化を行うことにより、簡易な歪み補償回路を付加するだけで、所要の歪み特性を確保します。その結果、低コストで従来の約2倍(出力5Wで約9%)の電力効率を実現しました。 ○ NHKは今後も、地上デジタル放送の全国展開に向け、デジタル送信機をはじめとした放送機器の研究・開発を進め、経済的な中継ネットワークの構築に取り組んでいきます。
[写真] 試作した電力増幅器の外観