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◆ミリ波MIMO-OFDM伝送技術を開発
〜スタジオ用ハイビジョンカメラをケーブルレスで〜
(平成17年5月12日)


○ スタジオで使用するカメラのケーブルがなくなれば、ケーブルによる制約のない自在なカメラワークが可能となり、演出上の表現の幅をより広げることができます。NHKは、高画質なハイビジョン映像を安定して無線伝送できる「ミリ波モバイルカメラ」の開発を進めています。

○ 今回、放送業務に割り当てられた55GHz帯というミリ波を使用してMIMO-OFDM*1伝送を行う無線伝送装置を開発し、これを搭載した「ミリ波モバイルカメラ」を試作して、実際にスタジオにおいてその動作を確認しました。

○ スタジオ内は、美術セットや出演者の方々の影響で、電波の経路が遮へい されたり、四方を壁面に囲まれ電波が乱反射するなど、無線で伝送するには厳しい環境です。このような環境下でも、複数の受信アンテナとOFDM信号を用いた伝搬路解析技術*2により、電波を継続して受信し、途切れることなく、カメラで撮影したハイビジョン信号を復元できます。

○ ミリ波は、直進性が強く遮へいを受けやすいことから、これまで見通し内での高速伝送用途に限定されていました。今回開発したMIMO伝送技術は、複数の電波を送る際に、これらを干渉なく、また、遮へいや見通し外など電波が弱められる環境においても確実に届けることができるため、壁などを反射する伝搬路も積極的に利用することになります。ミリ波の利用とMIMO伝送を統合した技術の実現は、世界で初めてです。

○ この装置は、平成17年5月26日から29日に開催する放送技術研究所の一般公開で展示します。

*1  MIMO-OFDM : multiple-input multiple-output orthogonal frequency division multiplexing の略。伝搬路の入口と出口を指して送信アンテナを入力、受信アンテナを 出力と捉えることにより、複数の送受信アンテナ間の伝搬による無線伝送を多入力多出力(MIMO)伝送と言います。MIMO-OFDM伝送は、MIMO伝送をOFDM方式の信号を用いて行います。
*2  伝搬路解析技術 : 系統ごとに固有な符号を割り当てたパイロット信号をデータと ともに送信し、受信側で混信した信号の中からパイロット信号を解析する技術です。得られた解析結果により、2系統の送信信号が混信した状態から、互いの干渉を除去 して各々の信号を復調できます。




図1 MIMO-OFDM方式を用いた「ミリ波モバイルカメラ」伝送システム


図2 55GHz帯MIMO-OFDM無線伝送装置を搭載したミリ波モバイルカメラ

 
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