NHK INFORMATION
技術情報

  収録機能付きハイビジョンワイヤレスカメラを開発
〜常に安定した映像をお届けできるように〜
(平成16年11月8日)

○ NHKは、メモリーカードによる収録機能を搭載したハイビジョンワイヤレスカメラ*1を開発しました。

○ ハイビジョンワイヤレスカメラは電波の乱れに強いOFDM伝送*2方式を採用しています。人ごみの中やトンネル、ビルの中など送信と受信のアンテナが見通し外になる環境でもカメラマン一人だけで撮影し、同時に無線伝送することが可能です。しかし、距離が長く、カメラからの電波が届かない場合には伝送できませんでした。

○ 今回開発した収録機能付きハイビジョンワイヤレスカメラは、これまで通りカメラで撮影したMPEG2−TS*3信号をOFDM伝送することに加え、毎秒24メガビットという伝送速度でメモリーカードの一つであるコンパクトフラッシュに同時に収録することが可能となりました。

○ 撮影・無線伝送と同時に収録することで、電波の届かない場所で取材した映像を後から再生したり、電波が届く場所で再伝送することが可能となります。緊急報道などで決定的瞬間の映像を常に視聴者の皆様にお届けできるようになりました。

○ 今後は、ハイビジョンの取材や中継をよりコンパクトな体制で実施することを目指し、今回開発した収録機能付きハイビジョンワイヤレスカメラの他にも、さまざまな機器の研究・開発に取り組んでいきます。

※1 デジタルハイビジョンワイヤレスカメラ : NHKと(株)NHKテクニカルサービスが池上通信機(株)の協力を得て開発したものです。
※2 OFDM方式 : 直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)で、地上デジタル放送に用いられるなど、ゴーストや移動伝送に強い広帯域伝送用多重方式。
※3 MPEG2-TS : MPEG2(国際的に標準化された情報源符号化方式)で圧縮された映像・音声などのデータを188バイトの固定長に分割した伝送フォーマットのこと。BSデジタル、CSデジタル、地上波デジタル放送など、多くのデジタル放送システムで用いられている。

収録機能付きハイビジョンワイヤレスカメラの諸元
大きさ 148W×270H×708D(mm) (レンズ、バッテリー込み)
重量 10kg (レンズ、バッテリー込み)
消費電力 86.5W (LBP-90にて約60分)
変調方式 QAM*1-OFDM  (ARIB STD-B33準拠)
送信周波数 6435MHz〜7116MHzMHz (C,Dバンドの指定の1波)
送信出力 50mW
伝送距離 800m (見通し内)
伝送速度
(bit/s)
59.648Mbit/s (64QAM 5/6)
44.736Mbit/s (32QAM 4/5)
29.824Mbit/s (32QAM 1/2)
23.859Mbit/s (16QAM 1/2) 収録再生時
収録再生部 ビットレート  23.859Mbit/s
フォーマット  MPEG2-TS
収録時間   1Gbyteあたり5分

※1 QAM方式 : 直交振幅変調方式(Quadrature Amplitude Modulation)で、長距離のデジタルマイクロ信号伝送に広く使われる方式。周波数を効率的に運用できる。


【写真1】 収録機能付きハイビジョンワイヤレスカメラ




【写真2】 コンパクトフラッシュ格納部



技術情報一覧
Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます