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技術情報

  周波数100kHz までをカバーする
世界初の高音質 超広帯域マイクロホンを開発
(平成16年9月14日)

○ NHKは、三研マイクロホン(株)と共同で、周波数100KHzまで高音質で収音可能な超広帯域マイクロホンを世界で初めて開発しました。このマイクロホンにより、192KHzサンプリングやDSD*1フォーマットなどの音声信号に必要な、高音質で広い周波数帯域に対応した収音が可能となります。

  ※1 DSD(Direct Stream Digital) : 広帯域音声を直接1bitデータに変換する方式
○ 従来、100KHzまでカバーするマイクロホンは、測定など特殊用途に用いる小さい振動膜で構成されたマイクロホンに限られており、高音質に収音するために必要な高い感度とS/N比を得ることができませんでした。

○ 今回開発したマイクロホンは、高い張力の振動膜や音の回折効果*2を利用した新しい設計手法の導入により、従来よりも大きい振動膜の使用が可能になりました。さらに、新設計の増幅回路を導入し、高い感度とS/N比および広い周波数特性の両立を実現しました。

  ※2 主に、波長が振動膜の大きさと一致する周波数の感度が上昇する現象。例えば、振動膜の大きさが3.4mmの場合、
100KHz( = 音速 ÷ 3.4mm)の感度が上昇することになる
○ 今回開発した振動膜は、高剛性素材に高い張力を加えたまま、金属をスパッタ*3することにより作成しました。

  ※3 真空を利用した薄膜作成方法のひとつで、放電により加速したガスイオンで原子、分子をたたき出し堆積させることにより薄膜を作成する方法
○ このマイクロホンは、DVDオーディオやスーパーオーディオCDなどの録音への使用とともに、超広帯域音声信号による高臨場感オーディオの研究に活用していく予定です。


開発した超広帯域マイクロホンの仕様
トランスデューサー DCバイアス・コンデンサーマイクロホン
指向性 全指向性
感度(0dB=1V/1Pa、1kHz) 25dB±2dB (56.2mV)
周波数特性 20Hz - 100kHz
出力インピーダンス 150Ω
入力換算ノイズレベル 19dB(A)
最大入力音圧(1kHz、THD1%) 125dB SPL以上
電源 ファントムDC48±2V
消費電流 6mA以下
質量 150g
振動膜素材 東レ(株)提供による厚さ1.8μmのアラミドフィルム


開発した超広帯域マイクロホンの写真



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