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技術情報

  ◆世界初 デジタルハイビジョン ワイヤレスカメラシステムを開発
(平成15年11月13日)


○ NHKと(株)NHKテクニカルサービスは、このほど池上通信機(株)の協力を得て、OFDM伝送方式を用いたデジタルハイビジョンワイヤレスカメラシステムを開発しました。 ○ 従来のアナログ変調方式のハイビジョンワイヤレスカメラは、機械的に指向性アンテナの方向を制御するため、装置が大きくなり、カメラマン以外にもアンテナ操作をする人が必要でした。また、電波の乱れに弱いため、カメラの位置に応じて受信側でも方向調整を行う必要がありました。

○ 今回開発したデジタルハイビジョンワイヤレスカメラは、電波の乱れに強いOFDM伝送方式を採用しています。送・受信アンテナの方向調整が不要な上、反射波も有効に活用できるため、人ごみの中、トンネル、ビルの中など送・受信アンテナが見通し外になってしまうような環境でもカメラマンのみで伝送することが可能になりました。

○ このデジタルハイビジョンワイヤレスカメラは、ハイビジョン素材伝送に必要な1秒間に24〜60メガビットという極めて大きな伝送容量を、チャンネル帯域幅18MHzの中で送ることが可能です。このため、これまでのハイビジョンデジタルFPUと同じマイクロ波帯のチャンネルを使用できます。

○ 今後、ハイビジョン放送を一層充実させるため、このデジタルハイビジョンワイヤレスカメラを積極的に活用していく予定です。

デジタルハイビジョンワイヤレスカメラシステムの諸元
大きさ 115W×170H×708D(レンズ、バッテリー込み)
重量 10kg(レンズ、バッテリー込み)
消費電力 80W(LBP-90にて約60分)
変調方式 QAM-OFDM*1(ARIB STD-B33準拠)
送信周波数 6435MHz〜7116MHzMHz(C,D chの指定の1波)
送信出力 50mW
伝送距離 800m(見通し内)
伝送速度(bit/s) 59.648Mbit/s(64QAM 5/6)
44.736Mbit/s(32QAM 4/5)
29.824Mbit/s(32QAM 1/2)
23.859Mbit/s(16QAM 1/2)
リターン伝送部 2.4GHz Spred-Spectrum使用
インカム、カメラ制御、受信BER表示用
 
*1 QAM方式:直交振幅変調方式(Quadrature Amplitude Modulation)で、長距離のデジタルマイクロ信号伝送に広く使われる方式。周波数を効率的に運用できる。
 
OFDM方式:直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)で、地上デジタル放送に用いられるなど、ゴーストや移動伝送に強い広帯域伝送用多重方式。

【写真1】 デジタルハイビジョンワイヤレスカメラシステム
【写真1】 デジタルハイビジョンワイヤレスカメラシステム
 
【写真2】 受信機 【写真3】 リターン伝送部
【写真2】 受信機 【写真3】
リターン伝送部














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