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技術情報

  ◆超高速度高感度カラーカメラの開発
〜ナイトゲーム中継での超高速度撮影が初めて可能に〜
(平成15年4月30日)


○ NHKは、近畿大学、(株)島津製作所、(株)日立国際電気と共同で、特殊なCCD(撮像デバイス)を用いて、肉眼ではとらえられない一瞬の現象を通常の照明で鮮明に撮影できる高感度な超高速度3板式カラーカメラの開発に成功しました。

○ 通常のCCDでは動作速度を高めることが困難なことから、従来の高速度カメラには、信号の高速読み出しが可能なCMOS*1型撮像デバイスが使用されています。しかしCMOS型では感度が不十分なため、露光時間が短くなる超高速度撮影時には非常に強い照明を当てなければならないという問題がありました。

○ このため今回開発したカメラには、超高速度動作が可能で感度にも優れた特殊なCCDを用いました。このCCDは、各画素の光電変換部であるフォトダイオード*2に映像を記録するメモリーが直結した構造となっているため、超高速度撮影に対応できます。また、CCDの持つ低ノイズ性という特長に加えて、フォトダイオードの面積が大きく設計されているため高い感度が得られます。

○ 従来よりも約10倍の感度が得られるため、照明に制約のあるナイトゲームなどにおいても数千枚/秒の超高速度撮影が可能となり、野球中継ではバットがボールに当たる瞬間などを鮮明な映像としてとらえることができます。

○ このカメラは最速時には100万枚/秒での撮影が可能なため、サイエンス番組などにも利用することができます。今後、画素数を増やすなど画質の向上に向けて、さらに開発を進める予定です。

*1: CMOS:Complementary Metal-Oxide Semiconductor
   :相補型金属酸化膜半導体
*2: フォトダイオード:光を電気信号に変換する部分



カメラ外観写真

カメラ外観写真


  カメラ仕様
撮像方式
3板特殊CCD
画素数
8万画素
最大撮影速度
100万枚/秒
感度
ISO 2000相当



超高速度CCDの概念図
超高速度CCDの概念図
フォトダイオードに溜まった電荷は、画素ごとにフォトダイオードに直結したメモリーに転送されます。超高速でメモリーに書き込んだ信号は、あとでゆっくり映像信号として取り出します。











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