NHK INFORMATION
平成14年度収支予算、事業計画及び資金計画に関する説明資料


  III 平成14年度 収支予算及び事業計画付属説明資料


〔国内放送関係〕

3.平成14年度  国内放送番組編集の基本計画


<編集の基本方針>

 21世紀を迎えた世界は、多くの課題を抱えています。米同時多発テロ事件の波紋は、政治や経済、文化などさまざまな面におよび、未来への不安を感じさせています。日本もまた、長い経済の混迷から脱却する道を懸命に模索しています。

 平成14年度、NHKは、激動する世界や不況に直面する日本の課題に全力で取り組む中で、「民族」「宗教」「経済」「環境」など現代の文明が抱える諸問題を視聴者とともに多角的に考えていきます。21世紀を生きる子どもたちの健全な成長を手助けする番組にも力を注ぎます。
 また、国民の生命財産を守る災害報道に努めるとともに、公正で的確な情報を迅速に提供し、視聴者の信頼に応えます。

 平成15年2月、NHKはテレビ放送開始50周年の節目を迎えます。この半世紀の間、テレビは、暮らしに役立つ情報を提供する一方で、時代の移り変わりを見つめ、人々に感動を伝えてきました。
 デジタル放送時代を迎えたいま、NHKはハイビジョンの高画質やデータ放送などの特性を生かしてデジタル放送の普及と「新たな放送文化の創造」に努めるとともに、「社会に貢献する放送」を推進します。

 平成14年度国内放送番組の編集にあたっては、地上波・衛星波・音声波それぞれの役割を明確にしながら、幅広い視聴者に向けて、質の高い多様なサービスを提供し、存在感のある公共放送を実現します。


<編集の重点事項>

(1) 視聴者の信頼に応えるニュース・情報番組の充実

 公共放送の基幹サービスであるニュース・情報番組は、緊迫する内外の動きを、全国各局、海外総支局のネットワークを生かしていち早く、正確に、わかりやすく伝えます。米同時多発テロや、日本社会の構造改革など視聴者の関心が高まる中で、国際情報や政治・経済・社会など、多様な問題の背景を深く掘り下げ、信頼と期待に応えます。
 地震、台風などの災害報道や事件・事故に対する緊急報道、選挙放送にあたっては、総合テレビをはじめ、衛星波、音声波やデータ放送などで、それぞれの特性を生かした適切な情報を迅速・的確に提供します。


(2) 21世紀の諸課題を文明の視点から考える大型企画

 豊かさを追求する先進国と貧困にあえぐ途上国の相互不信、そこに宗教・民族の問題が複雑にからみ、21世紀に踏み出した世界は混迷を深めています。現在の対立はどのようにして生まれたのか、世界はこれからどこへ向かおうとしているのか、「NHKスペシャル」は、2002年から2003年にかけて、混迷する世界をさまざまな視点で考えるシリーズを編成します。
 また、地球環境や食料問題など、世界が直面する課題を継続的に取り上げるとともに、日本社会が抱える政治、経済、教育などの諸課題を考える大型企画の制作に力を注ぎます。


(3) 未来を担う子どもたちのための番組の充実

 21世紀の担い手である子どもたちの健全な育成に向けた番組を編成します。
 公立小・中学校の完全週5日制に対応し、教育テレビの土曜午前を子どもたちに向けた番組の時間帯として刷新するとともに、ラジオ第1放送にも子どもたちの質問に答える番組を新設します。あわせて、デジタル教材を活用した番組や本格的に導入される「総合的な学習の時間」に向けた番組など、学校放送番組をいっそう強化します。
 また、「ABU(アジア太平洋放送連合)東京総会」の開催に伴い、アジアの子どもたちの教育現場を紹介する番組を、ABU各放送局と連携して制作するなど、アジアの教育番組の向上に貢献していきます。
 「NHKスペシャル」でも、子どもが社会の中で成長する姿を通して、生命の輝きと尊厳を視聴者とともに考えるシリーズ企画を制作します。


(4) 衛星・ハイビジョン放送の充実・強化

 BSデジタル開局2年目を迎え、衛星波は地上波との差異感と各波の個性を際立たせ、より受益感のあるサービスを展開します。
 デジタルハイビジョンは、スペシャル番組やスポーツ中継など高画質・高音質の特性を生かした番組を強化するとともに、データ放送も活用し、魅力的な放送をめざします。
 衛星第1テレビは、スポーツを充実するとともに、ニュース・ドキュメンタリーを通して、世界と日本のできごとをいち早く、的確に伝えます。
 衛星第2テレビは、「すぐれた娯楽や芸術・文化を紹介する波」としての役割をいっそう明確にします。
 また、地上デジタル時代に向けて、ニュース、番組のハイビジョン化も引き続き推進します。


(5) 幅広い視聴者に親しまれる定時番組の開発

 総合テレビ・平日午後11時台を刷新し、楽しく心ときめく連続ドラマと個性豊かで多彩な番組を編成して、この時間帯の中心的視聴者層である30代、40代の視聴者もくつろいで見られる時間帯とします。
 また、土曜午前に暮らしに役立つ身近な経済番組を新設し、NHK大阪ホールを拠点にした公開番組を平日夜間に編成するなど、幅広い視聴者に親しまれる定時番組を始めます。


(6) 地域放送サービスの充実

 地域放送サービスは、総合テレビ午後5・6時台の連続する2時間を中心に、地域に向けたきめ細かな情報をさらに充実して地上デジタル時代に備えます。また、地域の課題と向き合い、文化の継承や創造に役立つ放送を積極的に行います。
 全国向け放送は、全国各地の元気な百歳を紹介する番組を総合テレビに新設するほか、衛星第2テレビの平日夜間に地域局制作の番組を放送する時間帯を新設します。また、ラジオ第1放送でも全国のコミュニティーFM局と連携して地域情報を伝えるなど、各波で多彩な番組を提供します。


(7) 障害者や高齢者などに向けた放送サービスの充実

 障害者や高齢者向けサービスは、デジタル技術や新しい技術システムを生かした字幕放送や解説放送、2か国語放送など、“人にやさしい放送”の充実をめざし、多様なサービスの拡充を行います。
 字幕放送は、平成13年度後半期から始めた夜間7時、9時のニュースの全面字幕化に加え、新しい技術を生かしてスポーツなど生放送番組の字幕化を積極的に進めます。
 在日外国人向けの新たなサービスとして「スペイン語ニュース」をラジオ第2放送で始めます。
 また、障害をもつ子どもたちに向け、学校放送番組の解説放送を拡充します。デジタル放送でも、その特性を生かし、ドラマなどでの解説放送の充実に努めます。


(8) 2002年ワールドカップサッカー放送の実施

 日韓同時開催となる2002年ワールドカップサッカー(平成14年5月31日〜6月30日)にあたっては、視聴者の期待に応え、総合テレビやデジタルハイビジョン、ラジオ第1放送、データ放送でそれぞれの特性を生かして伝えるとともに、日本と韓国の交流や韓国の今を紹介する関連番組を編成します。


(9) 「2003年テレビ新時代〜テレビ放送開始50周年〜」の実施

 2003年(平成15年)2月1日、テレビは放送開始50周年を迎えます。この大きな節目に、これからのテレビの可能性を拓く多彩な番組と事業を展開し、公共放送NHKの未来を訴えていきます。また、「NHKアーカイブス」運用開始に伴い、半世紀の蓄積の中から精選した番組を放送します。


 以上の重点項目の実施に向けて、創造的かつ効率的な取材・制作体制を構築し、21世紀のデジタル時代にふさわしい業務体制を整備します。


4.番組制作経費の具体例(13年度)
(単位 千円)
番 組 名 1本あたり制作経費
NHKニュース7 (  30分) 2,705
英会話 (  20分)  921
ためしてガッテン (  43分) 10,830
連続テレビ小説・ほんまもん (  15分) 3,731
大河ドラマ・利家とまつ (  45分) 35,981


5.障害者や高齢者に向けた放送サービス

区  分
1週間あたりの放送時間(再放送を含む)
主な番組
平成14年度
平成13年度
増  減
字幕放送
112時間32分
80時間16分
32時間16分
「NHKニュース7」、「NHKニュース9」、「大河ドラマ」 等
解説放送
22時間49分
17時間34分
5時間15分
「連続テレビ小説」、「きょうの健康」、学校放送番組の一部 等
手話放送
3時間35分
3時間35分
0時間00分
「NHK手話ニュース」、「こども手話ウイークリー」、「NHKみんなの手話」 等


6. 平成14年度 放送番組補完インターネット利用計画

 平成14年度、NHKでは、放送を補完する観点から、インターネットのホームページ(//www.nhk.or.jp)を利用して、放送番組の二次利用による情報や放送番組の関連情報を提供していきます。
 本利用計画は、このような放送番組の二次利用や番組関連情報の提供によるインターネットの利用(放送番組補完インターネット利用)について、その分野、態様、規模を定めるものです。

(1) 分野

ア.放送番組の二次利用
ニュース・気象情報の提供
 
BSデータ放送の「ニュース」を二次利用した文字情報の提供及び、これに関係した動画・音声情報(テレビジョン放送の「ニュース」映像の二次利用)の提供
 
テレビジョン放送の「気象情報」の番組映像を二次利用した静止画の提供
 
ラジオ国際放送の「日本語ニュース」を二次利用した音声情報の提供
 
 
学校放送番組の提供
 
小学校向け学校放送番組映像を二次利用した動画・音声情報の提供(番組名:総合的な学習の時間向け番組「おこめ」、同「川」、社会科番組「にんげん日本史」、理科番組「ふしぎいっぱい」、同「びっくりか」)
 
 
福祉情報番組の提供
 
福祉情報番組の字幕付き映像を二次利用した動画・音声・文字情報の提供(番組名:「きらっといきる」)
     
スポーツ中継時の得点情報等の提供
 
国際競技大会等のスポーツ中継に際して、BSデータ放送の「リアルタイム得点表示」等を二次利用した文字情報の提供(番組名:「ワールドカップサッカー」中継、「高校野球」中継など)
     
イ.関連情報の提供
 平成14年度は、教育、福祉、医療、生活の4分野について提供し、これらの分野の放送番組をよりよく理解するのに役立てます。
     
教育分野
小学校向け学校放送番組を補完し、学習効果を高めるのに役立つ情報の提供(番組名:総合的な学習の時間向け番組「おこめ」、同「川」、社会科番組「にんげん日本史」、理科番組「ふしぎいっぱい」、同「びっくりか」)
   
福祉分野
福祉情報番組を補完し、障害者に役立つとともに、障害者への理解を深めるのに役立つ情報の提供(番組名:「きらっといきる」、「にんげんゆうゆう」、「みんなの手話」、「ワンポイント介護」、「ワンポイント手話」)
   
医療分野
健康情報番組を補完し、健康増進に役立つ情報の提供(番組名:「きょうの健康」、「元気一番 健康道場」、「サタデー健康ほっとライン」、「めざせ健康家族」)
   
生活分野
生活情報番組を補完し、生活を豊かにするのに役立つ情報の提供(番組名:「今夜もあなたのパートナー」)


(2) 態様

 各番組のホームページにより提供します。
 提供期間については、放送番組(シリーズ物の場合は、シリーズの最終放送番組)の終了から最長1週間程度とします。
 なお、ニュース情報の提供期間は、掲載時から、最長48時間の予定です。また、携帯端末からのアクセスについては、従来より容易にアクセスでき、見やすくなるようにし ます。


(3) 規模

 平成14年度において以上の放送番組の二次利用、関連情報の提供のために要する経費は、6億円です。


(4) その他

 この利用計画の実施に際しては、視聴者の意向、要望を随時調査します。視聴者の意向、要望等を踏まえ、特集番組、年度後半の番組の新設などに際し、二次利用、関連情報(上記4分野)の提供を行う番組を見直すことがあります。


 なお、NHKは、これまで、インターネットのホームページを利用して、放送番組の周知、視聴者からの番組に対する要望・投稿の受付、予算・決算・業務報告書等の情報公開、受信契約に関する受付等を行ってきました。また、国民の生命・財産の安全確保や民主主義の健全な発達の観点から国民に必要な情報として、災害情報、選挙情報等を提供してきました。
 これらについては、国際情報発信を含め、平成14年度も引き続き積極的に提供していきます。



7. NHK交響楽団、日本放送協会学園等に対する助成
(単位 千円)
団体名
14年度助成額
事業内容
NHK交響楽団
1,285,000
 我が国の音楽芸術の向上発展を目的として、音楽番組の充実を図るため、公開演奏(定期公演、地方公演)等演奏活動を積極的に行い、テレビジョン、ラジオを通じて放送を行うほか、外国人指揮者の招へい等を行い、技術の向上に努める。
日本放送協会学園
300,000
 教育基本法及び学校教育法に従い、広く全国の中学校卒業者に対し、日本放送協会の放送を利用して通信による高等学校普通教育を行い、高等学校通信教育の充実と放送利用形態の確立に資する。
NHK厚生文化事業団
100,000
 社会福祉の増進を目的として、社会福祉関係放送番組の制作協力と身体障害者の番組利用のためのテープ・ビデオライブラリーの運営を行うとともに、身体障害者、知的障害者に対する社会福祉事業等を行う。
 
 金額については、単位未満の端数を切り捨てて表示している。



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