NHK INFORMATION
平成14年度収支予算、事業計画及び資金計画


 

平成14年度事業計画




1 計画概説

 世界が激動し、先行きの不透明な状況が続く中で、正確で信頼できる情報の重要性が高まっている。
 このような状況のもと、平成14年度の日本放送協会の事業運営にあたっては、公共放送の使命に徹し、視聴者の要望にこたえ、公正で迅速な報道や多様で質の高い番組の放送を行うとともに、新しい放送技術の研究開発等に積極的に取り組む。
 また、衛星デジタル放送の普及促進や地上デジタル放送の開始に向けた設備の整備を行うなど、新たな時代の放送文化の創造を目指す。
 あわせて、協会の主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、業務全般にわたる改革を一層推進し、効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に理解され、かつ、信頼される公共放送を実現していく。

(1) テレビジョン、ラジオ放送とも全国あまねく受信できるよう、中波放送局、FM放送局の建設及びテレビジョン放送局の建設調査を行うとともに、緊急報道機能の確保のための設備の整備及び地上デジタル放送の開始に向けた設備の整備等を行う。

(2) 放送番組については、緊急報道に備えて取材体制を一層強化し、公正で的確かつ迅速なニュース・情報番組の充実を図るとともに、人々の共感を呼ぶ多様で質の高い番組の放送に努める。さらに、地域に密着した放送サービス及び障害者や高齢者に向けた放送サービスの充実を図る。
 また、2002年ワールドカップサッカーの放送番組を特別編成するほか、テレビジョン放送開始50周年関連の番組と事業を実施する。

(3) 国際間の相互理解と国際交流に貢献するとともに、海外の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、テレビジョン国際放送及びラジオ国際放送の充実を図る。

(4) 受信料負担の公平を期するため、受信料制度に対する理解促進を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努める。

(5) 協会に対する視聴者の理解と信頼を一層深めるため、広報活動を積極的に推進するとともに、視聴者の意向の把握と業務への反映に努める。また、情報公開に積極的に取り組む。

(6) 調査研究については、デジタル放送技術など新しい放送技術の研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究の積極的推進により、その成果を放送に生かし、また、広く一般に公開して、我が国の放送文化の発展に資する。

(7) 経営管理については、業務の効率的な運営を一層積極的に推進して、能率の向上を図る。また、給与については、適正な水準の維持を図る。

(8) 協会の委託により受信料の徴収に関する業務を行う法人に対 し、出資を行う。

(9) 放送法第9条第3項に基づき実施する会館施設等の一般供用、賃貸及び放送番組の受託制作等については、協会業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において実施する。

(10) 地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策を実施する。



2 建設計画

 建設計画については、新放送施設の整備に228億2,200万円、テレビジョン、ラジオ放送網の整備に117億3,000万円、演奏所の整備に37億3,000万円、放送番組設備の整備に287億6,400万円、研究設備の整備等に113億5,400万円、総額784億円をもって施行する。

(1) 新放送施設整備計画
 地上デジタル放送の開始に向けた設備を整備するとともに、衛星放送設備の整備を行う。
 これらに要する経費は、228億2,200万円である。

(2) テレビジョン放送網整備計画
 外国電波混信等による難視聴の解消を図るため、テレビジョン放送局の建設調査を行う。また、県域放送のためのテレビジョン放送網の整備に向けた調査を行うとともに、老朽の著しいテレビジョン放送設備の更新等を行う。
 これらに要する経費は、78億1,500万円である。

(3) ラジオ放送網整備計画
 外国電波による混信等の受信状況を改善するため、中波放送局及びFM放送局を建設する。また、老朽の著しいラジオ放送設備の更新等を行う。
 これらに要する経費は、39億1,500万円である。

(4) 演奏所整備計画
 放送会館については、北九州放送会館の建設を継続するとともに、岡山放送会館の建設に着工する。また、神戸、山口、福島、沖縄及び徳島の放送会館を整備するための諸準備等を行う。
 これらに要する経費は、37億3,000万円である。

(5) 放送番組設備整備計画
 非常災害時における緊急報道機能の確保等を図るため、ニュース・番組の制作送出設備を整備するとともに、ハイビジョン放送充実のための設備の整備を行う。また、地域放送の充実のための設備を整備するほか、老朽の著しい放送番組設備の更新等を行う。
 これらに要する経費は、287億6,400万円である。

(6) 研究施設、一般施設整備計画
 新しい放送技術の開発のための研究設備の整備を行う。また、NHKアーカイブスの建設を完了するほか、宿舎等の整備を行う。
 これらに要する経費は、81億円である。

(7) 建設管理
 建設計画の施行に共通して要する経費は、32億5,400万円である。



3 事業運営計画

(1) 国内放送
ア テレビジョン放送については、総合放送は、1日24時間を基本とした放送時間とし、災害など緊急時の放送に万全を期するとともに、基幹的な総合波として国民生活に不可欠なニュース・情報番組、文化・教養番組及び娯楽番組等の調和ある編成を行う。
 番組内容については、ニュース・情報番組の充実を図り、内外の諸情勢を正確にわかりやすく伝える。あわせて、21世紀の諸課題を考える大型企画番組を積極的に編成するとともに、幅広い視聴者に親しまれる多彩な番組の充実を図る。
 教育放送は、1日24時間を基本とした放送時間とし、未来を担う子供たちの健全な育成に向けて幼児・子供番組や学校放送番組を強化するとともに、教養番組、福祉番組及び生活実用番組等の充実を図る。
 衛星放送については、デジタルハイビジョン放送は、1日24時間を基本とした放送時間とし、ニュース、スポーツをはじめ芸術・文化、自然・紀行等の多彩な分野で、高画質・高音質のハイビジョンの魅力を発揮した番組を一層充実し、その普及促進を図る。衛星第1テレビジョンは、1日24時間を基本とした放送時間とし、世界と日本の出来事をいち早く的確に伝えるニュース・情報番組や視聴者の関心の高い内外のスポーツ番組を中心とした編成を行う。衛星第2テレビジョンは、1日24時間を基本とした放送時間とし、難視聴解消を目的とする放送を行うとともに、視聴者参加番組や地域に密着した番組の充実を図るなど、娯楽番組や芸術・文化番組を中心とした編成を行う。
 ハイビジョン放送においては、デジタルハイビジョン放送と同じ内容の番組を同時に放送する。また、デジタル衛星第1テレビジョン及びデジタル衛星第2テレビジョンにおいては、それぞれ衛星第1テレビジョン及び衛星第2テレビジョンと同じ内容の番組を同時に放送する。
 ラジオ放送については、第1放送は、1日24時間を基本とした放送時間とし、ニュース・生活情報を中心に多様な情報をきめ細かく提供するとともに、災害など緊急報道に的確かつ迅速に対応するため柔軟な編成を行う。第2放送は、1日20時間を基本とした放送時間とし、語学講座番組や教養番組等の生涯学習番組の一層の充実を図るとともに、外国語によるニュースを拡充して在日外国人向けサービスを強化する。FM放送は、1日24時間を基本とした放送時間とし、高音質の特性を生かし て、クラシック音楽をはじめ多様な分野の音楽番組を中心に編成する。
 地域放送については、それぞれの地域に密着したきめ細かなニュースや生活情報の提供と地域の課題に取り組む番組の充実に努める。放送時間は、総合放送で1日2時間30分、第1放送で1日2時間30分、FM放送で1日1時間50分を基本とする。また、地域から全国への情報発信を積極的に推進する。
 補完放送については、テレビジョン文字放送及びFM文字放送を行うとともに、衛星デジタル放送において、データ放送を行う。また、テレビジョン放送の一部の番組について、字幕放送、ステレオ放送、2か国語放送及び解説放送を行う。テレビジョン文字放送及びFM文字放送においては、ニュース等の各種情報を提供する。データ放送においては、ニュース・気象情報や番組と連動した情報の提供などデジタル放送の特性を生かしたサービスを行う。字幕放送においては、生放送番組の字幕化を拡充するなど聴覚障害者向けの放送を行い、解説放送においては、視覚障害者向けの放送を行う。
 海外への番組提供については、日本から世界に向けた映像情報の発信とともに、海外の日本人への情報提供を行う。
 放送番組の利用については、番組の効果的な編成にあわせ、学校教育の場や生涯学習活動への利用促進を図る。
 これらに要する経費は、番組制作に2,005億4,074万4千円、番組の編成企画等に153億6,028万2千円で、総額2,159億102万6千円である。

イ 放送施設の運用維持については、良好な電波送信の安定確保に努めるとともに、設備の増加に対処し、効率的な保守運用を図る。
 これらに要する経費は、647億4,050万2千円である。
 以上により、国内放送費総額は、2,806億4,152万8千円とな り、前年度2,753億4,928万9千円に対して、52億9,223万9千円の増額となる。

(2) 国際放送
 日本の実情を的確かつ迅速に諸外国へ伝え、国際間の相互理解と諸外国との経済・文化交流の一層の促進に貢献するとともに、海外の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、テレビジョン国際放送及びラジオ国際放送を実施する。
 テレビジョン国際放送については、1日24時間の放送時間と し、ニュース・情報番組や海外での安全に役立つ番組を充実するとともに、英語による情報発信の強化を図る。このほか、北米及び欧州向けの放送をそれぞれ1日7時間程度の放送時間で実施する。
 ラジオ国際放送については、1日65時間の放送時間とし、海外での安全に役立つ番組を充実するとともに、地域向け放送において日本及びアジアに関する情報の充実を図る。
 これらに要する経費は、総額69億9,355万円となり、前年度68億3,091万6千円に対して、1億6,263万4千円の増額となる。

(3) 契約収納
 受信料負担の公平を期するため、受信料制度に対する理解促進を図るとともに、効果的・効率的な営業活動を行い、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努める。
 これらに要する経費は、総額641億1,012万1千円となり、前年度632億6,211万4千円に対して、8億4,800万7千円の増額となる。

(4) 受信対策
 受信障害の複雑化、広域化など受信環境の変化に即応した受信サービス活動を展開するとともに、衛星デジタル放送受信を促進するための積極的な普及活動を行う。
 これらに要する経費は、総額22億3,582万7千円となり、前年度21億6,594万1千円に対して、6,988万6千円の増額となる。

(5) 広  報
 協会に対する視聴者の理解と信頼を一層深めるため、多様で効果的な経営広報を展開するとともに、視聴者との交流・対話活動を強化するなど、視聴者の意向の把握と業務への反映に努める。また、財務及び業務の状況について、情報公開に積極的に取り組む。
 これらに要する経費は、総額36億1,027万7千円となり、前年度34億6,894万9千円に対して、1億4,132万8千円の増額となる。

(6) 調査研究
 放送技術の研究については、デジタル放送発展のための研究開発やニュース音声等の自動字幕化の精度向上と高速化の研究をさらに推進するほか、将来の放送サービスに向けた基盤技術の研究開発等を行う。放送番組の研究については、メディアと子供に関する研究など放送番組の向上に寄与する調査研究を行うととも に、番組視聴状況調査を実施するなど、視聴者の意向の的確な把握を行う。
 これらに要する経費は、総額91億1,826万1千円となり、放送技術研究所の総合整備に伴う移転の終了等により、前年度96億2,494万8千円に対して、5億668万7千円の減額となる。

(7) 給  与
 給与については、適正な水準の維持を図る。
 これに要する経費は、前年度と同額の総額1,429億244万9千円である。

(8) 退職手当及び福利厚生
 退職手当及び福利厚生については、前年度と同額の総額562億4,603万円である。

(9) 一般管理
 一般管理については、諸税公課の増等により、総額152億7,425万9千円となり、前年度148億5,800万6千円に対して、4億1,625万3千円の増額となる。

(10) 受託業務等
 受託業務等については、会館施設等の一般供用、賃貸及び放送番組の受託制作等を行う。
 これらに係る収入は9億3,500万円、支出は8億1,800万円である。

(11) その他
 地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策を実施する。
 これに係る収入は特別収入9億円、支出は特別支出9億円である。



4 受信契約件数

(1) カラー契約
 ア 有料契約見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭契約件数
24,857,000
25,092,000
△ 235,000
年度内新規契約件数
2,215,000
2,147,000
68,000
年度内解約件数
2,570,000
2,382,000
188,000
年度内増加契約件数
△ 355,000
△ 235,000
△ 120,000

 イ 受信料免除見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭免除件数
1,071,000
1,020,000
51,000
年度内新規免除件数
109,000
114,000
△ 5,000
年度内解約件数
63,000
63,000
0
年度内増加免除件数
46,000
51,000
△ 5,000


(2) 普通契約
 ア 有料契約見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭契約件数
444,000
489,000
△ 45,000
年度内新規契約件数
0
2,000
△ 2,000
年度内解約件数
45,000
47,000
△ 2,000
年度内増加契約件数
△ 45,000
△ 45,000
0

 イ 受信料免除見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭免除件数
39,000
52,000
△ 13,000
年度内新規免除件数
2,000
2,000
0
年度内解約件数
14,000
15,000
△ 1,000
年度内増加免除件数
△ 12,000
△ 13,000
1,000


(3) 衛星カラー契約
 ア 有料契約見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭契約件数
11,179,000
10,524,000
655,000
年度内新規契約件数
1,354,000
1,170,000
184,000
年度内解約件数
579,000
515,000
64,000
年度内増加契約件数
775,000
655,000
120,000

 イ 受信料免除見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭免除件数
55,000
47,000
8,000
年度内新規免除件数
9,000
11,000
△ 2,000
年度内解約件数
3,000
3,000
0
年度内増加免除件数
6,000
8,000
△ 2,000


(4) 衛星普通契約
 有料契約見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭契約件数
34,000
39,000
△ 5,000
年度内新規契約件数
0
1,000
△ 1,000
年度内解約件数
5,000
6,000
△ 1,000
年度内増加契約件数
△ 5,000
△ 5,000
0


(5) 特別契約
 有料契約見込件数
区   分
平成14年度
平成13年度
増 減
年度初頭契約件数
10,000
10,000
0
年度内新規契約件数
0
1,000
△ 1,000
年度内解約件数
0
1,000
△ 1,000
年度内増加契約件数
0
0
0




(参考1)

有料契約見込総数
区  分
カラー契約
普通契約
衛  星
カラー契約
年度初頭
契約件数
24,857,000
444,000
11,179,000
年度内増加
契約件数
△355,000
△ 45,000
775,000
年度末
契約件数
24,502,000
399,000
11,954,000
区  分
衛  星
普通契約
特別契約
合  計
年度初頭
契約件数
34,000
10,000
36,524,000
年度内増加
契約件数
△ 5,000
0
370,000
年度末
契約件数
29,000
10,000
36,894,000

上記のうち沖縄県の区域における受信契約件数

区  分
カラー契約
普通契約
衛  星
カラー契約
合  計
年度初頭
契約件数
254,000
6,000
58,000
318,000
年度内増加
契約件数
1,000
0
4,000
5,000
年度末
契約件数
255,000
6,000
62,000
323,000



(参考2)

支払区分別受信契約件数

(1) カラー契約

区  分
訪問集金
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
3,953,000
20,034,000
870,000
24,857,000
年度内増加
契約件数
△ 10,000
△ 345,000
0
△ 355,000
年度末
契約件数
3,943,000
19,689,000
870,000
24,502,000

上記のうち沖縄県の区域における受信契約件数

区  分
訪問集金
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
180,000
71,000
3,000
254,000
年度内増加
契約件数
1,000
0
0
1,000
年度末
契約件数
181,000
71,000
3,000
255,000


(2) 普通契約
区  分
訪問集金
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
95,000
327,000
22,000
444,000
年度内増加
契約件数
△ 20,000
△ 25,000
0
△ 45,000
年度末
契約件数
75,000
302,000
22,000
399,000

上記のうち沖縄県の区域における受信契約件数


区  分
訪問集金
合  計
年度初頭
契約件数
6,000
6,000
年度内増加
契約件数
0
0
年度末
契約件数
6,000
6,000


(3) 衛星カラー契約
区  分
訪問集金
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
697,000
9,444,000
1,038,000
11,179,000
年度内増加
契約件数
30,000
475,000
270,000
775,000
年度末
契約件数
727,000
9,919,000
1,308,000
11,954,000

上記のうち沖縄県の区域における受信契約件数


区  分
訪問集金
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
19,000
37,000
2,000
58,000
年度内増加
契約件数
0
4,000
0
4,000
年度末
契約件数
19,000
41,000
2,000
62,000


(4) 衛星普通契約
区  分
訪問集金
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
7,000
26,000
1,000
34,000
年度内増加
契約件数
0
△ 5,000
0
△ 5,000
年度末
契約件数
7,000
21,000
1,000
29,000


(5) 特別契約
区  分
口座振替
継続振込
合  計
年度初頭
契約件数
5,000
5,000
10,000
年度内増加
契約件数
0
0
0
年度末
契約件数
5,000
5,000
10,000




5 要員計画

区   分
要  員  数
事業運営関係
       11,883人
建 設 関 係
194
合   計
12,077
 
 要員数については、業務の効率化を積極的に推進することとし、年度内185人の純減を見込んだものである。



目次

Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます