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平成24〜26年度NHK経営計画 経営委員長・会長記者会見要旨 2011/10/25
 
(數土経営委員長)
 本日、経営委員会は、放送法に規定されているNHK経営基本方針を定める平成24年度から3年間の次期経営計画を全会一致で議決した。
 議決にあたり、所信を述べさせていただく。1点目は、3年前、受信料の10%還元を修正議決し、当時の経営委員長と会長が「10%還元は受信料の値下げである」という認識を表明された事実を重く受け止めなければならないということだった。しかしながら、この3年間、執行部及び経営委員会で10%還元の原資の創出及び確保について必ずしも具体的かつ十分な議論が行われていなかったと強く感じた。更に予期しなかった東日本大震災が起きた。これらが、今年に入り就任した松本会長と経営委員長としての私が配慮、意を用いなければならなかった点である。こうした中で、経営計画を策定しなければならないという環境は、執行部と経営委員会にとって厳しく、困難をともなうものになっていた。
 2点目は、経営委員会は執行部に対して常にコスト意識を求めてきた点である。NHKでは目標設定と実績の差異分析が行われず、説明責任が果たされていないと強く感じた。その象徴的なものが営業経費だ。きょうの経営委員会では、「営業経費関係データの報告に関する経営委員会の意思決定について」を決めた。都道府県別の営業経費の月次の計画値と実績値などについて2か月ごと少なくとも四半期ごとの報告を執行部に求めたものである。経営委員会がこうした意思決定を行うのは初めてであり、10%還元問題に勝るとも劣らない重要な決定であると考えている。
 3点目は、経営計画の決定プロセスについて。10%還元について、私は以前から10%から0%までの可能性があると申し上げてきた。経営計画の審議では、NHK各部局からの様々な要求をまとめた執行部案について経営委員全員が様々な切り口から真剣かつ熱心な討議を行い、優先順位をつけてぎりぎりのコスト削減を求めてきた。具体的には、「経営委員の総意」として3回にわたり、18項目についてのコメント、要望、意見を執行部に行った。その後、各委員の定量的なコンセンサスを保つためのケーススタディを行い、これに関する確認資料も執行部に示している。これらは、後ほど議事録とともに公表する。  
 一連の協議のなかで、各委員の要望や意見は、「営業経費の削減と透明化」、「完全デジタル化後の建設費の妥当性」、「大震災後の公共放送の機能強化費の精査」、「国際放送の内容の充実」、「人員削減と関連会社のガバナンス」など多岐にわたった。執行部は、これらのひとつひとつについて真摯な検討と回答を行い、経営委員会と執行部が車の両輪となって次期経営計画を作り上げた。  
 NHKは、次期経営計画に掲げた4つの重点目標を着実に実行し、日本で唯一の公共放送として、不偏不党、公正性、公平性、透明性を保ちつつ、国民・視聴者にますます信頼される組織に改革されなければならない。その改革には当然、痛みがともなう。しかし、放送の質を向上しつつ、同時にコスト削減を実現しなければ改革は実現しない。それを実現するのがNHKの使命であり、視聴者の皆さまから受信料をいただくNHK職員ひとりひとりの覚悟であるべきと考える。  
 執行部と経営委員は、健全な緊張関係を基軸とし、車の両輪となってこの経営計画を作り上げた。この過程で執行部がNHKをより良きものにしていこうとする情熱を感じた。執行部の皆さんのご協力に感謝する。また、この間、ご意見をお寄せいただいたたくさんの方々を始めとする国民、視聴者の皆さまのご支援にも心からお礼を申し上げる。

(松本会長)
 日本はいま、先を見通せない時代の中にある。こうした中で、視聴者の皆さまが豊かで安心して暮らせるために公共放送として努力していきたいという思いを込めて、タイトルを「豊かで安心、たしかな未来へ」とした。計画は、「3か年の基本方針」のもとに、「4つの重点目標」で構成している。基本姿勢として、公共放送の原点に立ち返り、その役割の達成を目指すことを強く意識した。
 1つめは「公共」。未曾有の被害をもたらした東日本大震災での様々な体験や教訓を生かし、いかなる時にも皆さまの安全・安心を守るための情報をいち早く正確に提供し続けられるよう、放送機能を強化することを盛り込んだ。この強化策に3年間で292億円をあてる。このうち、東京の放送センターの機能が損傷した場合に備え、大阪放送局にバックアップ機能を強化するなど、とりわけ緊急性が高い設備投資にあたる106億円は、視聴者への還元策として実施する。
 2つめは「信頼」。世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実を盛り込んだ。番組を通じて地域の活性化への貢献、さらには、世界に日本の情報を発信し、国際理解を高めていきたい。
 3つめは「創造・未来」。放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスの充実を盛り込んだ。インターネットを通じて様々なコンテンツが自由に流通するようになった今、最新の技術を活用して高品質のコンテンツをお届けすることが求められている。新しい時代のサービスのあり方を考えていく。
 4つめは「改革・活力」。経営改革で、効率的な経営を行う。業務の見直しや要員の削減に取り組み、グループ経営を推進する。営業については、改革を進めながら受信料の増収を図る一方で経費は抑制していく。新しい取り組みとして、海外の公共放送を参考にして、NHK独自の管理・評価手法を導入し、現場管理まで一貫したマネジメントを強化する。「3か年の基本方針」を公共放送の理念として最上位に掲げ、これを具体化した「4つの重点目標」を設定し、最上位の目標と連携した達成度とともに、コストに見合う成果などによって、達成状況を総合的に評価していく。
 視聴者の皆さまへの還元について申し上げる。NHKは、現在の経営計画の中で、平成24年度から受信料収入の10%還元について、「具体的な方法はいくつか考えられることから、最適な方法を決定して、視聴者の皆さまにお示しし、実行する」こととしている。その後、長引く不況や東日本大震災などによってNHKを取り巻く環境が大きく変わった。こうした状況の変化を考慮しながら総合的な観点から検討を進めてきた。
 受信料収入については、長引く不況や東日本大震災による全額免除の大幅な増加などがあり、現在の計画で想定した収入より、大幅に減少している。現計画には、「社会・経済情勢の変化に応じて見直す」と書かれており、収入の減少は、これに該当するものと考える。また、東日本大震災をふまえ、いかなる災害が発生しても、国民の安全・安心を守るための情報をいち早く正確にお伝えする強化策が必要不可欠で、東京の放送センターのバックアップ機能の強化など、とりわけ緊急性が高い設備投資にあたる106億円は視聴者への還元策として実施する。そのうえで、残りの財源3年間で1162億円は、すべて受信料額の値下げにあてる。値下げ額は、地上契約で2か月ごとの支払いの場合、口座・クレジット支払いでは月額120円。これは、現在の地上契約の月額1345円の8.9%にあたる。継続振込支払いでは月額70円の値下げとなる。平成24年度予算が国会で承認されれば、来年10月から実施する。受信料の値下げは、ラジオの受信料を廃止し、テレビだけを対象にした受信料体系に移行した昭和43年以降では初めて。値下げによる大きな減収という経営上のリスクを勘案すると、極めて重い決断となった。
 来年度からの3か年の事業収支は、事業収入、事業支出とも、値下げ前の今年度の規模を下回ることになる。それを踏まえた財政運営を求められることになる。
 次期経営計画は、現在の計画で達成した成果を引き継ぎつつ、災害時の対応を強化することや、メディア環境にふさわしいサービスに取り組むことなどを盛り込み、公共放送が次の新しい時代の変化に対応していくものとなっている。
 収支は厳しい状況が続くが、組織をあげて増収に取り組むとともに、効率的な経営によって次期計画を着実に実行し、公共放送としての使命を果たし、視聴者の皆さまの期待と信頼にこれまで以上に応えていく決意だ。
 
 
10%還元の議論の在り方について
 
(経営委員長)
 
経営委員会は、必要不可欠なもの、コスト削減できるもの、機能を強化したいものを聞いて、10%から下に降りてくる手法を取った。一方、執行部は、技術的な開発をより多くやりたいとか、品質をより高めたいとか、事業の継続性も維持したいということで、下から削減額を積み上げていく方式を取った。そういうものを出し合った中で、ぎりぎり還元できるのはいくらかということで、取り組み方の出発点がお互いに違う。これは経営委員会・執行部の在り方として健全なことでもあると思う。
 
 
3年前の「10%値下げ」が実現しないことについて
 
(経営委員長)
 組織は継続性なので、トップが変わったからといって、基本的には許されることではない。しかしながら、東日本大震災があり、日本が国際化のなかでアイデンティティーを高めることが必ず国民・視聴者のためになるという考えで決断した。それが7%であったということに対しては忸怩たる気持ちはあるが、視聴者のご理解を賜りたい。

(会長)
 当時の計画の中にも、社会・経済状況の変化において見直すとか、具体的な還元方法については最適な形を検討して決定していくということが書いてある。10%還元は計画通りいけばということを前提にしており、様々な大きな変化があったということだと思う。
 
 
次期経営計画中の単年度の赤字について
 
(会長)
 24年度は増収を見込んでいるが、10月から受信料の値下げがあり、収支はプラスマイナスゼロ、25年度は通年で減収分がかかり、増収が追いつかない状態になる。しかし、26年度には増収が積み重なって黒字となる計画で、年度ごとに一定の波を打つということは、経営としてはあり得る。そのための繰越金もあるので、そういう中で吸収して、乗り切るとともに、当然、効率的な事業運営に努めながらやっていきたいと考えている。

(経営委員長)
 不安は全くない。なぜならば3か年計画であって、一部の年に赤字を計上する案を作るということは普通の企業であれば、きわめて健全なことだ。3年目には持ち直すという計画だから、執行部は真剣になって努力しろと、これは経営委員会の総意だ。計画は厳しいものだが、その厳しさに打ち勝つという課題とそれにチャレンジするのが、新しいNHKの執行部の責務ではないか。私は、執行部は必ずやってくれるだろうと期待しているし、信頼している。
 
 
3か年で810億円の増収見込みについて
 
(会長)
 実現可能だと考える。7%の減収分に到達しなくとも最大限の努力をする。営業改革の中で様々なことを駆使して収入を確保するつもりだ。

 
 
 
 
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