日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 4月 2日開催分)
平成25年 4月19日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 4月 2日(火) 午前9時00分〜10時00分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
 石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
 福井理事
 井原監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1187回経営委員会付議事項について
(2)CATV事業者との連携等に関する基本方針(案)について
(3)総務省「電波利用料の見直しに関する意見募集」に対する協会意見の
   提出について

2 報告事項
(1)平成24年度決算の日程について
(2)平成25年度考査業務運営方針
(3)考査報告
(4)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1187回経営委員会付議事項について
 4月9日に開催される第1187回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「平成25年度標準役員報酬について」と「平成25年度役員交際費の支出限度額について」、報告事項として「平成24年度決算の日程について」です。また、その他の事項として「平成25年春季交渉の結果について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)CATV事業者との連携等に関する基本方針(案)について
(経営企画局)
 従来、NHKとケーブルテレビ(CATV)事業者による、番組やイベント等の連携については、これまで平成11年にCATV対応プロジェクトが策定した「CATV対応諸施策の指針」に基づいて行ってきました。
 このたび、現行の指針を「CATV事業者との連携等に関する基本方針(以下「基本方針」)」と「CATV事業者との連携等に関する実施要領(以下「実施要領」)に分けて整備し、全国の放送局が、統一的に透明性をもってCATV事業者との連携強化に取り組めるよう環境を整えたいと思いますので、審議をお願いします。
 まず、「基本方針」の概要について、説明します。
 「基本方針」では、「目的」、「対応の原則」、「基本事項」、「連携対応」、「営業支援目的の禁止」等を定めており、具体的な内容については、次のとおりです。
 はじめに、「目的」についてです。この基本方針の「目的」は、CATV事業者との適切な連携関係を構築するため、順守すべき基本的事項を定めることとしています。
 続いて「対応の原則」についてです。全国の各放送局長がCATV事業者との連携策を行う際は、この「基本方針」と「実施要領」にのっとり、放送局長の職務権限の一環として主体的に展開することとしています。
 続いて「基本事項」については、CATV事業者との連携において、考慮すべき基本的事項を、①放送普及への寄与、②安定的な放送受信確保への貢献、③受信料制度への理解促進および受信料の公平負担の確保への寄与、④他のCATV事業者との公平性の確保、⑤再放送同意条件の順守状況、⑥連携事業の責任範囲の明確化、⑦その他広くNHKの業務に関連のある事項の7項目にまとめて列挙しています。
 続いて「連携対応」については、CATV事業者との連携において、順守すべき内容を4項目にまとめています。第1項目は、CATV事業者と連携して番組を制作する場合の考え方です。放送事業者どうしの共同制作は、著作権などの権利関係や責任分担などのあり方がまだ整理されていないため、共同制作は認めず、制作協力という位置づけで行うこととしています。第2項目は、NHKの番組をCATV事業者へ提供する場合の考え方です。現在、CATV事業者へNHKソフトを提供する場合は、提供可能な番組ソフトを限定していますが、それ以外のソフトをCATVへ提供する場合は、「実施要領」に従うこととしています。第3項目は、CATV事業者がNHKの公開番組等を収録する場合の考え方です。一定の範囲のNHKの公開番組、または放送を予定しないイベント等について、CATV事業者から要請があったときは、所定の条件のもとで、CATV事業者が収録・放送することを認めます。第4項目は、NHKとCATV事業者がイベントを共催する場合の目的を定めています。CATV事業者との共催イベントは、原則として、放送の普及および受信料制度の理解促進に資することを主たる目的とします。
 最後に「営業支援目的の禁止」についてです。この項目では、公共放送であるNHKが、CATV事業者の営利活動に加担してはならないことを定めています。
 次に、「実施要領」の概要について、説明します。
 「実施要領」は、「CATV事業者との連携等に関する基本方針」に基づき、各放送局で実施しているCATV対応を全国で統一的に実施できるよう、CATV対応における基本的な事項について規定したものです。
 実施要領に基づくCATV対応にあたっては、CATV事業者との相互共助の趣旨を十分に踏まえ、再放送同意の条件を順守し、衛星受信契約の増加や地域放送の充実などについて明確な協力関係があるCATV事業者、あるいは今後協力関係を構築できるCATV事業者に対する施策とします。
 また、地域放送番組を活用した施策については、この「実施要領」に定める範囲内において、各放送局長の責任と権限で展開できることとしますが、その目的と留意点に十分考慮して取り組むこととします。
 以上の内容が決定されれば、本日4月2日から施行します。

(板野理事)  現在、CATV事業者との連携において、地域の放送局は、どのように、制作協力を行っていますか。
(経営企画局)  特徴的な取り組みとしては、佐賀放送局が県内のケーブルテレビと協力して企画した、カラオケのど自慢「歌王(うたおう)さが」などがよい事例だと思います。
(板野理事)  地域放送局とCATV事業者との連携を強化することは、どのような意図で進めようとしているのですか。
(経営企画局)  各放送局は、地元CATV事業者との連携を強化し、CATVを通して、安定的な受信環境の確保、衛星放送の普及促進、衛星受信契約の増加等を図っていきたいと考えています。
(板野理事)  今後、CATV事業者との連携を強化することについて、各放送局に対して、どのように指示していくのですか。
(経営企画局)  CATV事業者との連携強化については、プロジェクト810の活動の一貫として取り組んでいくこととしています。
(上滝理事)  「基本方針」の施行にあたり、具体的にどのような点について、透明性を高めたのですか。
(経営企画局)  CATV事業者との連携について、これまでの指針を改め、「基本方針」、「実施要領」として定めることにより、CATV事業者との番組制作に関する考え方や、NHKの番組ソフトを提供する場合の基準、CATV事業者がNHKの公開番組等を収録する場合の考え方、イベントを共催する場合の目的などがより明確になったと考えています。また、これまでCATV事業者と個別に対応しながら実施してきた国際放送番組「NHKワールドTV」の提供についても、「実施要領」で明確に規定し、より一層透明性を高めることができたと考えています。
(上滝理事)  これまでのCATV事業者との連携において、何か問題点はありましたか。
(経営企画局)  特に大きな問題は起きていません。今回、CATV事業者との連携を図るうえで、順守すべき基本的な事項を定めた「基本方針」と、この「基本方針」に基づき、全国の放送局が統一的にCATV対応を実施する「実施要領」とに分けて整理したことにより、CATV事業者との連携の透明性や、各放送局長の権限の範囲が明確になったと考えています。特に、「実施要領」については、必要に応じて、実態に即した規定の見直しが可能になったと思います。
(塚田専務理事)  今までは、CATV事業者の要望に応じて、個別に現場が対応してきましたが、今回、規程を整備し、情報の共有化を図ることで、組織としての対応を一層明確化するねらいがあります。
(会 長)  NHKのノウハウや番組ソフトは、NHKの資産そのものであり、その資産の取り扱いは、大変重要です。当初、CATV事業者との連携については、CATV事業者からのニーズに応じる形で、そのつど、各放送局が対応してきたと思いますが、業務内容の複雑化や、業務範囲の拡大等により、現場の判断だけでは、対応が困難になってきたと思います。今回のCATVへの対応に限らず、NHKの知的財産や資産等を活用していく際は、組織的に対応することが大切です。今後は、NHK全体の統一的な考え方の下に、NHKの知的財産や資産等を活用することを徹底してほしいと思います。
 原案どおり決定します。

(3)総務省「電波利用料の見直しに関する意見募集」に対する協会意見の提出について

(技術局)
 総務省は、3年ごとに電波利用料の見直しを行っており、平成26年度から28年度までの電波利用料について、25年3月4日に「電波利用料の見直しに関する検討会」を設置し、検討を開始しました。総務省では、同検討会での議論に資するため、電波利用料の検討課題やその考え方等について、25年3月6日から4月5日までの間で広く意見を募集しています。これに対してNHKの意見を提出したいと思いますので、審議をお願いします。
 意見募集の対象としている項目は、「平成26年度から28年度までに必要とする電波利用共益事務」と「次期電波利用料の見直しの考え方」です。
 これに対して、NHKとして次の意見を提出したいと思います。
1.「平成26年度から28年度までに必要とする電波利用共益事務」について
 電波利用料の使途は、費用を負担している無線局免許人全体の受益に真に必要な場合に限定するとともに、現在の全体の歳出規模が増えないよう要望します。
2.「次期電波利用料の見直しの考え方」について
 放送事業者は、国策である地上テレビ放送のデジタル化については、自らも膨大な費用を負担して取り組み、完遂した結果、周波数帯域を3分の2に圧縮して、3分の1は通信事業者等に解放されました。このほか、放送事業者は、地上デジタル放送のホワイトスペース(本来割り当てられた目的とは別の目的にも利用可能な周波数帯)を他システムと共用するなど周波数再編に対応し、経済的価値が高いとされる周波数帯域の有効利用に貢献してきました。
 NHKは、視聴者が負担する受信料によって運営されている公共放送であり、電波の利用によって利益を得る企業とは基本的に性格は異なります。NHKは、あまねく全国に、豊かで良い放送番組を届け、また、災害時には必要な情報を迅速かつ的確に提供するなど、放送法で規定された公共放送としての使命があり、その責務を果たしてきています。今後とも、いかなる災害時にも放送を継続できるよう、機能強化の投資を積極的に行うなど、公共放送としての使命の達成に向けて取り組んでいきます。
 現行の電波利用料の「基本方針」では、料額の算定に当たって各無線システムの特性を勘案した方法(特性係数)を採用しています。国民共有の財産である電波の適正かつ有効な利用を確保する観点から、地上デジタル放送の特性係数については、周波数共用形態や放送事業の有する公共性について今後とも十分に考慮されることを要望します。また、「電波の経済的価値」の考え方は、営利を目的としないNHKの電波利用の趣旨とはそぐわない部分があるので、その一層の拡大には賛成できません。電波利用料の見直しによって、NHKの負担増につながることのないよう要望します。
 以上の内容が決定されれば、NHKの意見を総務省に提出します。

(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)平成24年度決算の日程について
(経理局)
 平成24年度決算の日程について報告します。
 NHK単体の決算の日程については、放送法の規定により、財務諸表の総務大臣への提出期限が、当該事業年度経過後3か月以内となっています。これを踏まえ、24年度の決算は、6月25日開催予定の経営委員会での議決に向け、取り進めることとしたいと思います。併せて、放送法に定める監査委員会や会計監査人の監査を受けます。
 また、24年度の連結決算についても、6月25日予定の理事会での審議・決定を経て、同日予定の経営委員会に報告するよう、取り進めたいと思います。
 本件は、4月9日開催の第1187回経営委員会に報告事項として提出します。

(上滝理事)  外部への公表については、どのように考えていますか。
(福井理事)  例年、受信料収入については、概要のみ、決算の公表よりも早く公表しています。
(上滝理事)  24年度の決算は、初めて受信料を値下げした年度の決算ですので、視聴者の皆さまは、大変注目していると思います。効率的な経営を行った努力についても関心が高いと思います。
(会 長)  決算は、私たちの努力の結果が数字に込められています。結果にいたるまでの間、役職員が一丸となって、必死に努力してきたことについて、しっかりと説明することが大切です。決算の公表にあたっては、私たちの努力の成果であることを発信するために、どのような情報を出せばよいのか、検討してほしいと思います。

(2)平成25年度考査業務運営方針
(考査室)
 「平成24年〜26年度 NHK経営計画」が掲げた基本方針を踏まえ、NHKの放送する番組が、「放送法」をはじめとする法令を順守し、「国内番組基準」、「国際番組基準」、および「放送ガイドライン2011」に従って編集されているかを考査します。
 考査業務の運営にあたっては、公共放送をとりまく状況の変化に対応するため、「放送番組考査規程」にのっとり、次の重点事項により実施し、リスクマネジメントの推進や放送倫理の徹底に努めていきます。
 1点目は、「放送考査、考査結果の周知」です。
 NHKの放送が迅速・正確か、公平・公正でかつ分かりやすいか、伝えるべきことを伝えているかを考査します。また、表現・用語が適切か、人権への配慮がなされているか、広告・宣伝にならないよう注意が払われているかなど、放送倫理上の観点から考査します。考査結果は、迅速に放送現場に伝えるとともに、取材・制作現場との有機的連携を図りつつ、放送内容の質的向上に寄与します。
 テレビ国際放送については、業務体制の整備を図り、必要な考査を実施します。
 2点目は、「事前考査」です。
 事前考査は、社会的に関心が高いテーマを扱う番組、幅広い視聴者層を対象とした番組、編成方針に基づく新番組や開発番組等を中心に対象を選定し、番組の質の確保とリスクマネジメントの視点から番組の修正・変更等の可能な時期に実施します。
 修正・変更が必要と判断した場合は、ただちに制作責任者に対して、改善に向けた助言を行います。
 3点目は、「放送番組モニターの活用」です。
 全国各地から送られる「モニター報告」を迅速に集計・分析し、視聴者の感想・意向として現場に伝えます。昨年度、人数を倍増し100人規模とした携帯モニターを活用し、より若い世代の意向集約に努めます。
 4点目は「放送倫理の向上」です。
 放送倫理に関する事項についての現場からの問い合わせ・相談に対し、「放送ガイドライン2011」に基づき、適切なアドバイスを行います。
 BPO(放送倫理・番組向上機構)、マスコミ倫理懇談会、および民放との考査実務責任者会議など、外部関係機関との連携・情報交換を行い、必要に応じて現場に情報提供を行います。
 5点目は「放送各部局との連携」です。
 考査、放送番組モニター、および放送倫理向上の取り組みを踏まえ、放送各部局との意見交換の場を設けるなど、放送各部局との連携をさらに積極的に進めます。
 6点目は「インターネット展開への対応」です。
 インターネットを利用した視聴者サービスについても随時、考査および「モニター報告」の集計・分析を実施し、NHKの新サービス展開に資するよう努めます。

(会 長)  考査業務運営方針は、経営方針と同様に、公平・公正、不偏不党等といったNHKの原点に立脚するものです。制作した番組内容を、自らが律するという考査の業務は、放送内容の質の向上のために、大変重要なものですので、引き続き、自主自律の立場で、考査を行ってください。

(3)考査報告
(考査室)
 平成25年2月18日から3月21日までの間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。この期間に、ニュース20項目、番組47本の考査を実施しました。
 はじめに、東日本大震災の発生から2年が経過したことに関するニュースと番組についてです。
 3月11日のニュースは、震災から2年が経過した被災地の動きや、復興の遅れ、除染が進まない被災地の現状、被災地以外で東京電力福島第一原子力発電所事故の風化が進んでいくことへの被災者の思いなどを伝えました。一方、番組では、住民の合意を得て進める街づくりの難しさや、自治体の復興計画どおりに進まない実情を伝えた、NHKスペシャル 3.11あの日から2年 シリーズ東日本大震災「故郷を取り戻すために〜3年目への課題」(3月11日放送)や、避難生活の知られざる苦悩や、放射能に汚染された土地での不安な暮らしを見つめた、NHKスペシャル 3.11あの日から2年「福島のいまを知っていますか」(3月9日放送)などを考査しました。
 震災関連以外のニュースとしては、大手家電メーカーのシャープが韓国のサムスン電子との資本提携に合意したことや、環境省の専門家検討会が、汚染物質PM2.5による健康への影響を防ぐための指針を新たに決めたことなどがありました。
 また、番組では、原発事故のメルトダウンを検証するシリーズの3回目、NHKスペシャル 3.11あの日から2年「メルトダウン 原子炉“冷却”の死角」(3月10日放送)や、震災で大切な家族を亡くした被災者が、亡き人にかけたい言葉を紹介した、あさイチ「震災から2年〜今亡き人にかけたい言葉」(3月11日放送)などを中心に考査しました。
 考査の結果、これらの一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。


(4)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州沖縄、東北、北海道、四国)の平成25年2月開催分の議事録についての報告(注)。

注:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 4月16日
                     会 長  松 本 正 之

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