日本放送協会 理事会議事録  (平成25年 1月29日開催分)
平成25年 2月15日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成25年 1月29日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
 石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
 福井理事
 井原監査委員

<場     所>
 放送センター 役員会議室

<議     事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成24年度第3四半期業務報告

2 報告事項
(1)契約・収納活動の状況(平成24年12月末)
(2)関連団体の事業運営状況等について
(3)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)平成24年度第3四半期業務報告
(経営企画局)
 放送法第39条第3項に定める会長の職務の執行状況を、「平成24(2012)年度第3四半期業務報告」(注1)のとおり取りまとめましたので、審議をお願いします。
 まず、「今期の概況」について説明します。
 受信料収入については、10月に受信料の値下げを実施し、それによる減収が発生していますが、前倒しで契約確保に取り組み、値下げ後も、影響を最小限に抑えるため営業活動を強化した結果、前年度同期を上回る営業業績を確保しました。放送については、大雪や地震などに際して、国民生活の安全・安心を守る報道に着実に取り組みました。12月の衆議院議員選挙は、12の政党が候補者を立てたため対応が複雑になりましたが、全国の放送局が情勢取材や出口調査、開票所取材などに万全を期し、正確・迅速な選挙報道を行いました。技術関係については、地上デジタル放送の送信機能を東京スカイツリーへ移行するための準備を進め、スカイツリー受信確認テストを開始しました。また、スーパーハイビジョンの早期実用化に向けて、スーパーハイビジョン映像の大容量データを大幅に圧縮する技術を中心に、研究開発を行いました。
 次に、営業目標の達成状況と収支概況について説明します。第3四半期末までの契約総数増加は47.0万件で、年間増加目標45万件に対し進捗率は104.6%となりました。衛星契約増加については、契約取次へのパワーシフトをさらに進め訪問要員による対策を強化したことなどにより、第3四半期で21.6万件となりました。その結果、12月末累計の衛星契約増加は、前年同期を9.3万件上回る66.3万件となり、年間増加目標に対する進捗率は92.1%となっています。第3四半期は、事業収入が1,589億円、事業支出が1,614億円で、今期だけをみると事業収支差金はマイナス24億円となっています。また、受信料収入は1,542億円で、値下げによる減収の影響が発生していますが、契約収納活動の強化等により、第3四半期累計の受信料収入は4,840億円となり、予算進捗率は76.3%と標準進捗率を上回り、順調に推移しています。
 続いて、「平成24〜26年度 NHK経営計画」のもとに設定した「公共」、「信頼」、「創造・未来」、「改革・活力」の4つの重点目標の達成状況を報告します。
 「公共」については、いかなる災害時にも対応できる放送設備や運用体制の強化を進めるとともに、10月1日からは安否情報確認サイト「J−anpi」の運用を開始しました。また、東日本大震災を検証し、復興を支援する番組として、東京電力福島第一原子力発電所の事故の真相や、防災のあり方に迫る調査報道を多く放送しました。今後、国が8月に公表した南海トラフ巨大地震の新たな被害想定に基づき、25年度にかけて津波対策等の追加的な設備整備を実施していきます。
 「信頼」については、10月に後期番組改定を実施し、多角的な評価指標による上半期の分析を踏まえて、家族で楽しめる番組を強化するなどの編成を行いました。10月スタートの連続テレビ小説「純と愛」は、今期の平均世帯視聴率が17.1%と、前作の「梅ちゃん先生」より若干低いものの、好評意見も多く健闘しています。また今期は、上半期の分析を踏まえ、週末の夜間に世代を超えて楽しめる番組を複数制作するなど、25年度番組改定に向けた新番組の開発を行いました。年末の「第63回NHK紅白歌合戦」は、歌が持つ力と感動を伝え、平均世帯視聴率は第2部が42.5%と昨年を上回り、特に若い世代での視聴の広がりがみられました。1月には、新しい大河ドラマ「八重の桜」がスタートし、好調な出足となっています。今後は、番組内容のブラッシュアップをさらに進め、NHKらしい豊かで見ごたえのある放送の一層の充実と、視聴者層の拡大をめざしていきます。
 「創造・未来」については、早期の実用化をめざすスーパーハイビジョンの研究開発を進め、「NHK紅白歌合戦」では東京タワーと横浜の2か所でパブリックビューイングを行いました。Eテレでは、人気の幼児番組「おかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」で、10月から字幕放送を開始し、多くの反響がありました。放送のデジタル化の関連では、10月27日に前橋放送局でネットワークID(放送波の識別信号)の変更を行ったことに関して、11月末までに5万件の電話相談があり、訪問による視聴者対応を3万件実施しました。今後は、2016(平成28)年のリオデジャネイロ・オリンピックに向けて、スーパーハイビジョンの実用化試験放送の開始について検討を進めます。
 最後に「改革・活力」についてです。受信料については、値下げによる減収の影響が発生していますが、前倒しで契約確保に取り組み、値下げ後も、影響を最小限にとどめるために全国の放送局が一体となって受信料制度の理解促進活動を展開した結果、堅調に推移しています。また、営業経費抑制に向けた改革は順調に進んでいます。外部法人への契約収納業務委託は、10月から32地区408万世帯に拡大しました。また、訪問によらない効率的営業活動に向け、2つの施策を今期から開始しました。1つ目は、「公共機関への調査等による住所変更等の届け出の省略」で、10月から東京都内への転居者を対象に開始しました。2月には全国に拡大する予定です。2つ目は、「書面による放送受信契約書の提出の省略」で、12月から一部で開始しました。今後、段階的に拡大していきます。今後も、受信料の値下げによる減収に対応するため、営業改革の推進による営業活動の強化と、全国の放送局が一体となった受信料制度の理解促進活動により、24年度の契約増加目標達成をめざします。
 以上の内容が決定されれば、2月1日開催の第1182回経営委員会に報告事項として提出します。

(注1)  「平成24(2012)年度第3四半期業務報告」は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。

(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項

(1)契約・収納活動の状況(平成24年12月末)
(営業局)
 平成24年12月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、12月の収納額は478.6億円で、10月からの受信料の値下げの影響により、前年度同月を25.6億円下回りました。年間累計は、上半期に早期の契約取次など積極的な営業活動の展開に取り組んだこともあり、4,714.6億円で、前年度同時期を43.4億円上回っています。
 一方、前年度分回収額実績は2.0億円と、前年度同月を0.4億円下回り、年間累計も53.3億円と、前年度同時期を0.5億円下回りました。また、前々年度以前分回収額実績も、2.5億円と前年度同月を1.6億円下回り、年間累計も24.9億円と、前年度同時期を3.5億円下回っています。
 放送受信契約総数の増加状況について、12月は、取次が20.9万件と、前年度同月を1.0万件下回り、減少は19.2万件と、前年度同月に比べ0.4万件下回ったため、増加数は前年度同月を0.6万件下回る1.7万件となりました。一方、年間累計増加数は47.0万件と、前年度同時期を15.6万件上回っています。
 12月の衛星契約増加については、取次が前年度同月に比べ2.4万件下回り、減少も前年度同月を0.4万件下回ったため、増加数は前年度同月を2.0万件下回る6.2万件となりました。年間累計増加数は66.3万件と、前年度同時期を9.3万件上回っています。
 以上の内容は、2月1日開催の第1182回経営委員会に報告します。


(2)関連団体の事業運営状況等について
(関連事業局)
 関連団体運営基準(以下、「運営基準」)第15条に基づき、関連団体の事業運営状況について報告します。
 まず、平成24年度の関連団体の決算見込みについて報告します。最初に子会社13社についてです。
 子会社の24年度の売上高の単純合計は2,407億円となり、前年度に比べ84億円の減収を見込んでいます。減収の主な要因としては、NHKアイテックとNHK営業サービスの、地上デジタル放送関連事業の大幅な減と、NHKエンタープライズとNHKエデュケーショナルの、映画制作、DVD、キャラクター商品等のコンテンツ展開関連事業の減があります。
 売上高のうち、NHKとの取引額は1,442億円で、前年度より39億円増える見込みです。一方、関連団体との取引額は169億円で前年度比24億円の減、NHKグループ以外との取引額は796億円で前年度比100億円の減となる見込みです。
 当期純利益の見込みは単純合計で48億円となり、前年度に比べ4億円の増益を見込んでいます。主な要因としては、23年度は会計上の特殊要因として、法人税減税に伴う繰延税金資産の取り崩しが合計で7.2億円あり、当期純利益を引き下げていたことがあります。
 個別に見ますと、NHK出版とNHK文化センターは、前年度まで2期連続の赤字でしたが、今期は、減収傾向が続いているものの黒字に転換できる見込みです。この要因としては、NHK出版は発行部数の適正化による実売率改善等の施策を進めたこと、NHK文化センターは人件費等の固定費を削減したことがあげられます。
 増収増益見込みは3社で、日本国際放送は東日本大震災からの復興のための海外発信事業の増、NHKアートは展示・催事事業の増、NHKメディアテクノロジーは情報システム事業の大幅増が、それぞれ主な要因となっています。
 減収減益見込みは5社で、この内NHKプラネットは、本社制作部門の収支が悪化し、赤字決算となる見込みです。また、NHKプロモーションは、「中国 王朝の至宝展」等の中国関連イベントの不振、NHKアイテックとNHK営業サービスは、地デジ関連事業の大幅減が主な要因となっています。
 関連会社5社に関して、放送衛星システムは放送チャンネル数の増加が通年で寄与し、大幅な増収増益の見込みとなっています。総合ビジョンは、アニメ番組制作の増により増収となるものの、原価の増によりやや減益となる見込みです。NHK Cosmomedia America、NHK Cosmomedia(Europe)、ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズの3社は減収減益となる見込みです。
 関連公益法人7団体については、NHKエンジニアリングサービスとNHK放送研修センターの2社が増収増益、残り5団体が減収減益で、うち4団体が赤字決算となる見込みです。特に、日本放送協会学園(NHK学園)は、増収を見込んだ生涯学習部門が逆に減収となり、昨年度に続き大幅な赤字となる見込みです。
 次に、関連団体との事前協議等の概要について報告します。運営基準第11条により、関連団体は重要な新規事業を開始するなど、経営の重要事項については、事前にNHKと協議しなければならないことになっています。24年4月1日から12月31日までの間に生じた関連団体との事前協議事項は67件でした。そのうち特徴的な事項では、取締役の任期変更等による定款の変更、および一般財団法人への移行に伴う定款(案)の制定の件数が計19件と増えています。
 監査法人による関連団体の業務運営状況調査の実施状況と、外部からの意見や苦情等を受けて関連団体の事業活動の適正性を審査する、関連団体事業活動審査委員会の状況については、決算時にまとめて報告します。
 以上の報告のうち、当期の子会社の決算見通しについては、2月1日開催の第1182回経営委員会に報告します。

(上滝理事)  NHK学園の厳しい決算見通しについて説明がありましたが、NHK交響楽団やNHK厚生文化事業団など、NHKが助成を行っている関連公益法人3団体は、企業からの支援金も減っている中で大変厳しい状況にあります。これらに対応するため、NHK内にプロジェクトを設け、支援策を検討していると聞いていますが、その進捗状況はどうなっていますか。
(関連事業局)  関係部局で、3団体への支援策について検討を行い、既に具体的な案をまとめつつあります。中でも、各団体の事業を広く周知するために、広報活動に力を入れることとします。それぞれの業務内容に合わせて、NHK学園は2〜3月の生徒募集の時期に、N響は7月の定期会員の募集時期に、それぞれ集中的にPRを行うなど、効果的な広報活動を展開することとします。併せて、告知スポットの内容を見直すなど、より伝わりやすく印象に残るものとしていきたいと思います。
(板野理事)  NHKエンタープライズとNHKエデュケーショナルの2社の減収については、コンテンツ展開関連事業の減が主な要因とのことですが、これをどのように分析していますか。
(関連事業局)  コンテンツ展開関連事業の減については、構造的な要因によるものと考えています。例えばDVDの売上の推移を見ると、ここ数年で、国内では5〜9%の減少のところ、NHK関連ではさらに減少幅が大きくなっています。特に、これまで高い売上を維持していた幼児・子ども分野で急激な低下を見せています。これは、ハードディスクの普及により、多くの家庭で番組を録画して視聴するようになっており、市販のDVDの購入が急激に減っていることが影響していると見られます。キャラクター商品については、売上が減ると店頭の売り場面積も縮小されるなど、販売全体が厳しい環境にあり、売上の減少が続いています。
(板野理事)  現状を考えると、新たに収益の柱となるものを考えていかねばならないようですが、この状況をどのようにとらえていますか。
(関連事業局)

 インパクトを与えて話題となるコンテンツを作ることができれば、今後も収益を見込むことは可能と思われます。それを追求しつつ、併せてNHKグループをあげて新しい商品の開発に取り組んでいくというのが、今の課題だと考えています。
 例えば、VOD(ビデオオンデマンド)事業は成長産業であり、今後の一つの柱になる可能性がありますが、当面は、NOD(NHKオンデマンド)を全力で支援する一方で、そのこととのバランスを考えながら新しい商品開発をしていくということが重要だと思います。また、Eテレに関しては、再度、中長期のスパンでグループ全体で見直しを行い、新しいビジネスモデルを模索していくということが必要だと考えています。

(吉国専務理事)

 副次収入の増加策についてさまざまな取り組みを展開していますが、その一部の施策の進捗に遅れが出ており、それも減収の一つの要因となっているものと思います。
 副次収入を取り巻く環境は確かに厳しくなっていますが、その状況についてグループ全体で危機感を共有して取り組んでいく必要があると思います。キャラクター展開やDVDの販売等において、収益を上げる方策はまだ他にもあると思います。現在、国際展開において新たな仕組み作りを行っていますが、その他にも、新たな分野の開拓を含め、できる限りの可能性を追求していくことが必要だと思います。

(福井理事)  子会社13社の売上の合計は2,400億円で、そのうちNHKとの取引額は約40億円の増となっている一方、NHKグループ以外との取引額は100億円の減となっており、連結決算では相当な減収減益となる見込みです。25年度の事業計画の策定については、現在どういう状況ですか。
(関連事業局)  全体計画については作成中ですが、副次収入の番組展開に関しては、計画案がかなり固まってきています。
(吉国専務理事)  地デジ関連事業が大幅に減少しているので、収支の回復はなかなか難しいのではないかと思います。
(関連事業局)  減収見込みについては、地デジ関連事業が80億円の減、コンテンツ展開関連、イベント、出版事業の合計が43億円の減となっており、この43億円の部分の対応が重要となっています。
(福井理事)  関連各社の事業計画は、いつ頃どういう形でNHKに提示されるのですか。
(関連事業局)  各社の事業計画は2月末までに提出することになっており、その後、理事会で報告します。
(小野副会長)  ここ2、3年、幼児系の番組コンテンツそのものの訴求力が落ち、DVD、関連商品ともに売上がダウンしていることが気になります。
(会 長)

 全体を通して、NHK出版、NHK文化センターは黒字に転換の見込みということで、よく努力をしていると思います。構造的な問題で赤字となっているところに対しては、きちんとした増強策を打つことが必要となります。NHKグループ全体として、今後、プロジェクトでの検討などを通じて、しっかりとした対策をとっていくことが重要です。
 また、各関連団体においては、ビジネスを成立させ収益を上げていくために、事業の継続の見直しや重点配分の検討なども含めた、より一層の経営努力が必要となってくると言えます。
 各部門が協力して、総体としての取り組みを進めていってほしいと思います。


(3)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州沖縄、東北、北海道、四国)の平成24年12月開催分の議事録についての報告(注)。

注: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成25年 2月12日
                     会 長  松 本 正 之

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