日本放送協会 理事会議事録 (平成24年 6月21日開催分)
平成24年 7月13日(金)公表
<会 議 の 名 称>
理 事 会
<会 議 日 時>
平成24年 6月21日(木) 午前10時45分〜11時20分
<出 席 者>
松本会長、小野副会長、塚田専務理事、吉国専務理事、冷水理事、
石田理事、木田理事、新山理事、久保田技師長、板野理事、上滝理事、
福井理事
井原監査委員
<場 所>
放送センター 役員会議室
<議 事>
松本会長が開会を宣言し、議事に入った。
付議事項
1 審議事項
(1)「視聴者視点によるNHK評価委員会」の平成23年度評価報告書を受けて
(2)日本放送協会平成23年度財務諸表について
(3)平成23年度NHK連結決算について
(4)平成24年度予算総則の適用について
2 報告事項
(1)予算の執行状況(平成24年5月末)
(2)契約・収納活動の状況(平成24年5月末)
(3)関連団体事業活動審査委員会外部委員の再委嘱について
(4)日本放送協会平成23年度業務報告書の修正について
議事経過
1 審議事項
(1)「視聴者視点によるNHK評価委員会」の平成23年度評価報告書を 受けて
(経営企画局)
NHKの事業運営について、より視聴者の視点に立って評価し、公共放送の価値の向上に向けた提言等を行うことを目的に、外部の有識者からなる「視聴者視点によるNHK評価委員会」を、平成21年度に設置しました。同委員会は、「放送の信頼性」と「経営の信頼性」の2つの柱、8つの指標を設定し、評価の作業を続けてきましたが、本日、その平成23年度の評価報告書が会長に提出されました。
それを受けて、NHK執行部の見解を取りまとめ、公表することとしたいので、審議をお願いします。
見解の本文は次のとおりです。
「視聴者視点によるNHK評価委員会」は、外部の有識者で構成するNHK会長の諮問機関です。視聴者調査などをもとに、公共放送に対して視聴者の皆さまが何を期待しているか、また、その期待にNHKがどの程度応えているかを客観的に評価することをねらいとして、3年間活動を行ってきました。
本日、平成23年度の評価報告書が松本会長に答申されました。
その報告書によると、評価の柱である「放送の信頼性」の23年度の評点は5段階評価で3.8点、「経営の信頼性」の評点は2.6点で、3年間を通してみると、全体的に上昇傾向にありますが、ここ1年間はやや伸び悩んでいます。
NHKとしては、評価結果を真摯に受け止め、なお一層の向上をめざして努力してまいります。
これらの評価結果に加えて、評価委員会からは、3年間の活動を通じて得られた知見に基づき、「変化するメディア環境に対応する長期的なビジョンに基づき、公共放送として視聴者の期待にしっかりと応えていってほしい」などの示唆や提言をいただきました。こうした貴重な提言についても、今後の経営に生かしてまいりたいと考えています。
また、NHKは、「平成24〜26年度経営計画」において、委員会の評価の考え方や数量化の手法を取り入れ、自ら評価点検を行っていくなど、今後、評価委員会の活動の成果を生かした業務運営に取り組んでまいります。
評価委員会は、今回の報告書の提出をもって、活動を終えます。委員の皆さまの3年間にわたる精力的な活動に心から感謝を申し上げます。
評価報告書および概要版は、NHKのホームページに掲載し公表します。
以上の内容が決定されれば、本日開催の第1169回経営委員会に報告します。また、平成24年6月30日をもって評価委員会を解散するとともに、同時に関連する規程を廃止します。
(会 長) |
評価委員会の活動は、今回の報告をもって終わりますが、この活動の成果について、今後、どのように継承していきますか。 |
(経営企画局) |
「平成24〜26年度 NHK経営計画」では、計画の達成状況について、NHK独自に評価・管理する仕組みを確立することを掲げていますので、その評価の仕組みの中に、評価委員会の活動の手法を取り入れていきたいと思います。 |
(会 長) |
原案どおり決定します。 |
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(2)日本放送協会平成23年度財務諸表について
(経理局)
NHKの平成23年度決算についての財務諸表を取りまとめましたので、審議をお願いします。
まず、収支決算については、一般勘定における事業収入は6,997億円で、前年度(22年度)比157億円の増収となりました。このうち受信料収入は、受信契約件数の増加等により、127億円の増収となりました。
一方、事業支出は6,773億円で、前年度比28億円の減となりました。これは、東日本大震災関連の放送や、テレビ放送の完全デジタル化対策の支出があったものの、22年度の特別支出に計上した固定資産撤去費用引当金繰入がなくなったことなどによるものです。この結果、事業収支差金は223億円の黒字となり、このうち、40億円を債務償還に充当し、繰越金183億円を24年度に建設積立金(資産)に繰り入れることにしています。
予算との比較では、事業収入は、受信料の増等により、予算を69億円上回りました。また、事業支出は、テレビ放送が順調にデジタル化に移行したことや、効率的な事業運営等により、全体として114億円を抑制しました。この結果、事業収支差金は183億円改善して223億円の黒字となりました。
続いて、協会全体の財務状態等についてです。
資産は、剰余金の増加に伴う預金および有価証券の増加等により、前年度末比181億円増の8,903億円となりました。負債は、放送債券を100億円償還し、外部資金残高がゼロとなったこと等により、前年度末比28億円減の3,080億円となりました。純資産は前年度末比209億円増の5,823億円となり、自己資本比率は65.4%と健全な状態を保っています。
損益の状況については、経常事業収入が受信契約件数の増加に伴う受信料の増等により、前年度比133億円の増となりました。経常事業支出は、東日本大震災関連の放送や、テレビ放送の完全デジタル化対策の強化等により、前年度比169億円の増となりました。この結果、当期事業収支差金は、前年度比190億円増の209億円となりました。
最後に、キャッシュ・フローについては、事業活動により資金が963億円増加し、投資活動により645億円、財務活動により108億円それぞれ減少して、23年度末における資金残高は、前年度末から210億円増の1,567億円となりました。
以上については、放送法第74条の規定に基づき、会計監査人たる監査法人から「独立監査人の監査報告書」を受領しており、監査の結果、「すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」との監査意見が表明されています。
以上の内容が了承されれば、本日開催の第1169回経営委員会に議決事項として提出します。経営委員会での議決を得たうえで、監査委員会の意見書および会計監査人の報告書を添えて、総務大臣に提出することにしています。
(会 長) |
原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ります。 |
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(3)平成23年度NHK連結決算について
(経理局)
平成23年度のNHK連結決算について取りまとめましたので、審議をお願いします。これはNHKが独自に取りまとめ公表しているもので、連結の範囲については、連結子会社13社、および持分法適用会社2社を対象としています。
経営成績については、経常事業収入が受信契約件数の増加による受信料の増133億円等により、前年度比116億円増の7,492億円となりました。経常事業支出は、東日本大震災関連の放送やテレビ放送の完全デジタル化対策強化等により、前年度比143億円増の7,310億円となりました。この結果、当期事業収支差金は、連結子会社の法人税等を控除し、前年度比184億円増の223億円となり、“増収増益”の決算となりました。
財政状態については、資産合計は、現金預金・有価証券の増等により、前年度末と比較して244億円増の1兆0,131億円となりました。また、負債合計は、放送債券償還による減等の一方で、受信料前受金等その他の流動負債の増等により、前年度末比24億円増の3,505億円となりました。純資産合計は、連結剰余金の増等により、前年度末比219億円増の6,625億円となり、自己資本比率は63.7%となりました。
最後に、連結キャッシュ・フローについては、事業活動により資金が1,013億円増加し、投資活動により722億円、財務活動により72億円それぞれ減少して、現金および現金同等物の期末残高は、前年度末から218億円増加し、1,941億円となりました。
なお、連結財務諸表についても、NHK単体の財務諸表と同様に、監査法人から「独立監査人の監査報告書」を受領しており、監査の結果「すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」との監査意見が表明されています。
以上の内容が決定すれば、本日開催の第1169回経営委員会に報告事項として提出します。
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(4)平成24年度予算総則の適用について
(経理局)
平成24年度予算総則の適用について、審議をお願いします。
予算総則は、国会の承認を受けた予算書の中で、予算の各項間の流用等、予算の執行に関するルール等を定めているものです。
24年度の予算総則については、第10条を適用し、平成23年度決算における後期繰越金の増加額183億円を将来の放送センター建て替え等の財源に充てるため、建設積立資産への繰入れを行いたいと思います。
本件が了承されれば、本日開催の第1169回経営委員会に議決事項として提出します。
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2 報告事項
(1)予算の執行状況(平成24年5月末)
(経理局)
平成24年5月末の予算の執行状況について報告します。今回の報告から、消費税抜きの額としています。
最初に、一般勘定の事業収支の全体概況を説明します。5月末の標準進捗率は、16.7%(2か月/12か月)です。
事業収入は1,120億円で、進捗率は16.7%(注)と、標準進捗率とほぼ同じ状況です。事業支出は1,029億円で、進捗率は15.9%と、全体として堅調な状況となっています。この結果、事業収支差金は90億円の黒字となっています。
事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
まず、事業収入についてです。
受信料は、4〜5月に転居世帯に対する早期の契約取次に取り組んだことなどにより堅調な状況ですが、10月より受信料の値下げを控えていることから、今後の進捗状況について十分注視していく必要があります。副次収入は、番組の二次利用展開の減などにより、低い進捗率となっています。雑収入は、前々年度以前受信料の回収額が増加しています。
続いて、事業支出についてです。
国内放送費は、全体として堅調な状況ですが、7月以降は、オリンピック・ロンドン大会関連の支出が見込まれます。契約収納費は、効率的な業務体制の構築に向けて法人委託の拡大を進めていますが、地域スタッフ数の減少に伴う手数料の減等により、やや低い進捗率となっています。
一般勘定の事業収支を前年同月と比較すると、事業収入は受信料収入の増などにより30億円の増、事業支出は退職手当・厚生費の増があるものの、国内放送費や受信対策費の減等により全体として8億円の減で、事業収支差金は39億円の増となっています。
受信料の状況については、5月末の受信料収入は1,092億円で、前年同月と比較して30億円の増となっています。その内訳は、受信料収納額が34億円の増、今後回収を予定している額が4億円の減となっています。
最後に、番組アーカイブ業務勘定の状況です。
5月は見逃し見放題契約・特選見放題契約がともに増加基調を維持していることなどから、単月の売り上げは過去最高となり、事業収入は1.9億円となりましたが、事業支出は3.4億円で、事業収支差金はマイナス1.5億円となっています。
この内容は、本日開催の第1169回経営委員会に報告します。
注: |
平成24年10月以降の受信料値下げの影響を踏まえて補正した率 |
(会 長) |
現在の予算の進捗状況について、どのように評価をしていますか。 |
(経理局) |
収入・支出ともに堅調な状況です。ただ、今後の受信料については、契約収納業務を委託している地域スタッフの数が減少しているため、法人委託への着実な業務移行について、十分注視していく必要があると思います。 |
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(2)契約・収納活動の状況(平成24年5月末)
(営業局)
平成24年5月末の契約・収納活動の状況について報告します。
まず、第1期(4月・5月)の収納額は1,044.6億円で、前年度同期を34.4億円上回りました。
前年度分回収額実績は30.1億円と、前年度同期を1.2億円上回りました。また、前々年度以前分回収額実績は6.1億円と、前年度同期とほぼ同水準となっています。
放送受信契約総数の増加状況について、第1期は、取次が63.3万件と前年度同期を5.3万件下回ったものの、減少も48.6万件と前年度同期に比べ6.8万件下回ったため、増加数は前年度同期を1.5万件上回る14.7万件となりました。
第1期の衛星契約増加については、取次が前年度同期に比べ0.2万件上回り、減少が前年度同期を2.2万件下回ったため、増加数は前年度同期を2.4万件上回る16.4万件となりました。
第1期の未収者削減については、前年度同期を0.4万件下回る3.6万件の削減となりました。その結果、5月末の未収現在数は、174.1万件となっています。
最後に、第1期の口座・クレジットカード支払の増加数は前年度同期を2.9万件上回る19.2万件となりました。
以上の内容は、本日開催の第1169回経営委員会に報告します。
(会 長) |
営業改革については、どのような進捗状況ですか。 |
(営業局) |
営業改革の重要な取り組みである契約取次業務の法人委託化を進めてきたことにより、前年同期と比べると、地域スタッフの数が670名程度少なくなっていますが、法人委託での契約総数の取次が前年度を上回る結果となりました。引き続き、法人委託化を進め、効率的な業務運営を行っていきたいと思います。 |
(会 長) |
口座・クレジット支払の増加については、どのような状況ですか。 |
(営業局) |
10月から受信料を値下げしますので、口座・クレジット支払と継続振込支払との値下げの差50円について積極的に周知を行い、口座・クレジット支払の増加につなげていきたいと思います。また、契約と同時に、口座・クレジット支払の取次を行う活動にも、引き続き取り組んでいきます。 |
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(3)関連団体事業活動審査委員会外部委員の再委嘱について
(吉国専務理事)
関連団体事業活動審査委員会は、NHKの関連団体の事業活動について、外部から意見、苦情等を受け付け、その適正性を審査するために設置しているもので、副会長を委員長とし、NHKの関係役職員と、議論の公正性を確保するため公認会計士と弁護士の2人の外部委員とで構成しています。
現在、外部委員として委嘱している、金田英成氏(公認会計士)と山下丈氏(弁護士)のいずれも、平成24年6月30日付で任期満了となることに伴い、あらためて7月1日付で再委嘱します。任期は2年間です。
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(4)日本放送協会平成23年度業務報告書の修正について
(経営企画局)
前回6月12日の理事会において審議しました「日本放送協会平成23年度業務報告書」について、一部の数値を修正するとともに、添付している資料に注釈を補記し、分かりやすくしましたので、報告します。
修正した報告書は、本日開催の第1169回経営委員会に提出します。
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以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
平成24年 7月10日
会 長 松 本 正 之
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