日本放送協会 理事会議事録  (平成23年12月13日開催分)
平成24年 1月13日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年12月13日(火) 午前9時00分〜10時20分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、大西理事、
 今井理事、塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、
 木田理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1157回経営委員会付議事項について
(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(3)平成24年度国内放送番組編成計画について
(4)平成24年度国際放送番組編成計画について

2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(2)子会社等の事業運営状況等について
(3)2011年11月「全国個人視聴率調査」「全国接触者率調査」
   「放送評価調査」結果について

議事経過

1 審議事項
(1)第1157回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 12月20日に開催される第1157回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」、審議事項として「平成24年度予算編成について」、および報告事項として「契約・収納活動の状況(平成23年11月末)」、「予算の執行状況(平成23年11月末)」、「平成23年度子会社の業績見通しについて」、「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」です。また、その他の事項として「新受信料額の設定について」と「2011年11月『全国個人視聴率調査』『全国接触者率調査』『放送評価調査』結果について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(木田理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について、審議をお願いします。
 龍井葉二氏(連合総合生活開発研究所副所長)に、平成24年1月1日付で新規委嘱したいと思います。
 なお、田島恵一委員(自治労全国一般評議会特別幹事)は、任期満了により平成23年12月31日付で退任されます。
 本件が了承されれば、12月20日開催の第1157回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

(3)平成24年度国内放送番組編成計画について
(編成局)
 平成24年度国内放送番組編成計画について、審議をお願いします。
 平成24年度国内放送番組編成計画は、平成24年度国内放送番組編集の基本計画に基づき、各波の編成計画の要点や新設番組の概要、部門別放送時間および比率と地域放送時間などをまとめたものです。
 各波の編成計画の要点については、次のとおりです。
 総合テレビジョンは、生活を支える的確な情報や、心を豊かにする番組を届けます。震災からの復興や混迷する世界経済など、直面する国内外の大きな課題を正確かつ迅速に伝えるため、平日夜間の報道および情報番組を強化します。一方、厳しい時代の中でも、心休まるひと時を過ごせるような多彩なジャンルの番組を編成します。子どもと親が一緒に視聴して楽しめる番組を充実させるとともに、視聴者参加型のクイズ番組を新設するなど、幅広い視聴者層に向けた質の高い番組を届けます。また、東日本大震災を検証し、復興を支援する番組を編成します。
 教育テレビジョン(Eテレ)は、引き続き“未来を生きる子どもたち”“明日を担う若者”を対象にした番組を強化します。特に10代を意識した番組を拡充することで、番組のブランド力を強化し一層の浸透を図ります。また、これまでの平日夜間のゾーン編成を大きく見直し、午後9時台を趣味・実用ゾーン、10時台から11時台前半までを語学・教養ゾーンに組み替えます。さらに深夜若者ゾーンを午後11時台後半からスタートさせ、新たな番組を設けるだけでなく積極的に再放送も編成し、番組の視聴機会を増やすことでEテレブランドの着実な浸透を図ります。なお、放送開始時刻の繰り下げ、放送終了時刻の繰り上げにより、さらにエコロジーに配慮した編成を行います。
 BS1は、“世界の今を伝える国際情報”、“生放送にこだわったスポーツ”、“報道の背景を深く掘り下げる番組”を中心とした編成で、独自性をより際立たせます。特にスポーツソフトは、常に視聴者の意向を踏まえた柔軟で機動的な編成を行います。また、デジタル化のメリットを最大限に活かして、スポーツ中継の延伸時のみならず、同一時間帯で複数番組を編成するなど、視聴者の利便性をさらに向上させるマルチ編成の活用を進めます。
 BSプレミアムは“本物志向の教養・娯楽チャンネル”として、多彩な分野にわたって、良質で個性的な定時番組を編成し、従来の視聴者の充足を図りながら30代から50代、とりわけ女性を中心とした視聴者の期待と関心に応えます。また、圧倒的な訴求力と話題性をもった大型企画番組やダイナミックな長時間特集を編成し、BSプレミアムの存在感を高め、視聴者層の拡大を目指します。先進的な演出方法やテーマに挑戦し、新たなテレビ文化の創造に貢献します。
 ラジオ第1放送は、いざというときに頼りになる“安心ラジオ”として、生放送中心に編成して、生命や暮らしを守るための情報を迅速に伝えます。ネットラジオを活用して、放送と通信の融合時代にふさわしい番組の開発を進めます。平成24年度は、土曜日・日曜日の夜間を大幅に刷新します。10代から20代の心に寄り添う番組を集中的に編成し、聴取者層の幅を広げます。また、平日午前に長時間の生活・文化情報番組を新設し、心豊かな暮らしづくりに貢献します。
 平成23年度に放送開始80周年を迎えたラジオ第2放送は、“生涯学習波”として、中核となっている語学番組のラインナップを見直し、学習者がより利用しやすい編成とします。また、福祉番組もEテレと連動させてリニューアルします。平成23年9月から始まったネットラジオ“らじる★らじる”関連では、高校講座、語学講座を中心にホームページを充実させ、インターネット利用者の利便性向上を図ることで、聴取者層の一層の拡大を目指します。
 FM放送は、優れた音質を生かして多彩なテーマで音楽番組を編成し、音楽とともに過ごす豊かな時間を提供します。民間放送などでも少なくなってきている“オーディオドラマ”を定時編成し、ドラマ文化の育成に貢献します。 平成24年度は、日曜日午後の時間帯を大幅に刷新します。パーソナリティーの個性を生かして、クラシックやポップスを分かりやすく紹介する番組を新設するほか、アーティストが独自の音楽観に基づいて楽曲をセレクトする番組を新設し、ドライブ中などに気軽に楽しめる番組を集中的に編成します。 NHK-FMの大きな特徴でもあるクラシック番組は、各番組の個性が明確になるように見直し、クラシックファンの期待に応えます。
 本議案が決定されれば、平成24年度国内放送番組編集の基本計画の議決にあわせて、平成24年1月17日開催の第1158回経営委員会に報告します。

(副会長)  地域放送の時間量については、どの程度となっていますか。
(編成局)  地域放送時間については、1日平均で、総合テレビが3時間程度、ラジオ第1放送が2時間30分程度となっており、23年度と同程度ですが、FM放送については、1時間20分程度で、23年度より30分ほど減少しています。これは、これまでFM放送の土曜日午後の時間帯を地域放送枠としていましたが、多くの地域放送局が東京制作の番組を受けて放送していることから、実態にあわせて全国放送枠としたことによります。
(会 長)  例えば、連続テレビ小説や大河ドラマなどの、データ放送での紹介内容が充実しているという声をよく耳にしますが、どのような方針で取り組んでいますか。
(編成局)  見どころや出演者をアピールして、多くの方に番組を見てもらえるよう工夫を凝らしています。また、EPG(電子番組ガイド)についても、できる限り早く発表し、視聴者が利用しやすいように心がけています。
(会 長)  今回の編成計画は期待が持てると思いますが、担当部局としてはどのように考えていますか。
(編成局)  これまで進めてきた視聴者層の拡大を基本に、とりわけ総合テレビについては、夜間10時台・11時台の番組の強化や、接触者率の減少・低迷傾向にある年齢層に対する番組の集中編成などを中心に計画を策定しました。これにより、しっかりと支持を広げていきたいと思います。BS2波やラジオについても、同様の考え方で取り組んでいきたいと思います。
(会 長)  原案どおり決定します。

(4)平成24年度国際放送番組編成計画について
(国際放送局)
 平成24年度国際放送番組編成計画について、審議をお願いします。
 平成24年度国際放送番組編成計画は、平成24年度国際放送の放送番組編集の基本計画に基づき、放送番組の編成に関する具体的計画事項、放送番組時刻表、各放送番組の企画趣旨、部門別分類と放送時間および編成比率、使用言語別放送時間などの必要事項をまとめたものです。
 テレビジョン国際放送の外国人向けサービス(NHKワールドTV)については、日本、アジアそして全世界に広がるNHKの取材網から最新の情報を伝えるとともに、海外の視聴者の生活時間を踏まえ、本格的な24時間英語ニュースを目指し、日本の深夜にあたる時間帯のニュースの拡充に着手します。質のさらなる充実を図るため、番組のねらいや対象とする視聴者層をより明確にしながら、内容の刷新やジャンルの充実を図ります。また、国内放送番組と素材を共有し、外国人向けに構成や演出を変えて制作する新たなスタイルの番組を新設します。さらに、東日本大震災に関連して、復興に向け歩み始めた日本各地の姿を伝えていきます。
 テレビジョン国際放送の在外邦人向けサービス(NHKワールド・プレミアム)については、1日およそ5時間、主要ニュースや情報番組を国内同時で放送し、最新の日本情報を伝えます。海外で暮らす日本人や旅行者の重要なライフラインとしての役割を果たすとともに、週末には東日本大震災から1年たった被災地を定期的に見つめその情報を伝える番組や、生産秘話からうんちくまで1つの食材をとことん極める食のバラエティー情報番組を新設します。
 ラジオ国際放送(NHKワールド・ラジオ日本)の外国人向けサービスについては、地域の実情に合わせ、英語ではより聴きやすい時間帯に放送枠を新設するほか、ウルドゥー語、スワヒリ語で中波・FM波によるサービスを充実させます。地域特性に応じてアンテナを所有する人口が多い地域に向け、英語、インドネシア語、タイ語、ビルマ語、ウルドゥー語の衛星ラジオサービスを強化します。また、音声放送をテレビで受信する衛星ラジオに文字や写真を付加する“見えるラジオ(Radio Vision)”のサービスをアラビア語に続いてフランス語で開始し、新しい聴取者の獲得を目指します。さらに、災害などの緊急時には機動的な編成に努め、最新のニュースを迅速・的確に伝えます。番組では、最先端の技術から日常の話題までを幅広く扱うIT情報や、最新のポップカルチャーなどの文化情報を多角的に伝えるコーナーを新設し、一層の充実を図ります。
 ラジオ国際放送の在外邦人向けサービスについては、独自に制作する日本語ニュースや海外安全情報に加え、国内の主要ニュース、時事番組、大相撲やプロ野球などのスポーツ中継、クラシックや歌謡曲などの音楽番組、ラジオドラマなどを国内と同時に放送し、日本の多彩な情報を伝えます。
 NHKホームページ上の「NHKワールド」のサイトについては、世界中でいつでも身近にNHK国際放送に接してもらえるよう、コンテンツと機能の魅力をさらに高めます。ニュースを中心にホームページの情報量を大幅に増やすとともに、見やすさや検索機能を向上・充実させます。各種モバイル端末へのアプリの開発と提供も積極的に進め、ネット環境があれば、世界中でいつでもどこでも接触できる「NHKワールド」を実現します。また、著作権処理の促進等によりNHKワールドTVのライブストリーミングを大幅に増やすとともに、視聴回数や視聴時間などを正確に把握し、ユーザーのニーズに応えていきます。
 本議案が決定されれば、平成24年度国際放送番組編集の基本計画の議決にあわせて、平成24年1月17日開催の第1158回経営委員会に報告します。

(会 長)  ライブストリーミング(放送と同時のインターネットへの番組配信)については、今後どのような見通しを持っていますか。
(国際放送局)  ライブストリーミングについては、現在、パソコンによる利用者が多いこともあり、今後、各種携帯端末で視聴できる環境が整えば、さらに利用者数の増加が期待できると考えています。
(今井理事)  「NHKワールドTV」におけるライブストリーミングの割合を平成24年度にどの程度増やす計画を立てていますか。
(国際放送局)  現在の「NHKワールドTV」におけるライブストリーミングの割合は約70%ですので、この割合をどの程度増加できるかについては、権利処理が大きな課題となります。事件・事故・災害に関する緊急報道など、権利処理が間に合わない場合を除いて、番組制作の段階においてしっかりと権利処理を行い、可能な限り高くなるよう取り組んでいきたいと思います。それによって、受信環境が整っていれば、視聴者にいつでもどこでも情報を提供できるようになります。
(金田専務理事)  東日本大震災以降、携帯端末から情報を得ている人が増えていますので、スマートフォンなどさまざまな携帯端末でライブストリーミングが見られるようになれば、接触者数の拡大に期待が持てると思います。
(国際放送局)  最近では、優れたアプリが開発されていますので、ライブストリーミングの割合を増やし、人々の生活に密着した情報の提供に取り組んでいきたいと思います。
(会 長)  国際放送については、よく質問されることが多いので、簡潔で分かりやすいパンフレットを作成するなど、広く周知を行ってください。
(国際放送局)   英語版の海外向けパンフレットについては、毎年作成していますが、日本語版は作成していませんので、インターネット上の広報活動も含めて、効果的な周知方法について、検討していきたいと思います。
(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(木田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について報告します。
 四国地方で今川弥生氏(株式会社ヘルシープラネット代表取締役)と村上仁士氏(徳島大学名誉教授、同大学環境防災研究センター客員教授)に、平成24年1月1日付で再委嘱します。
 九州地方の内柴正人委員(元九州看護福祉大学客員教授)は、本人の申し出により、任期途中の平成23年11月30日付で退任されました。
 本件は、12月20日開催の第1157回経営委員会に報告します。


(2)子会社等の事業運営状況等について
(関連事業局)
 関連団体運営基準(以下、「運営基準」)第15条に基づき、子会社等の事業運営状況および事前協議等の概要について報告します。
 最初に、平成23年度の子会社等の業績見通しについて報告します。
 子会社13社については、7社が減収減益で、3社が増収増益の見込みとなっています。
 売上高は、13社を単純合計すると2,410億円で、対前年度(22年度)比128億円の減収となる見込みです。このうち地上デジタル関連の送信・受信設備整備工事がほぼ終了したNHKアイテックが対前年度比122億円の減収となる見込みで、規模としてはほとんどの部分を占めています。
 売上高のうちNHKとの取引額は、単純合計すると1,340億円で前年度より91億円の減収となる見込みです。NHK以外との取引額は、単純合計すると1,069億円で、前年度より37億円の減収となる見込みです。この結果、売上高に占めるNHKとの取引比率は55.6%で、前年度より0.8ポイント減となっています。
 当期純利益は、13社の単純合計で31億円を見込んでおり、対前年度比35億円の減益となる見込みです。
 子会社の中では、テキスト等の販売不振によりNHK出版が、東日本大震災等の影響によりNHK文化センターが、ともに赤字となる見込みです。
 また、関連公益法人では、NHKサービスセンター、NHKエンジニアリングサービス、NHK放送研修センター、日本放送協会学園、NHK厚生文化事業団の5団体が、赤字となる見込みです。
 なお、関連会社で赤字となる見込みの会社はありません。
 次に、関連団体との事前協議等の概要について報告します。運営基準第11条により、関連団体は重要な新規事業を開始するなど、経営の重要事項については、事前にNHKと協議しなければならないことになっています。23年4月1日から10月31日までの間に生じた関連団体との事前協議事項は38件でした。そのうち特徴的な事項では、NHK文化センターの東日本大震災の影響による町田支社の移転があったほか、重要な新規事業として、NHKグローバルメディアサービスのスマートフォン向けの新アプリの開発とスポーツ試合結果の配信システムの構築などがありました。
 続いて、運営基準第19条に基づく、監査法人による関連団体の業務運営状況調査の実施状況について報告します。関連団体が、運営基準に基づく適正な業務運営を行っているかどうか、外部監査法人に委嘱して、24団体の調査を行っています。今年度は、「関連団体運営基準への準拠性」、「NHK取引の区分経理方針の準拠性」、「実績原価報告のサンプリング調査」の3項目について点検しており、11月末までに20団体で実施しました。24年1月中には全団体の調査が完了する予定です。「関連団体運営基準への準拠性」については、全団体の調査終了後、実施結果を理事会および経営委員会に報告し、公表します。他の2項目については、NHK取引の経理区分の精度向上と、営業利益率の適正化施策に活用します。
 最後に、運営基準第20条に基づき、外部からの意見や苦情等を受けて関連団体の事業活動の適正性を審査する、関連団体事業活動審査委員会についての報告です。今年度は、これまでに外部からの意見・苦情等の受け付け実績はありません。この期間に、同委員会は4月7日(第16回)と12月5日(第17回)の2回、会議を開催しています。
 以上の報告のうち、当期の子会社の業績見通しについては、12月20日開催の第1157回経営委員会に報告します。

(会 長)  今季の業績見通しが厳しい子会社については、先行きをどのように見ていますか。
(関連事業局)  業務体制をよりコンパクトにして収益率の回復を目指す等の施策を実施しようとしていますので、改善状況を見守りたいと思います。

(3) 2011年11月「全国個人視聴率調査」「全国接触者率調査」「放送評価調査」結果について

(放送文化研究所)
 2011(平成23)年11月に実施した、全国個人視聴率調査、全国接触者率調査、および放送評価調査の結果について報告します。
 今回の調査結果のポイントをまとめました。接触者率は、80%を経営目標としているのに対して、今回は76.7%でした。前年、2010(平成22)年同期は74.9%、前回、今年6月の調査では、76.6%でした。今回、録画再生などの放送外リーチが27.9%と、前年同期(21.2%)に比べて増加しました。個人視聴率調査では、連続テレビ小説「カーネーション」が前年の「てっぱん」を上回り好調です。放送評価調査では、NHKへの「親しみ」が54%で、目標としている50%以上の評価を維持しています。「信頼」など他の項目も、前年度平均と同水準を維持しています。
 まず、全国個人視聴率調査の結果について報告します。
 調査は11月14日月曜日から20日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人を対象に、配付回収法による24時間時刻目盛り日記式(個人単位)で実施しました。有効数は2,489人、有効率は69.1%でした。
 総合テレビでよく見られている番組は、連続テレビ小説「カーネーション」(14.6%※)、「NHKニュース7」(14.5%※)、大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」(13.0%)などです(※は各曜日の中で最も視聴率が高い曜日の数値)。
 朝の「連続テレビ小説」の視聴率について推移を見ると、総合テレビ・BSプレミアムそれぞれの本・再放送の単純合計で、前年同期の21.2%から今回は23.4%に上昇し、総合テレビ本放送のみでも、前年同期の11.8%から今回は14.1%に上昇しています。「あさイチ」については、関東(7.5%)・近畿(5.1%)とも、高い視聴率となっています。また、火曜日夜10時台・11時台のドラマについて、主な対象としている40代女性の視聴率を見ると、ドラマ10「カレ、夫、男友達」は7%(全体3.8%)、よる☆ドラ「ビターシュガー」は4%(全体1.7%)と、好調です。
 全国接触者率調査とは別に、この全国個人視聴率調査からも接触者率を出しています。総合テレビの週間接触者率は長期的に漸減傾向にありますが、今回の調査では58.9%と、前年同期(57.9%)を維持しています。男女年層別に見ると、男女ともに40代を境に接触者率に差が見られ、40代未満の接触者率の向上が課題です。
 個人視聴率調査の最後に、衛星放送、Eテレ、ラジオの概要について報告します。
 衛星放送の接触者率については、放送波が2波になった影響は見られず、3波の時と同水準を維持しています。BS1では、プロ野球日本シリーズなどスポーツ中継が、BSプレミアムでは「カーネーション」、韓国ドラマ「トンイ」などがよく見られています。Eテレは、週間接触者率が25.8%で、前々年同期(30.8%)よりも減少しています。朝の幼児・子ども向け番組はよく見られていますが、夕方6時台はやや減少しています。ラジオでは、朝6時台・7時台の番組がよく聴かれています。ラジオ第1の週間接触者率は18.6%で、前年と変わりませんでした。
 次に、全国接触者率調査の結果です。
 この調査は、「平成21〜23年度 NHK経営計画」で経営目標の1つとしているNHKへの接触者率について、3−Screensの観点から調べるものです。録画再生やインターネット、DVDやビデオなど、放送以外の媒体による接触も含めたNHKへの接触状況を測ります。番組関係の出版物やイベントへの参加は対象に含みません。今回は、11月14日月曜日から20日日曜日までの1週間、全国の7歳以上3,600人を対象に、1日単位で5分以上の視聴・利用があったかどうかを記入する方法で実施しました。有効数は2,528人、有効率は70.2%でした。
 今回、NHK全体リーチ(放送、放送外を問わず、NHKに接触した人の割合)は76.7%でした。前年11月や今年6月の調査と比べて有意差はありません。今回、放送外リーチが27.9%と、前年同期より6.7ポイント増えています。前回6月の調査でも前年同期より増えましたので、放送外リーチは、このところ着実に増えていると言えます。放送外リーチが増えたのは、録画再生(17.8%)の増加に加え、NHKの公式サイトやNHKからの提供ウェブサイト、動画配信サイトなどインターネット(8.8%)の利用増加によるものです。
 NHK全体リーチを年層別に見ると、50代〜70歳以上のリーチが引き続き高く、40代以下へのアプローチが必要な状況が続いています。放送外リーチでは、20代・30代の層が、他の世代に比べてインターネットの利用が多く、NHK携帯サイトや、動画共有サイトなどの利用の割合が高いことが特徴です。
 NHK全体リーチのうち、放送と放送外それぞれの接触を見ると、「放送のみ」のリーチが48.8%で、前年同期(53.6%)より減った一方、「放送と放送外両方」のリーチは25.8%で前年同期(19.6%)より増えています。年層別では、13〜19歳の世代で「放送外のみ」の接触が6%と比較的高い数値であることが特徴的です。
 接触者率調査の最後に、2008(平成20)年12月に開始したNHKオンデマンドサービス(NOD)の認知と利用について報告します。今回、NODを認知している割合は25.0%、利用したことがある割合は1.7%となっており、認知度は前年同期を上回っていますが、利用経験率に大きな変化はありません。
 続いて、放送評価調査の結果について報告します。
 放送評価調査は、NHKの放送に対する視聴者の評価を把握するためのもので、2007(平成19)年から年4回実施しています。今回は、11月18日金曜日から20日日曜日までの3日間、電話法(RDD追跡法)により、全国の20歳以上の男女2,452人を対象に実施し、1,599人(65.2%)から回答を得ました。
 調査では、全体評価として「信頼」、「満足」、「親しみ」、「独自性」、「社会貢献」の5項目、側面別評価として「正確・公平」、「生命・財産を守る」、「娯楽性」、「知識・教養」、「実用性」、「地域への貢献」、「文化の継承・発展」、「福祉」、「教育」、「国際理解」の10項目を掲げ、それぞれについて1点から5点で回答してもらいます。結果は、4点以上の肯定的評価があった回答の率で表わします。
 今回、全体評価・側面別評価とも、前年度平均と比較して、ほとんど同じ評価の割合となっており、安定した状況を維持しています。
 全体評価の「信頼」、「満足」、「親しみ」の評価の推移を見ると、いずれも2009(平成21)年度以降、上昇傾向にあり、「親しみ」については、過去最高値となった今年6月調査での54%を引き続き維持しています。
 「総合テレビ20時台の男女年層別視聴率(平日平均)」と「関東における週間接触者率(年層別)の長期変化」について報告します。総合テレビ20時台の男女年層別視聴率(平日平均)については、50代〜70歳以上の層が、男女ともに10年前の2001(平成13)年と比較して減少しています。また、関東における総合テレビの週間接触者率(年層別)の長期変化について、テレビを全く見ない層が広がっている低年齢層だけでなく、30〜50代の中堅層で大幅に減少しています。
 最後に、この10年の視聴時間量の推移を、男女年層別に見てみました。60代のテレビ視聴時間は、男女とも10年前と変わりませんが、民放の視聴時間が増え、NHKの視聴時間は減っています。この傾向は、70歳以上とは大きく異なっており、現在の60代、すなわち戦後生まれのいわゆる“団塊の世代”の特徴といえます。世の中の多くのトレンドを作ってきたといわれるこの世代の動きを注視していく必要があると思います。
 このように、NHKを視聴している人は年層によって傾向が異なります。これからNHKを視聴していただくためには、まず若年層が、民放も含めた“テレビ離れ”の傾向が見られるため、この層に対しては、インターネットなどで働きかけると同時に、民放と共同で何らかの取り組みをすることも考えられます。次に、30〜50代といった中堅層では、NHKを全く見ない人が増えています。この層には、ネットや新聞のラテ欄など、放送以外のツールでの働きかけが有効であると考えます。最後に60代は、視聴時間は減っていますが、相対的にNHKをよく見ていただいています。この年層に対しては、番組のお知らせスポット等を効果的に使うことが有効と思われます。

(大西理事)  NHKの視聴時間が高かった60代の数値が減少しているという調査結果は、これまでNHKを見ていただいていた年齢層の接触が縮減し、受信料の収納額にも影響が出るのではないかと厳しく受け止めており、対策を取る必要があると思います。全国接触者率調査は、現行の経営計画の経営目標の観点から調査しているものですが、今後も動向を見ていく必要があります。
(副会長)  60代でNHKの視聴時間が減少している要因について、どのように分析していますか。
(放送文化研究所)  今の団塊の世代と呼ばれる60代の方々は、以前と異なり、高齢者向けの番組よりは、むしろ40代・50代と同じようなバラエティー番組やドラマ番組を好んで見る傾向があります。それが、調査結果に現れていると分析しています。
(副会長)  20代の総合テレビの接触者率が、10年前の調査結果よりも高くなっているのは、接触者率を高める取り組みの成果が現れているのではないかと思いますが、これについては、どのように分析していますか。
(放送文化研究所)  今回の調査だけでは、要因を把握することは困難ですが、例えば、朝の時間帯などの番組が好評であることや、Eテレがインターネットの動画サイトとコラボレーションしたことなどが、具体的な成果につながっていると思います。
(大西理事)  総合テレビよりも衛星放送を好んで見ている方も多いと聞いています。また、BS1のスポーツ中継では、視聴率が10%台に達するものも出てきていますので、衛星放送についても総合テレビ並みに調査を拡大し、テレビ4波全体で接触者率を捉える必要があるのではないでしょうか。
(放送文化研究所)  全国個人視聴率調査ではBSについても調査しており、先ほどの視聴時間量はBSも含んだ数字です。なお、テレビ4波でみると、総合が圧倒的なボリュームを占めています。全国個人視聴率調査は、40年間実施している統計的に貴重な調査ですので、この調査は継続して行い、これとは別に、衛星放送に特化した調査を実施することを現在検討しています。戦略的な要素を把握する調査については、編成局と協力しながら、進めていきたいと思います。
(金田専務理事)  今の50代・60代のテレビに対する接触のしかたは、これまでの50代・60代とは異なっているように感じています。その動向について一度詳細に調査をしたほうが良いと思います。また、先ほど、インターネットの動画サイトとのコラボレーションが接触者率の向上に効果があったとの分析をしていました。新聞や雑誌などの取材記事等を含めて放送外メディアとの連携は、接触者率の向上に有効な取り組みだと思います。しかし、動画サイトとのコラボレーションは、放送外リーチにおいて効果はありますが、動画サイトを見ていた方が、必ずしもNHKの放送を見るとは限りません。インターネットと協調した取り組みは、やり方を間違えると、インターネットの接触者率が高まるのみで、放送が見られないという可能性があると思いますが、そのあたりをどのように捉えていますか。
(放送文化研究所)  インターネットとの関連性について、はっきりと見極めることが難しいのが現状です。来年、メディアの利用状況調査を行うことにしていますので、メディアをどう使い分けているのかなど、精査してみたいと思います。
(石田理事)  13歳〜19歳の接触者率については、20年前の調査から漸減傾向にありますが、現在の総合テレビでは、実際に子ども向け番組が減っていますので、当然、放送リーチでの接触者率は減少すると思います。一方で、「放送外のみ」の接触者率を見ると6%と、他の年齢層よりも高くなっていますが、これは、具体的にどのようなメディアに接触しているのですか。
(放送文化研究所)  テイーンエイジャーと呼ばれる世代のテレビへの接触者率の減少は、NHKに限らず、テレビ全体で見られる傾向となっています。特定のテレビ局に集中しているということでもなく、この年代全体がインターネットなどの他メディアへの接触が増加していますので、その結果、テレビへの接触が減っているのが現状であると見ています。
(新山理事)  放送外リーチにおいて、録画再生率がかなり伸びている結果が出ていますので、タイムシフト型のサービスについて、重視していく必要があると思います。これまでのオンエアでの放送サービスのみを調査の対象として見ていると、実際には録画を通してNHKに接触しているにもかかわらず、単に若者に見られていないという結果として、放送現場にフィードバックされてしまい、番組制作や編成を考える上で弊害も出てくる恐れがあると思います。今後は、接触者率の調査において、録画の内容についても調査するなど、精査してほしいと思います。
(放送文化研究所)  他の調査によれば、最近は生活のサイクルを朝型にシフトしている方も多く、夜間の番組を録画して朝に見るという結果も出ています。また、ティーンエイジャーを対象とした調査では、決められた時間に縛られることなく、自分の好きな時間帯に好きな番組を見たいという結果も出ていますので、タイムシフト型のテレビ視聴というスタイルが、いろんな年齢層に広がっている傾向があると思います。今年はウェブ調査を実施しましたが、来年は正式な形の世論調査を行い、そのあたりを掘り下げて調査する計画を立てたいと思います。
(会 長)  NHKは受信料制度で成り立っており、今後とも受信料制度を堅持していくためには、視聴者・国民の皆さまに、“NHKは必要であり、有用である”という意識をずっと継続して持っていただく必要があります。今回のような調査については、視聴者の生活スタイルや意識などの構造の変化を、統計的に読み解くことが非常に重要と思います。細部の事象について個別に対応するのではなく、どの年代層にとっても重要な、NHKに本来求められている事柄を正確に捉え、丁寧に応えていくことが大切ですし、それがNHKの原点だと思います。是非、そのような視点で、視聴者全体の意識動向を把握するような調査を行ってください。
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成24年 1月10日
                     会 長  松 本 正 之

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