日本放送協会 理事会議事録  (平成23年11月29日開催分)
平成23年12月16日(金)公表

<会 議 の 名 称>
理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年11月29日(火) 午前9時00分〜10時00分

<出   席   者>
松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、大西理事、
今井理事、塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、
木田理事
井原監査委員

<場         所>
放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1156回経営委員会付議事項について
(2)平成24年度国内放送番組編集の基本計画について
(3)平成24年度国際放送番組編集の基本計画について
(4)基幹放送普及計画及び基幹放送用周波数使用計画の一部変更案に
   係る意見募集について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)緊急災害報道の検証と改善
(3)予算の執行状況(平成23年10月末)
(4)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1156回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 12月6日に開催される第1156回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、審議事項として「平成24年度国内放送番組編集の基本計画について」、「平成24年度国際放送番組編集の基本計画について」、および「平成24年度収支予算編成要綱」です。また、報告事項として「予算の執行状況(平成23年10月末)」、その他の事項として「平成23年秋季交渉の結果について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)平成24年度国内放送番組編集の基本計画について
(編成局)
 平成24年度国内放送番組編集の基本計画について、審議をお願いします。
 平成23年3月、日本は東日本大震災という未曽有の大災害を経験し、多くの尊い命や、多くの方々の生活の基盤が失われました。そして、地域の復興に向けた新しい街づくりや防災体制の強化、原発事故後の放射能汚染対策など、今なお、多くの課題に直面しています。海外では、北アフリカ諸国での独裁体制が崩壊し、ギリシャの国家財政破たんの危機は、世界や日本の経済をひどく不安定なものにしています。
 一方、日本の被災地の中では、一人ひとりが自発的に助け合う優しさと前に進もうという力強さが生まれています。日本各地、世界各国から、被災地の復興を願う温かい支援も届いています。こうした中で、喜びと希望に満ちた、そして、あらゆる地域と世代の活力と潜在力を結集した日本の再生に向かい、率先してその一翼を担うべく、NHKはこれから始まる3か年の経営計画を策定しました。
 平成24年度国内放送番組の編集にあたっては、まず、国民の命や安心を守るために、放送やデジタルサービスを通して、できる限りの貢献をします。情報の提供に留まらず、被災地の方々の心を癒やし、復興を支え、日本の各地域を活性化し、元気にする放送を増やします。
 また、新たな時代を迎えた衛星放送は、今まで以上に幅広い年代、幅広い興味に応えるべく番組を多様化し、定時性を意識した編成を目指します。
 激動する世界の政治や経済の動きが、日本の国民の暮らしにどのような影響を与えるのかを深く伝え、あらゆる方々にNHKが“役に立っている”と思っていただけるよう、多様な関心に応える番組をそろえていきます。
 平成24年度はオリンピックロンドン大会の年でもあります。充実したオリンピック放送をはじめとするさまざまなサービスを通して、日本中に希望と元気をお届けします。
 編集の重点事項は、1.国民の生命と財産を守る正確で迅速な報道、2.東日本大震災を検証し、復興を支援する番組、3.幅広い視聴者層に親しまれる番組、4.新たな時代に突入した衛星放送のさらなる定着、5.世界に通用する質の高い番組、6.“放送局のちから”を深化させた地域放送の充実、7.放送と通信の融合時代にふさわしい新たなサービスの展開、8.オリンピックロンドン大会およびパラリンピック放送の実施、9.“人にやさしい”放送・サービスの拡充、以上9項目です。
 これらの重点事項の実施にあたっては、限られた経営資源を効率的・効果的に活用する制作体制を構築します。また、放送倫理やコンプライアンス意識の徹底や人材の育成に力を入れ、確かな情報と質の高い番組の提供に努めます。
 本件が了承されれば、12月6日開催の第1156回経営委員会に審議事項として提出するとともに、12月19日開催の中央放送番組審議会に諮問します。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。
 

(3)平成24年度国際放送番組編集の基本計画について
(国際放送局)
 平成24年度国際放送の放送番組編集の基本計画について、審議をお願いします。
 東日本大震災からの復興への努力と、原発事故収束への取り組みは、日本の将来を占うものとして、世界中から強い関心が寄せられています。ヨーロッパの債務危機は、広く世界経済全体に深刻な影響を与えつつあります。東日本大震災・タイの大洪水は、グローバル化したサプライ・チェーンの現実を浮き彫りにし、世界は、自国のことだけでなく、世界中のことに関心を持ち関わっていかなければ生きていけない時代を迎えています。
 新興国の勃興と世界の多極化は、経済そして安全保障の側面でも、新たな競争をもたらしつつあり、世界の相互理解、協調と調和ある発展のためにも、正しい情報の発信が重要な役割を担う時代となりました。日本が国際社会で一層信頼される地位を築くためには、日本発の国際放送の強化が不可欠です。「アジアを代表する公共放送」として、民主主義の理念のもと、しっかりとしたジャーナリズムの精神で、日本・アジアそして世界の情報を広く世界に発信することは、NHKが果たすべき使命です。
 外国人・在外邦人向けテレビ・ラジオ国際放送「NHKワールド」の東日本大震災に関する報道は、その速報性と冷静で多角的な視点が世界から高く評価されました。世界からの注目を追い風とし、平成24年度の「NHKワールド」は、復興と新生に取り組む日本の姿を積極的に詳しく世界に発信していくとともに、ニュースの強化と多様な番組を通じて、日本の今、日本の魅力、そしてアジアや世界の動向を、正確に多角的に伝えていきます。
 本件が了承されれば、12月6日開催の第1156回経営委員会に審議事項として提出するとともに、12月9日開催の国際放送番組審議会に諮問することとします。

(会 長)  この件を経営委員会に諮る際には、今後、国際放送番組審議会に諮問し、その答申を得たうえで改めて経営委員会に議決事項として提出するという手続きの順序についても、説明をしてください。
 また、本理事会の審議事項2「平成24年度国内放送番組編集の基本計画について」も、同様の手続きの順序と、中央番組審議会からの指摘や意見などを、併せて説明してください。
 原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ることとします。

(4) 基幹放送普及計画及び基幹放送用周波数使用計画の一部変更案に係る意見募集について
(経営企画局)
 総務省は、栃木県および群馬県でのNHKによる地域放送の充実の需要などを踏まえ、両県においてNHKの県域放送を実施することが適当と判断しました。それに伴い、NHKのデジタル総合テレビジョンの放送対象地域などについて、「基幹放送普及計画」および「基幹放送用周波数使用計画」の一部変更案を作成し、12月1日まで意見募集を実施しています。これに対し、NHKとしての意見を提出することとしたいので、審議をお願いします。
 提出する意見の趣旨は次のとおりです。
 NHKは、平成16年ならびに平成23年に、栃木県および群馬県から、それぞれ県域放送実現を求める要望を受けました。NHKは、こうした要望に応え、地域のニュース・生活情報を中心に防災情報やライフライン情報などもきめ細かくお伝えすることにより、公共放送としての使命を果たしていきたいと考えています。今回の変更案は、栃木県および群馬県における県域放送を実現するものであり、NHKとしては、当意見募集に対して改めて賛成の意見を提出することとしたいと思います。

(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 10月27日から11月24日までの間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。
 この期間、TPPへの交渉参加関連や原発事故関連などのニュースと、東日本大震災関連の番組や秋の新番組などを中心に、ニュース24項目、番組70本の考査を実施しました。
 考査の結果、一連のニュース・番組は、放送法、国内番組基準に照らし、「妥当」であったと判断します。
 まず、ニュースの考査結果について報告します。
 TPP・環太平洋パートナーシップ協定への参加をめぐるニュースについてです。原則として全ての関税を撤廃するTPPへの参加について、「ニュースウオッチ9」では、10月26日から28日まで、自治体や企業、および農業法人などの事情や、対立する賛成・反対の意見を幅広く伝えていました。関税が撤廃されると町民の5分の1にあたる2,000人の雇用が失われるといわれる砂糖の原料を生産している北海道芽室町の様子や、高い品質をアピールして海外の高級ブランドへの売り込みをねらう愛知県一宮市の毛織物メーカー、および賛成・反対に揺れる秋田県の兼業農家などを紹介する一方、民主党の直嶋正行元経産相と山田正彦前農相の2人に対して、論点を絞って、対立するそれぞれの主張をインタビューしていたのは、タイムリーな企画でした。
 また、野田首相はTPPについて、交渉参加に向けてアメリカなど関係国と協議に入ることを表明しました。11月11日の「NHKニュース7」では、政府・民主党三役会議は、党内の慎重意見に配慮し、直ちに交渉に参加すると表明するのではなく、「TPP交渉参加に向けて、関係国との協議に入る」という方針を決めたことを野田首相が会見して表明すると会見に先がけて伝えていました。「ニュースウオッチ9」では、玉虫色の決着だったことを説明し、野田首相は、党内の反対派を説得する努力が足りなかったと指摘していました。TPPに関して、政府・民主党内の動きや、野党、関係団体の反応を連日分厚く伝え、政府の方針が「交渉参加に向けて協議に入る」という表現になるという情報は、早くて正確なものでした。
 次に、原発事故による放射性物質で汚染された土の保管と処分に関する工程表のニュースについてです。福島県内の除染で出る土について、国は県内の仮置き場に3年ほど保管した後、中間貯蔵施設に移し、その後30年以内に県外で最終処分を完了するという工程表をまとめました。10月29日午後6時の「ニュース」では、細野環境相が福島県の佐藤知事に、除染で出る土の処分方法の工程表を説明したと伝えていました。同日の「NHKニュース7」では、自治体向けの説明会の様子を伝え、「仮置き場や中間処理の問題の解決は、住民参加がなければ無理」と述べた南相馬市の桜井市長のインタビューとともに、3年程度保管する仮置き場について、福島市の男性の「そんなのは仮置き場とは言わない。中間貯蔵施設になってしまう」という意見を紹介していました。工程表の内容と、地元自治体や住民の声などを紹介し、仮置き場や中間施設を設置する難しさを伝えていましたが、福島県以外の除染で出る土の保管についても伝えてほしいと思います。
 巨大地震によるエスカレーター落下事故のニュースについてです。東日本大震災の際、スーパーのエスカレーターが落下する事故が3件起きていたことが分かり、国は対策の検討を始めることとしました。10月26日の「NHKニュース7」では、大地震とその後の余震により、被災地にある大手スーパーで、重さ約8トンのエスカレーターが落下し、下の階のエスカレーターを押しつぶしたことを伝えていました。落下したエスカレーターは、業界団体の設置指針を満たしていましたが、想定を超える揺れが起こったため、金属板が外れて落下としたと紹介していました。翌27日の「NHKニュース おはよう日本」では、国土交通省が今回の事故を重く見て、他にも同じような事故が起きていないか確認を進めるとともに、エスカレーターの耐震対策を法令で義務づけることも視野に検討を始めることを伝えていました。独自に取材した情報によりエスカレーターの耐震対策の盲点を伝え、構造や落下した状況を、CGや専門家の意見を含めて分かりやすく説明していました。
 続いて、番組の考査結果です。
 11月6日に放送したNHKスペシャル「孤立集落 どっこい生きる」についてです。宮城県南三陸町歌津半島にある漁村の馬場中山集落は、ワカメ養殖が盛んでしたが、大震災による津波で壊滅的に破壊され、孤立した状態となりました。食べ物をがれきの中から拾い集めることから200人の避難所生活が始まりました。行政の支援が届かず、厳しい避難所生活を強いられながらも、力を合わせて、自分たちの力で、復興への挑戦を続ける人々の姿を8か月にわたり記録しました。中山地区の自治会長を中心に、孤立した集落の人々が助け合い、復興に向けて前向きに進む姿を伝えた力作でした。番組モニターからも、満足度94%という高い評価を得ました。
 11月18日に放送したNHKスペシャル「徹底討論TPP どうなる日本」についてです。野田首相が、TPPについて、交渉参加に向けて関係国との協議に入ることを表明した1週間後、政府の責任者である古川国家戦略担当大臣と山口外務副大臣も出演し、日本はTPPにどう関わるべきかについて、討論を行っていました。国論を二分しているTPPの問題を、国家戦略担当大臣に直接問いかけたことはタイムリーな企画であり、TPPと「ASEAN+6」の両方を重視しつつ、経済連携を主導しようとする政府のビジョンがうかがえました。討論に参加した専門家が持論をぶつけ合い、議論が白熱していましたが、TPPのメリットやデメリットについて、あまり話されないまま進行したため、国民生活にどう影響するのか、よく見えてきませんでした。国の将来に大きく関わる問題については、今回の番組のように、国民の知りたいという声に、時機を逃さず取り組んでほしいと思います。
 10月27日から始まった総合テレビの新番組、地球イチバン「地球でイチバン暑い場所 〜エチオピア アファール低地」についてです。“地球でイチバン○○な地”を体感し、目からうろこが落ちるような知恵を発見しようという番組です。第1回は、年間平均気温34.4度と、地球で一番暑い場所といわれるエチオピアのアファール低地を俳優の藤本隆宏さんが旅人として訪れ、過酷な土地の気候と人々の暮らしを体験していました。風景の映像だけではイメージしにくい“地球で一番過酷な暑さ”について、旅人が土地の人々の生活を実際に体験することで、実感としてよく伝わってきました。また、アファールの人々が厳しい自然の中で生きる知恵を“イチバンのチエ”として紹介し、人間と自然の関わり方を見つめ直そうという番組のメッセージがよく伝わってきました。ただ、“地球でイチバン○○な地”を体感しようという番組のため、危険を伴うロケもあると思いますので、出演者やスタッフの安全管理については、十分心がけてほしいと思います。


(2)緊急災害報道の検証と改善
(報道局)
 今回の東日本大震災に対する災害報道では、より多くの人命の救出や、被災者が必要とする情報提供に向けて、多くの教訓を得ることができました。この教訓を今後の災害報道に生かすため、報道局では、検討会を立ち上げ、東日本大震災での地震・津波災害や、原子力災害に関する緊急報道を検証し、ひとりでも多くの命を守り、広域・長期化する避難生活をおくる被災者を支えるためには、どのような放送を行っていくべきか、検討してきました。今回、検討結果をまとめましたので、主な改善内容を報告します。
 はじめに、地震・津波の緊急報道についてです。
 津波に関する緊急報道については、気象庁から入手する情報内容を見直し、沖合の潮位変化の観測データを活用することで、津波が陸地に到達する前に、より具体的に避難を呼びかけることができるようにします。また、画面表示の構成を見直し、津波の到達予想時刻・波高の情報が一層伝わりやすく、携帯端末によるワンセグ視聴でも見やすくなるようにします。
 地震発生時の緊急スーパーについては、説明を簡略化することで、各地の震度情報をこれまで以上に迅速に表示するよう改善するとともに、緊急地震速報が発表された場合は、震度の情報も全テレビ放送波でスーパーすることとします。
 避難を呼びかけるコメントについては、避難の必要性や事態の切迫性が一層伝わるよう、あいまいな表現を避け、断定調・命令調を取り入れたストレートな表現で避難を伝えることとします。
 生活情報の充実に向けては、被災地の放送局に対してニュース制作の緊急展開チームを本部から派遣し、取材・制作体制を強化することとします。また、Eテレでの生活情報の放送や、逆L字での生活情報に関する放送時間の予告を行うなど、被災者の利便性や生活に役立つ改善を行うこととします。
 続いて、原子力災害の緊急報道についてです。
 原子力災害緊急報道では、視聴者の不安の解消に最大限応えるため、内容の精度が完全に裏付けられなくても、一定の科学的根拠があり放送内容として適切と評価できる情報は、いち早く伝えていきます。また、状況が不明な場合は、「分からない」「情報がない」ということを率直に伝えます。
 さらに、正確な情報を迅速に伝えるために、ロボットカメラの無停電化と増設を進めていきます。被災地住民に向けた被ばく防止対策や避難準備などの情報については、NHK独自の呼びかけ文で積極的に伝えます。放射線量の情報については、風向きや降雨予測などとともに地図やグラフで伝えるなど、一層分かりやすい情報の提供に取り組んでいきます。事故の見方や解説は、複数の専門家の意見を紹介するなど、多角的に伝えます。

(今井理事)  東日本大震災から一定期間を経た後に、改めて災害報道に対する検証を行うことは、とても大切な取り組みだと思います。今回の報告では、テレビ報道に関する改善がまとめられていましたが、大震災のときに、被災地の多くは停電となったため、情報源はテレビではなく、ラジオが頼りとなりました。災害発生時は、テレビの音声をそのままラジオで放送しても、ある程度の情報は伝わると思いますが、画面を見るのと、ラジオから音声のみを聞くのとでは、伝わる情報量に差が生じると思います。ラジオセンターとも協力して、ラジオにおける災害報道の検証も行ってほしいと思います。
(報道局)  今回の災害報道においては、全国向けの情報発信に多くの取材・制作要員を割いたため、生活情報・地域情報がやや少なくなってしまったこともありました。被災者にとって、ラジオは重要な情報源ですので、ラジオにおける災害報道の検証を行い、必要な改善を図っていきたいと思います。
(冷水理事)  この緊急災害報道の検証と改善の報告は、現時点での検証内容を取りまとめて報告するもので、完結したものではありません。被災地で取材・制作した職員等や被災3県の放送局とも、引き続き議論を積み重ね、さらなる改善に向け取り組む必要があると思います。継続した議論の中で、ラジオにおける災害報道についても、他の放送波との関係も含め、さまざまな検証を行っていくべきと考えています。
(大西理事)  放射線測定器が全国の放送局に配備されていますが、取材・制作者の安全管理に大切な機器ですので、不具合が発生することがないよう、保守・点検については徹底をお願いします。また、取材・制作者を後方支援するロジスティックを担当する職員等についても、必要な対策をお願いします。
(報道局)  ロジスティックを担当する職員等の安全対策については、現在、放送総局を中心に取りまとめています。
(会 長)  今回の大震災の経験から、NHKの役割や、災害報道を通して新たに認識したことなどについて改めて検証し、改善を図ってほしいと思います。平成24年度から始まる次期経営計画において、ハード面については、機能強化を図る計画を策定しましたが、ソフト面である情報についても、迅速・正確はもちろんのこと、実際に役立つ情報とはどのようなものなのか、継続して、議論を積み重ねていってください。

(3)予算の執行状況(平成23年10月末)
(経理局)
 平成23年10月末の予算の執行状況について報告します。
 最初に、一般勘定の事業収支の全体概況を説明します。10月末の標準進捗率は、58.3%(7か月/12か月)です。
 事業収入は4,085億円で、進捗率は59.0%と、受信料収入を中心に標準進捗率をやや上回り、順調に推移しています。事業支出は3,896億円で、契約収納費、退職手当・厚生費、減価償却費等が標準進捗率を上回っているものの、全体としては、進捗率が56.6%と堅調に推移しています。この結果、事業収支差金は189億円の黒字となっています。
 事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
 まず、事業収入についてです。受信料は、東日本大震災やアナログ放送終了による解約等の減収の影響があるものの、地域スタッフや法人委託などによる契約・支払再開活動への一層のパワーシフトに取り組んだことなどにより、標準進捗率をやや上回っています。副次収入は、映像商品の売り上げの減や放送事業者等への番組提供の減などにより、低い進捗率となっています。財務収入は、6月に関連団体からの配当を受けたため進捗率が高くなっています。雑収入は、前々年度以前受信料の回収が順調に進んでおり、標準を大幅に上回る進捗となっています。
 続いて、事業支出についてです。
 国内放送費は、東日本大震災に伴う取材経費が増加していますが、業務を効率的に実施したことなどにより、全体としては堅調に推移しています。契約収納費は、法人委託の拡大により契約・収納体制を一層強化したことで手数料が増加し、やや高い進捗率となっています。受信対策費は、地上テレビ放送のデジタル化により新たに発生した難視聴地域やビル陰対策のための共聴施設のデジタル化に係る経費の助成件数が減少したことや、テレビ放送のデジタル化への移行が順調に進んだことなどから、低い進捗率となっています。減価償却費は、アナログ放送設備の耐用年数の変更等に伴う増加により、やや高い進捗率となっています。
 一般勘定の事業収支を前年同月と比較すると、事業収入は受信料収入の増などにより99億円の増、事業支出はテレビ放送のデジタル移行に対応するための経費などにより97億円の増で、事業収支差金は1億円の改善となっています。
 受信料の状況については、10月末の受信料収入は3,924億円で、前年同月と比較して80億円の増、そのうち受信料収納額が68億円の増、回収予定額が11億円の増となっており、順調に推移しています。
 最後に、番組アーカイブ業務勘定の状況です。
 10月は見逃し見放題契約・特選見放題契約がともに増加基調を維持していることなどから、単月の売り上げとしては、過去最高を更新した9月と並ぶ視聴料収入となりましたが、事業収入は5.6億円、事業支出は12.7億円で、事業収支差金はマイナス7.0億円となり、事業収入の進捗率は45.1%にとどまっています。
 この内容は、12月6日開催の第1156回経営委員会に報告します。

(会 長)  総括すると、どのような状況であると分析していますか。
(経理局)  今のところ堅調に推移していますが、決算は、今後のアナログ放送終了による受信契約の廃止などの状況によります。
(大西理事)  アナログ放送終了などによる受信契約の廃止への影響は、今後とも注視していきたいと思います。

(4)放送番組審議会議事録(資料)
編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成23年10月開催分の議事録についての報告(注)。

注: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年12月13日
                     会 長  松 本 正 之

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