日本放送協会 理事会議事録  (平成23年 9月 6日開催分)
平成23年 9月22日(木)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年 9月 6日(火) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、大西理事、
 今井理事、塚田理事、吉国理事、冷水理事、新山理事、石田理事、
 木田理事
 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1150回経営委員会付議事項について
(2)「周波数オークション制度の導入に関する中間論点整理」に対する
   意見の提出について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)予算の執行状況(平成23年7月末)

議事経過

1 審議事項
(1)第1150回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 9月13日に開催される第1150回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、審議事項として「次期経営計画について」です。また、報告事項として「平成23年度後半期の国内放送番組の編成について」、「平成23年度後半期の国際放送番組の編成について」、「契約・収納活動の状況(平成23年7月末)」、および「予算の執行状況(平成23年7月末)」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)

「周波数オークション制度の導入に関する中間論点整理」に対する意見の提出について

(技術局)
 周波数オークション制度は、電波の特定の周波数に関わる免許人の選定に関し、競売を実施し、最高価額を入札した者を有資格者とする制度です。総務省は、この制度の導入に関して今年3月に「周波数オークションに関する懇談会」を設置して検討を続けていますが、今回、これまでの検討結果等を踏まえて「周波数オークション制度の導入に関する中間論点整理」を取りまとめて公表し、今後の検討に資する観点から意見募集を行っています。
 NHKは、これまで「懇談会」のヒアリングを通して、「NHKは放送法で定められた業務を実施する公共放送事業体であることから、その業務の遂行のためには放送周波数の安定的かつ継続的な使用の保障・担保が当然の前提であり、放送用周波数および業務用周波数はオークション制度になじまない」旨を述べてきました。
 今回の意見募集にあたっては、それを踏まえたうえで、改めて「中間論点整理」の中のNHKに関わる主な論点について、放送用周波数(業務用を含む)を使用する立場や、長年にわたり無線局運用の経験・実績を有する立場、および他の無線システムのユーザーとしての立場から検討し、懸念される事項について意見・要望を提出したいと思います。
 NHKに関わる主な論点は4点ありました。

(1) 制度導入の主目的としては、電波の有効利用の推進および免許手続きの透明性・迅速性の確保が位置づけられるとし、さらに、その導入により国の財政収入の増加や、新規参入・競争の促進などにつながることが期待されるとしています。

(2) オークションの対象範囲について、対象となる無線システムの中で、同一の周波数を共用できるものや防災無線のように特定の者が利用することを前提としているものは、対象としてなじまないのではないかとしています。また、社会的影響や効用が大きいものについては、入札金額の多寡のみによって判断することは適当ではないのではないかとしています。例えば、放送は、特別な社会的影響力を有する情報発信手段であり、さまざまな社会的役割を果たすことにより、豊かな国民生活、活力ある社会、地域の文化の維持発展などに寄与することが求められているとして、適当ではないものの例として挙げています。しかし一方で、アメリカ・イギリスにおいては、放送を対象としたオークションを実施した事例があることから、多面的な検討が必要であるとしています。
 また、人工衛星の無線局をオークションの対象とすることについては、国際的な権益や、諸外国にほとんど事例がないことを踏まえて検討が必要としています。

(3) オークション落札者の地位について、落札者は、払込金を支払うことにより当該オークションの対象周波数を使用する無線局の免許を排他的に申請できる法的地位を得るとしています。また、落札者が無線局を開設する場合も、審査を受け、混信等のおそれがないと判断されることによってはじめて、個別の無線局の開設が可能となることが適当としています。

(4) 落札額の高騰防止について、周波数オークションを実施している諸外国において、実績が積み重ねられてきた近年ではあまり高騰の例は見られないとの指摘はあるものの、高騰による資金不足等の結果として、十分な設備投資が行われず、エリアカバー率やサービス品質が低下することや、利用者料金に転嫁されるなどの問題が生じる可能性は否定できないとしています。また、自ら無線局を開設して事業を営む意思がなく、転売等を目的とした投機的な入札をどのように扱うかも含めて、制度設計の中で適切な対策を検討することが必要としています。
これらの論点について、NHKとして以下の趣旨の意見を提出したいと思います。

 (1)の制度導入の主目的については、オークション制度を導入するのであれば、その導入目的は、制度全体を規律する極めて重要な点だと考えます。電波の有効利用の推進および免許手続きの透明性・迅速性の確保をその基本的な目的とすることは、適当と考えます。この基本的な目的が適切・確実に確保されるような制度設計を要望します。
 また、その観点から、財政収入の増加、新規参入・競争の促進などについては、この基本的な目的の遂行の結果もたらされ得る、あくまでも反射的・派生的なものとすべきであり、特に国の財政収入への寄与に対する期待などによって制度の趣旨や運用がゆがむことに対して懸念を表明します。
 (2)のオークションの対象範囲については、周波数オークション制度を導入するのであれば、対象となる無線システムは一定の範囲に限定されるものとすることは、適当と考えます。また、NHKは、放送法により設立された唯一の公共放送としての使命を有しており、公共放送としての責務を果たすためには、放送に不可欠な業務用(伝送用)周波数を含め、必要な周波数の安定的かつ継続的な使用が保証・担保されることが当然の前提であると考えます。諸外国の先行事例の検討は重要ではあるものの、国により文化・制度等が異なることも踏まえたうえで、NHKの役割・位置づけへの十分な配意を要望します。
 人工衛星の無線局については、国際的な権益等の特殊性があることから、オークションの対象外とすることが適当と考えます。
 (3)のオークション落札者の地位については、周波数オークション制度を導入するのであれば、混信防止など無線局の免許人が共通して負うべき要件等を担保するという観点や、転売を目的とした投機的入札に対し何らかの対応が必要であるとの観点から、落札者は免許を排他的に申請できる法的地位を得るものであって、審査を受けてはじめて個別の無線局の開設が可能となるという考え方は、適当と考えます。
 (4)の落札額の高騰防止については、オークションである以上は落札額が高騰しないという保証はなく、高騰の結果、それが価格に大きく転嫁されることや、サービスを開始できない、十分な設備投資ができないなど、国民や利用者に不利益が生じることがあってはなりません。周波数オークション制度を導入するのであれば、高騰防止のための適切な対策は、必要と考えます。
 全体を通して、周波数オークション制度を検討するうえで、諸外国の先行事例を研究することは非常に重要だと考えます。それも踏まえ、それぞれの国の文化・歴史・制度・社会環境などにも十分配慮のうえ、一つ一つの論点を検討し、電波が国民共有の希少な資源であり、国民全体のために活用することが必要であるという基本を常に見据えつつ、日本社会にふさわしい先進的な結論を取りまとめられるよう要望します。
 以上の内容が決定されれば、9月12日までにNHKの意見を総務省に提出します。

(会 長)  諸外国の例として、イギリスでは周波数オークション制度に対してどのような対応を取っていますか。
(技術局)  イギリスでは、オークション制度は導入されていますが、放送はその対象外となっています。
(冷水理事)  諸外国では、周波数オークションの入札金額はどのくらいになっていますか。
(技術局)  帯域によっても異なりますが、PCS(北米の携帯電話サービス)では1兆円を超える額で落札された例もあり、数千億円単位に上るケースが多いようです。2008年にアメリカで、携帯電話ではプレミアムバンドと言われている700MHz帯のオークションが行われた際の落札額は、約1兆8,400億円でした。
(会 長)  それだけ高額で落札しても、経営が成り立っているのですか。
(技術局)  高額でも経営が成り立つという判断で入札するわけですが、中には倒産し撤退した通信会社もあります。オークションの価格が高騰しても、それに見合うほどのメリットは得られないのではないかという見方もされています。
(会 長)  全体を通しての要望の中で、前段では「諸外国の先行事例を研究することは非常に重要だと考えます。それも踏まえ」と述べながら、結論では、「日本社会にふさわしい先進的な結論を取りまとめられるよう要望します」としているのは、矛盾とも受け取られかねません。前段のところは「諸外国の先行事例を研究することは重要ではあるものの」といった表現に替えるなど、要望の主旨が明確に伝わるようにしてください。
(技術局)  諸外国の先行事例が必ずしも成功している訳ではないので、慎重な事例の研究が必要であるとの意味合いも含め、「諸外国の先行事例を研究するにあたっては、課題や、それぞれの国の文化的背景・社会環境などの違いを十分考慮することも必要と考えます」という表現に修正します。
(会 長)  原案を修正のうえ、決定します。

2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 7月28日から8月31日までの期間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。
 この期間、野田新首相誕生、新潟・福島豪雨、川下りの舟の転覆事故などのニュースと、東日本大震災関連、原爆の日・終戦の日関連の番組などを中心に、ニュース18項目、番組76本の考査を実施しました。
 考査の結果、一連のニュース・番組は、放送法・国内番組基準の観点から「妥当」であったと判断します。
 まず、ニュースの考査結果について報告します。
 野田佳彦新首相の誕生に関するニュースです。今回の民主党の代表選は、8月27日告示、29日投票という短期決戦でしたが、各段階で、迅速で的確な報道がなされていました。しかし、決選投票の際、馬淵澄夫候補の陣営の対応について情報が間違っていたのは遺憾でした。
 代表選の前半のポイントは、小沢一郎元代表の動向でした。小沢元代表が海江田万里候補を支持すると表明したことについては、8月26日午後6時37分、他の報道各社に先んじてスーパーで速報していました。8月28日の「NHKニュース おはよう日本」では、海江田氏が100人あまりの支持を集めて先行し、野田氏が60人あまり、前原誠司氏が50人前後、鹿野道彦氏が30人あまりの支持を固め、馬淵氏は推薦人20人からの上積みを目指していると伝えるなど、最終盤での情勢報告も的確でした。
 8月29日の決選投票の結果も、選管発表の前にスーパーで速報していました。また、その後の党役員人事について、人事のねらいや背景、今後の課題を伝えた記者報告も分かりやすいものでした。
 次に、新潟・福島を襲った豪雨のニュースです。7月下旬に新潟県と福島県で記録的な豪雨となり、一時、41万人に避難勧告・避難指示が出ました。7月29日の午後から、ニュース枠を拡大・特設するなど、豪雨の最新情報を伝え続けていました。「ニュースウオッチ9」では、社会部の災害担当デスクが、夜間に避難する際の注意点を具体的に紹介していました。7月30日午後11時31分から、正午の「ニュース」を挟んで50分間にわたり、信濃川上空からヘリコプターによる映像を中継し、橋が途中で冠水している様子などを具体的な地名や橋の名前を紹介しながら伝えていました。また、ヘリコプターの映像を見ながら伝えられた河川事務所の副所長の話は、堤防の破損箇所の修理作業についての説明もあり、安心情報としての役割も果たしていました。
 川下りの舟の転覆についてのニュースです。静岡県浜松市の天竜川で、川下りの舟が岩の壁に衝突して転覆し、救命胴衣などの着用が徹底されていない中、2歳の子どもを含む5人が死亡しました。8月17日午後3時に「静岡・天竜川の川下りで船転覆 約10人が流された」とスーパーで速報した後、3時12分から3分間の「ニュース」を特設して、いち早くヘリコプターの映像で、救助現場の様子を中継していました。事故の翌日の「ニュース」で、小型船舶の場合は、12歳未満の子どもには救命胴衣を着用させることが法律で義務づけられていることを伝えていましたが、もっと早く正確に伝えるべき基本情報でした。
 続いて、番組の考査結果です。
 8月6日放送のNHKスペシャル「原爆投下〜活(い)かされなかった極秘情報」では、これまで原爆投下は日本にとって想定外の奇襲攻撃とされてきましたが、日本の諜報部隊が事前に情報を入手していた事実に迫りました。記録を掘り起こし、証言を丁寧に積み重ねることで、諜報部隊が原爆投下に関わる情報を事前に入手していたことを初めて明らかにした、広島放送局の力作です。情報を生かしていれば、被害を縮小できた可能性があったことも分かりました。事実を直視せず、楽観的観測で根拠のない判断を繰り返した指導者たちを通して、日本の組織風土の根源的欠陥について考えさせられました。
 次に、NHKスペシャル シリーズ「日本新生」についてです。8月25日放送の第1回「どう選ぶ?わたしたちのエネルギー」では、海外の事例を紹介しながら、識者とともに日本のエネルギー問題を考えました。今後、日本が安全なエネルギーへの移行を進めるうえでの課題を、海外の事例も交え、整理して伝えていました。8月27日放送の「市民討論 どう選ぶ?わたしたちのエネルギー」では、市民を交え、日本のエネルギー問題とその未来を、長時間生放送で討論していました。議論のテーマを絞り込み、対立する考え方を示してから討論を進める構成が分かりやすく、参加者の生活実感に即した意見が交わされていました。新シリーズ「日本新生」は、東日本大震災からの復興を進め、日本が新たに生まれ変わるために何が必要なのかを考えるものとして期待されますが、シリーズ開始にあたりシリーズ全体の構造を示さなかったのは、視聴者に対して不親切だったのではないかと思います。
 続いて、双方向の視聴者参加型の開発番組2本についてです。
 8月6日(5日深夜)午前0時15分から総合テレビで放送した「双方向クイズ 天下統一」は、視聴者が、データ放送・ワンセグ放送・携帯電話でスタジオの8組のタレントから“領主”を選び、その軍勢として陣取り合戦に参加するクイズ番組です。データ放送とワンセグ放送では、放送の5日前からコンテンツを公開し、事前登録や予習クイズなど行うことができるようにしていました。地上波のデジタル化によって可能となった大規模な視聴者参加型の番組ですが、当日の放送では、データ放送への案内や、ゲームのルールの説明などがありませんでした。双方向番組の楽しみ方を伝える親切な演出が欲しかったと思います。
 総合テレビ8月20日放送の「ほっかいどう穴場ハンター」は、ホームページへの投稿やツイッターで寄せられる情報を手がかりに、北海道の穴場を訪ねる視聴者参加型の双方向番組です。これまで北海道地方向けに放送されていましたが、今回初めて全国で放送したものです。視聴者からの情報で目的地を決めたり、ツイッターのつぶやきにこまめに反応したり、生放送中に意向調査をするなど、視聴者が参加感を味わえる工夫が二重三重に凝らされていました。双方向番組としての仕組みがシンプルで、楽しく仕上がっていたと思います。


(2)予算の執行状況(平成23年7月末)
(経理局)
 平成23年7月末の予算の執行状況について報告します。
 最初に、一般勘定の事業収支の全体概況を説明します。7月末の標準進捗率は、33.3%(4か月/12か月)です。
 事業収入は2,333億円で、進捗率は33.7%と、受信料収入を中心に標準進捗率をやや上回り、順調に推移しています。事業支出は2,195億円で、契約収納費、退職手当・厚生費が標準進捗率を若干上回っているものの、全体としては、進捗率は31.9%と堅調に推移しています。この結果、事業収支差金は138億円の黒字となっています。
 事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
 まず、事業収入についてです。受信料は、東日本大震災による減収の影響があるものの、地域スタッフや法人委託などによる契約・支払再開活動への一層のパワーシフトに取り組んだことや、移動世帯の早期契約化に取り組んだことなどにより、標準進捗率をやや上回っています。副次収入は、映像商品の売り上げの減や出版不況などで番組テキスト関連の展開が進んでいないことから、低い進捗率となっています。財務収入は、6月に関連団体からの配当を受けたため進捗率が高くなっています。雑収入は、前々年度以前受信料の回収が順調に進んでおり、標準を大幅に上回る進捗となっています。特別収入は、7月に横浜旧放送会館の土地・建物の売却益がありました。また、8月には鹿児島旧放送会館の土地の売却益を計上する見込みです。
 続いて、事業支出についてです。
 国内放送費は、東日本大震災に伴う取材経費が増加していますが、業務を効率的に実施したことなどにより、全体としては堅調に推移しています。契約収納費は、契約・収納体制の強化や移動期における取次数の増加により、地域スタッフなどの手数料が増加し、やや高い進捗率となっています。受信対策費は、地上テレビ放送のデジタル化により新たに発生した難視聴地域やビル陰対策のための共聴施設のデジタル化に係る経費助成の決定に一定の期間を要することや助成件数の減などにより、低い進捗率となっています。今後は、電話相談などアナログ放送終了対応経費の支出が見込まれます。退職手当・厚生費は、22年度における年金資産運用結果の悪化により退職給付費が増加し、やや高い進捗率となっています。
 一般勘定の事業収支を前年同月と比較すると、事業収入は受信料収入の増などにより57億円の増、事業支出は15億円の増で、事業収支差金は42億円の増となっています。
 受信料の状況については、7月末の受信料収入は2,236億円で、前年同月と比較して56億円の増、そのうち受信料収納額は、前年同月比で42億円の増となり、順調に推移しています。
 最後に、番組アーカイブ業務勘定の状況です。
 7月は見逃し見放題契約・特選見放題契約がともに増加基調を維持していることなどから、売り上げは過去最高を更新しましたが、事業収入は2.9億円、事業支出は7.1億円で、事業収支差金はマイナス4.2億円となり、事業収入の進捗率は23.3%にとどまっています。
 この内容は、9月13日開催の第1150回経営委員会に報告します。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年 9月20日
                     会 長  松 本 正 之

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