(大西理事) |
放送外リーチが上がっているということですが、IPTVでの番組配信は下がっています。一方、NHKホームページへの接触は横ばいとなっていますが、これについてどういう分析をしていますか。 |
(放送文化研究所) |
専門家からすると、これは統計的に有意な差と認められるものではないとのことです。その変化に一喜一憂するようなものではありません。 |
(副会長) |
衛星放送の受信者が50.8%とのことですが、3つあった放送波を2波化したことによる影響はなかったということですか。 |
(放送文化研究所) |
50.8%という数字は、「衛星放送を見ている」という回答者の割合ではなく、衛星放送が受信可能な回答者の割合です。ただ、今回、衛星放送の接触者率について見ると、3波から2波になっても、変わらずに見られているという状況です。BS1、BSプレミアムの目玉となる番組についても、よく見られており、堅調な滑り出しを見せています。 |
(大西理事) |
今は地上波と衛星放送を合わせたテレビ4波それぞれの性格を明確にして、全体で接触者率を向上させようとしていますので、総合テレビの接触者率だけを切り出して見ていくということは変えていかなければならないのではないでしょうか。 |
(放送文化研究所) |
総合テレビは他の放送波に比べて、視聴されるボリュームが圧倒的に大きいため、視聴者の動向を調査していくうえで、今でも最重要であると考え、従来同様の調査を行っています。 |
(会 長) |
この結果について、番組を作る側としてはどのように見ますか。 |
(新山理事) |
40代の全体リーチは今回71%となっていますが、過去の全体リーチは分かりますか。 |
(放送文化研究所) |
前年の6月が67%、同じく11月が70%となっています。 |
(新山理事) |
いきなり若年層の支持を獲得することは、放送現場としても難しい問題です。やはり高齢層の支持を確実に維持することも大切だと思います。また、40代、50代の方に、もう少し見ていただけるようにしたいと考えます。年層別リーチについては過去のデータも併せて提出してほしいと思います。 |
(冷水理事) |
放送外リーチの中で見ると、比率としては低いのですが、インターネット系の伸び率が上がっています。インターネット全体で、2007年11月では3.4%だったリーチが、今回9.2%まで伸びていることに注目すべきだと思います。また、放送は視聴しないけれども、インターネットのみで接触するという10〜30代のリーチがかなり無視できないほど伸びてきていますので、これらをしっかり取り込んでいかなければならないと思います。 |
(今井理事) |
総合テレビの週間接触者率(男女年層別)の推移を見ると、20〜40代の女性が、10年後に30〜50代になったときに接触者率が下がっており、男性も20代・40代が10年後に30代・50代になると女性と同じように接触者率が下がっています。しかし、男性の30代が10年後に40代になると接触者率が上がっていますが、これについて、どのように分析していますか。 |
(放送文化研究所) |
男性の30代から40代への変化は、どのような要因があるのかはっきりとは分かりません。ただ、大河ドラマ「江」が、40代に支持の広がりを見せている傾向があります。 |
(副会長) |
金曜日夜間の地域放送番組はどのような状況になっていますか。 |
(放送文化研究所) |
金曜日夜間の地域放送時間帯の接触者率は6.2%となっています。 |
(永井技師長) |
やはり、調査の結果、接触者率が有意に伸びているところについて、その要因を分析することが必要なのではないでしょうか。 |
(放送文化研究所) |
そのとおりだと思います。例えば今回、20代・30代でインターネットを通じたリーチが高くなったことは、これらの層の支持を獲得するのに有効な手段がはっきり分かったと言えますので、よかったのではないかと思います。 |
(塚田理事) |
携帯端末についても、スマートフォンなどではいろいろなサービスが展開されていますから、これらについても、今後の若い世代を取り込むための有効なツールになるのではないかと感じています。そのあたりはどう分析していますか。 |
(放送文化研究所) |
今回の調査では、そこまでは分析できませんので、もう少しそれに特化した調査を、現場のニーズに応じて、行っていきたいと思います。 |
(会 長) |
これらの調査は、番組を開発・編成していくうえで、放送現場のニーズに応えて活用できるものになっているのでしょうか。 |
(放送文化研究所) |
全国個人視聴率調査は、40年間継続しています。それに2007年から全国接触者率調査と放送評価調査という2つの調査が加わりました。いずれも放送現場の意向を加味しながら行っています。さらに、放送現場からの要請に応じ、現状のデータをすぐに番組の改善に反映できる調査、中長期的な傾向を調べて編成戦略に反映できる調査、全国個人視聴率調査のように定型で定点観測していくような調査など、さまざまな調査がありますので、それらを仕分けしながら、放送現場で活用してもらいたいと思います。 |
(会 長) |
40年間も続けている調査は、そのまま継続すべきだと思いますが、例えば、放送現場が本当に必要なデータを放送文化研究所に要求して実施するような、現場のニーズに合致する調査が必要ではないかと思います。 |
(木田理事) |
放送総局では、外部の世帯視聴率等の調査データを毎日入手して、番組のブラッシュアップや編成の見直しの参考としています。これらは、今回報告された放送文化研究所の調査とは性質が異なるものです。こうしたさまざまな調査を併用し、結果を総合的に判断して、放送に反映させている状況です。 |
(石田理事) |
地域放送局でも、地域編成の改定の際に編成局等と連携し、新番組についてのグループインタビューやアンケート調査などを実施して、番組の品質向上につなげることがあります。 |
(会 長) |
そうした調査と放送文化研究所の調査を併せて行えば、もっと効果的なデータが得られるのではないかと思います。 |
(金田専務理事) |
編成局の調査と放送文化研究所の調査のすみ分けについては、今後検討すべき課題があると思いますが、例えば、個別番組の視聴状況の調査などは、その目的に沿った調査方法がありますので、放送文化研究所の調査とは違った手法になると思います。 |
(会 長) |
いずれにしても各種の調査の連携が必要ではありませんか。現在、編成している番組がどのように見られているかというデータも必要な一方で、子どもの頃に教育テレビの番組を見ていた人が、大人になったらNHKを見なくなったというような、長年の動向も見ていかなければなりません。 |
(放送文化研究所) |
子ども向け番組を見る世代と、中高年の視聴者層の間にいる世代の接触者率が厳しい状況なのですが、その分析と対策は大きな課題だと認識しています。 |
(副会長) |
やはりまだ、NHKに接触する層の特徴が完全には解明されていないのではないかと思います。また、インターネットなどを接触者率向上のツールとしていくという戦略をとるならば、その方向性をしっかりと考えていかなければならないと思います。「仕事ハッケン伝」や、「ディープピープル」、「タイムスクープハンター」などの新しいスタイルの番組は放送しているものの、必ずしも視聴者層の広がりが見受けられません。そこを広げていくものは何なのかを探していかなければならないと思います。 |
(会 長) |
視聴者のニーズを番組に生かすため、どのようなデータを取るかということが大切です。編成局などで独自に調査することも必要ですが、放送現場が必要とするデータを放送文化研究所に伝えて、連携して調査を行うことも重要です。それによって放送文化研究所も現在の調査のあり方でよいのかということが分かるのではないでしょうか。今回の調査についても、いろいろな議論がありましたが、接触者率の目標達成に向けてどのようなデータが必要なのか、総合的に検討してください。 |
(木田理事) |
検討していきます。 |