日本放送協会 理事会議事録  (平成23年 4月19日開催分)
平成23年 5月13日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年 4月19日(火) 午前9時00分〜9時45分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1142回経営委員会付議事項について
(2)国際放送番組審議会委員の委嘱について
(3)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(4)ラジオ・FM中継放送局の設置計画について
(5)視聴者対応報告(平成23年2月・3月)について

2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成23年2・3月)
(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(3)テレビジョン中継放送局の廃局について
(4)「平成21年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について


議事経過

1 審議事項
(1)第1142回経営委員会付議事項について
(経営企画局)
 4月26日に開催される第1142回経営委員会に付議する事項について、審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「日本放送協会定款の変更について」、「国際放送番組審議会委員の委嘱について」、「地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について」、および「ラジオ・FM中継放送局の設置計画について」です。また、報告事項として「地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について」、「テレビジョン中継放送局の廃局について」、「平成22年度契約・収納活動結果」、「平成22年度収支決算の速報」、「平成22年度第4四半期業務報告」、「視聴者対応報告(平成23年2月・3月)について」、「『平成21年度業務報告書』に付する総務大臣の意見について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)国際放送番組審議会委員の委嘱について
(今井 理事)
 国際放送番組審議会委員の委嘱について、審議をお願いします。
 今井克氏(株式会社全国新聞ネット代表取締役社長)に、平成23年5月1日付で再委嘱したいと思います。
 本件が了承されれば、4月26日開催の第1142回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

(3)地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について
(永井技師長)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の設置計画について、審議をお願いします。
 設置に向けての諸条件が整った、8都県の9地区(注1)に、地上デジタルテレビジョン中継放送局(総合・教育7地区、総合のみ1地区、教育のみ1地区)を設置したいと考えます。9地区のうち、志摩地区はデジタル混信対策地域、その他の8地区はデジタル移行に伴う新たな難視聴対策地域となります。いずれも平成23年度に開局する予定です。
 今回の整備に要する経費はおよそ3.2億円を見込んでいますが、既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めます。
 この計画が了承されれば、4月26日開催の第1142回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  東日本大震災により、設置計画を変更するなどの影響は出ていますか?
(永井技師長)  今後の設置計画には影響はありませんが、すでに開局をした中継放送局の一部で、設備の流失がありました。そのため、仮復旧を図ったうえ、今後の対策を検討しています。
(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

 注1:

地上デジタルテレビジョン中継放送局を設置する地区
〈青森〉脇野沢、〈秋田〉五里合、〈東京〉小仏城山、〈神奈川〉小田原東、〈三重〉志摩(教育のみ)、〈和歌山〉紀ノ川橋本(総合のみ)、〈愛媛〉伊予青島、〈鹿児島〉指宿十町、名瀬大熊


(4)ラジオ・FM中継放送局の設置計画について
(永井技師長)
 ラジオ・FM中継放送局の設置計画について、審議をお願いします。
 ラジオ放送の夜間における外国電波混信の改善を図るため、高知県の早明浦地区に、ラジオ中継放送局を設置したいと考えます。平成24年3月に開局する予定です。この計画により、約3千世帯が夜間の外国電波混信から改善されます。
 また、沖縄県で、既設のFM中継放送局を、台風等の自然災害の影響が少ない土地に移転することに伴い、電波が届かなくなる川平地区と多良間地区に、FM中継放送局を設置することとしたいと考えます。いずれも23年度中に開局する予定です。
 この計画が了承されれば、4月26日開催の第1142回経営委員会に議決事項として提出します。

(会 長)  原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

(5)視聴者対応報告(平成23年2月・3月)について
(視聴者事業局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成23年2月・3月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、4月26日開催の第1142回経営委員会に報告したいと思います。
 今回は、特に、東日本大震災に関わる視聴者対応を中心に報告します。
 3月11日の震災発生から18日までの1週間、総合テレビ、衛星第1、ラジオ第1では、24時間体制で震災関連のニュース・番組を放送し続けました。教育テレビ、衛星第2では、被災者の安否情報や避難所ごとの「避難者名簿」の放送も行い、インターネットでも検索ができるようにしました。また、総合テレビ、ラジオ第1などでは、インターネットでの同時再送信(ライブストリーミング)も実施しました。
 震災発生から3月31日までにNHKに寄せられた震災関連の視聴者の声の総数は、6万2,324件でした。発生後1週間は、連日3,000件を超える反響が寄せられ、16日には、1日に6,000件を上回りました。受付窓口別で見ると、電話が73%、インターネットが23%と、メールで寄せられる声の割合が通常より高くなりました。これは、震災直後は、電話がつながりにくくなったためと考えられます。また、寄せられた声をキーワードで分類した結果、最も多かったのは“番組予定の問い合わせや要望など”でした。震災報道で年度末から新年度にかけての番組編成が大きく変わったこともあって、3万2,000件余りに上りました。次いで“原発”に関する反響が、およそ2万件となっています。また、“計画停電”には、約6,000件の声があり、このうち実施初日の14日には1,500件を超える声が寄せられました。
 震災報道全般に対する視聴者からの意見では、「原発についての解説がとてもわかりやすい」、「被災した方々に寄り添う番組内容が本当にありがたい」といった好評意見が寄せられた一方で、「内陸部の情報が少なすぎて、見捨てられている気さえする」、「原発のことばかりではなく被災地の状況をもっと放送してほしい」などという意見がありました。
 今回の震災では、通信手段や交通手段が断たれ、また、警察・消防や地元自治体への連絡が困難なケースがあり、被災者自身や被災者の状況を知った関係者から、直接NHKに多くの情報提供や具体的な救援要請などが寄せられました。こうした情報は、報道局や現地の地域放送局に連絡し、ニュースの中で伝えました。また、「ニュースウオッチ9」では、被災地の実情を訴えるメールやファックスをスタジオに張り出し、食料やガソリン不足など具体的な支援を求める声を紹介しました。さらに、総合テレビでは、21日から、「被災者 いま訴えたいこと」の放送を始めました。避難所で暮らす方々の肉声の訴えに、「とても感動したのでもう一度見たい」、「親友がインタビューに映った。うれしくて涙が止まらない」といった声が寄せられました。同様に、ミニ番組の「歌でつなごう−被災者のみなさんへ−」にも、「感動した」などの声が寄せられました。そのほか、14日から始まった計画停電に対する意見も多く、特に、節電に関しては、番組を放送するスタジオの照明や暖房についての意見が目立ちました。こうした声を受けて、「あさイチ」では、15日の放送から、スタジオ内の照明を落とし、さらに回転灯などの電力を消費する機器を停止させました。また、空調も最低限にし、出演者にも“寒さ対策”をしてもらいました。
 教育テレビとFMでは、震災発生当日の午後6時45分から「安否情報」の放送を始めました。これに合わせ、通常の問い合わせ窓口である“NHKふれあいセンター”とは別に、放送センター内に“安否情報への問い合わせ専用窓口”を設置し、当日夜から電話での受け付けを始めました。16日午後9時からは、避難所ごとの「避難者名簿」の放送も始めました。この名簿についての問い合わせも、専用窓口で受け付けました。安否情報は18日に、避難者名簿の情報は22日に放送を終了しましたが、電話での問い合わせ対応は25日まで続けました。11日から25日までの間、安否情報への問い合わせは1,269件、避難者名簿への問い合わせは170件でした。また、安否情報は、教育テレビのデータ放送やインターネットでも検索できるように、避難者名簿については、インターネットで検索ができるようにしました。一方、教育テレビでは、震災発生から3日後の14日から、午前7時〜9時と午後4時〜6時の子ども向け教育番組ゾーンで、定時の子ども番組の放送を再開しました。子ども番組については、「子どもたちの心のケアのためにも、早く放送を再開してほしい」という要望が多く寄せられていました。14日の再開については、「夜になると怖がって泣いていた子どもが泣かなくなった。感謝している」などの好評意見が寄せられています。
 ラジオ第1については、「停電の時、ラジオが一番役に立った」、「ラジオから聞こえてくるアナウンサーの声に大変力づけられた」といった、災害時にはラジオが頼りになることを示す声が寄せられました。また、「つながるラジオ」などの定時番組の中で、子ども向けの歌や体操等を放送したことについても好評意見が寄せられています。
 続いて、インターネットを活用した対応について紹介します。
 地震発生後、テレビが視聴できない地域があることなどを受けて、動画配信事業者の協力により、総合テレビを「ユーストリーム」、「ニコニコ生放送」、「ヤフー」でライブストリーミングを実施したほか、「安否情報」と「生活情報」の時間に限り、「ヤフー」で教育テレビのライブストリーミングを行いました。また、12日から22日までは、NHKホームページでラジオ第1のライブストリーミングも行いました。ライブストリーミングについては、「停電でテレビが見られないが、インターネット経由で見ることができ、役に立った」など好評意見が寄せられ、総合テレビのライブストリーミングが終了となった25日以降には、「インターネットでの配信をもうしばらく続けてほしい。」などの要望も寄せられました。また、今回の震災では、電話がなかなか通じない中で、パソコンやスマートフォンなどのインターネットサービスを使い、互いの安否確認や、首都圏の帰宅困難者に向けた情報提供が行われるなど、さまざまな情報を利用者が瞬時に共有できる「ソーシャルメディア」の動きが注目されました。NHKでも毎日、震災に関するさまざまなニュースや情報をツイッターで発信し、多くの方に利用されました。また、利用者から寄せられる質問に対し、直接ツイッターで回答するケースもありました。報道局科学文化部が発信しているツイッター(「nhk_kabun」)を例に説明します。原発について、「なんで早く石棺にしてしまわないのでしょうか」という視聴者からの問いかけに対し、「チェルノブイリと違って燃料がまとまった状態なので、石棺にすると熱がこもりやすく現段階ではかえってやっかいというのが専門家の見解です」と答えるなど、多数の問いかけにわかりやすく回答しました。「nhk_kabun」については、そのツイート(ツイッター上の発言)を読むために登録しているフォロワー(利用者)の数が、4月15日までに9万1,354人に上りました。また、震災発生当日から3月19日までの間に、「nhk_kabun」がツイートした件数はおよそ200件です。これらのツイートを、利用者がリツイート(コピー)して自分のフォロワーに発信したり、ツイートを引用してコメントしたりすることで、インターネットの中で情報が広がりました。震災発生翌日の12日に、「nhk_kabun」の影響力が、すべてのツイッターの中で最も大きく、ほかの影響力が強い発信者が「nhk_kabun」をリツイートしていたことを示した外部の調査もあります。
 「第83回選抜高校野球大会」については、震災発生から4月3日までに3,357件の反響があり、“選抜高校野球大会の開催の是非”や、開催が決まった後は、“中継の是非”についての意見が多く寄せられました。関東地方と東北地方では、午後4時以降は原則として高校野球のテレビ中継を終了し、震災関連の番組を放送する措置を取ったことに対する意見もありました。なお、関東地方と東北地方からの出場校の試合が午後4時以降も続いた場合は、終了までテレビで放送しました。
 今回の震災を受けての受信対応について報告します。避難所にテレビ受信機を設置する活動に取り組み、被災者への災害情報の提供に努めています。避難所へのテレビの設置台数は、3月31日現在で306か所への378台となっています。また、停電中の避難所には、ラジオを合計7,820台配布しました。
 最後に、震災対応のため経営委員会への報告を延期した2月の視聴者対応報告について、簡単に説明します。
 2月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は、34万3,575件で前月より約1万6,000件増えました。内訳は、苦情を含む「意見・要望」が6万7,491件(20%)、「問い合わせ」が24万4,682件(71%)、「その他・不明」が3万1,402件(9%)でした。
 2月の主な内容としては、岐阜放送局の開局70周年記念ドラマ「恋するキムチ」を取り上げました。この番組は、当初、中部地方の7県のみで放送する予定だったのですが、韓国の人気アイドルグループ「超新星」のユナクさんが出演することで、放送の3か月前から他の地域からも放送の要望が多く寄せられ、全国放送することになりました。続編を希望する声なども寄せられています。
 2月の指摘・意見・要望への対応から1つ紹介します。
 2月22日にニュージーランドで起きた地震で、24日の「NHKニュース7」で所在が確認できないとされる日本人29人の名前を放送したところ、そのうちの1人の父親から、「娘とは連絡が取れており、無事だ」という電話がふれあいセンターに寄せられました。ふれあいセンターでは、直ちに報道局のニュース担当者と連絡を取り、当日の「ニュースウオッチ9」で、連絡のあった父親の電話インタビューを交え、この女性の無事を伝えました。

(会 長)  今回の震災は、新年度の番組改定など、NHKの事業運営上たいへん重要な時期に重なったうえに、未曽有の規模での報道となりました。それにもかかわらず、それぞれの部門・セクションが、刻一刻と変化する状況の中で、迅速かつ柔軟できめ細かい対応を行い、放送はもちろんのこと、さまざまな施策にも積極的に取り組みました。視聴者の期待に応え、公共放送としての使命を果たせていると考えています。
 今後は、このようなNHKの震災報道に対する取り組みの結果をまとめて、視聴者の皆さまに報告することも大切になると考えます。
 原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項
(1)「放送局のちから」活動報告(平成23年2・3月)
(視聴者事業局)
 受信料支払率向上と接触者率向上の経営2目標の達成に向けた「放送局のちから」活動について、平成23年2月分と3月分を報告します。
 今回の「放送局のちから」の活動報告では、東日本大震災に際し、被災地の放送局を中心にどのように地域を支える活動を行ったかを重点的に報告します。
 震災当日、仙台市内全域で、電気・ガス・水道に加え、通信・交通などすべてのライフラインが寸断されました。こうした中、多くの市民が災害関連の情報を求めて仙台放送局に集まってきました。これを受けて、仙台放送局では、停電によって電源が落ちた放送会館前の大型テレビを技術職員が自家発電に切り替え復旧させ、震災情報を届けました。大型テレビが復旧するまでの間は、ラジオ第1の音声を玄関周辺に流し続け、震災情報を提供しました。また、急きょ、ハートプラザを一時的な避難所として開放し、被災した市民を受け入れて、安全・安心を提供しました。水戸放送局でも、市内の停電に伴い、放送会館を開放し、約130人の近隣住民が一時的に避難しました。横浜放送局では、帰宅困難者のために放送会館を開放しました。
 震災発生後からの停電が岩手県内各地で長期化する中、盛岡放送局では、被災者の最も重要な情報源となったラジオで、被災者向け情報をきめ細かく放送しました。住民の安否確認が難航する中、3月14日には、孤立していた山田町・豊間根小学校の避難者名簿が同町の主婦から届き、直ちにラジオ第1の地域放送で避難者名簿を読み上げ、自局ホームページに掲載しました。また、「被災地にいる外国人向けに震災情報を放送してほしい」という要望を受け、中国語・英語を話せる地元の方々による両国語のニュースや災害情報を毎日放送するなど、“ラジオのちから”で被災者支援に取り組みました。
 福島放送局では、東京電力福島第一原子力発電所の原発事故に不安を感じている県民の声を受け、原発関連の詳細な情報提供を続けています。18日からは、自治体が測定した「放射線量」の測定値をホームページに掲載しています。また、県外に避難した県民からの「地元の情報やニュースを見たい」という声を受け、22日からは、ラジオ第1の生活情報の音声と地域ニュースの動画をホームページで配信しています。さらに、放射性物質の身体への影響についての不安の声が多く寄せられる中、元NHK解説委員で科学ジャーナリストの小出五郎氏が出演する福島県内向け地域放送番組「福島“放射線”の不安に答える」を制作・放送し、これまで5回再放送しました。
 続いて、県外避難者支援の取り組みについてです。新潟県では、福島県南相馬市からの集団避難者をはじめ、地元を離れた避難者を9千人近く受け入れています。新潟放送局では、こういった福島県からの避難者に地元の情報を知ってもらおうと、新潟放送局の地域向けニュース番組などの中で、福島放送局が県内向けに放送した「福島震災関連ニュース」コーナーを設け、放送しています。また、横浜放送局では、避難している方々に元気になってもらおうと、毎週土曜日に横浜放送局で開催している「土曜コンサート」を4月16日に市内の避難所に出張させ、弦楽四重奏の音色とマドロスどーもくんの愛きょうで福島県からの家族を力づけました。
 大阪放送局は神戸放送局と連動し、「阪神・淡路大震災」の体験を風化させずに次の災害に備えることを目的として、平成21年に立ち上げた防災サイト「リエゾン被災人(ひさいと)」上で、14日から特設サイト「東日本大震災 支援の絆」をスタートさせ、被災者へ日々の暮らしに役立つ情報を発信しています。その中では、新聞紙で作る食器や洗い物を出さない料理方法など36の知恵を紹介しています。今回はさらに、編成局が協力し、その中から動画4本を、NHKのPR用映像サイト「ドキてれ」に“被災人の知恵”として配信しています。
 次に、平成22年度のCS(視聴者満足)向上活動について、“放送局のちから”、“ふれあいミーティング”、“改善”の3つの取り組みの年間総括と、2月・3月の具体事例を紹介します。
 1つ目は、“放送局のちから”の活動報告についてです。22年度に、本部や各地域放送局から3,923件の取り組み報告が集まりました。その内容を、「視聴者層拡大」、「地域・社会貢献」、「地デジ普及促進」、「受信料支払率の向上」、「3−Screens展開」、「その他」の6種類に分類すると、「視聴者層拡大」と、それに続き「地域・社会貢献」に関する取り組みが多く報告され、これだけで全体の3分の2を占めています。2月・3月の活動事例を2つ紹介します。「視聴者層拡大」の取り組みとして、札幌放送局では、北海道全域でキャンペーン展開した「まるごと体感!北海道」に投稿された視聴者からの写真を紹介する写真集を作り、好評を得ています。また、「地域・社会貢献」の取り組みとして、長崎放送局では、大河ドラマ「龍馬伝」が中国・韓国・タイで放送されることを受けて、中国語、ハングル、英語の各言語のホームページを立ち上げ、観光客の誘致に一役買っています。
 2つ目は、“ふれあいミーティング”の活動報告についてです。22年度のふれあいミーティングは全国各地で1,541回開催し、5万6,227人の方が参加しました。そのうち、視聴者の意見や要望を経営2目標の達成に向けていっそう生かすため、22年度に新しく実施した“提案型”ふれあいミーティングは、31回開催し、3,011人の方が参加しました。1年間に実施したふれあいミーティング全体と、この提案型ふれあいミーティングの傾向を比較しました。参加者の男女の比率を見ると、ふれあいミーティング全体では男女がほぼ同じ割合だったのに対し、提案型ふれあいミーティングの参加者は、女性が60%とやや多くなっています。また、いただいた意見・要望の数を年代別に見ると、ふれあいミーティング全体では60代の方が一番多かったのに対し、提案型ふれあいミーティングでは、最も多かったのは40代の方だったことなど、より若い世代の声を聴取できたことがわかりました。3月の提案型ふれあいミーティングの具体的事例を1つ紹介します。鳥取放送局では、若者向けの地域放送番組「√るーと(るーとるーと)スペシャル」の公開収録時に、出演者を交えてふれあいミーティングを実施しました。その時に寄せられた「放送時間が日曜深夜(隔週月曜日午前0時20分)なので、もう少し早い時間にしてほしい」という声に応え、23年度は、放送日時を毎週日曜日午後10時50分からに変更しました。
 3つ目は、視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善についての活動報告です。22年度に全国から報告された改善は1,081件となり、2年連続で年間目標の1,000件を超えました。改善の内訳を見ると、「来館者・イベント参加者対応」に関する改善が最も多く、次いで「システム改修・技術関連」の改善、そして「番組関連」の改善と続いています。また、全体の16%にあたる173件が視聴者の声を受けた改善事例で、それ以外は職員の気づきによる改善でした。福岡放送局では、3月に放送会館ロビーの奥のトイレに、おむつ替えや授乳のできるベビーベッドを新設し、子育て支援を推進する福岡市の「赤ちゃんの駅」に登録されました。23年度の改善活動は、より「視聴者の声」を生かした取り組みを推進します。

 最後に、NHKネットクラブについての報告です。3月末の累計会員数は、106万9,435人となりました。会員数100万人突破を受けて、3月25日まで記念の特別企画を実施、9つの番組から、14種類のオリジナルグッズを、計1,633人の会員にプレゼントしました。また、広報局などと連携して、ネットクラブのプレミアム会員を、「新年度BS番組出演者&キャスター記者会見」に招待する企画を実施し、2,225件の応募がありました。抽せんの結果、4人の会員の方に参加していただきました。なお、22年度は、NHKネットクラブのサイトを通じて400本の番組連動アンケートを実施し、45万件を超える回答が寄せられました。

(2)地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について
(永井技師長)
 地上デジタルテレビジョン中継放送局の開局について、報告します。
 設置計画に基づいて建設を取り進めてきた地上デジタルテレビジョン中継放送局のうち、本年1月1日から3月末までの期間に、12府県の21局(いずれも総合・教育 注2)が開局しました。
 その結果、平成22年度末までの累計で2,114局の中継放送局が全国で開局しました。視聴可能世帯のカバー率は約97.9%です。
 今回の開局の建設にかかった経費は、およそ6.1億円です。既設のアナログ施設の活用や民放との共同建設などを通じて、コストの削減に努めました。今後も、経費削減を図りながら中継放送局の建設・整備を進めていきます。
 本件は、4月26日開催の第1142回経営委員会に報告事項として提出します。

 注2: 今回開局した地上デジタルテレビジョン中継放送局
 〈群馬〉黒保根、〈神奈川〉大道六浦、〈新潟〉宮古木、〈長野〉飯綱湖、中軽井沢、〈静岡〉熱海網代、湖西、〈大阪〉貝塚木積、〈岡山〉岡山津島、〈徳島〉羽の浦桜堤、〈愛媛〉大三島肥海、岩城、〈福岡〉上三緒、嘉穂庄内、才田、〈長崎〉小佐々楠泊、鬼木中尾、崎山、佐世保柚木、〈鹿児島〉上伊集院、羽島

(3)テレビジョン中継放送局の廃局について
(永井技師長)
 テレビジョン中継放送局の廃局について報告します。
 平成22年度において、共同受信施設への加入などにより受信者が皆無となったアナログテレビジョン中継放送局17都道県の77局(総合・教育74地区、総合のみ3地区 注3)を廃局しました。そのうち43局はNHKが単独で使用していたものです。なお、廃局にあたっては、いずれの地区も地元自治体からの承諾をいただいています。
 本件は、4月26日開催の第1142回経営委員会に報告事項として提出します。

 注3: 廃局したテレビジョン中継局
〈北海道〉西興部、江良、〈東京〉父島、母島、〈神奈川県〉小竹北田、〈新潟〉越後大島、〈石川〉珠洲、珠洲三崎、珠洲森腰、珠洲大谷、珠洲東若山、珠洲鈴内、珠洲狼煙、〈岐阜〉土岐陶元、御嵩、陶、瑞浪日吉、瑞浪白倉、瑞浪大川、大津山、神岡茂住、加子母北、恵那蛭川、恵那福岡、山口馬籠、中津川手賀野、中津川尾鳩、中津川平石、中津川落合、木曽山口(総合のみ)、〈愛知〉瀬戸水野、鳳来海老、〈三重〉宮川、宮川薗、南島、西南島、御浜上市木、鳥羽河内、島ヶ原(総合のみ)、大山田(総合のみ)、紀勢、熊野五郷、熊野育生、熊野神川、大宮阿曽、〈兵庫〉南淡牛内、但東久畑、〈奈良〉十津川上野地、十津川折立、十津川小原、十津川平谷、吉野国栖、吉野中荘、川上東川、川上柏木、曽爾、御杖土屋原、御杖、〈和歌山〉紀伊大塔、日高原谷南、〈島根〉津和野長野、江津市村、〈岡山〉新見熊谷、哲多新砥、美作山外野、勝山若代、〈広島〉安佐布、三原久和喜、三原深町中組、〈長崎〉佐須奈、比田勝、南厳原、対馬伊奈、志多留、〈大分〉佐伯城西、〈沖縄〉南大東、北大東

(4)「平成21年度業務報告書」に付する総務大臣の意見について
(経営企画局)
 昨年6月に総務大臣に提出したNHKの「平成21年度業務報告書」については、総務大臣の意見が付されたうえで、4月12日、内閣を経て国会に報告されました。その総務大臣の意見について報告します。
 総務大臣の意見では、NHKに対し、「平成21年度決算において、収支予算どおりに事業収入6,699億円を計上するとともに、事業支出においては、当初予算よりも153億円削減し、結果として収支予算で29億円の赤字を計上していたのに対し、124億円の黒字となったことは評価できる」としています。このように、収支予算と決算に対する具体的な評価が述べられたことが、今回の意見の特徴です。また、21年度の事業運営について「おおむね平成21年度事業計画等に沿って実施されており、妥当なものと認められる」としています。
 そのうえで、平成21年度にNHKが実施した業務について、特記すべき事項について、「1 事業計画等に沿って実施したものと認められる業務」と、「2 事業計画等に比し、一層の取組が望ましいと認められる業務」とに分けて、それぞれ具体的な項目を挙げています。「20年度業務報告書」に付する意見までは、この各論の部分は、具体的な項目が並べられ、それぞれに意見が述べられていましたが、今回は、まず2つに分類したうえで具体的項目が述べられていることに特徴があります。具体的には、1では、「受信料支払率の向上」、「業務の合理化」、「地上テレビジョン放送のデジタル化」、「地域放送の充実等」、「国際放送の充実」の5項目が挙げられ、2では、「職員のコンプライアンス意識の徹底」、「契約収納関係経費の比率の削減」、「放送番組への字幕付与等」、「番組アーカイブの活用」の4項目が挙げられています。

 本件は、4月26日開催の第1142回経営委員会に報告します。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年 5月10日
                     会 長  松 本 正 之

戻る

Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。