日本放送協会 理事会議事録  (平成23年 3月15日開催分)
平成23年 4月 8日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成23年 3月15日(火) 午前10時00分〜10時25分

<出   席   者>
 松本会長、小野副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 松本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)安全保障貿易管理に関する規程の制定について
(2)番組種別等に関する放送法施行規則改正案に係る意見募集への対応
   について

2 報告事項
(1)平成23年度内部監査計画について


議事経過

1 審議事項
(1)安全保障貿易管理に関する規程の制定について
(総合リスク管理室)
 武器や軍事に転用可能な貨物・役務が、国際的な平和および安全を脅かす恐れのある国家やテロリストの手に渡らないように管理する安全保障貿易管理については、日本および国際社会が一体となって取り組んでいます。日本でも、外国為替および外国貿易法(外為法)が一部改正され、経済産業省が定める安全保障貿易管理に関する「輸出者等遵守基準」にのっとった自主管理体制の構築が求められています。
 このため、NHKにおいても、「安全保障貿易管理規程」を定め、適切な管理体制を整備することとしたいので、審議をお願いします。
 安全保障貿易管理とは、「武器や軍事に転用可能な貨物・役務が、国際的な平和および安全を脅かす恐れのある国家やテロリスト等の手に渡らないように管理すること」と定義されています。これについては、国際的に規制が強化されており、日本でも、平成22年4月から、外為法に基づき安全保障貿易管理に関する輸出者等遵守規準(所管は経済産業省)が施行され、国が企業に対して自主管理体制の構築を求めています。これに基づき、NHKでも業務の中の対象について、各種政令や通達にのっとって、安全保障貿易管理規程を制定したいと考えます。
 NHKに求められている対応については、“自主管理体制の構築”と、“具体的な作業”、の2つに大きく分けられます。自主管理体制の構築については、組織を代表する輸出管理の責任者を決め、組織内の輸出管理体制(責任関係、業務分担)を定めることが、具体的な作業については、輸出管理の手続きを定め、輸出等関連文書を保存すること、また、規程順守の指導等を行うことなどが求められています。
 自主管理体制の構築について、説明します。
 NHKの貿易管理体制の最高責任者は会長とし、貿易管理業務を主に
実施する技術部門と報道部門のそれぞれの担当理事を、統括責任者とします。貿易管理に関する業務を行う部局の部局長が貿易管理責任者になり、実際に対象物を持ち出す業務の担当者が貿易管理担当者となります。各部局では物品を外国に持ち出す際、あるいは外国への技術提供等を行う際に、そのつど、その物品や技術が武器や軍事に転用可能な貨物・役務に該当するか否かという「該非確認」を行います。報道局、放送技術局、技術局、情報システム局、放送技術研究所を「指定部局」とし、これらの部局では、実施要領を作成、貿易管理デスクを設置、他部局からの相談窓口となるなど、貿易管理の推進や各部局の支援を行います。また、この指定部局に編成局、制作局、総合リスク管理室、関連事業局を加えた各部局で「連絡会」を構成し、各種課題の確認や情報共有、周知等にあたります。
 次に、各部局での貿易管理の具体的な作業について、説明します。
 「該非確認」の対象は、「貨物」(NHKでは機材等)および「役務」(NHKでは技術)です。規制は、「リスト規制」と「キャッチオール規制」の2種類があります。「リスト規制」については、経済産業省が作成したリストに該当するか否かを確認することになります。NHKでは、海外ロケ、海外中継、技術展示や海外総支局整備等に伴い、超高感度カメラ、赤外線カメラ等の機材を持ち出す場合が該当します。また、役務については、外国企業との「共同研究」、「研究員の受け入れ」等に伴い、技術情報を提供する場合が該当します。また、国際会議、技術情報のメールでのやり取りや技術指導もこれに含まれます。「キャッチオール規制」は、用途や需要者を規制しているものです。NHKでは貨物(機材等)の輸出は、基本的に持ち帰ることが前提となっており、かつ使用目的は売買ではなく、協会の事業に用いる自己使用目的であることから、キャッチオール規制の該非確認については、あらかじめ「一律に非該当」とします。
 該非確認の結果、該当する場合は、経済産業大臣に輸出許可申請を行い、許可を得る必要があります。なお、該非確認に関わる文書は、該当の場合、原則7年間、非該当の場合でも1年間は保存することとします。
 この業務が的確に行われているか否かについては、通常の監査の中で計画的に確認します。また、関連委託番組や外部制作委託番組の貿易管理は、原則、委託先の責任において行います。現在、制作や技術関係を中心に貿易管理を必要とするNHKの関連団体で規定を整備中です。
 以上を規定する安全保障貿易管理規程は、機材や技術情報に関する要件が多く含まれるため、主管部局は技術局とします。なお、本規程に関する職務権限事項については、別途整備します。
 本議案が決定されれば、本規程は4月1日から施行します。今後は各部局への詳細な周知が必要となりますが、このたびの東北関東大震災の対応状況を勘案しながら、きめ細かく丁寧に進めていきたいと考えています。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)

番組種別等に関する放送法施行規則改正案に係る意見募集への対応について

(編成局)
 番組種別等に関する放送法施行規則改正案に係る意見募集への対応について、審議をお願いします。
 平成22年12月に成立した改正放送法により、新年度から放送番組の種別および種別ごとの放送時間を放送番組審議機関に報告し、一般に公表することになります。NHKについては、総合テレビ、BS1、BSプレミアム、ラジオ第1、FM放送の5波の放送番組が対象となり、放送番組審議会に報告を行うとともに、一般に公表することになります。総務省では、この報告および公表に関わる手続きを定めた放送法施行規則の一部改正案を作成し、2月16日から3月17日までの間、意見募集を行っています。
 総務省の案について概要を説明します。毎月第3週に放送した番組を、教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組およびその他の放送番組に区分し、それぞれの番組種別ごとの放送時間の月別の集計を半年分まとめて報告することとしています。番組審議会には年に2回の報告となります。また一般への公表はホームページへの掲載等により行うとしています。
 これに対し、NHKでは以下のとおりの意見を提出したいと考えます。
 今回の放送法施行規則の一部改正案については、放送法改正の趣旨に沿った内容であり、基本的には異論はありません。ただ、強化される規律の対象となる者にとって、過重な負担とならないように、その意見を十分聞くように要望するとともに、制度制定後も適切な運用が行われるよう要望します。
 個別には、2つの意見を提出したいと考えます。
 省令第1条の4には、審議機関への報告について「当該各6箇月の期間が経過した直後の審議機関の開催時に行わなければならない。ただし、報告の準備に時間を要する場合その他のやむを得ない事情があるときは、その次の審議機関の開催時に行うことができる」とあります。NHKでは、テレビとラジオを合わせて5チャンネル分が報告の対象となることから、その個別番組の種別や放送時間の集計を誤りなく確定するには、相応の時間を要します。「当該各6箇月の期間が経過した直後」の番組審議会に報告することは容易ではないと想定されます。NHKとしては報告をいたずらに遅らせるつもりはありませんが、“報告対象期間経過後2か月以内に番組審議会に報告する”という運用で実施せざるを得ないと考えます。しかし、省令案に照らすと、これは、「やむを得ない事情があるとき」に限られるため、NHKの姿勢に疑念を抱かせることになるのではないかと懸念します。以上の理由から、NHKとして“2か月以内の報告”という運用が「やむを得ない事情」という極めて限定的な条件の下ではない形で可能となるよう、条文案を修正されることを要望します。
 続いて、省令第1条の3についてです。番組基準等の公表について「当該各6箇月の期間が経過した後速やかに行うものとする」とあります。この省令案では、本件について審議機関への報告と一般への公表についての前後関係は必ずしも明らかではありませんが、審議機関への報告を義務づけていることを踏まえると、公表は番組審議会への報告の後に速やかに実施するような運用が、制度全体の構造を鑑みて適当であると考えます。その趣旨を明確にする観点から、該当箇所の表記を「当該各6箇月の期間が経過し、審議機関への報告後、速やかに行うものとする」と修正されることを要望します。
 以上の意見を総務省に提出したいと思います。

(会 長)  今回の意見は、業務遂行上、妥当なことだと思います。
 原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)平成23年度内部監査計画について
(内部監査室)
 平成23年度の内部監査計画について、報告します。
 23年度の内部監査は、「平成21〜23年度中期内部監査計画」に基づき実施します。監査にあたっては、業務プロセス監査の充実を図り、職場の業務改善とコンプライアンスの徹底、組織風土改革に資する監査を行います。また、監査後のフォローを充実させるとともに、各部局における業務改善と意識改革をいっそう促進するための情報提供などコンサルティング機能の充実を図ります。リスク・課題に対応して、監査項目・監査対象や、実施体制を柔軟に選択し、効果的な監査を実施します。 21年度の定期監査で導入した業務プロセス監査の手法を、本部・各放送局・海外総支局で継続するとともに、関連団体調査の一部でも実施します。また、IT統制に資するため、本部の基幹系システムを対象に、システム監査を実施します。特に、過去に発生した不祥事や重大な指摘事例等に鑑み、それらの再発の抑止につながる監査を重点的に実施します。監査の有効性を確保し監査の品質を保証・向上させるため、内部による評価・改善および外部による評価の手続きを行います。また、研修等を通じた人材育成、外部監査法人との連携などを進めます。
 各監査の具体的な実施計画を説明します。
 定期監査は、本部各部局と地域拠点局については、原則として、全部局を対象として実施します。地域放送局・支局(営業拠点)、営業センターおよび海外総支局については、原則として、21〜22年度に実地監査を実施していない放送局等のすべてについて実施します。なお、監査の実効性を高めるため必要に応じて、フォローアップの監査を実施することがあります。監査の重点については、16年に発覚した芸能番組制作費に関わる不祥事に際し、NHKでは再発防止のための経理処理等の厳格化を図ってきましたが、それから7年が経過してこの経験を風化させないため、不正の抑止につながる監査を強化します。特に、「台本・音源制作等の委嘱業務申請、放送料支払いなど」の適正性を重点的に監査します。また、新たに制定した「安全保障貿易管理規程」に基づき、関係する業務が適正に実施されているかについて、同規程に定める指定部局を対象に確認します。不定期監査については、 23年度に定期監査の実施対象とならない地域放送局について、随時、対象放送局および監査項目を選定して実施します。特命監査は、会長からの特命に基づいて実施、監査委員会指示監査は、監査委員会の定めるところに従って実施します。また、関連団体調査は、関連団体運営基準第18条に基づいて実施します。対象とする関連団体は、NHKエンタープライズ、NHKエデュケーショナル、NHKグローバルメディアサービス、NHKメディアテクノロジー、NHKプラネット(支社2か所程度)、NHK営業サービス、NHK出版、NHK文化センターの8団体です。 これにより、21〜23年度で調査を行う子会社が一巡します。
 監査結果の報告については、会長あての「内部監査結果報告書」を作成し、担当役員、監査委員会、役員会に報告します。また、必要なものは一定期間で取りまとめて理事会に報告します。
 その他、監査関連業務については、 各部局における業務改善と意識改革をいっそう促進するため、監査結果等に関する情報発信・情報共有を積極的に行うなど、コンサルティング機能の充実を図ります。監査の有効性を確保し、監査の品質を保証・向上させるため、内部監査室の業務について、内部監査室自身による内部点検・評価に加え、外部の監査法人・専門機関等による評価の手続きを行います。

(会 長)  内部監査については、今年度実施したコンサルティング機能をさらに充実させ、効果的な監査を続けてください。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成23年 4月 5日
                     会 長  松 本 正 之

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