日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 9月28日開催分)
平成22年10月15日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 9月28日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、
 溝口理事、八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、
 吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)BSデジタル放送に係る委託国内放送業務の開始及び廃止について
(2)日本放送協会放送受信規約の一部変更について
(3)「NHK受信料制度等専門調査会」の設置について

2 報告事項
(1)財政の現況(平成22年8月末)
(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(3)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)BSデジタル放送に係る委託国内放送業務の開始及び廃止について
(編成局)
 BSデジタル放送に係る委託国内放送業務の開始および廃止について、審議をお願いします。
 NHKのBSデジタル放送については、総務省の放送普及基本計画、および「平成21〜23年度 NHK経営計画」を踏まえ、平成23年4月1日から、新しいハイビジョン2波の放送を開始するとともに、同日をもって現行の衛星第1、衛星第2、衛星ハイビジョンの3波(標準テレビ2波、ハイビジョン1波)の放送を終了したいと考えます。
 新しいBSハイビジョン2波は、“衛星系の広域性、経済性、大容量性、および高品質性を生かした情報の提供を行う総合放送”と、“外部の事業者の企画・制作能力を放送番組に活用し、過去の優れた文化の保存、新たな文化の育成および普及を促進することを目的とする総合放送”の、2系統のデジタル放送です。これらの放送は、株式会社放送衛星システムに委託し、東経110度の放送衛星により、BS−15chの周波数で実施することを希望します。委託国内放送業務の開始は、平成23年4月1日を予定しています。
 また、これらの放送を開始するためには、現行放送の終了が前提となることから、同じく平成23年4月1日をもって、BS−15chの周波数で実施している現行のBS放送3波の委託国内放送業務を廃止する予定です。
 本議案が了承されれば、本日開催の第1126回経営委員会に議決事項として提出します。なお、前回理事会で決定された経営委員会付議事項の議題名を変更し、本議案の議題名で経営委員会に付議したいと思います。経営委員会の議決が得られれば、放送法第9条の4に基づく委託国内放送業務の認定、および同法第48条に基づく委託国内放送業務の廃止認可を、それぞれ総務大臣に申請します。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。

(2)日本放送協会放送受信規約の一部変更について
(営業局)
 NHKでは、衛星デジタル放送において、受信機の設置確認をより迅速かつ的確に行うため、受信機設置の連絡を促すメッセージをテレビ画面に表示しています。このメッセージの消去後に放送受信契約を締結していただけない受信者に対し、契約のお届けをお願いする“契約案内メッセージ”を画面に表示するよう運用方法を変更するため、日本放送協会放送受信規約(以下、「受信規約」)を一部変更することとしたいので、審議をお願いします。
 現在は、衛星デジタル放送の受信機の購入者に対し、受信機の設置をNHK等に連絡いただくよう依頼し、連絡がない場合はテレビ画面にメッセージを表示することをパンフレット等により案内したうえで、購入後1か月の間に連絡がなければ、設置連絡を促すメッセージを画面の左下隅に表示しています。設置の連絡をいただいたら、速やかにメッセージを消去し、その方の契約状況を確認して衛星契約が結ばれていない場合は、訪問等により契約をお願いしています。しかし、不在等により何度訪問しても面会できないなどの理由で、受信機の設置連絡後も契約をいただけない場合があります。そこで、「平成21〜23年度 NHK経営計画」の中で方針を示したとおり、効率的かつ効果的な契約の促進に向けて、連絡後一定期間を経てなお契約できない場合には、あらためて契約を案内するメッセージを表示しようとするものです。
 契約案内メッセージの表示に向けては、今年1月26日から2月8日の期間に視聴者からの意見募集を行い、その結果について、平成21年度第42回理事会と第1114回経営委員会(いずれも平成22年3月9日開催)に報告しました。 
 受信規約の変更案は次のとおりです。
 メッセージについては受信規約の第7条で規定していますが、同条の「受信機の設置等の確認措置」という表記は、契約案内メッセージの表示にあわせ、より内容がわかりやすいように「メッセージの表示」と改めます。同条第1項で規定している従来の「メッセージ」は、契約案内メッセージと明確に区別するため、「設置確認メッセージ」とします。また、第2項でメッセージの消去について「メッセージを表示しない措置」としている文言を、「当該受信機の画面に設置確認メッセージを表示しない措置」と改めます。さらに、同条に第5項と第6項を追加し、第5項では契約案内メッセージを表示する措置について、第6項では表示しない措置について規定します。また、付則において、施行期日を「平成22年12月1日から」と定めます。
 本議案が了承されれば、本日開催の第1126回経営委員会に議決事項として提出します。経営委員会の議決が得られれば、総務大臣に認可を申請します。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。

(3)「NHK受信料制度等専門調査会」の設置について
(経営企画局)
 「NHK受信料制度等専門調査会」(以下、「専門調査会」)の設置について、審議をお願いします。
 はじめに、専門調査会を設置する目的と位置づけについて説明します。 
 来年7月に地上テレビ放送がデジタル放送に完全移行し、衛星放送とあわせテレビはフルデジタル時代を迎えます。NHKの衛星放送は2波になり、難視聴対策の役割もなくなります。こうした節目の時期をとらえて、受信料制度やその運用のあり方などについてきちんと論理的に整理するとともに、「平成21〜23年度 NHK経営計画」に掲げた「受信料体系全体の総合的な検討」にあたって、執行部が方針を検討する際の材料の提供を通じて、次の経営計画の策定に資することが、専門調査会の大きな役割と考えます。NHKの定款第59条で、「会長は、業務の執行に関し諮問するため必要と認めるときは、学識経験を有する者によって組織する委員会を置くことができる」と定めています。受信料制度というNHKの根幹にかかわる事柄を検討することから、専門調査会を定款に基づく会長の諮問機関として位置づけます。
 専門調査会の検討テーマは、第1に、「フルデジタル時代における受信料と受信契約に関する当面の諸課題」、第2に、多様な端末やプラットフォームを経由してコンテンツにアクセスすることが可能になってきた状況を踏まえた「中期的な視野で、財源制度にも留意した公共放送のあり方」、第3に、独立行政法人とも民間企業とも異なるNHKの特性にふさわしい会計制度などについて、より説明責任を果たすことができるようにするための「NHKに求められる会計制度等」についてです。
 受信料制度に関係するさまざまな課題を、専門家の知見によって、総括的に整理することが目的ですので、受信料額や経営方針にかかわる具体的な提案をいただくことは想定していません。報告書の内容は最大限尊重して、次の経営計画を策定する際の参考にしますが、経営にかかわる重要な方針に関しては、あくまで執行部の判断において行い、最終的には経営委員会の議決によるものと考えています。
 委員は、会計や経済学、法律、社会心理学を専門とする学識経験者に委嘱します。荒井耕氏(一橋大学大学院商学研究科准教授)、安藤英義氏(専修大学商学部教授)、大久保直樹氏(学習院大学法学部教授)、齋藤誠氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、宍戸常寿氏(東京大学大学院法学政治学研究科准教授)、安野智子氏(中央大学文学部准教授)、山内弘隆氏(一橋大学大学院商学研究科教授)、山野目章夫氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)の8人の方々です。
 日程については、10月下旬に第1回の会合を開いて、月1回程度会合を開催し、来年6月ごろに最終報告をまとめる予定です。
 本議案が決定されれば、本日開催の第1126回経営委員会に報告します。

(会 長)  専門調査会の発足にあたっては、設置の目的や役割を委員の先生方に丁寧に説明し、理解をいただいたうえで議論を進めてください。
 原案どおり決定します。

2 報告事項
(1)財政の現況(平成22年8月末)
(経理局)
 平成22年8月末の財政の現況について、報告します。
 まず、予算の執行状況です。
 事業収入の実績額は2,841億円で、進ちょく率は41.9%と、8月末時点の標準進ちょく率41.7%(5か月/12か月)を上回り順調です。事業支出は2,682億円で、進ちょく率は標準進ちょく率を下回る39.2%と、堅調に推移しています。その結果、事業収支差金は、今年度予算ではマイナス61億円としていますが、8月末現在で158億円の黒字となっています。
 事業収入、事業支出それぞれのポイントについて説明します。
 事業収入については、受信料は、地域スタッフや外部委託事業者等による契約・収納活動を強化したことや、デジタル受信機の普及に伴い衛星契約勧奨活動を強化したことなどにより、順調に推移しています。副次収入は、映像商品の売り上げの減や出版不況等の影響などにより、進ちょく率がやや低くなっています。財務収入等は、関連団体から予算額を上回る配当を受けたことや、雑収入に計上する前々年度以前受信料の回収額の増により、収入額が多くなっています。特別収入は、8月末の実績額は低くなっていますが、9月には不動産の売却による収入がある予定です。
 事業支出については、国内放送費は、「2010FIFAワールドカップ」の放送や、参議院議員選挙の報道などの支出がありましたが、それも含んで順調に推移しています。契約収納費は、法人委託による契約・収納対策の強化や未収者への文書対策の追加実施などによりやや高い進ちょく率となっており、今後の進ちょくを注視する必要があります。管理関係費は、デジタル化に伴う共同受信施設等への経費助成について、審査を経て助成が決定するまで一定の期間を要することなどにより、支出額が少なくなっています。人件費は、基準外賃金が予算での見込みより若干少なかったことにより、やや低い進ちょく率となっています。
 次に、損益計算書による前年同月末との比較です。
 経常事業収支差金は、前年同月比で2億円減少し169億円の黒字、経常収支差金は、9億円上回り162億円の黒字、事業収支差金は、10億円上回り158億円の黒字となっています。
 経常事業収支差金の減については、経常事業収入が受信料の増等により前年同月比で45億円増加したものの、経常事業支出がそれを上回り47億円増加した結果です。経常事業支出の増加は、「2010FIFAワールドカップ」の放送や参議院議員選挙の報道、緊急報道体制など取材体制の強化等の経費のため、国内放送費が前年度より増加したことや、デジタル化に伴う共同受信施設等への経費助成が前年度より多かったことなどによる管理関係費の増加等によるものです。しかし、7月末段階の事業収支差金の前年同月比は、19億円の減少でしたが、8月末の段階では前年度より10億円の増加に改善されました。
 続いて、貸借対照表による21年度決算との比較です。
 資産合計は8,899億円で、21年度決算から366億円の増となっています。これは、現金預金・有価証券、および長期保有有価証券が、受信料前受金の増加、事業収支差金の発生などにより増加していることによります。一方で、有形・無形固定資産は、減価償却額が取得額を上回ったため減少しています。
 負債合計は3,111億円で、21年度決算から207億円の増となっています。これは、受信料前受金が放送受信契約の契約総数・衛星契約の増加等により増加した一方で、その他の流動負債が、設備整備費関係の未払金が決算時点で大きくなる傾向があり、減少しているためです。
 純資産の部では、8月末の事業収支差金の発生に伴い、21年度決算から158億円増加しています。自己資本比率は、受信料前受金の増加等により21年度決算比で1.0ポイント減少し、65.0%となりましたが、引き続き健全な財務状況を維持しています。
 最後に、受信料の状況です。放送受信契約に基づき収納すべき債権額である、損益計算書上の受信料収入は2,765億円で、前年同月比で42億円増えています。この額から欠損償却額を引いた、事業収支に計上する受信料収入は2,730億円で、前年同月比で45億円増えています。受信料収納額は2,622億円で、前年同月比で53億円の増、回収予定額は108億円で7億円の減となっています。また、前年度および前々年度以前の受信料回収額も順調であり、受信料は全体としてほぼ順調に推移しています。
 この内容は、本日開催の第1126回経営委員会にも報告します。


(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(日向専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について、報告します。
 近畿地方で秋田光彦氏(浄土宗大蓮寺住職)に、九州地方で豊田滋通氏((株)西日本新聞社論説委員長)に、いずれも平成22年10月1日付で新規委嘱します。また、中部地方で大林重治氏(のと共栄信用金庫理事長)、東北地方で佐藤令一氏((株)七十七カード代表取締役社長)、および四国地方で渡部淳氏((財)土佐山内家宝物資料館館長)に、同日付で再委嘱します。
 なお、関東甲信越地方の高山恵子委員(NPO法人えじそんくらぶ代表)、近畿地方の有田典代委員(関西国際交流団体協議会事務局長)、中部地方の堀田あけみ委員(作家)、および九州地方の田代俊一郎委員((株)西日本新聞社編集局編集企画委員会特別編集委員)は、いずれも任期満了により9月30日付で退任されます。
 本件は、本日開催の第1126回経営委員会にも報告します。


(3)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成22年7月開催分の議事録についての報告(注)。

 注:

放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年10月12日
                     会 長  福 地 茂 雄

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