日本放送協会 理事会議事録  (平成22年 6月29日開催分)
平成22年 7月16日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成22年 6月29日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 福地会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、溝口理事、
 八幡理事、大西理事、今井理事、黒木理事、塚田理事、吉国理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 報告事項
(1)考査報告
(2)「第22回参議院議員通常選挙」に伴う政見・経歴放送の編成計画
   および実施体制について
(3)関連団体事業活動審査委員会外部委員の再委嘱について
(4)平成21年度本部・海外総支局監査実施状況
(5)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 平成22年5月19日から6月22日にかけての期間に、ニュースと番組について考査した内容を報告します。期間中に、ニュースは30項目、番組は事前考査として40本、放送考査として30本を考査しました。その結果、これらの一連の報道や番組は、放送法や国内番組基準等にのっとって「妥当」でした。ただし、番組の映像表現やシーンの扱いなどで、問題とは言えないまでも一部気になる点もありました。
 まず、ニュースの考査結果について報告します。
 この期間に政治では、鳩山総理大臣が辞任し、後継の総理大臣に菅前副総理兼財務大臣が選出されるという大きな動きがありました。鳩山首相の辞任については、6月2日朝9時34分に、首相が辞任の意向を示したことをスーパー速報し、第一報をどの報道機関よりも早く伝えていました。また、菅内閣の発足については、与野党の反応や街の声に加え、記者解説などによって詳報していました。さらに、菅新首相が6月17日の記者会見で、消費税について税率を10%とする案を参考に改革案を取りまとめたいと述べたことを受けて、消費税が間近に控えた参議院選挙の争点となってきたことも伝えていました。
 相撲界で相次ぐ不祥事については、5月25日の夕方6時のニュースで、親方が手配した特別席の入場券を使って暴力団幹部らが大相撲を観戦していたことを、NHK独自の情報で他社に先駆けて伝えていました。また、その後発覚した現役力士や親方らによる野球賭博などの賭け事への関与について、独自情報や元力士の証言を交えて報道し、名古屋場所の開催が危ぶまれていることも紹介していました。モニター報告では、「野球賭博に関与していた元力士の証言は衝撃的で、実態がよくわかった」、「NHKと関係が深い相撲の話で注目していたが、きちっとした報道だった」などの声が寄せられました。
 4月から続いている、家畜の伝染病である口てい疫の宮崎県内での感染拡大については、現地の取材に制約がある中で工夫をしながら、感染拡大に歯止めがかからない状況や、同県の畜産農家の苦渋などを、幅広く丹念に伝えていました。
 南アフリカで開催されている「2010FIFAワールドカップ」では、日本時間6月14日開始の試合で日本代表がカメルーンを破り、好発進しました。このニュースでは、初戦勝利に沸く日本各地の様子や勝因分析、次の試合の見どころなどを、多角的に詳しく伝えていました。モニターからは「試合をデータ分析している会社の紹介など、他の放送局と違う切り口があった」との評価がありました。
 太陽系の太古の姿の解明に向けて小惑星イトカワの石の採取が期待される、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、6月13日深夜、数々のトラブルを乗り越えて地球に帰還しました。14日午前1時のニュースでは、「はやぶさ」本体が大気圏で燃え尽き、そこからイトカワの石が入った可能性のあるカプセルが分離されて落下する様子を、放送局として唯一NHKが独自に撮影した鮮明な映像で紹介していました。
 ほかに、この期間のニュースでは、韓国の哨戒艦沈没の原因を北朝鮮の魚雷攻撃によるものとする調査結果や、公益法人の事業仕分けなどの項目について考査しました。
 続いて、番組の中から3本の考査結果について報告します。
 NHKスペシャル FIFAワールドカップ 第3回「サミュエル・エトー アフリカを背負う男」(6月13日放送)は、日本代表との試合前日というタイミングのよい放送でした。サッカー・カメルーン代表チームのエース・ストライカーであるエトー選手の、貧困や人種差別との知られざる闘いと、アフリカの人々のワールドカップにかける思いが非常によく伝わってきて、ワールドカップが南アフリカで開催されることの意義も感じさせる内容でした。
 タイムスクープハンター「駕籠(かご)かき突破口!」(6月7日放送)は、平成21年度に開始した番組の第2シリーズの1本で、江戸時代の駕籠かきの1日の移動距離や料金相場などを紹介していました。歴史上の市井の人々の暮らしをドラマ仕立てで描く新しいタイプの番組で、生活感やリアリティにあふれた非常に興味深い内容だったと思います。ただ、モニター報告の中には、「カメラワークが独特で、自分は乗り物に弱く少し酔いそうになる」という声がありました。手ぶれで揺れるような映像は、リアルな感じを出すための演出のひとつとしてこの番組では効果を上げていますが、中にはこのように不快に感じる人もいます。以前にこの番組を考査したときも、モーションシックネス(映像の揺れによって生じる乗り物酔いに似た症状)への配慮が必要なことについて指摘しており、それから映像が工夫され随分と改善されたのですが、家庭のテレビ画面の大型化に伴い影響が大きくなるおそれもあり、あらためて注意を喚起したいと思います。
 ETV特集「“さよなら”を言う前に 〜わが子の“脳死”と向き合った家族〜」(6月13日放送)は、脳死と診断された5歳の子どもに向き合う家族の苦悩や戸惑いを2か月間にわたって見つめ、脳死について深く考えさせられる内容でした。制作者と取材を受けてくれた家族との間の強い信頼関係が感じられました。ただ、脳死の診断結果を家族が知らされるより先に取材していたように見えるシーンがあり、モニターからも指摘がありました。制作者に確認したところ、脳死の判定基準のひとつとなる脳の血流停止という事実を取材したが、脳死の判断そのものを家族より先に取材したわけではなく、放送後も家族や医師との信頼関係の中で問題にはなっていないということでした。しかし、見る人に誤解を与えかねないシーンであり、構成に少し配慮をした方がよかったのではないかと感じました。医療を扱う番組では、こうした点に特に慎重な配慮を求めたいと考えます。

(会 長)  以前にも指示しましたが、ニュースの考査においては報道の内容だけでなく、場合によっては、ニュース枠内で取り上げる項目の並べ方、ウェイトの置き方が、公共放送として適切であるかどうかについて評価し、考査室としての見解を示すようにしてください。

(2)「第22回参議院議員通常選挙」に伴う政見・経歴放送の編成計画
   および実施体制について
(編成局)
 第22回参議院議員通常選挙は、6月24日に公示され、7月11日に投票が行われます。これに伴う、政見・経歴放送の編成計画および本部における実施体制について報告します。
 政見・経歴放送の編成計画については、総合テレビとラジオ第1で、6月28日から投票日の2日前である7月9日までの期間のうち、土・日曜を除く10日間の視聴好適時間に編成しています。ただし、東京以外の各放送局では、投票日3日前の7月8日までの9日間(土・日曜を除く)に編成しています。
 放送回数は、公職選挙法などの規定により、比例代表政党政見放送については、名簿届出政党等の1回の放送単位を17分以内とし、名簿登載者の数に応じて、テレビは2〜8回のいずれかの偶数回、ラジオは1〜4回のいずれかの回数で放送しています。選挙区政見放送については、候補者1人の1回の放送を5分30秒以内とし、回数は全国一律にテレビ・ラジオとも2回としています。また、経歴放送は、候補者1人について1回30秒以内とし、テレビは政見放送の冒頭に行う分のほかに経歴単独の放送を1回、ラジオは政見放送の冒頭に行う分も含めておおむね5回実施しています。
 具体的な編成時間帯については次のとおりです。比例代表政党政見放送は、全国放送で、総合テレビでは、月〜金曜の午前9時05分〜10時00分と午後10時55分〜11時50分に、ラジオ第1では、月〜金曜の午後2時05分〜3時00分に実施しています。なお、テレビの夜間の時間帯で、政見放送が「2010FIFAワールドカップ」の中継と重なる日については、ワールドカップは教育テレビで放送します。選挙区政見・経歴放送は、都道府県ごとに、総合テレビでは原則として、月〜金曜の午前7時30分〜7時56分と午後6時25分〜6時51分に、ラジオ第1では原則として、月〜金曜の午前7時20分〜7時46分と午後0時30分〜0時56分に実施しています。経歴単独の放送は、総合テレビでは、月〜金曜の午前11時50分〜11時54分に、ラジオ第1では、月〜金曜の午前11時50分〜11時55分と午後6時50分〜6時55分に実施しています。ただし、東京・大阪・名古屋の大電力放送区域の都府県は、選挙区政見・経歴放送や経歴単独の放送を、これらの時間帯のほかの時間帯でも編成しています。
 地域の住民が通常視聴している放送エリアの実情に応じて、ある県の選挙区政見・経歴放送を他県の放送局も中継放送してカバーする“出入中継”を今回も実施しています。具体的には、総合テレビで、山口放送局が実施する「山口県選挙区」の政見・経歴放送を、隣接する北九州放送局でも放送しています。また、ラジオ第1で、長崎放送局が実施する「長崎県選挙区」の政見・経歴放送、および大分放送局が実施する「大分県選挙区」の政見・経歴放送を、それぞれ福岡放送局でも放送しています。
 最後に、政見・経歴放送の実施体制については、放送総局長を実施本部長とし、編成局、広報局制作部、放送技術局、技術局を中心に実施しています。


(3)関連団体事業活動審査委員会外部委員の再委嘱について
(溝口理事)
 関連団体事業活動審査委員会は、NHKの関連団体の事業活動について、外部から意見、苦情等を受け付け、その適正性を審査するために設置しているもので、副会長を委員長とし、NHKの関係役職員と、議論の公正性を確保するため公認会計士と弁護士の2人の外部委員とで構成しています。
 現在、外部委員として委嘱している、金田英成氏(公認会計士)と山下丈氏(弁護士)のいずれも、本年6月30日付で任期満了となるのに伴い、あらためて7月1日付で再委嘱します。任期は2年間です。


(4)平成21年度本部・海外総支局監査実施状況
(内部監査室)
 平成21年11月下旬から22年5月にかけて、本部各部局および海外総支局で実地監査を実施し、21年度に計画したすべての内部監査を終了したので報告します。
 まず、本部各部局の監査実施状況です。
 すでに、放送総局内10部局とそれ以外の10部局の計20部局について5月25日の理事会で報告しました。さらに22年4月に7部局(放送総局内2、それ以外5)について実施し、自己点検を実施する経営委員会事務局、監査委員会事務局、内部監査室を除いたすべての本部部局の内部監査を終了しました。
 監査の項目としては、業務プロセスや業務運営状況についての業務監査と、適正経理についての監査を実施しました。その結果、4月に実地監査を実施した7部局については、業務プロセス監査における「重要度の高い発見事項」、適正経理監査における「指示事項」のいずれもなく、管理状況は「適正」でした。
 続いて、海外総支局の監査実施状況です。
 本部監査と同様、5月25日の理事会で、海外総局2か所、海外支局2か所の計4か所について報告済です。さらに4月末から5月上旬にかけて海外総局1か所、海外支局1か所の計2か所について実施し、合わせて6か所の内部監査を終えました。海外総支局については、「平成21〜23年度 中期内部監査計画」に基づき、3年間ですべての総支局を監査することにしており、今後22・23年度で残り23か所の内部監査を実施する予定にしています。
 監査項目については、本部各部局、各放送局と同様、業務プロセスや業務運営状況についての業務監査と適正経理についての監査を実施しました。その結果、4・5月に実地監査を実施した2か所については、業務プロセス監査における「重要度の高い発見事項」、適正経理監査における「指示事項」のいずれもなく、管理状況は「適正」でした。


(5)放送番組審議会議事録(資料)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成22年5月開催分の議事録についての報告(注)。

 注: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成22年 7月13日
                     会 長  福 地 茂 雄

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