日本放送協会 理事会議事録  (平成21年12月 8日開催分)
平成21年12月25日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年12月 8日(火) 午前9時00分〜10時10分

<出   席   者>
 福地会長、永井技師長、金田専務理事、日向専務理事、溝口理事、
 八幡理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)平成22年度国内放送番組編成計画について
(2)平成22年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編成計画
   について
(3)平成22年度予算・事業計画における要員計画について
(4)平成22年度収支予算編成要綱

議事経過

1 審議事項
(1)平成22年度国内放送番組編成計画について
(編成局)
 平成22年度国内放送番組編成計画について審議をお願いします。
 平成22年度国内放送番組編成計画は、平成22年度国内放送番組編集の基本計画に基づき、各波の編成計画の要点や新設番組の概要、部門別放送時間および比率と地域放送時間などをまとめたものです。
 各波の編成計画の要点については、次のとおりです。
 総合テレビジョンは、さまざまな世代に向けた多様な番組を編成し、厳しい時代に生きる人々に、生活を支える的確な情報や、心を豊かにする番組を届けます。平日朝は、女性視聴者を意識したゾーンとして刷新します。平日夜間は、社会の中核を担う世代の男女に向けた新番組を編成します。また、NHKの基幹的な総合サービス波として、他の放送波との連携やサービスの要となるポータル機能も強化します。
 1年間にわたる「ETV50 学ぶ冒険」キャンペーンの投票事業から、教育テレビに対して、幅広い世代の人々が、親しさ、楽しさ、懐かしさ、また信頼感を感じていることがわかりました。教育テレビジョンでは、平成22年度は、これまで親しまれてきた幼児・子どもにとって、より見やすい編成とするため、各番組の放送時間を見直します。また、地域での公開収録を取り入れるなど、地域発信と地域サービスの充実を行います。一方で、教育テレビに接することの少ないティーンズ層や若者向けに番組の新設・刷新を行い、視聴者層を広げることを目指します。また、語学の学習継続に有効であると好評を得ている、語学番組のクロスメディア展開をさらに発展させて、パソコンや携帯端末向けのコンテンツの充実を図ります。
 衛星放送は、平成22年度、“完全デジタル・ハイビジョン2波化”に向けた最終年度を迎えることになることから、新たな衛星サービスの可能性を切り開く「チャレンジ性」あふれる編成を目指します。平成23年に迫る“衛星新時代”は“多チャンネル・大競争”の時代でもあります。来るべき新時代に備え、衛星放送は、既存ソフトのしゅん別と整理統合でいっそうの効率化と質の向上を追求する一方で、衛星2波体制の柱となる多様な番組を開発し、より幅広い視聴者にアピールする編成を目指します。また、内外の優れた制作者を積極的に起用し、世界に通用する質の高い番組のダイナミックで機動的な編成を通じて、新たな放送文化の創造・発展に寄与します。
 衛星ハイビジョンは、次世代に残すべき文化・芸術を紹介する番組や、紀行、自然、エンターテインメントなど、分野ごとに番組を強化し、新しい映像技術や演出手法、ダイナミックな編成に挑戦するなど、新しいテレビ文化創造の先導的な役割を果たします。
 衛星第1テレビジョンは、平成23年の新BS1への移行を見据え、「ニュース・情報番組・スポーツ」の3本柱に、より特化します。また、ワンセグ独自サービスとの連携を強化するとともに、国際放送番組の編成を拡充します。さらに、プロ野球中継をはじめとするスポーツ枠を日曜夜間に増設し、視聴者層の拡大を図ります。「2010FIFAワールドカップ 南アフリカ」では、競技のだいご味をたっぷりと伝え、視聴者の期待と関心に応えます。
 衛星第2テレビジョンは、多彩なエンターテインメント番組や、衛星放送を開始してから20年間に蓄積されたアーカイブス番組等の放送、また、難視聴解消のための地上波番組の効果的な編成などを通して、視聴者層の拡大に努めます。
 続いて、音声放送です。
 ラジオ第1放送は、平成20年度からの2年にわたる大改定の定着と深化を図ります。ラジオの強みである双方向性を生かして、パソコンやモバイルとのいっそうの連携を進めるとともに、夜間に若者向けの新番組を編成することで、若い聴取者の開拓につなげます。また、土日の夕方の時間帯にアンコール放送を編成し、きめ細かい聴取者サービスを図ります。平成22年は、ラジオ放送が始まって85年の節目の年であり、定時番組のみならず、特集番組や開発番組の強化を図り、これまで以上に親しまれ信頼される「安心ラジオ」を目指します。
 ラジオ第2放送は、「生涯学習波」として、語学講座のさらなる充実を図り、聴取者の学習意欲に応えるとともに、インターネットへのコンテンツ提供など魅力的な学習サービスを行います。また、福祉、文化、教養番組のほか、在日外国人向けの外国語放送の充実を図ります。
 FM放送は、「これだけは絶対聞く」という番組を多彩に編成することで、多様化する聴取者のニーズに応えます。特に、土曜午後の編成を刷新し、聴取者層を明確にした番組を編成します。また、個性的なアーティストによるトーク&音楽番組や、吹奏楽やクラシック関連の番組も充実させ、熱心な音楽ファンの期待に応えます。一方、モバイルサイトの充実を図るなど、「3−Screens」展開をいっそう推進し、これまで以上にNHK−FMの存在感を高めます。
 地域放送については、地域に密着したきめ細かなニュースや生活情報と、地域の課題に取り組む番組などを編成するとともに、生活や経済・文化圏に即した広域放送など、各地域の特性に応じた編成を積極的に推進します。総合テレビジョンの地域放送時間は1日平均3時間程度で、今年度とほぼ同じですが、地域情報の全国発信や地域放送番組の全国放送は、本数を増やすなどいっそうの推進に努めます。
 データ放送は、「衛星2波化に向けたデジタルコンテンツの最適化」、「地域密着で“命と暮らしを守る”気象警報」、「2010FIFAワールドカップ 南アフリカでの“3−Screens”展開」などを編集のポイントにします。
 ワンセグ独自サービスは、「放送と通信の融合」、「視聴者層の拡大」、「放送他波との連携」の3つをポイントに、主に30代以下の若年層に
 向けて平日昼と深夜などの時間帯に限って、デジタル教育テレビジョンで独自番組を編成します。なお、編成するコンテンツは、いずれも通信との融合や放送他波との連携を重視したものとします。
 また、総合テレビジョンでは、字幕放送の対象番組を大幅に増やし、2つの帯番組に生字幕を入れるなどの拡充を図り、週に94時間強放送します。教育テレビジョンでも字幕放送や解説放送の対象番組を増やし拡充を図ります。
 以上の放送番組編成計画は、平成22年3月29日(月)から実施します。
(会 長)  今回の改定でバラエティ番組を拡充していますが、その内容は、NHKらしい質の高いものにしてください。NHKに接する機会の少ない若い層から親しみを持ってもらえる番組の強化は必要なのですが、そうした方向性を、若者への迎合によるNHK番組の質の低下と受け止めている人もいます。そうではないことを、良質な内容を通じて理解していただけるように、十分努めてほしいと思います。
 原案どおり決定します。


(2)平成22年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編成計画
   について
(国際放送局)
 平成22年度国際放送の放送番組編成計画は、平成22年度国際放送の放送番組編集の基本計画に基づき、放送番組の編成に関する具体的計画事項、放送番組時刻表、各放送番組の企画趣旨、部門別分類と放送時間および編成比率、使用言語別放送時間などの必要事項をまとめたものです。審議をお願いします。
 テレビジョン国際放送の外国人向けサービスについては、「英語ニュースのさらなる充実」と「多彩な番組ラインナップの実現」を図ります。
 「英語ニュースのさらなる充実」に向けては、日本やアジア各地に広がるNHKのネットワークをフルに活用し、24時間毎正時のニュースをさらに充実させます。具体的には、香港やシンガポール、ニューヨークなど世界の金融センターと結びリアルタイムで経済情報を伝えるほか、経済成長を続ける中国を重点的に取材し、現地からリポートします。加えて、さまざまなジャンルを網羅した特集やインタビューなど多彩な企画で、視聴者の多様なニーズに応えます。また、大地震など緊急時には特設ニュースを編成するなど、迅速かつ柔軟に対応します。
 「多彩な番組ラインナップの実現」に向けては、知識層や若者層に向けて国際放送局独自制作の番組を開発し、視聴者層の拡大を目指します。また、国内放送で人気の高い番組の英語化を進めます。
 テレビジョン国際放送の邦人向けサービスについては、1日およそ5時間、国内の主要ニュースや情報番組を中心に国内と同時放送を行います。在外邦人からの要望に応え、子ども向け番組を新設するとともに、情報番組をさらに充実させます。
 ラジオ国際放送の外国人向けサービスについては、「多言語ニュースの強化」と「地域の実情に応じた多様な放送サービスの推進」を図ります。
 「多言語ニュースの強化」として、重要なニュースに解説などを加え、中国語、朝鮮語、ロシア語、タイ語、ベトナム語、ビルマ語、フランス語、ペルシャ語、アラビア語、スワヒリ語の10言語でニュース枠を拡大します。
 「地域の実情に応じた多様な放送サービスの推進」として、英語、中国語、朝鮮語、インドネシア語、ベンガル語、ペルシャ語、スワヒリ語は現地の聴取好適時間に合わせて放送時間や回数の見直しを行います。また、衛星ラジオによる放送サービスを拡充し、ペルシャ語、フランス語、スワヒリ語を加えて14言語で、全地域向けの衛星ラジオ放送を実施します。このほか、中波・FM波を利用してのリブロードキャスティングを進めます。ベンガル語で南西アジア向けのFM波による放送を増やすほか、ペルシャ語は中東・北アフリカ向けに、短波との同時放送でFM波による放送サービスを新たに実施します。
 なお、平成22年は、国際放送開始75年にあたるため、6月を中心に「NHKワールド」の存在感を高める特集番組を集中編成します。
 ラジオ国際放送の邦人向けサービスについては、衛星放送サービスを拡大し、日本語の放送サービスを24時間化します。国際放送局が制作する日本語ニュースや海外安全情報に加え、国内の主要ニュース、時事番組、スポーツ中継、音楽番組、ラジオドラマなど、多彩な番組を国内と同時放送し、リアルタイムで国内外の最新情報を伝えます。
 テレビジョン国際放送番組は、世界全域で1日あたり、外国人向けは約23時間、邦人向けは約5時間、合計およそ28時間放送します。
 ラジオ国際放送の1日あたりの放送時間は、短波については、日本語による放送が20時間、外国語による放送が17言語で合計26時間50分となります。衛星ラジオ放送では、日本語放送が全地域向けに4時間、アラビア語放送が中東・北アフリカ向けに1時間、英語などその他の13言語による放送が全地域に向けて1時間です。中波・FM放送では、5言語による放送を4地域に向けて合計2時間30分実施します。
 定時放送における部門別の比率は、テレビジョン国際放送の外国人向けサービスでは、報道番組が72%、インフォメーション番組が28%、邦人向けサービスでは、報道番組が86%、インフォメーション番組9.4%、娯楽番組は4.6%です。また、ラジオ国際放送の外国人向けサービスでは、報道番組が74.6%、インフォメーション番組が25.4%、邦人向けサービスでは報道番組が61.4%、インフォメーション番組が36.3%、娯楽番組が2.3%です。
 以上の放送番組編成計画は、平成22年3月29日(月)から実施します。

(会 長)  原案どおり決定します。


(3)平成22年度予算・事業計画における要員計画について
(人事総務局)
 平成22年度予算・事業計画における要員計画について審議をお願いします。
 22年度の要員計画については、40人の純減とします。「平成21〜23年度 NHK経営計画」の2年目にあたり、計画の確実な達成に向け、業務の見直しを行うことで、全体としては、取材・制作現場等に経営資源をシフトする構造改革を引き続き進めていきます。
 「平成21〜23年度 NHK経営計画」では、3か年で400人程度の削減、300人程度の増員配置により、100人程度の効率化を予定しています。21年度は30人の効率化を実施しましたので、今回、40人の効率化の実施により、3か年の計画に対して70%の進ちょくになります。
 この結果、22年度の予算人員は1万0,582人となります。

(会 長)  採用人数、退職予定人数、そしてアウトソーシングによる削減で何人、業務のスクラップによる削減が何人でその結果純減が何人になるという、具体的な数字を示してください。
(人事総務局)  具体的な要員数の動向を盛り込んだ要員計画は、後日あらためて説明します。
(会 長)  原案どおり決定します。

(4)平成22年度収支予算編成要綱
(経理局)
 平成22年度収支予算編成要綱について審議をお願いします。第28回理事会(11月24日)で了承された「平成22年度予算編成方針」に基づき、事業計画の詳細と各事項の予算額を示しています。
 本議案が了承されれば、本日の第1108回経営委員会に審議事項として提出し、最終的には、平成22年1月12・13日に、収支予算、事業計画、資金計画からなる予算書を提出し、審議・議決を求める予定です。

(日向専務理事)  今回の案では、相当先の大会のスポーツ放送権料を、今から分割して積んでいますが、必要ないと思います。
(金田専務理事)  スポーツ放送権料を短期間で償却するのは、大きな財政上の負担になるので、大きな大会については、大会の開催が決まった時点から償却するように会計基準を定めています。
(日向専務理事)  国内放送費にシーリングを設けている中で、この措置は、放送予算を決める上での自由度を下げることになり、適当でないと考えます。
(金田専務理事)  財政を預かる立場からは、予算においてはこの会計基準を変更する理由はないと思います。
(会 長)  原案を了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年12月22日
                     会 長  福 地 茂 雄

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