日本放送協会 理事会議事録  (平成21年10月13日開催分 1)
平成21年10月30日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年10月13日(火) 午前9時00分〜9時15分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1103回経営委員会付議事項の追加について

2 報告事項
(1)考査報告

議事経過

1 審議事項
(1)第1103回経営委員会付議事項の追加について
(総合企画室)
 本日開催される第1103回経営委員会付議事項の追加について審議をお願いします。
 10月6日の理事会で審議、決定された事項のほかに、報告事項として「平成21年度組織改正について」を追加したいと思います。

(会 長)   原案どおり決定します。


2 報告事項
(1)考査報告
(考査室)
 9月から10月上旬にかけてのニュースと番組について考査した内容を報告します。
 最初に、この期間の概況についての報告です。
 ニュースについては、鳩山新政権の始動や、日本航空の経営再建問題のほか、野党となった自由民主党の総裁選挙での谷垣禎一新総裁選出、性犯罪で初めての裁判員裁判、イチロー選手の大リーグ史上初となる9年連続シーズン200本安打達成など、25項目について考査を行いました。日航の経営再建問題では、アメリカのデルタ航空との資本提携が検討されていることを、他社に先駆けて伝えていました。
 こうした中から、鳩山新政権始動に関するニュースについて報告します。9月16日(水)に新内閣が発足して以降、衆議院選挙で掲げた政権公約の実行に向けた動きが次々と進む中で、政策実現や連立政権運営の上での課題を指摘するなど、連日ていねいに詳しく伝えていました。鳩山首相が国連演説で、温室効果ガスを2020(平成32)年までに1990(平成2)年に対し25%削減することをめざすと表明したことについても、国際公約としての評価や達成に向けた今後の課題を、内外の反応や記者解説を通じてきちんと伝えていました。
 番組については、この期間に、放送考査は27本、事前考査は46本行いました。その中で、政権交代の関連番組として、追跡!A to Z「政権交代 民主党はどう動く?」(9月5日(土)放送)とNHKスペシャル「“政権交代”政治はどう変わるか」(9月6日(日)放送)の2本を考査しました。番組を通じて、民主党が政治主導実現に向けて精力的に動き出したことや、官僚の対応も少しずつ変わり始めたことがよくわかりました。
 また、9月下旬から10月上旬にかけて、将来の定時番組化に向けて編成された開発番組4本の考査を実施しました。このうち、GLOCALジャポン「静岡プラモデルの巻」(10月2日(金)放送)では、静岡のものづくりのルーツを徳川三代将軍家光の時代からひもときながら、プラモデル産業が世界市場から注目されるようになった背景などについて、ドラマを交えて紹介していました。ドラマ部分については、モニターからやや演出過剰という声もありましたが、非常に興味深く描いていたと思います。
 続いて、その他の個別のニュースについて報告します。
 9月30日(水)に発生したスマトラ島沖大地震のニュースでは、被害が広がっていく様子や救助活動が難航していることを記者報告などで詳しく伝えるとともに、この地震で住宅の倒壊が多かった背景について、専門家の解説などを通じて、きちんと指摘していました。取材班が空港で撮影した余震の映像も、現地の様子をよくとらえていたと思います。また、同日に起こったサモアの津波災害についても、現地からの中継などにより、すばやく対応していました。
 10月2日(金)の深夜から3日(土)の未明にかけて、ニュース枠を特設し、2016(平成28)年の夏季オリンピック開催地を決定するIOC(国際オリンピック委員会)総会の模様を、デンマーク・コペンハーゲンからの中継で紹介していました。立候補していた東京が2回目の投票で落選したことや、ブラジルのリオデジャネイロが開催地に決定したことを中継とスーパーで速報するとともに、それぞれの勝因、敗因について記者報告などで多角的に伝えていました。
 平成17年に起きたJR福知山線の脱線事故の原因調査をめぐり、JR西日本が事故調査委員会の委員に接触して報告書の修正を働きかけていた問題については、9月25日(金)の正午のニュースで問題の発覚を報道しました。その後の一連のニュースを通じて、働きかけは組織的なものだったという疑いが強まっていることを、視聴者にしっかりと伝えていたと思います。
 個別番組については、5本報告します。
 NHKスペシャル「未知の脅威 新型ウィルス 日本は耐えられるか」(9月13日(日)放送)では、重症患者の受け入れ態勢の整備が必要であることがよくわかりました。また、感染のスピードを少しでも遅らせることが対策として有効であることを、視聴者にしっかりと伝えていたと思います。
 NHKスペシャル シリーズ「ONの時代」の第1回「スーパーヒーロー 50年目の告白」(9月20日(日)放送)では、戦後の日本プロ野球最大のヒーローである長嶋茂雄さんと王貞治さんの現役時代を取り上げ、天才、努力家と称される2人の実像をよく描き出していました。現役時代に人知れず抱えていた苦悩を紹介するのに、関係者の証言や初公開の手記が効果的に使われていました。
 プロフェッショナル 仕事の流儀「闘いの螺旋(らせん)、いまだ終わらず 〜漫画家 井上雄彦〜」(9月15日(火)放送)では、人気漫画「スラムダンク」「バガボンド」の作者である井上雄彦さんの創作活動に1年間密着して取材していました。登場人物の心情を描くため身を削るような努力をする井上さんの姿が、長期取材を通じてしっかりと伝わってきました。ただ、井上さんの作品になじみの少ない視聴者もいるので、作品の全体像の説明がもう少しあれば、さらに共感が深まったのではないかと感じました。
 「ソクラテスの人事スペシャル」(9月17日(木)放送)では、スタジオ部分に加え、スペシャル版の企画として、過去にこの番組で企業の人事担当者から“採用”されたタレントが、その企業に1日体験入社していました。それを通じて、企業ではどのような能力が実際に現場で求められるのかが具体的に示され、さらに興味をわかせる内容になっていました。この番組は今回が最終回でしたが、モニターからは、再開を求める声も寄せられました。
 衛星第1のBS世界のドキュメンタリー「ダライ・ラマ 亡命への21日間」(9月12日(土)放送)では、50年前に起きた、ダライ・ラマ14世のチベットからインドへの亡命を、アメリカ国務省の公開文書や、当時中国に対するゲリラ活動に参加していた関係者の証言によって、追っていました。アメリカ・CIAが資金援助も含めて亡命に関与していたことや、緊迫した状況でのチベット脱出行など亡命への道のりがつぶさに紹介され、非常に興味深い内容でした。ただ、当時の国際情勢はとても複雑でわかりづらいので、もう少し整理して伝えられれば、理解がいっそう進んだのではないかと思いました。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年10月27日
                     会 長  福 地 茂 雄

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