日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 8月25日開催分)
平成21年 9月11日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 8月25日(火) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1100回経営委員会付議事項について
(2)財団法人放送番組センターへの出捐について

2 報告事項
(1)「第45回衆議院議員総選挙」に伴う政見・経歴放送の編成計画お
   よび実施体制について
(2)契約・収納活動の状況(平成21年7月末)
(3)財政の現況(平成21年7月末)

議事経過

1 審議事項
(1)第1100回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 本日午後に開催される第1100回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「財団法人放送番組センターへの出捐について」、また、報告事項として「契約・収納活動の状況(平成21年7月末)」と「財政の現況(平成21年7月末)」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)財団法人放送番組センターへの出捐について
(総合企画室)
 財団法人放送番組センターへの出捐について審議をお願いします。
 放送番組センターは、NHKと民放の出捐によって昭和43年に設立され、地方民放局等に良質な番組ソフトを調達・供給する「番組調達供給事業」を行うとともに、平成3年度以降は、放送番組を収集・保管して来館者等に視聴してもらう「放送番組ライブラリー事業」を実施してきました。このうち番組調達供給事業については、事業環境の変化に伴いその役割を終えたと判断し、平成20年度末をもって廃止しました。放送番組ライブラリー事業は、放送番組を文化遺産として保存し、一般公開することに重要な意義があり、毎年10万人を超える来館者の利用もあることから、事業を継続することにしています。
 しかし、近年の低金利により財団の基金運用益だけでは事業運営がきわめて困難になっていることから、NHKは民放とともに放送番組センターの要請に応じて、平成17年度から放送番組ライブラリー事業に対し出捐してきました。放送番組センターでは、放送番組ライブラリー事業の事業規模の上限を3億6,500万円とし、NHKと民放を合わせた出捐額の上限を2億3,100万円と想定しています。
 以上の経緯を踏まえて、平成21年度は、NHKから8,085万円を出捐したいと思います。
 本議案が了承されれば、本日の第1100回経営委員会に議決事項として提出し、議決が得られれば、放送法第9条第10項の規定に基づき総務大臣に認可を申請します。

(会 長)   原案を了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項
(1)「第45回衆議院議員総選挙」に伴う政見・経歴放送の編成計画お
   よび実施体制について
(編成局)
 本議題の説明に先立ち、昨夜(8月24日)とけさ(25日)の政見放送実施中に発生した件について報告します。
 昨夜、ラジオ第1で、首都圏向けに「衆議院小選挙区選出議員選挙政見放送・東京都」を放送中、午後7時58分過ぎから26秒間無音になりました。民主党の政見放送の最後の部分でした。政見放送終了後に気象警報を放送する準備の作業中に機械の操作を誤ったことが原因です。今後の対応については、東京都選挙管理委員会の判断に従うことにしています(注1)。操作ミスについては、関係者・視聴者の皆さまにご迷惑をおかけしました。放送現場には、改めて基本操作を徹底し、再発防止に努めます。
 また、けさ6時37分ごろ、千葉県東方沖を震源とする地震があり、気象庁は関東地方で震度5弱から震度4の揺れが予想されるとして、緊急地震速報を発表しました。このとき、NHKの各放送局は、総合テレビで、比例代表選挙あるいは小選挙区選挙の政見放送を放送中で、自動的に緊急地震速報が画面にスーパーされました。しかし、実際には、体に感じる揺れは観測されませんでした。政見放送の今後の対応については、中央および当該の各県の選挙管理委員会と協議を行ったうえで、選管の判断に従うことにしています(注2)。
 それでは、「第45回衆議院議員総選挙」に伴う政見・経歴放送の編成計画および実施体制について報告します。
 第45回衆議院議員総選挙は、7月21日に衆議院が解散、8月18日に公示され、8月30日に投票が行われます。これを受けて、NHKでは、すでに8月7日に政見放送実施本部を発足させ、現在、政見・経歴放送を実施しています。
 政見・経歴放送の編成計画については、デジタル総合テレビを含む総合テレビとラジオ第1で、公示の2日後である8月20日から投票日の2日前である28日までの期間のうち、日曜日を除く8日間の視聴好適時間に編成しています。今回の政見放送の新しい点としては、ハイビジョンによる収録を行ったことと、比例代表の政見放送に手話通訳が導入されたことがあります。
 放送回数は、公職選挙法などの規定により、比例代表の政見放送については、全国11ブロックごとに、名簿届出政党等の1回の放送単位を9分以内とし、名簿搭載者の数に応じて、テレビは2〜8回のいずれかの偶数回、ラジオは1〜4回のいずれかの回数で放送しています。ただし、東京都と北関東ブロックでは、テレビも1〜4回のいずれかの回数としています。小選挙区の政見放送については、都道府県ごとに行い、候補者届出政党の1回の放送単位を9分以内とし、その都道府県での届出候補者の数に応じて、テレビは1回または2〜8回のいずれかの偶数回、ラジオは1〜4回のいずれかの回数で放送しています。また、経歴放送は、候補者1人について1回30秒以内とし、テレビは経歴単独の放送を1回、ラジオは経歴単独の放送を10回実施しています。
 具体的な編成時間帯については次のとおりです。比例代表の政見放送は、全国11ブロックごとに、総合テレビでは、月〜土曜の午前6時25分〜6時55分と午後11時00分〜11時30分に、ラジオ第1では、月〜土曜の午後0時30分〜1時00分に実施しています。小選挙区の政見放送は、都道府県ごとに、総合テレビでは、月〜土曜の午前7時45分〜8時15分に、ラジオ第1では、月〜土曜の午前7時20分〜7時50分または午前8時30分〜9時00分に実施しています。経歴放送は、総合テレビでは、月〜土曜の午前11時40分(または11時30分)〜11時54分に、ラジオ第1では、月〜土曜の午前11時50分(または11時55分)〜午後0時00分と午後7時45分〜7時55分に実施しています。ただし、東京・大阪などの大電力放送区域の都府県は、小選挙区の政見放送や経歴単独の放送を、これらの時間帯のほかの時間帯でも編成しています。
 なお、地域の住民が通常視聴している放送エリアの実情に応じて、小選挙区の政見・経歴放送を他県の放送局も中継放送してカバーする“出入中継”を今回も実施しています。具体的には、総合テレビで、山口放送局が実施する「小選挙区山口県」の政見・経歴放送を、隣接する北九州放送局でも放送しています。また、ラジオ第1で、長崎放送局が実施する「小選挙区長崎県」の政見・経歴放送、および大分放送局が実施する「小選挙区大分県」の政見・経歴放送を、それぞれ福岡放送局でも放送しています。
 最後に、政見・経歴放送の実施体制については、放送総局長を本部長とし、編成局、広報局制作部、放送技術局、技術局を中心に、その他の部局の応援も得ながら実施しています。

(会 長)

 操作ミスというのは、単なる間違いでは済まされない、大事故につながる重大な問題です。ミスが起きないよう緊張感を持って、厳重に注意しながら業務にあたってください。

(編成局)

 放送現場において基本的な動作から繰り返し確認し、注意を徹底します。


※注1:

東京都選管の判断により再放送は行わないこととし、NHKとして翌日(8月25日)のラジオ第1の同時間帯での政見放送終了直後に、無音となった事実関係を説明し、お詫びした。

※注2:

8月28日の総合テレビの同時間帯に、緊急地震速報のスーパーによって影響を受けた政党の政見のみを再放送した。


(2)契約・収納活動の状況(平成21年7月末)
(営業局)
 21年7月末の契約・収納活動の状況について報告します。概括的にいえば、契約増加の件数はまずまず順調ですが、当年度収納額については課題を残す状況になっています。
 まず、放送受信契約の契約総数増加状況についてです。第2期(6月・7月)は、2か月で2.5万件の増加となりました。年度累計では、16.8万件の増加で、年間目標に対する進ちょく率は56.1%と、増加件数・進ちょく率のいずれも前年度同期を上回っています。また、第2期の契約総数取次数は43.9万件で、前年度同期の112%になりました。
 衛星契約増加状況については、期間で10.4万件の増加となり、年度累計では24.3万件の増加、進ちょく率は40.4%で、いずれも前年度同期を上回っています。衛星契約取次数も前年度同期の117%となり、順調に推移しています。
 続いて、当年度収納額についてです。第2期末の当年度収納額は、訪問集金廃止に伴う継続振込支払いへの変更により受信料の入金時期がずれたことや、口座振替率の低下に加え、事業所割引や障害者免除の増加などにより2,066億円にとどまりました。7月単月では、前年度同月比で3.1億円の増収でしたが、6月末までで12.9億円の減収でしたので、年度累計では前年度同期の2,076億円と比較して、9.7億円下回っています。
 ただし、前年度受信料の回収額実績は、42.7億円となり、前年度同期比で10.8億円増加、また、前々年度以前受信料の回収額実績は8.2億円となり、前年度同期比で1億円増加していますので、当年度収納額だけでなく各年度を合計した収納額は、第2期末累計で2,117.7億円となり、前年度同期の2,115.7億円から2億円の増収となっています。
 第2期末の支払い拒否・保留数は、43.8万件で、最も多かった時期の128万件から84.2万件の削減となりました。また、第2期末の未収数は、期間中新たに9万件発生したものの、支払い再開などにより16万件減少したことで、第1期末から7万件減少して、現在数は238万件となりました。


(3)財政の現況(平成21年7月末)
(経理局)
 平成21年7月末の財政の現況について報告します。
 まず、予算の執行状況です。
 事業収入の実績額は2,211億円で、進ちょく率は33.0%と、7月末段階の標準進ちょく率33.3%(4か月/12か月)をやや下回っています。事業収入のうち受信料は、契約取次の業績が前年度を上回るものの、経済情勢の悪化や事業所割引導入の影響などにより、進ちょく率が標準より低くなっています。財務収入等は、関連団体からの受取配当金が6月に集中したことなどから、進ちょく率は標準より高くなっています。特別収入は、非現用不動産の売却時期が年度後半に予定されていることから、進ちょく率は標準より低くなっていますが、計画どおりに進んでいます。
 また、事業支出は2,112億円で、進ちょく率は31.4%と、標準を下回っています。これは、国内放送費については、現在行われている衆議院議員総選挙や制作中のスペシャルドラマ「坂の上の雲」などの経費支出がこれから計上されることや、バンクーバー冬季オリンピックの放送実施経費の支出が来年2月になること、管理関係費では、地上テレビ放送のデジタル化に伴う自主共聴等への経費助成が始まって間もないことなどによります。
 こうした結果、7月末の事業収支差金は99億円となりました。
 次に、損益計算書で前年度同期との比較を見ます。
 経常事業収入は、放送受信契約の契約総数・衛星契約の増加により受信料収入が増加するなどして、10億円増加しました。一方、国際放送費が外国人向けテレビ国際放送の充実に伴う番組制作費の増加や受信環境整備の推進のため、人件費が年金資産運用環境の変化に伴う退職給付費用の増加などのため、また、未収受信料欠損償却費が受信料収納率の低下に伴う未収額の増加のため、それぞれ増加したことなどにより、経常事業支出は37億円増加しました。その結果、経常事業収支差金は113億円で、前年度同期から27億円の減となっています。
 また、関連団体からの受取配当金が大型配当を受け入れた前年度より少なかったことなどにより財務収入等が減少したことから、経常事業外収支差金が前年度より33億円減少しました。その結果、経常事業収支差金と経常事業外収支差金を合わせた経常収支差金は103億円で、前年度より60億円の減となっています。
 不動産の取得・処分などの特別収入・特別支出は、現時点で多額の事項が発生しておらず、経常収支差金に特別収支を加えた事業収支差金は99億円で、前年度より54億円の減となっています。
 続いて、貸借対照表で前年度決算との比較を見ます。
 資産の部では、事業収支差金の発生や受信料前受金の増加などにより現金預金・有価証券が増加しています。また、減価償却等による減少額が取得額を上回ったため、有形・無形固定資産が減少しています。これらの結果、資産合計は、前年度決算から41億円増加しました。
 負債の部では、受信料前受金が増加した一方、賞与の支給に伴い決算時に計上していた未払賞与が取り崩されたことなどにより、その他の流動負債が減少しました。負債合計は、前年度決算から57億円減少しています。
 純資産の部では、7月末の事業収支差金の発生に伴い、前年度決算から99億円の増加となっています。自己資本比率は67.7%と、事業収支差金が引き続き黒字であることなどにより、前年度決算比で0.9ポイント向上しています。
 最後に、放送受信契約の状況は、契約総数が16.8万件、衛星契約が24.3万件と、ともに前年度を上回って推移しています。しかし、経済情勢の悪化や、訪問集金から継続振込支払いへの変更による入金時期のずれ、事業所割引・障害者免除の増加などにより、受信料収納額は前年度同月比で9億円の減収と、厳しい状況が続いています。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 9月 8日
                     会 長  福 地 茂 雄

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