日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 7月21日開催分)
平成21年 8月28日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 7月21日(火) 午前9時00分〜9時45分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1099回経営委員会付議事項について
(2)総務省「通信・放送の総合的な法体系の在り方 答申(案)」に
   対する意見募集への対応について
(3)中央放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(4)視聴者対応報告(平成21年6月)について

2 報告事項
(1)21年6月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)契約・収納活動の状況(平成21年6月末)
(3)平成20年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定
   ・公表について
(4)平成20年度 NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(5)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について

議事経過

1 審議事項
(1)第1099回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 7月28日に開催される第1099回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱等について」、また、報告事項として「平成21年度第1四半期業務報告」、「契約・収納活動の状況(平成21年6月末)」、「視聴者対応報告(平成21年6月)について」、「平成20年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定・公表について」、「平成20年度 NHKと関連団体との取引の評価・公表について」、および「地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)総務省「通信・放送の総合的な法体系の在り方 答申(案)」に対す
   る意見募集への対応について
(総合企画室) 
 総務省の情報通信審議会は、放送と通信の融合・連携に向けた総合的な法体系のあり方について、その下部組織である情報通信政策部会に「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」を設置し検討してきました。同委員会が、このほど「通信・放送の総合的な法体系の在り方 答申(案)」(以下、答申案)を取りまとめたのを受けて、6月20日から7月21日までの期間、これに対する意見が募集されています。
 この答申案に対し、NHKの公共放送事業体としての役割、報道機関としての役割等に照らして、コンテンツ規律、ホワイトスペース(諸条件により本来割当てられた目的とは別の目的に利用可能な周波数)の活用、通信・放送融合時代のNHKのあり方などの論点について検討し、NHKの意見をとりまとめましたので、提出したいと思います。
 提出する意見の要旨は以下のとおりです。
 無線局の他の目的への利用については、免許人の自発的な意思により行われることを明確にした制度とするとともに、放送が果たすべき役割に支障を与えることのない制度整備や運用を要望します。
 少なくとも放送に係る周波数については、仮に現時点で利用可能なホワイトスペースが見出されるとしても、他の目的に利用することには極めて慎重な対応が必要である旨を答申案に記述するとともに、今後の検討にあたって、この点が十分配慮されるよう強く要望します。
 電波利用に係る技術基準策定等の計画については、新たな利用の技術的な実現可能性等も踏まえ、十分な現実性、合理性を持ったものが作成されるべき旨を答申案に追加するよう要望します。
 放送および有線放送の安全・信頼性の確保については、行政による監督はその目的に照らして必要最小限とすべき旨や、それに関する規定を整備する目的等を答申案で示すとともに、制度整備にあたっては、伝送サービスの特性も踏まえ、放送事業者の意見も聴いたうえで十分な検討が行われるよう要望します。
 今回の法体系の見直しが、放送番組に対する規律や報告徴収等の権限を強化しようとするものでない旨を明確に示すとともに、現在の放送法において放送による表現の自由の確保など同法の目的を定めた第1条や、放送番組編集の自由を定めた第3条の規定を、見直し後の法律においても維持する旨を、答申案に記述するよう要望します。
 放送事業者に放送番組の種別等の公表を求める制度については、答申案で、規律強化の目的や、規律強化は目的に照らして必要最小限とすべき旨を記述するとともに、制度設計にあたり、放送事業者にとって過重な負担とならないよう適切に措置されることを要望します。
 最後に、新たな時代にふさわしいNHKの目的等について、今後速やかな検討が行われることが必要である旨を答申案に記述するよう要望します。
 以上の意見内容が決定されれば、本日、総務省に意見を提出します。

(会 長)   原案どおり決定します。

(3)中央放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(日向理事) 
 中央放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について審議をお願いします。
 岸本葉子氏(エッセイスト)と、冨士重夫氏(全国農業協同組合中央会専務理事)に、平成21年9月1日付で新規委嘱したいと思います。
 また、向井地純一委員(農林中央金庫代表理事副理事長)については、本人からの申し出により、任期途中の7月31日付で委嘱を解くことにしたいと思います。
 なお、青木奈緒委員(作家)は、任期満了により8月31日付で退任されます。
 本件が了承されれば、7月28日開催の第1099回経営委員会において、新規委嘱について同意を求めたいと思います。あわせて、任期途中の退任等についても報告します。

(会 長)   原案どおり了承し、次回の経営委員会に諮ります。

(4)視聴者対応報告(平成21年6月)について
(視聴者サービス局) 
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成21年6月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、7月28日の第1099回経営委員会に報告したいと思います。
 6月にNHKに寄せられた視聴者の声の総数は39万3,553件でした。これは平均的な月の件数です。このうち、苦情や要望等を含めた意見が7万1,396件(18%)、問い合わせが28万8,723件(74%)、その他が3万3,434件(8%)でした。苦情や要望等を含めた意見のうち90%は意見を受け付けた1次窓口で対応を完了し、残る10%は該当部局へ転送して2次対応しました。この割合も通常月と変わりません。
 6月20日から21日の2日間にわたり、「SAVE THE FUTURE」と題して、環境問題をテーマにした番組を集中編成しました。この取り組みに対し、個々の番組への意見や問い合わせ等も含めて1,341件の反響が寄せられました。特に反響が多かった番組は、アニメ「川の光」(20日放送)、日本の、これから「15%削減・あなたの暮らしを変えられますか?」(20日放送)、「エコうた2009」(21日放送)でした。「SAVE THE FUTURE」は、昨年に続き今年が2回目の取り組みで、反響数は昨年の1,957件に比べて減っていますが、好評意見の数は、昨年より増えました。また、40代以下の世代からの意見が増え、年代別の構成比が多少若くなりました。
 NHKスペシャル「シリーズ JAPANデビュー」については、6月7日に第3回「通商国家の挫折」、28日に第4回「軍事同盟 国家の戦略」を放送し、4回シリーズの放送を終了しました。日本が明治以来、欧米に追いつき並んでいこうとする時に命運を握った4つのテーマ、「アジア」、「天皇と憲法」、「貿易」、「軍事」に焦点をあて、いったんは世界の“一等国”になった日本がなぜ国際社会の中で孤立し、焼け野に立つことになったのかを、世界史的な視点で検証するシリーズでしたが、第1回「アジアの“一等国”」(4月5日放送)に対して、「反日的だ」「偏っている」といった意見が多く寄せられました。一方で、シリーズを通して「勉強になった」「見応えがあった」などの好評意見も寄せられました。4月1日から7月5日までの期間の総反響数は7,126件に上っています。第1回をめぐる動きとしては、いくつかの団体から抗議を受けていることから、視聴者の皆さまにも説明するため、6月17日に番組ホームページにNHKの考え方を掲載しました。これに対して、「説明を読んでもまったく納得できない。意図的に偏向報道しているとしか思えない」といった厳しい意見や、「ていねいな説明だと感じた。いろいろな批判もあるようだが、今後もこのような良心的な番組を期待している」といった好評意見など、125件の反響がありました。また、6月25日に、大学教授など8,300人あまりが原告となり、番組について「内容が事実と反し一方的な取材によるものだ」などとしたうえで、放送法に違反するとして総額8,300万円あまりの賠償を求める訴えを起こしました。この動きを受けて、「驚いた。なぜNHKが訴えられるのか」「なぜ7時や9時のニュースでやらないのか。堂々と報道すべきだ」「いろいろな圧力に屈せずがんばってほしい」など254件の声がありました。
 6月の放送番組に寄せられた反響総数は、13万7,241件で、意見は4万7,055件、問い合わせは9万0,186件でした。個別番組で反響の多かった上位10番組のうち、ためしてガッテン「脳いきいきダイエット 超らくジョギング革命!」(6月10日放送)や、同「うつ病よサラバ!脳が変わる最新治療」(6月17日放送)、ここが聞きたい!名医にQ「腰痛」(6月6・13日放送)など、医療や健康情報を扱った番組が7番組を占め、ダイエット効果があるとされる「スロージョギング」やうつ病の情報などが関心を集めました。「うつ」をテーマにした番組としては、社会情報番組や生活情報番組だけでなくドラマでも、5月29日から6月12日にかけて金曜ドラマ「ツレがうつになりまして。」を全3回で放送しました。ベストセラーのコミックエッセーを原作に、うつ病に立ち向かう夫婦を、ユーモアを交えて温かく描いたドラマで、647件の反響がありました。この件数は、同じ金曜ドラマとして4月から全8回で放送した「コンカツ・リカツ」の総反響数を上回っています。内訳をみると女性の比率が61%と高く、また、年代別では40代からの反響が26%と多くなっています。
 視聴者からの意見や要望を受けて、改善などの対応をとった事例を紹介します。
 今年度の新番組で、毎週木曜に教育テレビで放送している「ニュースで英会話」は、タイムリーな英語ニュースを使い、旬の英語表現を身につけるための番組で、インターネット、携帯、ラジオと連動したクロスメディアで展開しています。ウェブサイトの「ニュースで英会話オンライン」では、番組で扱うニュースの動画や和訳・解説に加え、本格的なeラーニング(インターネット学習)や実力テストも配信しています。4月から6月の3か月間に520件の反響があり、さまざまな意見とともに多くの要望が寄せられました。そのうち、「ウェブサイトの『リスニング用の音声』は途中で止められないのか。いったん停止できるようにしてほしい」という要望を受けて、5月21日にウェブ画面上に「一時停止ボタン」を追加しました。また、「この番組はテキストがないが、もっと勉強するために役立つのでテキストを作ってほしい」という多くの要望を受けて、3月末を含む4月放送分を収載したCD付き番組関連本を6月25日に発行しました。7月以降、毎月18日に発行する予定にしています。
 ほかにも、大河ドラマ「天地人」に対して、「番組を見ていたら『駿河 浜松城』とテロップが出たが、間違いではないか」という指摘があり、再放送では「遠江 浜松城」と訂正するなど、意見・要望や指摘は該当部局に転送し、速やかに対応をとりました。
 テロップなどの誤記や原稿などの誤読については、視聴者からの指摘に基づき確認した結果、63件の表記のミスや読み間違いなどがありました。テロップの誤記では、作成時にパソコン入力した言葉の変換ミスが目立っています。いただいた指摘については、番組担当者に連絡し放送の中で訂正するように努めるとともに、再発防止に向けて放送関係の部局に周知し、現場に注意を喚起しました。
 また、内容や表記の誤りではありませんが、「『生活ほっとモーニング』では、干し野菜について“えのきだけ”は干すのに適さないと紹介していたが、以前に『ためしてガッテン』で、“えのきだけ”は干すとうま味が増しておいしくなると放送していた」という指摘がありました。これを受けて「生活ほっとモーニング」の番組ホームページに、「番組中“えのきだけ”は干し野菜に向かないというアドバイスを紹介しました。(アドバイスによれば)“えのきだけ”は細くて水分が多いので干さないそうですが、“えのきだけ”は干せないわけではありません。干すとうま味成分が増し、おいしいという人もいます」というおことわりを掲載しました。
 経営関係の意見について報告します。
 NHKでは、昨年1月に職員による株のインサイダー取引が発覚したことを受けて、再発防止に取り組み、その進ちょくと課題を検証する番組を継続して放送しています。外部の有識者で構成する「職員の株取引に関する第三者委員会」が再発防止に向けた10の提言を盛り込んだ報告書を昨年5月にまとめてから1年がたったことから、現在NHKは改革にどう取り組んでいるのかを改めて伝える「NHK 改革の取り組みは今」を、6月7日に放送しました。この番組に対し、「一人ひとりの職員が一生懸命働いているのはわかるが、正しい知識を持ってほしい。むしろベテランの指導をしっかりしてほしい」「個人の資質の問題で、NHKがマスコミ人としてのプライドを育てていないということだ」「局内で行ったインサイダー取引に関するアンケートに回答しなかった職員に、NHKはどのように対応したのか」など、43件の意見や問い合わせが寄せられました。
 NHKが、放送受信契約の締結に応じていただけない事業所に対し、放送受信契約の締結と受信料の支払いを求める初めての民事訴訟を起こしたことについて、「NHKは未契約者を見過ごし続けるのか。真面目に受信料を払い続けている者はどうなるのか」「無駄を省き経費を節約して受信料を下げれば、契約する人も増えるのではないか」「契約とは双方がその内容を理解し了承した場合に成立する。放送はスクランブル化すべきだ」「会長の理念、信念がよく理解できた。真剣な取り組みをしていると感じた」など、30件の反響が寄せられました。なお、相手方の事業所から受信契約書の提出と受信料全額の支払いをいただいたため、7月9日に民事訴訟を取り下げました。

(溝口理事)  健康や医療関連の番組に多くの反響があったということですが、そのうち6〜7割は問い合わせのようです。問い合わせ内容の傾向や、それに対する回答はどのようなものでしたか。
(視聴者サービス局)  問い合わせの多くは、番組に出演した医師に関するものや、再放送についてでした。医師に関する問い合わせには、準備したQ&Aを基に回答しました。
(会 長)  原案どおり決定し、次回の経営委員会に報告します。

2 報告事項
(1)21年6月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局) 
 21年6月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 まず、各部局が実施したふれあいミーティングについての報告です。
 率直な意見交換を通じて若者の声を番組に反映させる取り組みの第一歩として、10代をおもな視聴者層としているドラマ8「ふたつのスピカ」と連動したふれあいミーティングを、出演者や番組プロデューサーも出席して、7月14日に東京・放送センター内で実施しました。番組ホームページや番組予告、新聞紙上などで参加者を公募したところ、885人の応募があり、そのうち70人の方に参加いただきました。参加できなかった応募者にも、出演者の直筆によるコメント入り色紙を全員に郵送しました。参加者70人のうち10代の女性が6割を超えるなど、初めて中学・高校生を対象としたふれあいミーティングとなりました。今後は、今回の応募者からNHKに対する意見を恒常的に聞けるようなシステム作りが課題になると思います。また、参加者へのアンケート結果からは、若年層の期待するドラマや番組情報への接触のしかたの傾向などが見えてきました。今後も、ドラマのスタート時などにおいて、若い視聴者層の拡大と視聴者満足の向上に向けて、ふれあいミーティングを積極的に開催したいと思います。
 地上デジタル放送の普及促進活動の一環として、熊本放送局では、「地デジは難しい。わからない」という高齢視聴者からの声を受け、デジタル中継局が開局した地区の高齢者を対象に、自治体等と連携して「地上デジタル放送講座」を、これまで5回開催してきました。参加者からは「データ放送がわからなかったが、よくわかった。使ってみる」「“地デジ詐欺”もあるとは、気をつけなければ」などの声が寄せられています。
 東京都港区の愛宕山にあるNHK放送博物館では、2年前から「がんばろう ふるさと・全国NHK放送局展」を開催し、20年度までに28の放送局の活動と、その地元の道府県の風物を紹介してきました。また、「NHK番組を見る会」として、各地の放送局が制作した番組を上映し、地域の魅力を伝えています。そうした中で、山形放送局・山形県の「がんばろう ふるさと展」と、新潟放送局の「番組を見る会」が、大河ドラマ「天地人」を通じて結びつき、6月20日に放送博物館内のスタジオで、合同の番組上映会とふれあいミーティングを実施しました。45人の方が参加し、「地方局制作の番組は、なかなか東京で見られない。上映会は地方を東京でPRできるチャンスだ」「地方の取り組みを東京で知る機会をもっと増やすことを考えてほしい」などの意見が出されました。
 こうしたふれあいミーティングは、6月に全国で210回開催し、3,704人が参加しました。4月から6月の第1四半期では、全国で516回開催、参加者は1万1,408人となっています。前年同期に比べて、回数は67回、参加者は1,539人増えました。テーマを決めて参加者を募集する公募型ふれあいミーティングは、全国で25回開催し、636人が参加しました。ふれあいミーティング全体では、参加者の半数以上が60代以上ですが、公募型ミーティング25回の合計では、参加者の年代層の偏りが少なくなっています。公募型はテーマに応じて特定の年代の参加者が集まる傾向があるので、それを活用して、高齢者向けにやさしく地上デジタルを紹介する場や、NHKに声の届きにくい10代・20代の意見・要望を聞く場として展開できると思います。
 「平成21〜23年度 NHK経営計画」に基づき、全国53の放送局が自分たちの取り組みを掲げた“放送局のちから”については、6月に全国から160件の報告がありました。
 平成7年1月の阪神淡路大震災の経験から、神戸放送局、大阪放送局では、それぞれ防災に努め震災の経験を風化させない取り組みを掲げる中で、来年1月に震災から15年の節目を迎えるのを前に、若者たちと連携して新しい活動を展開しています。震災当時神戸市で被災した俳優・森山未來さんが神戸大学の学生とともに行った被災者へのインタビューを題材に、神戸放送局が大阪放送局とともに制作したドキュメンタリー番組「未来は今〜10years old,14years after〜」を、今年3月に近畿ブロックで放送したところ、放送後に神戸大学の学生から「同年代の若者が震災についてどう考えているのか、語り合いたい」という提案があり、NHKと若者たちとが協力して、取り組みがスタートしました。6月28日には、NHKと神戸大学の共催で、震災について考えるイベントを開催し、学生の呼びかけで310人が参加しました。「未来は今」の上映に続き森山未來さんも参加して行った座談会では、「自分と震災のかかわり方を考えさせられた」「この取り組みは、1回で終わらせず継続することが大切」などの声が出されました。今後は、8月下旬に「未来は今」を全国放送するのに続いて、10月に第2弾となるミーティングを開催、また、来年の震災15年関連の特集編成に向けて「未来は今」が契機となった特集ドラマの制作を秋から開始する予定にしています。
 鹿児島県は、絶滅危ぐ種に指定されているアカウミガメの北太平洋最大の産卵地ですが、これまで産卵が確認されていなかったトカラ列島・宝島の子どもから、卵を発見したという情報が5月下旬に鹿児島放送局に届きました。その後、子どもたちから「ウミガメをどのように見守っていけばいいのか、詳しく勉強したいから教えてほしい」という要望が寄せられました。鹿児島放送局では、6月9日、地域ニュースの取材と合わせて、島民にアカウミガメの生態を紹介し環境保護につなげる「ウミガメ教室」を開催しました。日本ウミガメ協議会の外部研究員である職員が講師となり、足跡の見分け方や卵の守り方、ウミガメの生態などを解説するとともに、産卵場所が7月22日の皆既日食の観測地点となっていることから、卵を保護するため参加者の手で安全な場所に移しました。参加した子どもからは「貴重な自然を大切にしようと思った」などの声があり、保護者からも「子どもたちが学ぶ姿に未来を感じた。自然と環境を大切にしたい」との感謝のメールが寄せられました。
 そのほか、松山放送局、高松放送局では、四国地方が例年夏に水不足に悩まされることから、節水をわかりやすく呼びかける工夫を凝らしたキャンペーンを実施しています。また、長崎放送局、鹿児島放送局では、高校野球への地元の関心が高いことから、自局ホームページなどでの情報提供をさまざまな工夫で充実させて、ファンの要望に応えています。
 視聴者からの意見や要望などに基づく業務の改善については、6月の改善件数は94件でした。
 この中から、局地的大雨による災害の防止に向けたアメダス画面の改善を紹介します。昨年、全国各地で局地的な大雨が相次ぎ大きな被害をもたらしたことから、報道局と放送技術局では、視聴者によりきめ細かい気象情報を提供し、注意・警戒を呼びかけるため、アメダス降水画面に、降水50mm/h以上の「非常に激しい雨」を追加して、区分を4段階から5段階に変更しました。6月1日の早朝以降、すべての全国および首都圏向けのニュース・気象情報に適用しています。
 最後に、若年層によるNHKへの接触を増やすため、今年3月5日から6月末まで実施してきた、大学新入生や新社会人向けの応援キャンペーン「がんばれ。ルーキー!」キャンペーンについて報告します。期間中のキャンペーンサイトへの目標アクセス数を、パソコンからは5万ページビュー(pv)、携帯サイトからは90万pvとしていましたが、速報値では、パソコンからのアクセスが46万6,336pv、携帯サイトからは98万2,157pvとなりました。今回新設したパソコン向けサイトは、動画などが好評で目標を大きく上回りました。また、受信契約の届け出を「がんばれ。ルーキー!」の携帯とパソコンのサイトから受け付けられるようにしたところ、1,200件あまりの届け出がありました。特に「家族割引」や「新規契約」の申込みの比率が高く、受信契約窓口としての効果も見られました。


(2)契約・収納活動の状況(平成21年6月末)
(営業局) 
 21年6月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、放送受信契約総数の増加状況について、6月は、多くの世帯が移動した地域や、契約取次活動が十分に実施できていなかった地域に対する契約活動に努めたほか、事業所割引の適用に伴う契約内容の見直しなどにより、契約総数取次数が前年度同月比で109%になりました。しかし、契約総数増加数は、月間で0.1万件にとどまり、前年度同月を下回りました。これは、障害者免除や公的扶助受給世帯の増加により有料契約から全額免除への変更が1.4万件あったことに加えて、支払いが滞っている契約者に対し文書郵送による督促活動を行ったところ、契約者がすでに転居先不明だったことなどによる減少が多く発生したことが要因となっています。
 衛星契約取次数は、移動世帯の衛星放送受信確認を徹底したこと、地上契約から衛星契約への変更を進める取り組みやケーブルテレビ事業者・電器店等と連携した活動を強化したことなどにより、前年度同月比で116%になりました。また、衛星契約増加も4.9万件と前年度同月を上回り、いずれも順調に進ちょくしています。
 6月の当年度収納額は、499億円で、前年度同月に比べ6.1億円の減となりました。これは、訪問集金廃止に伴い、2か月間で収納していたものを6か月間のサイクルで収納する継続振込支払いに変更したために、受信料の入金時期に“ずれ”が生じていることが大きな要因です。加えて、景気後退の影響により口座振替の受信料の振替率が低下していることも減収につながっています。すでに実施している追加施策をさらに推進して、収納活動を強化したいと思います。
 前年度受信料の回収額実績は、年間累計で37.0億円となり、前年度同時期から9.1億円の増加となりました。また、前々年度以前受信料の回収額実績は、年間累計で6.1億円となりました。


(3)平成20年度における随意契約見直し計画のフォローアップの策定
   ・公表について
(経理局) 
 NHKが行う取引における随意契約については、平成20年2月に総務省から会長あてに送付された、随意契約の見直しに関する協力要請も踏まえつつ、NHKの自主的な取り組みとして、同年3月に「随意契約見直し計画」の一次計画を、さらに同年10月にその改定計画を策定・公表し、競争化を図ることとしています。
 今回、その進ちょく状況の点検について、改めて総務省から協力要請を受けたことも踏まえ、自主的な取り組みとして「随意契約見直し計画のフォローアップ」を策定・公表することとしましたので、報告します。
 随意契約見直し計画の対象となる取引は、NHKと関連団体およびそれ以外の一般の事業者との取引全体ですが、番組制作関係の業務委託と放送権・著作権・出演等の契約は対象外としています。
 見直しの基準年度としている平成18年度は、競争性のない随意契約が6,354件、942億円ありました。これは金額をベースにした割合にして、対象となる取引全体(1,883億円)の50.0%でした。見直し計画では、この率を平成25年度までに37.0%に引き下げることとしています。平成20年度の競争性のない随意契約は、7,205件、1,065億円で、取引全体(2,390億円)の44.6%となっています。計画では、7年間で13ポイント引き下げることになりますが、すでに2年間で5.4ポイント下がっており、順調に推移しています。
 平成20年度に随意契約から一般競争入札等の競争性のある契約に移行したおもな取引を挙げると、一般競争入札に移行したものとしては、受信契約取次および受信料収納業務(0.4億円)、指名競争入札に移行したものとしては、東京・放送センターの電力需給契約(13.6億円)、企画競争等への移行としては、自動車運行管理(12放送局、計2.9億円)や福岡放送局の建物清掃等役務業務(1.0億円)などがあります。
 なお、平成20年度の一般競争入札、指名競争入札、企画競争等のいずれも、応札者数が2者以上でした。
 以上の内容は、7月28日の第1099回経営委員会に報告した後、速やかにNHKのホームページで公表します。


(4)平成20年度 NHKと関連団体との取引の評価・公表について
(経理局) 
 NHKでは平成14年度分から、関連団体運営基準第23条に基づき、NHKと関連団体との一定規模以上の取引について、毎年度その取引が適正に行われているかの評価を取りまとめて理事会および経営委員会に報告するとともに、ホームページで公表しています。
 評価・公表の対象となるのは、金額の規模が経理規程の少額随意契約の基準を超える取引、具体的には、工事または製造の契約については250万円、財産の買い入れは160万円、物件の借り入れは80万円、その他の役務は100万円を超える取引です。平成18年度までは1件3,000万円を超える取引を対象としていましたが、19年度から対象範囲を広げて現行の基準としました。
 これに基づき、平成20年度のNHKと関連団体との取引について取りまとめましたので、報告します。
 平成20年度の評価・公表の対象となる取引は、1,746件で総額1,379億円でした。取引の分野別内訳は、番組制作関係業務が415件で919億円、技術関係業務が977件で263億円、営業・広報関係業務が143件で138億円、管理関係業務が211件で58億円です。取引件数、金額とも前年度より増加していますが、これは、「平成18年度〜20年度 NHK経営計画」に掲げた要員計画に基づくNHK職員の削減に伴い、業務を関連団体にアウトソーシングしたことなどによります。
 これらの取引が、NHKの経理規程および業務委託基準等で求められる要件を満たして行われたかどうか、特に随意契約が要件を満たして適正に行われたかどうかについて、外部有識者で構成する「入札契約委員会」の点検・助言を得ながら、NHKが自ら全件を点検しました。その結果、いずれも要件を満たしていると判断しました。
 取引のうち、競争契約を実施したものは、デジタルテレビ中継放送所の送信設備整備工事や送信装置製作、NHK共同受信施設大規模改修工事など、361件、103億円で、前年度より110件、9億円増加しています。また、随意契約については、公共放送サービスの質を確保するため関連団体のノウハウを活用することが不可欠な業務委託や、契約の性質または目的が競争に適しない場合、緊急の必要により競争を行う時間がない場合などの理由によるもので、1,385件、1,276億円ありました。前年度より71件、159億円増加しています。
 なお、関連団体との取引については、「平成21〜23年度 NHK経営計画」で競争を拡大していくこととしています。番組制作関係の委託業務(平成20年度130件、874億円)については、企画提案競争を推進し、平成25年度に編成時間比率で委託番組の25〜30%程度の競争化をめざします。それ以外の取引(平成20年度1,616件、505億円)については、競争化により関連団体以外の一般事業者が受注した契約(67億円)等も含めて算出すると、平成20年度の競争化率は31%でした。引き続き見直しの余地がないかを点検し、やむをえないものを除いて、可能なものから順次競争契約への移行に努め、平成25年度に40%超の競争化をめざします。
 以上の内容については、7月28日開催の第1099回経営委員会に報告したうえ、NHKのホームページに掲載し、公共放送としての取引の適正性および透明性の確保を図ることとします。あわせて、対象となった1,746件の個別の契約情報についても、一覧表形式で公表します。


(5)地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について
(日向理事) 
 地方放送番組審議会委員の委嘱と任期途中の退任について報告します。
 関東甲信越地方で清水淳子氏(料亭「みな金」女将)に、近畿地方で弘本由香里氏(大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所客員研究員)に、九州地方で原田緑氏((株)七尾製菓代表取締役専務)、鈴田滋人氏(染織作家・重要無形文化財保持者)、西大八重子氏(フィニシングスクール西大学院学院長)に、東北地方で蓬田隆子氏((株)リブレ代表取締役会長)、宇部文雄氏(東北電力(株)常務取締役)、島守賢氏((株)ダイマル代表取締役社長)に、および四国地方で中村有無氏(四国電力(株)常務取締役)に、いずれも平成21年9月1日付で新規委嘱します。
 また、東北地方の安倍宣昭委員(東北電力(株)取締役副社長)と佐藤あき子委員(JA全国女性組織協議会会長)、および四国地方の眞鍋省三委員(四国電力(株)取締役副社長)については、いずれも本人の申し出により任期途中の7月31日付で退任されます。
 なお、関東甲信越地方の今井裕久委員((株)サドヤ会長)、近畿地方の佐藤友美子委員(サントリー文化財団上席研究フェロー)、九州地方の石丸美奈子委員(コピーライター、エッセイスト)、親泊一郎委員((社)沖縄雇用開発協会会長)、野口好啓委員(佐賀県農業協同組合代表理事組合長)、および東北地方の結城登美雄委員(民俗研究家・宮城教育大学講師)は、いずれも任期満了により8月31日付で退任されます。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 8月25日
                     会 長  福 地 茂 雄

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