日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 6月 2日開催分)
平成21年 6月19日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 6月 2日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1096回経営委員会付議事項について

2 報告事項
(1)監査結果報告
(2)平成20年度 関連団体の決算概要
(3)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1096回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 6月9日に開催される第1096回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「退任役員の退職金について」と「国際放送番組審議会委員の委嘱について」、また、報告事項として「平成20年度 関連団体の決算概要」です。

(会 長)   原案どおり決定します。


2 報告事項

(1)監査結果報告
(内部監査室)
 本部の放送総局ライツ・アーカイブスセンター、同デザインセンター、国際放送局、および経営スタッフ部門の各部局に対する監査結果の概要について報告します。監査は4月中旬から下旬にかけて実施しました。
 最初に、ライツ・アーカイブスセンターの概要です。昨年12月のNHKオンデマンドサービスの開始にあたり、すべての権利者団体と使用料を含めた基本的な合意に達し、1,200本を超える「特選ライブラリー」の実現に大きな役割を果たしました。今年3月末での提供本数は、1,740本に上っています。また、「ETV50 もう一度見たい教育テレビ」など教育テレビ50周年やFM放送40周年の特集番組を積極的に制作し、従来のアーカイブスの“保存”という考え方から積極姿勢に転じて、“活用”という新たな分野での展開を図っています。FM放送「サウンドストリート」では、視聴者に呼びかけ、家庭で保存されていた音源をもとに特集番組を制作するとともにインターネットでも公開して、好評を博しました。さらに、「平成21〜23年度 NHK経営計画」における“3−Screens”の具体的な施策として、創作用素材のインターネットを通じた一般への提供など、通信と連動した新しいサービスを開発しています。
 次に、デザインセンターについては、「プロジェクトJAPAN」や「ETV50」、「NHK紅白歌合戦」など、大型企画番組の制作に早い段階から積極的に参画し、効果的な映像・音声表現で番組の評価を高めています。また、専門家が少ない地域放送局の支援にも力を入れ、地域発ドラマの制作に音響効果の専門家を派遣するなどしました。文化庁芸術祭優秀賞を受賞した広島放送局制作のドラマ「帽子」をはじめ20件を超す番組等で支援を実施しています。環境にも配慮し、廃棄物の発生抑制(Reduce)、セット・小道具などの再利用(Reuse)、再生パネルなどへの再資源化(Recycle)の「3R計画」を推進しています。使用済みスタジオセットは100%リサイクル化を実現しました。
 国際放送局では、今年2月2日に新しい外国人向けテレビ国際放送を開始し、24時間毎正時に30分間の英語ニュース「NEWSLINE」を放送しています。世界各地から、英語ニュース枠の拡大を歓迎し今後に期待する声が、メールなどで数多く寄せられています。テレビ国際放送の受信環境整備では、衛星の利用やケーブルテレビの再送信契約を進めた結果、20年度末には世界で1億1,000万世帯が、簡易な装置で視聴可能となりました。民間のノウハウを活用して海外への情報発信を強化するため設立された鞄本国際放送との関係強化にも努めています。新しいテレビ国際放送の開始に合わせて完成した新スタジオは、ざん新な設計・デザインでNHK国際放送のチャンネルイメージの刷新に資するとともに、LED照明を採用したことで消費電力をおよそ5分の1に抑制し、省エネ効果を高めています。
 以上の放送部門の3部局に対しては、業務プロセス監査を実施し、各業務プロセスの管理状況は、いずれも適正あるいはほぼ適正と判断しました。
 続いて、経営スタッフ部門の各部局について報告します。
 考査室では、環境キャンペーン関連番組や、雇用危機に関連したニュースなどの集中考査を実施しました。また、放送前にVTRや台本等により実施する事前考査や、放送現場からの人権や広告・宣伝などに関する照会対応業務を通じて、放送番組におけるリスクの低減・管理を徹底しています。
 総合リスク管理室では、内部統制を推進するため、コンプライアンス推進、全社統制、リスクマネジメント、業務プロセス統制、モニタリング、IT統制の6大項目に取り組み、21年度の完成に向けてその構築を進めています。危機管理事案への迅速・適切な対応や、各種法務業務の充実・推進強化にも努めています。
 秘書室では、役員への連絡体制を整備し、情報管理やリスク管理に適切に対応しています。また、セキュリティーの確保に十分配慮しながら、役員フロアのレイアウトや秘書の業務体制の、効率的な運用に向けた見直しを継続的に実施しています。
 総合企画室〔経営計画〕では、20年度に「平成21〜23年度 NHK経営計画」を策定するとともに、「四半期業務報告」を通じたPDCAサイクルの仕組みを構築して、改革を推進しています。4月に施行された改正放送法への対応にも努め、新しいサービスや制度の円滑な運営につなげています。また、放送の完全デジタル化に向けて、視聴者視点でのスムーズな移行促進にも努めています。
 総合企画室〔関連事業〕では、関連団体の再編・統合を進め、今年4月には、統合新会社のNHKグローバルメディアサービスとNHKビジネスクリエイトが発足しました。また、放送法の改正を踏まえて、昨年12月に関連団体運営基準を改正し、NHKと各関連団体が一体となったリスクマネジメントやコンプライアンス活動を、グループ総体として推進しています。
 総合企画室〔情報システム〕では、IT統制・情報セキュリティーおよび業務システムを所管する責任部局として、NHKグループのIT統制の確立に向けた体制整備と施策の推進に着実に取り組んでいます。また、放送受信料の効率的な収納や視聴者満足向上に向けたシステム整備も推進しています。
 最後に、NHKオンデマンド室では、昨年12月1日に、番組やニュースをいつでも視聴できる有料配信「NHKオンデマンド」を開始しました。3月末までに、「見逃し番組」、「ニュース」、「特選ライブラリー」を合わせて約4,000本配信し、延べ視聴回数は85万回に達して、NHKへの接触率向上につなげています。独立採算事業として、コストを抑制した効率的な運営に努めていますが、今後の会員獲得増、販売実績の拡大が最重要課題となっています。
 コンプライアンスの推進については、各部局とも適正経理の徹底に向けた独自の取り組みや、職員の対話活動、各種の研修会を実施し、積極的に取り組んでいます。総合リスク管理室では、これらの研修会に講師を派遣し、適正経理・コンプライアンスの徹底を進めました。また、ライツ・アーカイブスセンターでは、著作権に関する出前研修を積極的に行い、全国で31回開催し620人が参加して、適正な権利処理の浸透を図りました。
 適正経理の取り組みでは、19年度に指摘事項があった部局の処理手続きの不備はすべて改善されていました。20年度については、一部の部局に備品の適正な管理を指示しました。経営スタッフ部門の各部局では、19年度・20年度とも改善の要望・指示事項はありませんでした。


(2)平成20年度 関連団体の決算概要
(総合企画室)
 平成20年度の関連団体の決算概要について報告します。
 まず、各社の決算の単純合計について説明します。この数字は、関連団体間の内部取引を消去していませんので、連結決算とは性格を異にするものですが、あくまで全体状況のトレンドを前年度と比較するために算出しています。NHKが直接出資する子会社15社の売上高を単純合計すると2,349.6億円となり、19年度に比べ164.6億円の増収となりました。また、当期の純利益の単純合計は58.7億円で、19年度に比べて11.2億円の増益となりました。ただし、これは一部の団体が大幅な増益となったことによるもので、各社別の決算では、3分の2の団体で減益となっています。
 売上高のうち、NHKとの取引額は1,298.6億円で、19年度から169.5億円増加し、NHK以外との取引額は1,051.0億円で、4.9億円減っています。その結果、NHKとの取引比率は55.3%となり、前年度から4.3ポイント上昇しています。NHKとの取引増は、平成18年度からの3か年経営計画に基づき、多くの業務と要員を関連団体に切り出したことや、地上デジタル放送の中継局整備の受注などによるものです。この結果、番組制作受託の増が59.0億円、NHKからの業務移行に伴う増が32.0億円、地上デジタル放送関連設備工事の増が67.7億円などとなっています。NHK以外との取引の減少については、民放等のスタジオのデジタル化整備が一段落し受注が減ったことや、大型イベントの開催がなかったこと、他社との競争の激化や昨年後半からの景気の後退などが要因となっています。
 21年度配当については、子会社の配当総額は30.1億円、うちNHKの受取額は17.8億円の見込みです。今期から配当性向の下限値を35%に引き上げたことにより、当期純利益に基づく普通配当は16.1億円で、これに加えて子会社のうち7社が総額13.9億円の特例配当を実施します。
 20年度決算から、「NHKとの取引」と「NHK以外との取引」を区分し、それぞれの営業利益率を算出することになりました。子会社全体の営業利益率は3.6%で、「NHKとの取引」では4.0%、「NHK以外との取引」では3.0%となっています。初めて算出した数字ですので分析は難しいのですが、「NHKとの取引」における営業利益率が高いのは、ここ数年、業務の切り出しや地上デジタル放送関連工事などの受託が急激に増加する一方で、固定費はそれほど増加していないことによるものと見られます。今後は、適正な営業利益率を目指して、率の高低の原因を個別に調査するとともに、業務委託契約や管理費率の見直しを進めていきます。
 関連団体が納入した20年度のNHKの副次収入は70.9億円で、19年度と比較すると2.8億円の減となりました。NHKの副次収入総額88.2億円の80.4%にあたります。NHKの21年度予算では、副次収入の総額を105億円と計画していますが、景気後退の影響も大きく、今後、相当の努力が必要と考えています。
 以上の決算概要は、6月9日の第1096回経営委員会に報告します。


(3)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成21年4月開催分の議事録についての報告(注)。


 注: 放送番組審議会の議事概要は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 6月16日
                     会 長  福 地 茂 雄

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