日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 5月26日開催分)
平成21年 6月12日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 5月26日(火) 午前9時00分〜9時30分

<出   席   者>
 福地会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、八幡理事、
 永井理事、大西理事、関根理事、今井理事、黒木理事

 井原監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室
<議    事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。
 予定の付議事項を終了した後、人事総務局から審議事項の追加提案があり、「退任役員の退職金について」を審議した。
付議事項
1 審議事項
(1)第1095回経営委員会付議事項の追加について
(2)関連会社の再編・統合について
(3)国際放送番組審議会委員の委嘱について
(4)退任役員の退職金について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)契約・収納活動の状況(平成21年4月末)
(3)平成21年度放送技術研究所公開 実施結果について

議事経過

1 審議事項
(1)第1095回経営委員会付議事項の追加について
(総合企画室)
 本日開催される第1095回経営委員会付議事項の追加について審議をお願いします。
 5月19日の理事会で審議、決定された事項のほかに、議決事項として「国際放送番組審議会委員の委嘱について」を、報告事項として「契約・収納活動の状況(平成21年4月末)」を、それぞれ追加したいと思います。

(会 長)   原案どおり決定します。


(2)関連会社の再編・統合について
(溝口理事)
 NHKの関連会社である(株)NHK名古屋ビルシステムズについて、今年6月末日を目途に解散することとしたいと思います。
 同社が担ってきたNHK名古屋放送局のビル管理業務は、提案競争により星光ビル管理(株)に委託し継承してもらう予定です。清算人には、現在の取締役が就任します。残余財産は、株主の間で議決権比率に基づき分配します。NHKの受取分配金は出資額を上回ることが見込まれます。また、解散により、年間およそ1,400万円の経費が削減できる見込みです。
 本理事会で決定したうえは、本日の第1095回経営委員会に報告します。その後、6月2日に開催される同社の取締役会を経て、同26日開催の株主総会で解散を決議する予定にしています。解散日は平成21年6月30日、清算結了は平成22年1月を想定しています。

(会 長)   原案どおり決定します。


(3)国際放送番組審議会委員の委嘱について
(日向理事)
 国際放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 平田康夫氏((株)国際電気通信基礎技術研究所代表取締役社長)に、平成21年5月26日付で新規委嘱したいと思います。同氏には、平成17年5月1日から平成21年4月30日まで2期にわたって同審議会の委員を委嘱しており、通算で3期目ということになります。
 なお、吉田都氏(バレリーナ・プリンシパル)は、任期満了により5月31日付で退任されます。

(会 長)  原案どおり了承し、本日の経営委員会に諮ることとします。

2 報告事項

(1)考査報告
(考査室)
 4月下旬から5月中旬にかけてのニュースと番組について考査した内容を報告します。
 最初に、この期間の概況を報告します。
 ニュースについては、新型インフルエンザの感染拡大や対策、民主党の代表選挙、福岡市で起きた飲酒運転死亡事故に対する高裁判決など、17項目に関して考査を行いました。
 このうち、新型インフルエンザに関するニュースでは、WHOが警戒レベルを4月28日(火)にまず4に、30日(木)にはさらに5に引き上げたこと、日本政府が対策本部を設置し検疫など水際対策の強化に全力を挙げていること、5月9日(土)に成田空港での検疫により日本でも感染者が確認され、さらに16日(土)に国内感染が見つかり、感染が拡大していることなどを伝える中で、政府や自治体などの情報を整理して冷静・的確に報道していました。また、WHOが警戒レベルを4に引き上げたニュースは、独自の取材によりいち早く伝えていました。
 「あすの日本プロジェクト」が発足し、暮らしや雇用と日本社会のあるべき姿について、「ニュースウオッチ9」、「NHKニュース おはよう日本」等のニュースや「NHKスペシャル」などで多角的に取り上げていました。「ニュースウオッチ9」では、「大失業時代を生きる」という企画を5月4日(月)から6日(水)までシリーズで放送し、鹿児島県出水市では全国最大規模の1,000人の雇用が失われ、個人も地域社会も大きなダメージを受けていることや、横浜市の職業訓練校を例に失業者が殺到して訓練校に入りにくくなり、訓練を受けてもなかなか就職に結びつかなくなっていることなど、具体的な事例をリポートしながら雇用危機について考えていました。また、5月6日(水)放送のNHKスペシャル「“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言」では、社会の中核を担う35歳1万人に行ったアンケートの結果を基に、日本社会の抱える不安な現実や課題を浮き彫りにしていました。やや抽象的ではあったものの、「モノ」から「ヒト」への投資の転換を提言していたのがよかったと思います。
 番組については、当該期間に放送した23本を考査しました。そのうち14本は台本や試写などで事前考査も実施しました。これに加え事前考査のみを実施した番組が15本あり、事前考査した番組は合計29本でした。
 今年4月に開始した新番組について報告します。「大人ドリル」は、出演するNHKの解説委員の持ち味がよく発揮されており興味深い内容だと思います。問題提起にとどまらず解説委員同士のキャッチボールを通じて議論を深めていけばさらによくなるのではないでしょうか。「ソクラテスの人事」は、ユニークな出題と個性あふれる解答で視聴者をひきつけています。定時化を目指して単発で放送した際には、発言やスーパーに企業名が多く入っていましたが、定時番組になってからは、必要かつ適切な情報として紹介がされています。「あなたが主役 50ボイス」では、意外なエピソードが伝えられ、世相の一端を知ることができます。ただし、離婚などテーマによっては、プライバシーへの配慮に抜かりがないようにしてほしいと思います。衛星第2の「どれみふぁワンダーランド」は、しゃれた音楽の楽しみ方を紹介して魅力的な番組になっていると思います。
 続いて、その他の個別のニュースや番組からいくつか報告します。
 5月11日(月)に当時の民主党の小沢一郎代表が辞意を表明したのを受けて、16日(土)に同党所属の国会議員による代表選挙が行われ、鳩山由紀夫氏が新しい代表に選出されました。翌日、鳩山新代表は、代表選で戦った岡田克也氏を幹事長に、小沢前代表を代表代行に起用する党人事を発表しました。民主党代表選に関する一連のニュースでは、小沢氏の辞意表明や岡田幹事長の起用について一報を迅速に伝えるとともに、鳩山氏の勝因や今後の課題をわかりやすく解説していました。また、各党の反応についてもきちんと紹介していました。
 19年前に栃木県足利市で幼女が殺害された事件で、東京高裁がDNAの再鑑定を行ったところ、被害者の服についていた体液と逮捕・起訴され無期懲役となった受刑者の血液などから採取したDNAの型が一致しなかったことを、5月8日(金)夜の各ニュース枠で伝えていました。東京高裁では、再鑑定の結果をもとに再審を認めるかどうか検討するとしていますが、8日の「ニュースウオッチ9」では、当時の鑑定の精度は800分の1だったことを説明したうえで、「現在では4兆7,000億人いて初めて同じ人が出るぐらいまで精度が上がっている」という専門家へのインタビューを紹介して、当時はDNA鑑定技術が十分に確立されていなかったことを視聴者にわかりやすく伝えていたと思います。
 5月3日(日)放送のNHKスペシャル シリーズ「JAPANデビュー」の第2回「天皇と憲法」では、大日本帝国憲法がその成立過程で天皇をどう位置づけようとしていたのか、そこで定められた立憲君主制がどのように崩壊していったのかを、当時の憲法学者の論争や政権の移り変わりを踏まえて丁寧に読み解いていました。出演した3人の論者の指摘もわかりやすく説得力があり、日本の近代について改めて見直させられる番組でした。モニターからは、「大日本帝国憲法成立の経緯や天皇について時代背景を交えて説得力ある紹介をしていた」「憲法解釈を国民はどう受け止めたのか、その視点がほしかった」などの声が寄せられました。
 4月26日(日)に教育テレビで放送した、ETV特集 シリーズ「日本と朝鮮半島2000年」の第1回「古代 人々は海峡を越えた」では、出土品や研究者の解説を通じて活発に交流していた古代の日本と朝鮮半島の関係を浮かび上がらせていました。日韓双方の歴史学者の提言も、交流史研究の意義を理解する助けになっていました。今後も双方の“歴史認識の共有”に資する番組を期待したいと思います。モニターの声でも、「授業で学んだことよりはるかに多くの交流があったことがよくわかった」など、番組の内容が視聴者に興味深く伝わったことを示しています。
 5月1日(金)に第1回を放送した衛星第2の新番組「Sound+1」は、各地のアマチュア音楽家のもとをプロが訪ね、その指導を通じて一緒に音楽を作り上げる姿と感動を伝える番組です。今回は、兵庫県加古川市の主婦たちのゴスペル合唱団を、つのだ☆ひろさんが歌唱指導し、ラストの感動的な大合唱に至るまでの様子を紹介していました。番組からは、プロの指導を受けて、主婦のコーラスグループらしく明るく前向きに楽しむ様子が伝わり、メンバーの日常やつのださんの活動も紹介されて親近感も増しました。ただ、主婦たちが上達していくステップがもう少しわかるような工夫もほしかったと思います。モニターからは、「普通の主婦の合唱団が1回目に取り上げられ親しみが持てた」「合唱の一体感からゴスペルがわかった。リズム練習では自分も楽しんだ」という声が寄せられました。


(2)契約・収納活動の状況(平成21年4月末)
(営業局)
 21年4月末の契約・収納活動の状況について報告します。
 まず、放送受信契約総数の増加状況について、4月は毎年多くの世帯が移動する時期ですので、移動した世帯との早期の契約や、新社会人・新入学生を対象にした契約の確保に努めたほか、事業所割引の適用に伴う契約内容の見直しなどにより、月間の契約総数取次数が前年度同期の119%に増加しました。契約総数は、事業所契約の増加等により、月間で10.8万件(年間目標に対する進ちょく率36.1%)の増加となりました。委託契約収納員による取次数は、訪問集金の廃止に伴い要員数を削減したことから、全体の増加に比べて少ない伸びにとどまっています。ただし、一人あたりの取次数は増えていますので、それを今後さらに増やしていくことが課題です。また、事業所契約の増加に比べて世帯契約の増加が少なく、これを増やすことも課題となっています。
 衛星契約取次数は、契約総数増加と同様に、事業所割引適用に伴う契約内容の見直しや、移動世帯の衛星放送受信確認を徹底したことにより、前年度同期の145%に増加しました。また、衛星契約の増加も月間で8.8万件、年度目標に対する進ちょく率が14.6%と、いずれも前年度同期を大きく上回りました。衛星契約については、委託契約収納員による取次も順調です。
 次に、4月の当年度収納額については、474億円で、前年度同期に比べ11.8億円の減となりました。これは、訪問集金では2か月間のうちに収納していたのに対し、その廃止に伴い変更した継続振込払いでは、収納期間が6か月間あるため、お客様の支払いに期ずれが起きていることが大きな要因です。また、事業所割引制度の導入や障害者免除の適用範囲の拡大に伴う減収も、見込みを上回っています。
 前年度受信料の回収額実績は、20年度末未収金の収納に努めた結果、19.9億円となり、前年度同期から4.5億円の増加となりました。また、前々年度以前受信料の回収額実績は、2.3億円となりました。
 なお、20年度末の当年度収納額は6,333億円で、見込額に届きませんでした。この不足分が今年度に影響して、21年度予算における収入額6,490億円の確保が難しい状況になっています。本部と各地域それぞれで対策の手を打って収納に努めていきます。

(八幡理事)  4月の収納額が前年度同期に比べて11.8億円減っていることは、21年度予算の受信料収入6,490億円の確保に向けて非常に厳しい状況だと思います。21年度予算額を達成するためには、20年度からおよそ100億円の増収が必要ですが、4月に10億円以上減収したということは、残り11か月でおよそ120億円の増収を図らなければならないということです。減収の原因は、昨年度後半からの経済状況の悪化や、受信料の事業所割引制度の導入、障害者に対する免除の適用範囲の拡大など、さまざまな事情が影響しているものと思いますが、4月の収納額が474億円にとどまったということは、予想以上に厳しい結果と受け止めています。訪問集金の廃止に伴い委託契約収納員の数を削減しましたが、今後の契約・収納活動に向けて必要な体制を整備して、全局的な取り組みを展開していくことをお願いします。
(営業局)  4月単月の11.8億円の減については、訪問集金の廃止に伴い継続振込払いに変更となった契約の、収納の期ずれによるものが大きく、5月にはカバーできると思います。むしろ、昨年度後半にさまざまな要素から見込額に届かなかった分について、今年度はどう対策を取っていくかが課題です。対応としては、契約取次をいっそう確保するとともに契約の増加を年度前半期に前倒しすることと、確実に収納していくことの両面から進めていかなければなりません。委託契約収納員については、必要な要員の確保に努めるとともに、外部法人に委託して活動を補完してもらうことで、取り組んでいきたいと考えています。

(3)平成21年度放送技術研究所公開 実施結果について
(永井理事)
 平成21年度放送技術研究所公開の実施結果について報告します。
 今年の技研公開は、「テレビの進化は止まらない」をテーマに、5月19日から24日までの6日間、そのうち一般公開は21日から24日の4日間開催しました。期間中の入場者は、昨年より約5,000人少ない、15,825人でした。入場者が減ったのは、一般公開開始の前日に東京都内で初めて新型インフルエンザの感染が確認されたことが影響したものと思われます。会場でも、手洗いを呼びかけるとともに入り口に手指の消毒剤を置くなどして、感染予防に努めました。
 公開内容については、“3−Screens”の実現とその先を目指す技術を紹介した「放送をもっと身近に、未来の技術」や、地上デジタル放送関連技術と相談コーナーを一堂に集めた「クローズアップ地デジ」など、場内に5つのゾーンを設け、37項目を展示しました。中でも、札幌市のさっぽろテレビ塔から実験衛星「WINDS」を使って中継した、世界初のスーパーハイビジョン生中継衛星伝送実験や、スーパーハイビジョンシアターが、多くの入場者の人気を集めていました。
 また、技術研究所の職員が、10人程度ずつのお客様を案内しながら展示している技術を解説するガイドツアーは、参加待ちの行列ができたほどの人気があり、23日・24日の土日2日間で20分おきに計32回実施しました。ツアー終了後は参加者とのふれあいミーティングも実施し、332人に参加いただいて、視聴者との対話を深めました。
 来年は、放送技術研究所の開所80周年にあたり記念の公開となることから、さまざまな企画を通して技研の取り組みを伝えていく場としたいと考えています。


3 審議事項(追加)

(4)退任役員の退職金について
(人事総務局)
 平成21年4月24日付で退任した後藤雅実前理事に対し、「定款第13条第1項第1号チ」の規定および「会長、副会長および理事の退職金支給基準」に基づき、退職金を支給することとしたいと思います。審議をお願いします。

(会 長)  原案どおり了承し、経営委員会には、6月9日に諮ることとします。


以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 6月 9日
                     会 長  福 地 茂 雄

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