日本放送協会 理事会議事録  (平成21年 2月 3日開催分)
平成21年 2月20日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成21年 2月 3日(火) 午前9時00分〜10時00分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
  八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1088回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成20年12月)について

2 報告事
(1)20年12月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)平成21年度「地域実施全国放送公開番組」の実施計画
(3)監査結果報告

議事経過

1 審議事項
(1)第1088回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 2月10日(火)に開催される第1088回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、報告事項として、「『平成21年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見』及び『平成19年度業務報告書に付する総務大臣意見』について」、「平成21年度インターネットサービス基本計画について」および「視聴者対応報告(平成20年12月)について」です。また、その他事項は、「ETV50の展開について」、「FM40周年の展開について」および「衛星放送20周年の展開について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(2)視聴者対応報告(平成20年12月)について
(視聴者サービス局)
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成20年12月分を以下のとおり取りまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、経営委員会に報告したいので、審議をお願いします。
 12月にNHKに寄せられたご意見・お問い合わせは357,156件でした。
 放送番組に関しては、「第59回NHK紅白歌合戦」に6,500件を超える反響がありました。このうち、12月31日から1月6日までのコールセンターの受付分は3,289件ですが、第57回の反響が8,616件、第58回の反響が3,888件で、それらと比較すると全体の反響数や、厳しい指摘が減少し、好意的に見られた紅白歌合戦となりました。また、大河ドラマ「篤姫」の最終回(12月14日放送)には、好評意見が639件寄せられました。年間の反響は14,977件で、このうち83%が好評意見でした。前作「風林火山」と比べて1.5倍にのぼる意向が寄せられ、特に女性からの反響が多く寄せられました。
 注目される反響として、日曜討論「2009年 雇用・暮らし 政治は何をすべきか」(12月28日放送)では、今後の政治のあり方などについて、若手の学者や評論家が討論し、「現場に密着している出演者の極めて現実的な意見が展開されており、たいへんいい企画であったと感じた」など、好評意見が多く寄せられました。また、12月23日(火)の朝8時30分からの定時ニュースで伝えた、「サンタクロースがプレゼントを持ってフィンランドを出発した」というニュースについて、「夢を持つことができる子どもになってほしいと思う親にとって、とても良いニュースだと思う。久しぶりに優しい気持ちになることができた」など、好意的な意見が数件寄せられました。 
 一方、厳しい意見が多かったものは、「鶴瓶の家族に乾杯」(12月1日、8日放送)で、「この番組は鶴瓶さんの温かい態度と地元の人との触れ合いで、いつも楽しみにしている番組だが、今回の出演者が小学校を訪問した際の、子どもに対する不用意な発言がそのまま放送され不快だった」といった、厳しい意見が寄せられました。
 次に、具体的な対応事例について、いくつか報告します。
 「高校駅伝(12月21日放送)で順位変動を知らせるデータ放送のチャイムが『緊急地震速報』の音と同じように聞こえて気になる」という指摘が寄せられました。実際には「緊急地震速報」とは違う音でしたが、同様の指摘が数件あったため再度検討してすぐに別の音に変更し、1月11日の「第27回全国都道府県対抗女子駅伝」から使用しました。また、ラジオ第一の「ひるのいこい」を20年4月の番組改定で時間帯を変更し、12時台の後半に放送していますが、放送時間を正午のニュース直後に戻してほしいという意見が継続的に寄せられています。こうした声を受けて、21年度からは正午のニュースの直後に放送することにしました。
 「紅白歌合戦の入場整理券について、インターネットのオークションで高額で取引されているが、もともと無料なのにおかしいのではないか。観覧のためではなく、売買のために応募する人が多数いるとも聞く。納得がいかない」という内容の意見が10件以上寄せられました。それに対して、NHKでは入場整理券の売買やダフ屋行為については一切禁止しており、オークションサイトを運営する会社等に対しては、これまでも該当する出品を削除するように求める要望書を再三送付するなどの策を講じているが、法整備がなされていないため対応策が限られていることなどを丁寧に説明し、理解を求めています。また、12月19日(金)のBS2「第21期将棋竜王戦」は時間を延長して放送しましたが、「NHKニュース7」のため、19時で放送を打ち切ったことに対して、「延長してくれたので、最後まで放送してくれるものと期待したが、まだ対局が続いたにもかかわらず『ニュース7』で打ち切るのはひどい。ビッグタイトルくらい最後まで放送してほしい」という意見が寄せられました。「BS2は、地上波を受信できない地域の難視聴解消のチャンネルとしての役割を担っており、今日一日の出来事をお伝えする『ニュース7』は外すことができない番組だった。将棋番組を楽しみにされている方がいる一方で、ニュースを伝えなければならないことなど総合的に勘案しながら番組編成を行っている」と回答し、理解を求めました。
 受信料関係の意見や問い合わせは、全体で175,214件ありました。地域スタッフの説明不足等による苦情が毎月多数寄せられており、苦情削減に向けた対策として、11月に寄せられた1,442件の苦情の内容を分析し、分析結果に基づいて地域スタッフ向けの「業務点検チェックシート」を作成して、このチェックシートを活用した講習会を全国で実施しました。その結果、12月は、地域スタッフの説明不足による苦情は1,217件で、11月に比べて約200件減少しました。
 受信相談への対応では、12月29日の教育テレビの放送時間短縮に関して、「テレビが故障したと思った」等の受信相談としての意見や問い合わせが1,059件寄せられました。
 経営全般に対する意見としては、制作局プロデューサーが窃盗の容疑で通報され、検挙されたことについて、331件の意見が寄せられました。また、京都放送局の技術職員が出張の際の宿泊費を不正に請求していたことが判明したことについて、202件の意見が寄せられました。
 12月1日に「NHKオンデマンド」がスタートし、NHKオンデマンド専用のコールセンターを設置して対応していますが、コールセンターや全国の放送局にも472件の問い合わせや意見が寄せられています。このうち380件は、利用方法や料金、視聴できる番組等についての問い合わせで、このほか「支払い方法に銀行振替がない。クレジットカードは持っていない。銀行振替できるように検討してほしい」「ウインドウズだけではなくマッキントッシュでも視聴できるようにしてほしい」などの要望も寄せられています。
 12月29日の教育テレビ放送時間短縮には、先に述べた受信相談窓口に寄せられたもの以外に、1,036件の意見や要望が寄せられました。このうち、厳しい意見が421件でした。寄せられた意見を内容別に分類すると、「何年も続けてきたテレビ体操ができなかった」など、放送休止の時間帯に関するものが168件、「本来受けられるはずのサービスを受けられなかったのだからその分の受信料は返金してもらいたい」など、受信料に関するものが145件、また、電気店の方から寄せられた「日頃パンフレット等が送られてくるのに、このような大事なお知らせがこないのはおかしい。知らせてくれていれば、修理で駆け回ることもなかった」など、周知不足に関するものが100件、「放送が使命のNHKが放送を止めるのは本末転倒。エコキャンペーンならば、環境について考える番組をもっと制作・放送することで啓蒙すべき」など、NHKの姿勢に関するものが91件、そして、「今回のNHKの取り組みは地球環境にたいへん良いことだと思う」などの賛成意見が60件でした。
 以上の報告内容が決定されれば、2月10日の第1088回経営委員会に報告事項として提出します。

(日向理事)

 視聴者対応報告で示される反響の件数の母数は、どのようになっているのですか。

(視聴者サービス局)

 コールセンターと、全国の放送局に寄せられた件数と、各番組が持っているホームページに寄せられたメールなど、制作現場に直接来た反響のその月の件数を合計しています。番組で使うために募集したご意見やアンケートの結果は含まれていません。また、編成局が独自に集計したものはこの中に含まれていません。

(金田専務理事)

 報告の中に、時系列の変化がわかるデータや、結果の分析などが加われば、課題の改善等に生かせると思います。

(副会長)

 今回は、大河ドラマ「篤姫」の年間を通した反響の変化などを少し取り入れています。今後、さらにバージョンアップしていきたいと思います。

(大西理事)

 視聴者対応報告は、毎月スピーディーに報告が行われており、問題点を明確にし、部局をまたいだ改善につなげる一定の役割を果たしていると思います。今後は、視聴者の声を業務にどう反映していくかということを念頭に取り組んでいけばいいと思います。

(視聴者サービス局)

 ご指摘のあった点を踏まえて、時系列で変化が読み取れるデータについては掲載し、分析力を高めていきたいと思います。

(溝口理事)

 教育テレビ放送時間短縮に寄せられた反響のうち、テレビが故障したと思って電器店に問い合わせたなど、周知不足に関するものが100件あったという事実に驚きました。今後は電器店の方たちの協力を得ながら進めていくことを考慮しなくてはいけませんし、どのように周知をすればいいのか、検討しなくてはなりません。

(副会長)

 教育テレビの放送時間短縮については、「NHKの姿勢に関するもの」、「賛成意見」に分類された意見から視聴者の意向を読み取るとして、周知不足の問題は別の問題としてとらえ、今後はどうしていけばよいのかを考えるきっかけとして受け止めるべきだと思います。

(会 長)

 原案どおり決定し、第1088回経営委員会に報告します。


2 報告事項
(1)20年12月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)
 20年12月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。今回は、「改善の水平展開」の事例を中心に取りまとめました。
 福岡放送局では、「トンコツTV」で行ったロックバンドコンテスト出場者に中継映像を静止画に加工した出場記念写真を携帯電話に送信するサービスを行いました。トライアルとして行ったこのサービスが好評であったことから、その後、九州ブロックの7つの放送局で「のど自慢」の予選出場者へのサービスとして展開しました。20年1月分の報告でこの取り組みを紹介したところ、さらに山口放送局、松山放送局、広島放送局、和歌山放送局へとサービスが広がっています。
 次に、「地デジ放送エリアマップ」の取り組みの水平展開の事例についてです。視聴者の地上デジタル放送への関心が高まる中、37放送局が独自に「地デジ放送エリアマップ」を制作し、ホームページでアップしています。その中で熊本放送局では、視聴者からの「どこの中継局が開局すれば、我が家は受信ができるのか」という問い合わせが多いことから、中継局の位置を地図上に表示し、局名をクリックすればカバーエリアを表示する“2段階表示型”マップを考案し、ホームページにアップしました。山がちで複雑な地形のため、よりわかりやすいマップの制作を検討していた北九州放送局では、熊本放送局を参考に、「地デジ放送エリアマップ」を更新しました。視聴者からの問い合わせを多く受ける地元の電気店の組合からは、「わかりやすくなった」との声が寄せられています。
 次に、視聴者満足の向上をめざした取り組みについて報告します。
 富山放送局では、県域ニュース番組を核に、自殺予防キャンペーンを行っています。富山県の自殺率が全国平均を上回っていることから、県では自殺予防の取り組みを始めています。それを受けて、20年度、富山放送局では若手職員の提案をもとに、夕方のニュース番組「イブニングアクセス富山」に“ひとりじゃない”コーナーを新設し、自殺の要因となっている健康・貧困・介護・いじめなどさまざまな問題に取り組む人々をリポートして反響を呼んでいます。このコーナーが核となり、イベントや番組、ホームページに展開し、局をあげた多面的な取り組みに発展しています。この取り組みは、21年度も継続事業として実施していく予定です。
 広島放送局では、広島市や市民と協力し、被爆前後の貴重な写真資料を解説とともに伝えるサイト「“ヒロシマ”をさがそう!」を立ち上げ、全国に発信しています。開局80周年事業として平成20年2月からスタートし、ホームページで市民の皆さまに意見や資料の提供を求め、約1年の間に集まった162か所の写真を取りまとめ、全国に発信するという、まさに“放送局のちから”を発揮した事業を展開しています。21年2月には、英語版をアップし、海外への発信力を強めていきます。
 名古屋放送局では、「ウイークエンド中部」(4月19日放送)の中で段ボール箱と園芸用の資材を使って生ごみを家庭で処理する“ダンボールコンポスト”を取り上げました。番組終了後、環境問題に取り組んでいる視聴者から「たい肥にならない可能性がある」「成功事例を伝えないと環境問題が解決しない」など、厳しい指摘や意見が多数寄せられました。その声を受けて、助言をいただいた視聴者から話を伺い、当初1回の予定だった番組を4回シリーズに発展させ、その視聴者に番組に出演してもらうなど、経験に基づく具体的なアドバイスを放送しました。その結果、東海・北陸地域600世帯が実践するブームとなり、環境活動が広がりました。
 福岡放送局では、2年ぶりの地域ドラマ「博多はたおと」(20年12月12日放送)を制作しました。舞台となった博多の、お祭り好きで人情に厚い「博多っ子らしさ」を表現しようと、博多織ゆかりの寺“承天寺”が50年ほど前に作られた道路によって山門と本堂が分断され、地域活動も薄れてしまっている話を聞いたドラマ担当者は、住民に道路を封鎖して、かつての境内を再現したお祭りシーンの撮影を提案しました。地域の一体感を取り戻したいという地元住民の全面協力を得て、警察に道路使用許可を申請し、ロケを実施しました。200人を超えるエキストラと屋台がドラマの山場のシーンを盛り上げ、エキストラ参加者からは、「ドラマのおかげで昔の承天寺がよみがえった。昔をだぶらせ感激した。地域が1つになった」など、住民の長年の願いが実現したことを喜ぶ声が多数寄せられました。
 ふれあいミーティングは、12月に全国で142回実施し、3,494人が参加しました。12月に実施した事例を紹介します。静岡放送局では、平成19年度より、若手職員が若い方々と語る“トークセッション”を開始し、19年度は県内の11大学の学生に対して実施しました。20年度は、高校生に対象を広げ、昨年12月までに県内の9校でトークセッションを実施しています。
 千葉放送局では、12月に地上デジタル放送の中継局が開局(3局)した地域から、首都圏ブロック放送「こんにちは いっと6けん」の中継と地上デジタル放送体験を組み合わせた、ふれあいミーティングキャラバンを実施しました。
 次に、「第59回NHK紅白歌合戦」に寄せられた反響の分析です。放送中に寄せられた意見は、厳しい意見が多く、不評率は53%でした。「時節柄、華美な演出はよくない」「歌以外の部分が煩わしい」など、シンプルな演出を求める声が多く寄せられました。一方、放送終了後は好意的な意見が多く、好評率は68%でした。応援合戦の廃止や、曲紹介を簡素にし、「歌」を聴かせる演出に対しての好評意見が多く寄せられました。
 最後に、「オバマ大統領就任式」に寄せられた反響に応えた対応について報告します。1月21日(水)の「オバマ大統領就任式」に対して当日寄せられた反響は191件で、そのうち108件が厳しい意見でした。この模様は総合テレビとBS1で放送しましたが、厳しい意見のそれぞれの内訳を見ると、総合テレビでは、「オバマ大統領の生の声を聞きたい」が25%、「同時通訳が不要、邪魔である」が8%、「副音声で聞きたい」が8%など、同時通訳ではなく、オバマ大統領の生の声を聞きたいという意見が56%を占めました。一方、BS1では、一部2か国語でコメンテーターの解説付きで放送しましたが、「解説はいらない」という厳しい意見が36%ありました。こうした意見を受けて、就任式から4日後の1月25日(日)に、オバマ大統領の演説部分に字幕を付加した、「英語で聴くオバマ大統領就任演説」を総合テレビとBS1で放送しました。


(2)平成21年度「地域実施全国放送公開番組」の実施計画
(視聴者サービス局)
 平成21年度「地域実施全国放送公開番組」の実施計画について報告します。
 平成21年度「地域実施全国放送公開番組」については、3か年経営計画の中に掲げられた方針「地域を元気にするための拠点」にのっとり、各地の視聴者との交流を進めていくとともに、地域の活性化や文化振興に寄与するため、番組の内容やジャンルをより一層充実させ、全国各地の多くの視聴者に公共放送NHKならではの公開番組を提供してまいります。
 配置のポイントは、1地域放送局の視聴者サービス強化に資する配置、1営業課題に基づいた配置、1次代を担う世代へ向けた効果的な配置の3点です。1については、地方に多い小中規模のホールで実施可能な公開番組を実施します。また「みんなの体操」が10周年を迎えたのを記念して、地域で実施します。さらに、各放送局の開局記念、自治体の周年記念など、地域の要望に応えて、公開番組を配置します。1については、各地域で特に要望の強い「NHK歌謡コンサート」を、20年度よりも1本増やし、5本実施します。「歌謡コンサート」については、観覧応募者をすべて受信料支払い者限定とします。1については、大学生や若者対策の一部として、「NHK上方演芸会」を大学構内で実施するほか、若者向け番組を大都市圏や都市部で実施します。
 21年度の地域での公開番組は、20年度に比べて14本多い684本を実施します。本部で実施する全国放送公開番組は1,055本の予定です。


(3)監査結果報告
(内部監査室)
 編成局、制作局、視聴者サービス局、営業局、人事総務局、放送技術研究所の監査結果の概要について報告します。監査は12月上旬から中旬にかけて実施しました。
 まず、編成局についてです。
 「NHKだからできる」放送、幅広い視聴者層に親しまれる放送をめざし、多彩な番組や地域からの発信強化につとめています。総合夜間ゴールデンタイムの平均視聴率が、20年度上半期に関東で13.6%となり、在京テレビ局の中で初めて1位になりました。「NHKニュース7」や「ニュースウオッチ9」などで緊急報道や政局報道に的確に対応し、大河ドラマ「篤姫」、「鶴瓶の家族に乾杯」などの定時番組がよく見られたこと、北京オリンピックの競技中継を柔軟に編成したことなどによるとみられています。また、デジタルサービスの充実にも努め、NHKケータイのサイトへのアクセス数が1日平均100万ページビューを突破しました。「3スクリーンズ」の本格展開に向けた業務フローの整備も進めています。
 次に制作局についてです。
 NHKが20年度に視聴者の皆さまにお示しした“約束”をふまえた8項目の目標を掲げ、幅広い世代に親しまれる多彩な番組の企画・制作、高品質で国際的に評価されるコンテンツの開発などを通して、視聴者層拡大、接触者率向上に全力で取り組んでいます。大河ドラマ「篤姫」、「鶴瓶の家族に乾杯」、「NHK歌謡コンサート」などの番組がよく見られ、20年度の総合・上半期ゴールデンタイムの平均世帯視聴率第1位(関東地区)に貢献しました。また、通信と連携した多様なサービスを展開しています。携帯サイト「ETVcafe」の利用者は20〜30代の若者を中心に、1日平均10万ページビューを超えています。制作力の強化に向けて、地域放送局の若手ディレクターを対象に、全国放送の番組に提案できる「定時番組一斉提案募集」を行い、若手ディレクターの企画・制作力の向上、地域放送局からの全国発信を支援しています。
 続いて視聴者サービス局です。10月末までに全国で実施したイベントは1,390本、うち地域放送局分は1,107本で、ふれあいミーティングは全国で1,076回実施しました。イベント参加者のアンケートでは、満足度が80.8%と高い数値になっています。中でも11月に開催した「篤姫ファンミーティング」では、入場者2,600人で満足度は97%に上りました。若い世代に向けた携帯サイト「がんばれ。ルーキー!」は前年を大きく上回るアクセス数を記録しました。また、子ども向けにも多彩なイベントを展開しています。視聴者コールセンターでは、電話受付件数は1日平均3,000件ですが、北京オリンピック期間中は受付時間を24時まで2時間延長し、2万件の声に対応し、制作現場に届けました。また、全国の担当者を集めた「情報公開・個人情報保護担当者講習会」に、初めて関連団体も出席し、NHKグループ全体で個人情報保護の推進に取り組んでいます。
 営業局についてです。
 19年度の営業収納額は、全国で6,322億4,400万円で達成率は101.18%、前年度に比べ162億9,600万円の増収となりました。また、20年10月から訪問集金を廃止して、口座・クレジットカード払いの拡大、地域スタッフ業務の質的な転換を図り、経費削減に着手するとともに受信料公平負担の徹底をめざして、民事手続きを推進しています。受信料体系の変更については、障害者免除の拡大や家族割引の拡大、事業所割引導入など、視聴者への周知・広報に努めています。
 人事総務局についてです。
 組織風土の改革を目指し、NHKの財産である“人材”をどう採用し、育成していくかという課題に積極的に取り組んでいます。また、研修や人材育成の施策を通じて、コンプライアンスの徹底に向けて、基盤整備を推進しています。新型インフルエンザ対策については、対策事務局として、各部局と連携し、また全国の放送局や関連団体と情報の共有化を図り、公共放送の責任を果たすべく危機管理に取り組んでいます。また、環境経営については、「環境経営」グループを総務室直属の専任体制とし、CO2"削減など、エコロジー対策の具体的な計画策定を推進し、全国各部局で活動を展開しています。
 最後に、放送技術研究所についてです。
 スーパーハイビジョンの研究では、9月に開催された国際放送機器展「IBC2008」で、BBC(イギリス)、RAI(イタリア)や欧州放送連合(EBU)と協力して、世界初の国際伝送実験に成功し、IBCから特別賞を受賞しました。また、人に優しいユースフル・ユニバーサルサービスへの取り組みや、超高感度カメラなど次世代コンテンツ制作環境の実現に努めています。地上デジタル放送関連では、家庭用受信機向けの難視聴対策技術の考案など、地上デジタル放送の全国展開や円滑な移行に貢献しています。このほか、デジタル放送の特許では、権利者が特許を共同で管理するパテントプールを通じて副次収入が拡大しました。
 コンプライアンス活動については、各局とも各種の研修会や公金の適正使用の徹底に向けた独自のマニュアルを作成するなど、積極的に取り組んでいます。
 適正経理の取り組みでは、ほとんどの局で昨年度に指摘した不備について改善されていました。不十分な点があった一部の局には、今年度の指示事項としてさらに改善を求めています。
 なお、編成局と制作局の2局について、業務プロセス監査を実施しました。その結果、編成局では、編成センター、ソフト開発センター、デジタルサービス部、計画管理部の管理状況はいずれも適正と判断しました。また、制作局でも、番組制作の業務プロセスの管理状況は適正と判断しました。

(会 長)

 受信料から支払われるものですから、適正経理の徹底に努めるよう、お願いします。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成21年 2月20日
                     会 長  福 地 茂 雄

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