日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 9月30日開催分)
平成20年 10月17日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 9月30日(火) 午前9時00分〜9時35分

<出   席   者>
 福地会長、今井副会長、金田専務理事、日向理事、溝口理事、
 八幡理事、永井理事、大西理事、関根理事、今井理事

 多賀谷監査委員

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 福地会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項
(1)第1079回経営委員会付議事項について
(2)視聴者対応報告(平成20年8月)について

2 報告事項
(1)20年8月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(2)監査結果報告
(3)放送番組審議会議事録(資料)

議事経過

1 審議事項
(1)第1079回経営委員会付議事項について
(総合企画室)
 10月7日に開催される第1079回経営委員会の付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「次期経営計画について」と「『放送法第9条第2項第2号の業務の基準』の変更について」、報告事項として「視聴者対応報告(平成20年8月)について」です。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)視聴者対応報告(平成20年8月分)について
(視聴者サービス局)  
 放送法第12条に定める視聴者対応の状況について、平成20年8月分をとりまとめました。ついては、放送法第22条の2第3項の規定に基づき、経営委員会に報告したいので、審議をお願いします。
 8月にNHKに寄せられたご意見・お問い合わせは372,219件でした。内訳等について、これまでと大きな変化はありません。
 放送番組に関して寄せられた意見・要望・問い合わせでは、北京オリンピックに21,000件を超える反響が寄せられました。内訳は、放送の内容に関して2,579件、番組編成に関して2,233件、アナウンサーや解説者等に関して2,179件などでした。番組編成に関するものでは、ニュースの放送時間変更に対して厳しい意見が多く見られました。また、アナウンサーに対しては、「公平かつ穏やかに競技を伝えていてたいへん好感が持てる」といった好評意見の一方で、「選手に対する言葉遣いや態度に敬意が感じられず、インタビューのレベルも低い」といった厳しい意見もありました。ただし、オリンピック放送はNHKと民放が共同で制作していますので、意見の中には民放のアナウンサーに対するものも含まれています。
 その他の番組では、高校野球中継について4,100件の意見や問い合わせがあったほか、戦争と平和について考える番組として終戦の日を中心に編成した、NHKスペシャル「解かれた封印 〜米軍カメラマンが見たNAGASAKI〜」(8月7日放送)、同「調査報告 日本軍と阿片」(8月17日放送)、同「果てなき消耗戦 証言記録 レイテ決戦」(8月15日放送)などに対して、高く評価する意見が数多く寄せられました。
 一方で、8月23日放送の「ハイビジョン生中継 秋田大曲 全国花火競技大会2008」に対して、「アップが多くて全体が見えないので花火師たちが表現しようとしたものが伝わってこない」など、演出や中継技術に関する厳しい意見や要望がありました。放送が長時間だったこともあり、すぐに中継現場に伝え、ロングの映像を増やすなど可能な点は放送中に改善しました。
 次に具体的な対応事例について、いくつか報告します。
 「『あしたをつかめ 〜平成若者図鑑〜』の番組ホームページに、出演した保育士の初任給が紹介されているが、一般的な例より処遇が高めで就職先を選ぶ学生に誤解を与えるのではないか」という指摘がありました。たしかに保育園全体の傾向と誤解される可能性があると判断し、この出演者の例だけでなく一般的な事例も追加取材したうえで、3日後にホームページを修正しました。また、指摘をいただいた方にお礼と合わせて修正内容を伝えました。
 北京オリンピックのサッカー女子・予選リーグ「日本対ニュージーランド」(8月6日放送)を中継するのに伴い「NHKニュース7」の放送時間を変更・短縮したことについて、「ニュースはNHKが伝えるべき一番大事な番組であり、オリンピックとはいえ放送時間を変更するのは納得できない」という意見がありました。これに対して、この試合が北京オリンピックで日本選手が登場する最初の競技であること、オリンピックについては民放と手分けしながらすべての競技を伝えるようにしていること、視聴者の期待も高いことを説明し、「日本人選手の活躍と感動をぜひお楽しみいただきたい」と回答して、理解を求めました。
 「教育テレビの幼児番組『いないいないばぁっ!』の中で、“でっかい”という言葉を使った歌が頻繁に放送されているが、言葉を学習する時期の幼児に向けた番組にもかかわらず、品のない言葉を使うのは納得できない」という意見がありました。幼児番組で取り上げる歌については、対象とする0〜2歳児にとって言葉に興味を持ち自ら発音することが大事なので、聞き取りやすく幼児が発音して楽しい歌詞とする必要があります。言葉を発し始めたばかりの幼児は、濁音(ダ行やガ行)や半濁音(パ行)、促音(ッ)を好む傾向があり、また、“おおきい”という発音は幼児には難しいとされています。こうした観点から、言葉の選び方に定評があるベテランの作詞家と幼児教育の専門家に委嘱してこの歌を作りました。“でっかい”と発声することで口を動かす練習をするとともに、“大きい”という概念を感じてもらうのが歌のねらいです。意見をいただいた視聴者には、以上を説明して理解を求めました。
 受信料関係の意見や問い合わせは174,771件ありました。そのうち契約や収納を委託している地域スタッフの態度や説明の仕方に対する苦情は毎月1,500件程度寄せられますが、今回は1,000件程度と減っています。一方で、訪問集金廃止に対する反対意見が多くなっていますが、制度改革の意義を丁寧に説明して理解を求めています。
 受信相談関係では、新潟県や秋田県の視聴者から「最近、地上デジタル放送の映りが悪くなることがある」という相談が寄せられました。これは、春から夏にかけて気象条件により新潟放送局と秋田放送局の地上デジタル放送の電波が混信することがあるためで、7月に新潟と秋田の中継局の送信パターンを変更して障害を軽減するよう対策しました。まだ障害が残っている一部の地域については、新たな中継局を開局するほか、障害の発生状況を監視・把握して必要な措置を講じていくことにしています。相談をいただいた視聴者には、その旨を説明して了解をいただきました。
 経営全般に対する意見や要望は、938件ありました。
 懲戒処分を受けた職員の再雇用や関連団体への再就職に関して、厳しい意見が279件寄せられました。この問題については、懲戒処分といっても必ずしも免職ばかりではなく減給や停職などの処分もあり、その場合は処分後も職員として働くのを前提としていることや、処分後に依願退職するなどして社会的な制裁を受けていること、職務経験から業務への適性を持ち合わせていると考えることを説明し、理解を求めました。一方で厳しい批判や意見を数多くいただいていることを重く受け止め、懲戒免職者や諭旨免職者は再雇用しないとの基準を新たに設けるとともに、処分歴のある退職者について再雇用の適否を審査する委員会を8月26日付で設置しました。
 NHKの関連団体が政府機関等から企画運営を受注したシンポジウムをNHKが放送したことを問題と見る新聞報道を受けて、厳しい意見が36件寄せられました。これに対して、当該のシンポジウムはいずれも公共性が高いため番組化したものであり、官公庁などの広報番組とはまったく異なること、関連団体によるシンポジウムの企画運営は株式会社として正当な事業であり、受注の際に放送を前提とした営業を行った事実はないことを説明しました。
 アナログ放送の停波を周知するため、アナログ放送の画面に常時“アナログ”の半透明スーパーを表示していることについて、前月を上回る271件の意見や問い合わせがありました。これについては、3年後に迫ったアナログ放送停波への注意喚起を行うとともに、デジタル放送受信機を所有しながらアナログ放送と気づかず視聴している人もいることから、視聴している番組がアナログ放送かデジタル放送かを容易に識別できるよう表示していることを説明し、理解を求めました。

(会 長)  視聴者からいただいた意見や要望は、関係部署に確実に伝わっていますか。
(視聴者サービス局) 担当者と連絡を取って伝えています。
(会 長)

 毎年恒例の形で放送している番組への意見は、必ず次回の放送に生かすようにしてください。
 懲戒処分者の再就職や政府機関等主催のシンポジウムをめぐる意見については、NHKの見解や主張の説明が不足しているため、視聴者の誤解を招いている側面もあるのではないかと思います。例えば、懲戒免職者を再雇用することは論外ですが、懲戒処分には減給等も含まれており、その程度の処分者を再雇用することは社会一般においてよくあることです。懲戒処分とひとくくりにするのではなく、個別の事案に応じて停職や減給など処分内容を明確に伝える必要があると思います。また、政府機関等が主催するシンポジウム等については、主催団体や後援・協賛団体に公共性の高い企業や団体が名を連ねていることが多く、その具体名を挙げることでも、当該シンポジウムの公共性の高さを説明できると思います。事実関係を伝えることでNHKの立場をしっかり説明するように心がけてください。
 報告内容については、原案どおり決定します。


2 報告事項
(1)20年8月の視聴者満足(CS)向上活動報告
(視聴者サービス局)  

 20年8月の視聴者満足(CS)向上活動について報告します。
 まず、長崎放送局では、原爆の記憶を未来に語り継ぎ、全国へ発信するホームページ「NAGASAKI×PEACE」を8月1日に立ち上げました。このサイトでは、夕方6時台の県域ニュース番組で放送している「長崎原爆 100人の証言」の内容を動画配信するとともに、長崎放送局で制作・放送してきた平和・原爆関連番組の放送記録を掲載しています。また、背景の画像には、平成14年に広島放送局と長崎放送局が共同で募集した「被爆者が描く原爆の絵」に寄せられた、長崎の被爆者による絵画を使用しています。このサイトには、アメリカからも「本人が語る証言は本当に貴重だと思います。世界に向けて発信してください」という日系人の声が寄せられました。
 次に、さいたま放送局大宮営業センターの活動についてです。サッカーJ1・大宮アルディージャのサポーターの皆さんは、試合を応援した後、大宮駅周辺の清掃活動を行ってきました。大宮営業センターでは、その活動に注目し、首都圏放送センターに提案して午前11時台の「こんにちはいっと6けん」(2月28日放送)で紹介したところ、地元の町内会や商店街の皆さんから「一緒に活動しよう」という多くの声が寄せられました。そこで大宮営業センターがまとめ役となり、活動範囲を広げ50人規模が参加する清掃活動を展開することになりました。もちろん大宮営業センターの職員も参加しています。この活動が契機となって他のさまざまな地域活動にも大宮営業センターが参加するようになり、地域の人々との絆がいっそう強くなりました。
 地域放送局同士が連携した活動について紹介します。和歌山放送局では、南海地震・東南海地震に備えて小学生などにクイズ形式で防災に関する知識を身につけてもらう地域放送番組「動く!防災スタジアム」を開発しました。番組セットをトラックに載せて各地を巡り収録するもので、19年度和歌山県内で2回巡回しています。今回、和歌山放送局が防災に力を入れている他の放送局に呼びかけたところ、静岡放送局と共同制作することとなりました。8月25日に静岡市で収録を行い、静岡県の小学生と和歌山県の小学生が参加して防災クイズで対戦した模様を、それぞれの県域および近畿ブロックと東海ブロックに向けて放送しました。放送局の横の連携が効果を挙げた例だと思います。
 宇都宮放送局では、自局の放送波がFM放送しかない中で視聴者との結びつきを深めようと、独自のジングル(番組の合間に短くはさむ音楽やキャッチフレーズ)を視聴者の声で収録し放送する取り組みを、19年4月から行っています。会館公開の際に来館した視聴者から希望者を募り、「NHKFM・宇都宮から生放送!栃木の話題が盛りだくさん、お楽しみに!」というコメントの収録に挑戦してもらうものです。収録したジングルは、午前11時台と夕方6時台のFM県域放送で、番組の切れ目に音楽に乗せて放送しています。取り組みを始めてからこの7月までに5回の会館公開があり、ジングル録音に挑戦した視聴者は100組を超えました。参加者から「自分の声が放送に乗って感激した」などの感謝のメールや手紙が届いています。
 視聴者満足の向上をめざした改善の実施状況は、8月末現在で447件で、昨年同期より110件増えています。昨年は上半期を終えて445件でしたので、1か月前倒しするペースで取り組みが進んでいます。
 ふれあいミーティングは、8月に全国で79回実施し、2,013人が参加しました。9月に実施した事例を紹介します。19年度後期に放送した連続テレビ小説「ちりとてちん」は、上方落語を題材にして高い人気があり、関西地区では放送期間中に視聴者参加イベントを実施しました。放送終了後も人気は衰えず、4月以降の番組ホームページや携帯サイトへのアクセス数は逆に増加しています。7月に近畿ブロックで番外編のドラマを放送した際には、全国から「自分の住む地域での放送はないのか」という問い合わせが集中し、8月10日に全国放送しました。こうした盛り上がりの中で、東京でも「ちりとてちん」のイベントを開催してほしいという声が多数寄せられましたので、要望に応えて「ちりとてちんファンミーティングin東京」を開催することにしました。ホームページや経営広報番組を通じて参加者を募集したところ1,640通の応募があり、抽せんの結果、9月13日に開催したイベントには284人が参加しました。イベントでは、総集編の上映会や出演者・制作者によるトークショーとふれあいミーティングを合わせて実施し、たいへん好評でした。
 最後に、8月に放送したNHKスペシャルに寄せられた反響を分析しましたので報告します。平和について考える番組として放送した「解かれた封印 〜米軍カメラマンが見たNAGASAKI〜」(8月7日放送)と「調査報告 日本軍と阿片」(8月17日放送)に集中した反響があり、いずれも放送翌日の反響件数が200件を超えました。特に60代男性から多くの反響が寄せられました。好評意見は「解かれた封印」に対して326件、「日本軍と阿片」に対して247件あり、いずれも、知られざる事実を明らかにしたことが評価されています。また、「日本軍と阿片」について、勇気ある報道姿勢を評価する声が集まりました。

(会 長)

 NHKのニュースやスポーツ中継について、余計な演出やコメントなどを入れずに、中立・公平で冷静・客観的な姿勢に徹する伝え方を高く評価する声をよく聞きます。これは大事なことですので、今後もこうした姿勢を貫いてほしいと思います。


(2) 監査結果報告
(内部監査室)  

 北海道地方各放送局の監査結果の概要について報告します。監査は7月下旬から8月初頭にかけて実施しました。
 まず、札幌放送局についてです。昨年4月に「北海道洞爺湖サミット」の開催が決まって以降、関連ニュースの出稿が700本余りありました。また、サミットの主なテーマである環境について、多彩な番組でキャンペーンを展開しました。地域放送では、夕方6時台に「まるごとニュース北海道」を新設し、道内7局を結んで北海道の1日と課題を伝えるとともに、金曜夜8時台の番組タイトルを「プライムH」に統一、枠内にバラエティ番組「とことん!ふるさとステージ」を新設し、地域の人々とのふれあいの場としています。ワンセグのローカルデータ放送では、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの情報コンテンツを独自開発し、ファンに好評です。
 次に、函館放送局についてです。開局75周年を記念して過去に放送した「新日本紀行」などを「道南アーカイブス」として放送したほか、夕方の地域ニュース番組で「映像で振り返る道南」を月1回放送して、大きな反響を呼びました。また、放送会館と函館山との間で通信事業者の光回線を独自に借用し、山上からの夜景をハイビジョン映像で全国に伝えています。
 旭川放送局では、今年9月に開局75周年を迎えます。9月から1分スポットで著名人によるメッセージ「ふるさとへ」の放送を予定するとともに、全国的に話題となっている地元の旭山動物園を取り上げた特集番組を企画しています。また、送出設備のデジタル化工事が続く中で放送の安定送出に努め、3年間継続して放送無事故を達成しました。
 帯広放送局では、「環境」と「食料」を平成19〜20年度に継続して取り組むテーマとし、帯広市の環境モデル都市指定やバイオ燃料工場の本格稼働など地域の取り組みや話題について積極的に情報発信しています。また、視聴者から寄せられた意見や要望を基に業務の改善を積み重ね、19年度後半期の改善件数が20件を超えました。
 釧路放送局では、北海道ブロックや全国への情報発信に力を注ぎ、7月までにブロック・全国放送向けに36本のニュースの企画リポートを制作しました。非常災害対策にも積極的に取り組み、500年に一度の巨大地震を想定した総合訓練を実施したのをはじめ、各種の災害報道訓練を行っています。また、局内横断の新プロジェクトを立ち上げ、ロビーのレイアウト見直しなど、“親しみやすい放送会館”づくりの検討も進めています。
 北見放送局でもブロック・全国発信を強化し、7月までに全国放送向けのリポートは9本増えて13本に、ブロック向けのニュースリポートの本数は20本から40本に倍増しました。また、視聴者からの要望に応えて天気予報の画面を刷新し、気温表示地点を倍増させるなど、きめ細かなサービスに努めています。
 室蘭放送局では、エリア内でサミットが開催されたことから、19年度に地元の動きなどを中心に関連情報を322本出稿しました。また、市民が環境への思いを語る1分ミニ番組「いぶり・ひだか環境メッセージ」を延べ100回以上放送し、337人の視聴者が出演しました。開かれた放送局をめざす「プラザμ(ミュー)」活動を継続していますが、新たに「プラザμファンクラブ」を立ち上げ、視聴者との結びつきを強化しています。
 コンプライアンス活動については、局長室での懇談を通じた風通しのよい職場づくりや「NHK倫理・行動憲章」の局内掲示など、各局とも独自のアイデアにより積極的に取り組んでいます。
 適正経理の取り組みでは、昨年度に指摘した処理手続きの不備について、ほぼ改善されていました。不十分だった点は引き続き取り組みを指示するとともに、今回、課題が見られた放送局には改めて改善を指示しました。


(3)放送番組審議会議事録(資料)
(編成局) 
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成20年7月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)  



以上で付議事項を終了した。
 注1: 放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」のなかに掲載しています。
上記のとおり確認した。
      平成20年 10月 14日
                     会 長  福 地 茂 雄

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