日本放送協会 理事会議事録  (平成20年 1月22日開催分)
平成20年 2月 8日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成20年 1月22日(火) 午前10時00分〜10時30分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、金田理事、中川理事、
 石村理事、西山理事、日向理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1061回経営委員会付議事項について
(2)国際放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項
(1)監査結果報告
(2)考査報告
(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(4)「ゴーギャン展」の実施について
  

議事経過
1 審議事項
(1)第1061回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 1月29日(火)に開催される第1061回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「国際放送番組審議会委員の委嘱について」です。審議事項として「『放送法改正に伴う、内部統制関係議決事項素案』について」です。また、報告事項として「コンプライアンスの徹底に向けた『工程表』第3四半期報告」と「地方放送番組審議会委員の委嘱について」です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(2)国際放送番組審議会委員の委嘱について
(石村理事)
 国際放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 菊川剛氏(オリンパス(株)代表取締役社長)に、平成20年2月1日付で再委嘱したいと思います。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。



2 報告事項
(1)監査結果報告
(監査室)
 編成局、制作局、営業局と放送技術研究所の監査結果の概要について報告します。監査は11月中旬から12月下旬にかけて実施しました。
 編成局は、19年度、「NHKだからできる公共放送の役割追求」と「視聴者層の拡大」を目標に掲げ、総合テレビでは18年度に大幅改定した番組の定着や、タイミングを捉えた機動的な編成に努めています。総合テレビの上半期のゴールデンタイム(午後7時〜10時)の視聴率は、26年ぶりに在京各局中2位となりました。
 また、多様なコンテンツの開発に努めており、外部の制作会社に直接、番組制作を発注する「直接委託」は、18年度後期に募集を開始し、昨年10月から、総合テレビの隔週金曜に「びっくり法律旅行社」を初めて定時番組として採用し、ドラマでは第一弾として少年少女向けドラマ「夕陽ヶ丘の探偵団」を昨年12月に教育テレビで放送しました。そのほか、ペ・ヨンジュン主演の「太王四神記」などの海外ドラマも好評です。
 地域放送局の取材・制作現場の努力を全国放送に生かす取り組みにも力を入れており、毎週土曜日の「ネットワーク54」などを編成しているほか、地域の問題を取り上げる特集番組「地域発!どうする日本」を2か月に1回、金曜夜に編成し、12月までに「地域格差」「防災」「食と農業」などをテーマに放送しました。
 若者など視聴者層の拡大を目指し、20年度の番組改定では、総合テレビで深夜時間帯に若者ゾーンを新設するほか、夜8時台に親子で楽しめる新番組を予定しています。
 制作局では、19年度、接触者率向上に寄与する多様で魅力ある番組の開発、クオリティーの高い特集番組、公共放送としてのキャンペーン企画などの目標を掲げました。総合テレビ夜10時台は特に40〜50代向けの時間帯として、より見やすく覚えやすい編成となるよう、曜日・開始時間の見直しを行い、土曜夜10時台には「解体新ショー」を放送しています。夜11時台は特に30〜40代のサラリーマン層に向けた番組開発に取り組み、総合テレビ夜11時台は「サラリーマンNEO」(前期)、「爆笑問題のニッポンの教養」(後期)、「SONGS」を放送しています。
 キャンペーン番組として、自殺防止を「ETVワイド」「福祉ネットワーク」で放送し、認知症サポートは教育テレビで放送するとともに、「生活ほっとモーニング」など総合テレビと連携して重点的に展開しました。また、“女性のうつ”は「NHKスペシャル」や「ETVワイド」で放送し、各方面から反響を呼びました。
 衛星第1で隔週の日曜に放送している「地球アゴラ」は、WEBカメラとインターネットで各国の在留邦人とつなぎ、現地のニュースや話題を紹介し、好評です。「関口知宏の中国鉄道大紀行」(春・秋編)は、衛星放送PRのキャンペーン番組として、総合テレビと連動しながら衛星ハイビジョンで放送し、視聴者の共感を呼び、ホームページには、毎日1万5,000件のアクセスがありました。
 また、ネットや携帯電話で参加できる番組として「Shibuya Deep A」や「1000人の声」など、新しい双方向番組を開発しました。18年度に定時化した「着信御礼! ケータイ大喜利」も20代の若者に好評です。
 昨年2月〜3月に放送した土曜ドラマ「ハゲタカ」はクオリティーの高い番組として、イタリア賞(部門最優秀賞)をテレビドラマとして27年ぶりに受賞したのをはじめ、放送文化基金賞、ギャラクシー賞優秀賞、マイベストテレビ大賞グランプリ、アジア・テレビ賞最優秀賞を受賞しました。また、「冨田勲 仏法僧に捧げるシンフォニー」と「荒川静香 メダルへの道」はABU賞を受賞しました。
 営業局では、昨年11月末の受信料収納額は、前年度同期に比べて128億円の増収となり、また、支払拒否・保留件数は減少を続け、11月末で71万件となりました。
 また、公平で合理的な受信料体系に向け、20年度導入予定の「訪問集金の廃止」「事業所割引の導入」「家族割引の拡大」について、視聴者からの意見募集を行いました。
 18年11月に東京23区で開始した受信料滞納者に対する民事支払督促の申し立ては、昨年3月に東京多摩地区と神奈川県、7月に大阪府、9月に千葉・埼玉両県でも行うなど、順次全国に拡大していています。また、未契約者への民事訴訟手続きの準備も進めています。
 放送技術研究所では、究極の臨場感を目指すスーパーハイビジョンの研究を内外の研究機関などと連携しつつ先導的に進めています。昨年11月には、NHKが提案していた映像フォーマットの仕様が、映像産業界で国際的な影響力の強いSMPTE(全米映画テレビ技術者協会)から暫定規格として承認されました。承認までわずか8か月という異例の速さで進んだのは、18年以降、NAB(全米放送事業者連盟)展やIBC(アムステルダムで開催される国際放送機器展示会)におけるデモンストレーションはもとより、イギリスのBBCなど、ヨーロッパの放送機関との研究連携などに積極的に取り組んできた成果です。
 また、地上デジタル放送の全国展開に向けて、中継装置の低廉化につながる伝送技術や、地下街などを対象に複数の放送局のワンセグを束ねて効率的に再送信する技術、ワンセグ端末の緊急警報放送自動起動、高速移動受信技術などの研究開発も推進しています。また、日本の地上デジタル放送方式を国際的に普及させるため、積極的に南米諸国へ講師を派遣したり、アジアの放送技術者を滞在研究者として受け入れたりしています。
 デジタル放送の受信機や送出・送信設備の製品の中で必ず使用される特許は、NHKを含め複数の企業が保有していますが、その使用許諾と特許実施料の収納・分配を統合的に行うために“パテントプール”と呼ばれる仕組みを導入し、昨年2月から運用を開始しました。NHKは、特許権者の一員として“パテントプール”の運営に関わり、デジタル放送のいっそうの普及と保有特許の有効活用、研究開発成果の社会還元を進めており、これにより、副次収入増加に貢献する見込みです。
 コンプライアンス活動・適正経理の取り組みについては、コンプライアンスに関する勉強会を行うなど、各局とも積極的に取り組んでいます。
 証ひょう類の調査では、出張報告書の提出遅延が散見されるなどの不備がありましたので、適正に処理するよう改善を求めました。

(会 長)  出張報告書の提出遅延などの指摘事項については、改善するように周知徹底をお願いします。また、業務に潜んでいるリスクの洗い出しも含めて、不祥事を起こさないためにあらゆる努力をするよう各現場に徹底してください。

(2)考査報告
(考査室)
 19年12月から20年1月中旬に放送されたニュース・番組について、概要を報告します。
 福田首相が12月23日(日)、薬害肝炎訴訟で被害者全員の一律の救済策を議員立法でまとめることを表明したニュースについてです。
 NHKでは、12月23日、午前10時34分に「薬害肝炎訴訟で被害者一律救済に応じる特別救済法案 国会提出へ」とスーパーで速報するなど、政治決断を他社に先駆けて速報し、そこに至る背景も詳しく伝えていました。
 次に、新テロ対策法案が1月11日(金)、参議院で否決後、衆議院で与党側の2/3以上の賛成で再可決されたニュースについてです。
 NHKでは、衆議院での再可決という57年ぶりの事態を中継を交えて丁寧に伝えました。
 続いて、福岡で幼いきょうだい3人が死亡した事故で被告に危険運転致死傷罪が適用されるかどうか注目されていた裁判のニュースについてです。
 1月8日(火)、福岡地裁は危険運転致死傷罪を適用せず、懲役7年6か月の判決を言い渡しました。午前10時11分に「3児死亡飲酒事故で地裁判決 福岡市元職員に懲役7年6か月」とスーパーで速報しました。また、「ニュースウオッチ9」で専門家のインタビューを紹介するなどしましたが、危険運転致死傷罪の適用の難しさをさらに掘り下げて説明してほしかったと思います。
 次に、いくつかの番組について報告します。
 「第58回紅白歌合戦」についてです。
 今回のテーマは「歌の力、歌の絆(きずな)」で、歌により人びとの物語を掘り起こし、歌が発するメッセージを伝えようと56組の歌手たちが熱唱しました。昨年8月に亡くなった作詞家・阿久悠さんの代表的な曲をベテランが4曲続けて歌い、また、急逝したZARDの坂井泉水さんをしのぶフィルムコンサートなど「歌の力、歌の絆」を十分堪能させる内容でした。ただ、モニターの一部から、「曲順が白・白と続くなど、“紅白対決”が混乱し、審査しづらかった」などの意見が寄せられたように、対戦の組み合わせや審査方法に疑問が残りましたので、こうした点は来年以降の課題だと思います。
 「ゆく年くる年」は今回、本堂再建から50年の節目を迎える東京・浅草の浅草寺をキーステーションに、全国10か所から中継で伝えました。「ゆく年」は雪が降り積もる岐阜県白川村の明善寺や京都府宇治市の平等院など、「くる年」は財政再建団体となった夕張市の夕張神社や岩手県平泉町の中尊寺などから、各地の年越しの表情を静かな語りで伝えました。モニターからは、「世の中がどんなに変わろうとこの番組は変わってほしくない」、「もっとニュースに直結する場所を選んで中継したほうがよい」などの意見が寄せられました。
 大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」は、島津斉彬(なりあきら)の養女・篤姫の生涯を通して近代日本の黎明(れいめい)期を描いています。第1回「天命の子」(1月6日放送)は、天真らんまんのうちにも凛とした強さを秘めた宮アあおいさんの演技がすがすがしく、脇を固めるベテラン俳優たちも光っていました。薩摩藩の歴史的な秘話を織り込んだ脚色も優れ、快調な滑り出しでした。モニターからは、「それぞれの登場人物が生き生きと描かれており、ドラマチックな展開にすっかり魅せられた」などの意見が寄せられました。
 NHKスペシャル「シリーズ 最強ウイルス」(2夜連続 第1夜「感染爆発 パンデミック・フルー」1月12日放送 第2夜「調査報告 新型インフルエンザの恐怖」1月13日放送)についてです。
 第1夜は、新型インフルエンザのパンデミック(感染爆発)を何とか食い止めようと苦闘する医師たちの姿をドラマで描き、第2夜は、鳥インフルエンザウイルス「H5N1」が人から人へと感染したインドネシアの事例を検証し、新型ウイルスの恐ろしさとその対策について伝えました。鳥インフルエンザウイルスが感染者の体内で“新型ウイルス”に変異してパンデミックを起こした場合、死者は世界中で1億人とも想定されおり、パンデミックの脅威が高まる中で、日本政府や自治体の対策が立ち遅れている実態がよく描かれていました。“命の優先順位”の問題など、国内の議論を喚起するよう継続して伝えてほしいと思います。モニターからは、「ワクチン確保や“命の優先順位”まで議論しているアメリカの対応に驚いた」、「不安になった。わたしたちができる具体策を示してほしかった」などの意見が寄せられました。
 クローズアップ現代「2008 新マネー潮流」(1月7日放送)は、年初の日米株価大幅下落の状況などを踏まえ、サブプライムショックによるアメリカ経済の減速、中国やインドの空前の経済成長、原油高を背景にしたオイルマネーの急増が、今年の世界経済をどう動かし、日本にどんな影響を与えるのか伝えました。2008年の世界経済の動向と日本経済への影響を丁寧に分析・解説し、市場原理主義の限界や政府系ファンドに対する新たな規制の必要性を伝えていました。モニターからは、「市場を動かす政府系ファンドやアメリカの景気後退の実態がよくわかった」などの意見が寄せられました。
 新春ハイビジョン中継「エジプト文明 母なる大河ナイル」は3夜連続で生放送しました。そのうち、「第3日〜王家の谷と女王の神殿」(1月3日放送)は、女性でエジプトを初めて統治したハトシェプスト女王の葬祭神殿と王家の谷を案内しました。一般公開されていない映像もあり、落ち着いた中継で古代遺跡にゆっくり触れることができました。モニターからは、「見応えのある遺跡からの映像の連続で感激した」などの意見が寄せられました。
 「日めくり万葉集」(1月7日〜11日放送 衛星ハイビジョン)は、1月7日から始まった新番組です。放送時間は毎週月曜から金曜の午前6時55分から7時までです。各界の著名人が日替わりで登場し、全4516首の中から自分の好きな一首を取り上げてその魅力を語るシリーズで240首を紹介します。日曜日には5回分をまとめて再放送します。歌が詠まれた背景や歴史的事実も丁寧に紹介、選者の読み解きも魅力的です。モニターからは、「内容が充実していて、5分間でももの足りなさを一切感じない」などの意見が寄せられました。
 「敦煌莫高窟 美の全貌(ぜんぼう)」(1月7日〜11日放送 衛星ハイビジョン)は、4世紀半ばから1000年にわたって1.7キロの断崖に700余りの石窟が造営されてきた敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)を紹介するシリーズ番組です。石窟には仏像が立ち並び色鮮やかな壁画が広がって“砂漠の大画廊”と呼ばれ、1窟10分ずつ、全30回放送します。モニターからは、「仏教美術の奥深さを感じさせ、これから毎日が楽しみになる番組だ」などの意見が寄せられました。
 地球特派員スペシャル「カーボンチャンス〜温暖化が世界経済を変える」(1月1日放送 衛星第1)は、CO2--の排出という“カーボンリスク”をどう“チャンス”に変えるのか、対策が迫られる地球温暖化に対する世界の新たな潮流を探った番組です。住信基礎研究所主席研究員の伊藤洋一さんら6人の識者が熱く語りました。新年の巻頭にふさわしい長期的な視点に立ったメッセージ性のある番組でした。幅広い示唆に富む意見が交わされていましたが、日本のとるべき環境戦略について、もう少し議論を深めてほしかったと思います。モニターからは、「娯楽番組が多い正月にじっくり考えさせられる良質な番組だった」、「温暖化に対する各国の姿勢がよく伝わり興味深い内容で続編も見たい」などの意見が寄せられました。


(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 中国地方で村上正高氏((株)鞆スコレ・コーポレーション代表取締役社長)に平成20年2月1日付で新規委嘱します。また、関東甲信越地方で森まゆみ氏(作家)、中部地方で池田桂子氏(弁護士)、四国地方で佃昌道氏(高松大学・高松短期大学学長)に、同日付で再委嘱します。


(4)「ゴーギャン展」の実施について
(視聴者サービス局)
 「ゴーギャン展」の実施について報告します。
 ポール・ゴーギャン(1848−1903)はフランスのポスト印象派の画家で、当初はフランスで画家活動を行っていましたが、西洋文明に希望を失い40歳を過ぎてタヒチに渡りました。タヒチ時代の大作「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」は、名実ともにゴーギャンの代表作で、この謎めいた作品にはそれ以前の彼の作品のさまざまなモチーフが大画面に統合され、その象徴主義美学の総決算ともいえる作品になっています。
 本展では、この作品を中心に主にタヒチ時代の油彩、彫刻、版画などを精選して紹介し、ゴーギャンが作品に込めた深淵かつ壮大なテーマをいま一度、現代の人たちに提起することとします。
 会場は東京国立近代美術館(東京都千代田区)で、会期は平成21年7月3日(金)〜9月23日(水・祝)です。
 この展覧会の模様は、「新日曜美術館」などで紹介する予定です。

 

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成20年 2月 5日
                     会 長  福 地 茂 雄

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