日本放送協会 理事会議事録  (平成19年10月16日開催分)
平成19年11月 9日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年10月16日(火) 午前9時00分〜10時 5分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、
 中川理事、石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1054回経営委員会付議事項について
(2)総務省「受信料研究会」の取りまとめ(案)に対するNHK意見の
   提出について(案)
(3)特定失踪者問題調査会による八俣送信所の送信設備等の使用の期間
   延長について

2 報告事項
(1)「NHK情報公開」の実施状況(平成19年度上半期)
(2)契約・収納活動の状況(平成19年9月末)
(3)財政の現況(平成19年9月末)

議事経過
1 審議事項
(1)第1054回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 10月23日(火)に開催される第1054回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」、審議事項として「平成20年度予算編成の基本的な考え方について」、報告事項として「地方放送番組審議会委員の委嘱について」、「地方放送番組審議会委員の死去について」、「コンプライアンスの徹底に向けた『工程表』第2四半期報告」、「特定失踪者問題調査会による八俣送信所の送信設備等の使用の期間延長について」、「『NHK情報公開』の実施状況(平成19年度上半期)」、「契約・収納活動の状況(平成19年9月末)」そして「財政の現況(平成19年9月末)」です。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」の
   「取りまとめ(案)」に関する意見募集への対応について
(総合企画室)
 「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」の「取りまとめ(案)」に関する意見募集への対応について審議をお願いします。
 総務省は、NHK提出の予算・事業計画に付する総務大臣意見や、NHKの放送受信規約、放送受信料免除基準の認可など行政として判断する際の参考に資することを目的に、情報通信政策局長の私的研究会として今年6月から「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」を開催しています。同研究会が9月に「取りまとめ(案)」を策定したことを受け、総務省は、これについての意見募集を10月19日を期限に行っています。
 同研究会の主要な検討テーマは

  • 契約率算定の母数となる世帯数・事業所数等の基礎的データの精査
  • 世帯・事業所における受信料体系の課題(割引等)
  • 衛星受信料体系の課題
の3点です。
 NHKとしては、この「取りまとめ(案)」に対して、次のような基本的な考え方のもとに意見を提出したいと思います。

NHK意見の基本的なスタンス

 

 受信料は、NHKの公共放送事業の自律性・自主性を保障する財源であることから、NHKが、視聴者の皆さまのご意見によく耳を傾けながら、自律的・自主的に透明性を高め、広くご理解を得られる体系となるよう自ら検討してきました。
 研究会においても、NHKが現在行っている方法を、最初から「見直すべき」という立場に立つのではなく、まずは精査したうえで、必要に応じて見直すという中立的な立場で検討したものと考えます 。しかし、今回の「取りまとめ(案)」 で示された 契約対象の推計方法の方が実態をよく反映しているという結論については、確認が不十分な箇所があるのではないか、との印象が拭えません。
 「取りまとめ(案)」で検討されている内容は、NHKの営業活動の実務そのものに関わるものでもありますので、より良い最終取りまとめになるようにとの観点から、以下のとおり要望したいと思います。

「取りまとめ(案)」に対するNHK意見のポイント

 
1 契約率算定のための契約対象数推計の方法について
 

 契約対象数推計方法の検討の意義については、「取りまとめ(案)」では、推計方法を当初から「見直す」とされていますが、現在の方法を「精査」したうえで、必要があれば見直しを行えばよいのではないかと考えます。

 公的統計利用の考え方については、「取りまとめ(案)」では、推計方法の設計にあたっては、より信頼性の高い公的統計を活用し、独自調査等はできる限り限定的に利用すべきとの記述がなされていますが、公的統計、独自調査を問わず、利用可能な手段の中から、目的に照らして最も信頼性が高く、かつ経費効果の高いものを選択すればよいのではないかと考えます。

 世帯数の推計方法については、「取りまとめ(案)」では、NHKが現在行っている「国勢調査を推計の基礎とし、国立社会保障・人口問題研究所による『日本の世帯数の将来推計』により時期補正する方法」ではなく、「住民基本台帳のみを推計の基礎とする方法」または「国勢調査を推計の基礎とし、住民基本台帳により時期補正する方法」を取ることが母数の信頼性を高めることにつながるとされていますが、住民基本台帳は届出数の集計であるのに対し、国勢調査は調査員が現地で一軒一軒世帯を確認するため、国勢調査の方が、受信契約の基礎となる世帯を把握する点でより適していると考えています。

 事業所数の推計方法については、「取りまとめ(案)」では、ホテル・旅館のテレビ設置室数の推計方法として、総務省の「事業 所・企業統 計調査」とNHK独自調査を組み合わせた現在の推計 方法よりも、 旅館業法に基づく許可件数の積み上げである厚生労働省の「衛生 行政報告例」の方がより信頼性が高いとされています。
 しかし、NHKで、いくつかの地方都市を例に旅館業法の許可を受けているホテル・旅館の存否調査を行ったところ、ある市では2割以上、他の市では5割以上の施設が、すでに廃業しているなどの理由によりホテル・旅館としては存在していませんでした。
 このため、「衛生行政報告例の方が信頼性がより高い」といった記述については、疑問を持つに至っていますので、本統計を利用 すべきということであれば、その疑問を払拭していただきたいと考えます。なお、その疑問が払拭できれば、NHKとしても本統計の使用を検討していきたいと考えます。

 その他、NHKの行う独自調査については、これまでも常に見直しを行ってきましたが、今後、さらに外部専門家のアドバイスを受ける仕組みを導入することなどを検討していきます。
 また、受信契約の状況などの自主的な公表については、現在でも既に、月ごとの受信契約件数などの基本データを公表していますが、今後はホームページなどで、毎年度の受信契約状況を公表することも検討します。
 

 

2

事業所等の半額割引について

 

 「取りまとめ(案)」では、NHKが今年2月に公表した事業所の半額程度の割引の検討について、公開ヒヤリングの場では、N HKから「十分な説明は行われなかった」との評価がなされてい ます。しかし、NHKとしては、 具体化に向けた検討を続けている段階で、ご説 明が難しい部分も あるなか、可能なかぎり誠実にお答えしたつもりです。
 今後、平成20年度の予算・事業計画の策定の過程で、事業所の半額程度の割引を導入する場合には、その具体的 内容と、受信料収入への影響や契約率の変化等の試算内容を明ら かにしていくつもりです。
 また、受信料体系の改定に先だって、パブリックコメントなどの国民視聴者の意見を聴取する機会が設けられることが必要とのことですが、視聴者の皆さまのご意見を反映することが大切であることは十分認識しており、その具体的な実施方法について今後検討していきます。

 

 

3

衛星受信料体系について

 

 「取りまとめ(案)」では、「地上・BS・CS放送の三波共用受信機を保有しているが地上契約であった受信者が、衛星放送を受信できる共同アンテナを備えたマンションに入居した場合でも、引き続き衛星放送を受信していないという受信実態に変化がない場合は、従前の地上契約を継続することができるよう、受信規約の改正等の適切な措置が講じられるべき」とされていますが、衛星放送を受信できる設備を設置した場合に衛星受信契約の締結が必要となるという原則は、今後も変わらないと考えます。
 このような措置の導入については、NHKとしても、様々な観点からしっかりと検討していきたいと考えます。
 措置の対象とならない視聴者へのご説明、措置の要件の明確性と措置の正しい理解の促進などの課題があり、NHKとしては、今のところ、措置の導入について確たる見通しを持ち合わせてはいませんが、視聴者の皆さまに、受信料制度の意義をご理解いただくようお願いするとともに、衛星放送の魅力を高める不断の努力をしていかなければならないと考えています。


(会  長)

 「取りまとめ(案)」では、NHKの営業活動に対する現状認識が正確でない部分があるので「NHK意見の基本的なスタンス」の中で、その点を記載するよう改めたほうがいいと思います。
 また、国勢調査と住民基本台帳の基本的な性格をいっそう明らかにすべきと思うので、その点も加筆してください。

(畠山理事)

 衛星受信料体系について、今回提出するNHK意見(案)では、「今回、研究会から取りまとめ(案)としてご提言いただいた措置については、NHKとしても、日々、大量の受信者の異動情報を取り扱うなかで、対象となる場合を誤りなく把握し、同時に不正利用を確実に防止できるような有効な具体的方法を見出せるかどうかを、様々な観点からしっかりと検討していきたいと考えます。」とありますが、この表現ですと、前提としてNHKが措置の考え方を是認しているように読めなくもありませんので、原則に照らした場合のNHKの考え方をより明確に表現したほうがよいと思います。

(総合企画室)

 会長ご指摘の一点目は「現状認識が必ずしも正確でない」箇所があるのではないかという趣旨を付け加えます。
 二点目については、総務省の国勢調査に関するホームページで、両者の違いが説明されているので、その部分を引用します。また、住民基本台帳では、国勢調査と異なり、世帯の人数別の数が集計・公表されていないことなどを書き加えることにします。
 畠山理事ご指摘の点は、受信設備を設置すれば衛星受信料をいただくという原則に立ち返れば、今回の措置の導入は難しいと考えることと、措置の対象として考えられている視聴者のご要望に実際に応えることができるのか、さまざまな観点から検討していく旨を書き込むことにいたします。

(会  長)

 そのような趣旨で一部字句を修正のうえ、原案を決定します。


(3)特定失踪者問題調査会による八俣送信所の送信設備等の使用の
   期間延長について
(西山 理事)
 特定失踪者問題調査会による北朝鮮拉致被害者向け短波送信「しおかぜ」のために、KDDIが所有しNHKが包括的使用権を有する八俣送信所の送信設備等の一部を同調査会が使用することについては、今年の3月に、NHK、KDDI、同調査会の3者の合意に基づき、認めています。使用を認めた期間は今年の3月26日から10月28日までです。
 先日、同調査会から今年度下半期についても継続使用したい旨の申し出がありました。NHKとしては、人道上の見地から可能な範囲で協力するため、KDDI、同調査会および総務省と協議し、これまでと同様に、1NHKの業務に支障がないこと(NHKの業務に支障があるときは、3者の確認書により、NHKはいつでも同調査会の短波送信の停止を求めることができます。)2本件送信設備等に係るNHKの包括的使用権を損なわないこと、3関係法令に照らし問題がないことの3点を条件として、来年3月30日までの使用を認めたいと考えています。
 なお、これまで1日30分(日本時間の午前5時30分から6時まで)の送信を認めていましたが、10月29日から来年3月30日までについては、日本時間午後11時〜11時30分を加えた1日1時間の使用を認めることとしたいと思います。

(会  長) 原案どおり決定します。


2 報告事項
(1)「NHK情報公開」の実施状況(平成19年度上半期)
(視聴者サービス局)
 19年度上半期の「NHK情報公開」の実施状況について報告します。
 全国の放送局・支局・営業センター等の窓口に備え置いて視聴者のみなさんに閲覧していただく「備え置き公開文書」は19年度9月末現在、61文書です。このうち19年度から新たに備え置くことにしたものは、「NHKコンプライアンス委員会 最終答申」の1文書です。
 また、NHKのインターネットホームページによる情報の提供も積極的に推進しています。たとえば、今年7月、視聴者からのさまざまなお問合せにお答えする「よくある質問集」(FAQ)を掲載し、「NHKについて」、「放送番組について」、「受信料について」、「テレビの受信について」、「公開番組について」、「デジタル放送などについて」の6つのジャンルに整理して、キーワード検索機能を設けました。
 19年度上半期は、本部・全国の放送局において、来局と郵送を合わせて、文書そのものの開示の求めは55件でした。前年度からの継続案件3件を含めた58件に対する検討結果は、情報の開示をしたものが28件(一部開示の8件を含む)、不開示が15件、開示対象外が4件、検討中が11件です。開示率は65%です。
 このうち、不開示の理由は、そもそも文書自体が存在しないことやNHKの事業活動に支障を及ぼすおそれがあるもの、個人のプライバシーを侵害するおそれがあるものなどとなっています。また、開示対象外の理由は、放送番組の企画、取材、収録等について記録した文書その他放送番組の編集に関する情報を記録したものにあたるためです。いずれも、NHK情報公開基準に則った判断をしています。
 次にNHK情報公開・個人情報保護審議委員会の実施状況について報告します。
 19年度上半期は、8月を除き月2回、合わせて10回開催されました。
 「再検討の求め」は、前年度からの継続案件も含め18件でした。このうち11件を審議し、7件の答申をいただき、7件ともNHKの当初の判断が妥当であるという答申でした。
 なお、「NHK情報公開」の実施状況については、NHK情報公開に関するホームページ(//www.nhk.or.jp/koukai/)で公開しています。


(2)契約・収納活動の状況(平成19年9月末)
(営業局)
 19年9月末の営業業績について報告します。
 まず、放送受信契約の総数についてです。第3期(8月・9月)は、3.6万件と3期連続でプラスとなり、年度累計では19.5万件の増加となりました。
 また、衛星契約は、7.9万件増加し、年度累計では24.5万件の増加となりました。
 次に、第3期における支払い拒否・保留数は、新たな発生数が2千件、一方、支払い再開数は訪問活動の徹底や文書対策を実施した結果、2.4万件で、増減数としてはマイナス3.4万件、累計では74.1万件となりました。
 当年度収納額は第3期1,055億円で、前年度同期より47.2億円の増収となりました。また、年度累計では3,089億円となり、前年度同期より103.4億円の増収となりました。


(3)財政の現況(平成19年9月末)
(経理局)
 19年9月末の財政の現況について報告します。
 収支の施行状況について、事業収入は3,260億円で施行予定額を86億円上回っています。また、昨年同月比では、受信料収入と非現用不動産売却益等により108億円の増加となっています。事業収入の大半を占める受信料収入は3,119億円で、契約総数・衛星契約の増加等により、施行予定額を53億円上回り、昨年同月末と比べて103億円の増加となっています。
 一方、事業支出は3,059億円で、施行予定額を94億円下回りました。また、昨年同月比では、国内放送費が増加しているものの、人件費・契約収納費等の減により、ほぼ同規模となっています。
 主な設備契約(2億円以上)については、8月、9月は8件で、そのうちの2件は随意契約です。随意契約である理由は、地上デジタルデータ放送制作システムについては、その導入時に競争契約を行い業者を決定しており、今回はその設備をワンセグローカルサービス対応用に部分的に改修するためです。もう1件のハイビジョンD5VTRは扱っている業者が1社のみであるためです。



以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年11月 7日
                   副 会 長  永 井 多惠子   

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